アフタースクール

「運命じゃない人」がカンヌ国際映画祭４部門に輝いた内田けんじ監督によるミステリー・コメディ。
これは、前情報なしで見て頂くのが面白いと思いますので、ネタバレなしで書きます。

前半三分の一くらい見る映像によって、刷り込まれる思い込みが深ければ、深いほど、やられた！となってしまうので、それこそ作り手のテクニックにより、きれいに嵌められたことになり、悔しさが募ります。観客の錯覚によって起こるその思い込みを利用して、観客を惑わすと言ったらよいのかもしれません。

お金に振り回される人間が一つのテーマになっているかな〜と感じました。前作「運命じゃない人」は、暴力団組長の隠し金を追っていく話でしたが、今作は、大企業や政治家といった表社会の人たちも絡めて構造的なお金の仕組みを描こうとしたものと思えます。
決して暴力に頼ることなく、エンターテイメントにして、まぬけさを面白く描き、その辺が人間的な優しさを感じさせます。

見終えて、すぐに記憶の糸を手探りながら、一つ一つを振り返ってみることが、醍醐味なのかなぁ〜と思います。
アウトロー探偵と、中学教師との会話がただ可笑しいだけではなく、それまでの先入観や、評価がひっくり返るのも快感です。
エンドロール後、ＴＶの画面で流される部分もお見逃しなく！

確かに騙される、いや分かる訳ないｗ
敢えてネタバレ無しで書いてみようかな（笑）

一言で言えばコメディなのが最大の成功でしょうか
シリアスなら手放しでは絶賛できない方達もいるのでは？
ヴィルさんが書かれてる様に騙される爽快感を求めた作品ですね。

ちなみに、私は大泉洋は好きで堺雅人はあまり好きじゃない（笑）
非常に役者達の演技が度を弁えていて上手いですね
どこか故伊丹十三監督の人気シリーズを思わせる作風で
コメディという利点を最大に生かしてるのは素晴らしいと思います
ですが、終盤のネタばらし部分では「へ〜、そう」ってくらいでした私はｗ
過度の期待がいけなかったのか、天邪鬼なのかネタバレに納得できない（笑）
それは何かと問われたら、、、、警察の体たらくの一言に尽きるｗ
いくらなんでもここまで頼っちゃいけないよね
でも、それが無ければ成立しないのも確かなんだけど（笑）
それと、エンドロール後の間抜けな補足はいらないです。

全体的に小粒な印象が強いです
私は観終わった後、最初の大泉洋と常盤貴子
そして山本圭三人の会話にかなりの違和感を覚えました
良く出来た作品だと思いますが、逆に言えば、、、
内田監督が脚本を活かし切れてない気がした
というのが私の感想です、ネタバレしてないよね？。（笑）

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

　ＤＶＤになってからでもいいかと思っていたのですが、たまたま時間が空いたので劇場で・・・。
　ずいぶん評判が高いと聞いていたのですが、客席はちらほら・・（私を含めて１２〜３人か・・）

　あちこちに伏線がはってあるので、楽しいと言えば楽しいのですが、これやっぱりＤＶＤで観た方が良いのかも知れません。
「え？あれ？そうだっったの？」
な展開が多くて、ＤＶＤでなら、チャプター戻しで確認できるのですが、劇場ではそうもいかず・・・。（mixiで「ＤＶＤの方が面白いかも」と勝王さんがコメントしてました）

　何も知らずに観た方が楽しめると思うので、ネタバレは控えますけど、一度観て、プロットがわかってから観ると、また楽しめそうな気もしますねえ。反芻したくなります（牛かい！）
　「キサラギ」に通じる面白さがありますけど、私にはこっちの方が面白いかも・・・。脚本を書いた本人が監督もすると言うことのメリットが感じられる映画です。構成や間が舞台劇っぽいところもあって、私は好きなんですけど、舞台が苦手、舞台より映画が好きって言う人には向かないかも知れませんね。

　大泉洋、佐々木蔵之助、堺雅人と好きな役者が揃っているので、期待は大きかったのですが、まあ裏切られることはありませんでした。でも、劇場で観なくても良かったかな・・？と。

　大泉洋。今、一番旬とも言える役者ですね。安定しています。ねずみ男もなかなかですけど（「ゲゲゲ第２弾」は、たぶんＤＶＤになってから観るでしょうが）ひょうひょうとした雰囲気も、シリアスな設定もうまくこなします。この作品の中では、一番演じるのが難しいというか、気を使う役ですけど、さすがですよね。
　佐々木蔵之助は、個人的に結構好きなんですけど、本作ではいつもとちょっと違った雰囲気が観られます。
　堺雅人。この人は芸達者なんでしょうけど、相手役とか周りによって全く印象が変わるんですね。芸達者な人と絡むと、素晴らしく味のある演技を見せてくれるのに、周りが大根だと、それに引きずられるようにクォリティが落ちます。
　本作や、「クライマーズ・ハイ」「やさぐれぱんだ」なんかでは、えも言われぬ雰囲気を醸し出していますが、「壁男」では今ひとつでした。
　この映画での役回りで、キャラが微妙に変化していきますが、ラスト近くの言い回しは「やさぐれぱんだ」の山賊そのもののような・・（笑）
　冒頭のシーンで、中学生の木村からモンタージュ写真のように、堺雅人の顔になるんですけど、
「良く似た子を見つけたなあ」
と、変なところに感心しちゃいました。

　これ、作っているとき内田けんじ監督は楽しかったんじゃないかなあと思います。おそらく、
「こんな感じでやってみて」
と言えば、それに応えてくれるし、流れの中で微妙にキャラが変わってくるところも自分で組み立ててくれる役者が揃っていると、演出する人間にとっては楽しいんじゃないかと思いますね。まあ脚本によるミスリードがうまくはまるので、役者も楽しいでしょう。

　どんでん返しと言えるほど大きな山はないのですが、最近のやたら説明が多い作品に比べると親切では無いかも知れません。まあ、そこが醍醐味とも言えるので、素直に観ていると、錯綜していたようなプロットの整合性がわかって
「ああ、なるほど・・」
とある程度のカタルシスも味わえます。欲を言えば、探偵さんがもっと極悪だった方が面白いのでは・・・？
「つまんないのは学校のせいじゃない。おまえがつまらないのは、おまえのせいなんだよ」
　なかなか深いです。

母校の中学校で教師をしている神野(大泉洋)は、ある朝、中学時代の同級生・木村(堺雅人)が自分の車を借りて出社するのを見送った。
しかし木村は出社せず、行方をくらました。
木村は女性といっしょのところを同僚に偶然、写メに撮られていたが、それを知った会社の上層部は、探偵の北沢(佐々木蔵之介)に捜索を依頼する。　
北沢は手がかりを求めて、中学の神野のもとを訪れた・・・。

まだの方、ダマされたと思って、予備知識なしで一度ご覧ください。
きっと楽しめると思います。　そしてたぶんもう一度見たくなると思います。

よくできたエンターテインメント作品です。
興行収入、5.5億円? 倍はお客さんを呼べるでしょう。
方法がむずかしいのはわかりますが、TBSもアミューズも宣伝ヘタなんじゃないでしょうか。

脚本・監督は内田けんじ。　ハリウッドがこの脚本を買って、リメイクしても不思議はありません。 ブラボー!!

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

Ｔシャツを着る。
気付いたら、そのＴシャツは裏返しだった。
裏返しを直してもう一度着る。
そしたら同じＴシャツだと思ってたのに、着たＴシャツは違うものだった。一度も手から離してないのに違うＴシャツだった。
はたしてほんとに違うＴシャツ？
最初からそのＴシャツだったんじゃないの？・・・・
そんな気分になる映画でした。
ステキに騙され、感動させられ、ノスタルジックも味わえて、笑える。

思い込み。
様々な出来事を、観てるこっちが「思い込み」の接着剤で勝手にくっつけてストーリーを構築していきますが、それは少なくとも２度、解体することになります。
そんな人間に心理・「思い込み」を巧みに利用したとても素晴らしい映画です。
役者も素晴らしい。
大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人、常盤貴子、どれをとってもステキでした。堺さんの飄々としたキャラクターながらも、様々な感情を内に秘めた瞳。
こちらが抱くイメージ通りの「大泉」を提供してくれる大泉洋。
いつまでもチャーミングでカワイイ常盤さん。
濁った中年役をコミカルさを交えながら演じた佐々木さん。
特に大泉洋です。
ホロリとさせられます。
セリフがイチイチ素敵です。
蔵之介に言った最後の言葉「学校がどうのこうのじゃない、つまんなくしてるのはお前自身だ」・・・・・これはイイ言葉ですね。
他にもグっとくるセリフ多数。
さらに持ち前の（外見込み）ユーモアさも余すとこなく発揮してます。
なんか自然なんです。
しっくりくるんですよ彼は。
役を演じていると思わせないんです。

そして中学時代のシーン・・・あれは堪りません、反則。
早くも「個人的今年１の邦画」きゃも。
多くを語る映画ではありません。
やはり観て感じてもらうのが一番。