アスファルト、我が故郷

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かなりネタバレしていますので要注意です。
第１話の前半は成人したギジュ（キム・ヨンエssi）が出演し，夫の姪を自分が引き取って育て始めたところが描かれています。
そして，半ばで，姪とのふとした会話から，自分の養護施設時代の辛い記憶がよみがえり，後半の回想シーンへと入っていきます。
この子役の女の子が，ギジュに引き取られた姪の役とギジュの子ども時代の二役を演じていますが，韓国の子役は本当に上手ですね。

そして，２話から５話がギジュの高校時代で，この時代の相手役が，ビョンホンssi扮するスンホです。ギジュの養家の親戚に当たる高校３年生です。
優しい養父母のもとで，ギジュは美しく聡明で健やかに成長しますが，養父母に甘えることができず，“薄氷を踏むように”生活しています。
そんなギジュが唯一本音を語れるのがスンホで，誘われるままに映画やハイキングに出かけ，次第に明るくなっていきますが，スンホの成績がガタ落ちしたことを心配したスンホの母親は，二人の仲を引き裂いてしまいます。
（この高校時代のギジュを演じたのは誰なのでしょうか？）

大学に進学したギジュは，大学で知り合った男子学生と交際を始めますが，自分が養女であることを告げた途端，彼の態度が一変し，「なぜ？」と詰め寄るギジュに，彼は「孤児なんて根無し草と同じじゃないか。」と，言い放ちます。
この言葉に傷ついたギジュは，大量の睡眠薬を飲んで自殺を図りますが，未遂に終わります。
意識を取り戻したギジュは，養父母に再び娘を亡くすという悲しみを追わせるところだったと悟ります。
朝鮮動乱で娘を亡くした弁護士夫婦は，ギジュを大切に育てますが，実の親から路上に捨てられ，他人や親戚からも冷たくされ，ズタズタになったギジュの心はなかなか癒されません。
養母のギジュに対する思いも彼女には届いていないようで，見ている者を辛くさせます。
しかし，夫の姪を引き取ってから，彼女は次第に変わっていきます。
既に二人の子の母親になっていた彼女ですが，心に傷を負った他人の子を育てることの大変さを実感し，養母のありがたさを痛感します。
「この子と私は道連れ。私と養母がそうであったように。」という，ギジュの言葉がいつまでも心に残る感動作です。

今でこそ韓国の大スターに君臨しているイ・ビョンホンssiですが，90年のKBS公募14期のタレントとしてはビリの成績で滑り込んだそうです。しかし，その後の研修過程で血の滲むような努力を重ね，トップの成績で修了したそうです。彼のひたむきな努力の結果がこのデビュー作獲得につながりました。
本作での彼は決して主役というわけではありませんが，初々しいビョンホンssiの姿を楽しむことができます。
ただ，彼としては本作は失敗作と思っているらしく，「私のデビュー作は“家族”だ」と言っているみたいですね。
全８話の短編（ビョンホンssiの出演は２話〜５話）ですから一気見可です。

本作のタイトルが「アスファルト我が故郷」となったのは，朝鮮動乱の頃，親からアスファルトの路上に捨てられたことによるものだそうですが，そう聞くと何だか重そうな感じがしますね。

ドラマの内容については，長くなりますので２巻目に書きます。