ゼロ時間の謎

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アガサ・クリスティが自作のベスト１０の１つに選んだ本格推理小説の映画化。
舞台をイギリスからフランスに移し、時代設定も現代にしたようですが、２０世紀前半の雰囲気も漂っています。

テニス選手のギョームは、再婚相手のキャロリーヌと共に、ブルゴーニュの叔母の別荘へ訪れる。そこにギョームの前妻オードも招かれ、別荘は険悪なムードが漂う・・・
そのうえ一癖も二癖もありそうな訳ありな男女。何故か使用人はコミカルに描かれているのですが、執事なども怪しげです。
と、往年のミステリー映画の範疇から外れていないので、あの雰囲気がお好きな方なら楽しめると思います。

一見すると無関係だった事実がある一点で集約して事件が起こるという運命的なテーマは、アガサのお気に入りの心理的な葛藤を交えての作品です。
「ゼロ時間」とは、物事の始まりのことらしいです。

カトリーヌ・ドヌーヴの娘でお父さん（マルチェロ・マストロヤンニ）にそっくりなキアラ・マストロヤンニを筆頭に、見ていて楽しい役者を揃え、きれいな風景をバックに展開する殺人劇。
風景だけでなく建物もおしゃれで豪華。
肝心の謎解きは、ミスリーディングをあざやかに決めて、すっかりだまされました。
アガサ・クリスティ原作の華麗な映画化。
クリスティらしいメロドラマ的要素も含まれていますが、ここではそれがプラスに作用しています。
優れたミステリに多くを語るのは無粋。
ミステリ映画ファンは絶対に見逃せない秀作。

原作が古いんだから、時代設定も古いんでしょう。
だから、警察の捜査にいろいろ疑問は感じますが、
まあそんなもんだったのかなと寛容な気持ちにもなります。

真犯人が最後に言った「たまたまソイツがいたから解決できた」
って言葉、痛いとこ衝いてます。

ミステリーとして、大して捻りはないので、
ミステリーを観慣れた方はすぐに展開も真犯人も読めてしまうでしょう。

そこに期待しなければ、気楽に観られる作品だと思います。

ただ、ギャーギャーうるさい女が嫌いな方は観ないほうがいいです。
キャロリーヌが感情的で、いちいちヒステリックに喚き散らして
非常にウザイです。
品もないし、どこかいいとこあんのか。
事件の謎よりも、よっぽど疑問でした。

大げさなキャラクター設定、わざとらしい演技がやや鼻につくが、ストーリーはまぎれもなくアガサ・クリスティ。

冒頭で自殺に失敗した人物はいつ出てくるのか、どんな役割を果たすのか
殺人事件の発端となる出来事「ゼロ時間」がどこなのか
なんとか出し抜きたくて物語の間中ずっと気になっていた。
なのに、お決まりの最後に一同が集まって謎解きをしてくれるシーンまで、私は全然見抜けなかった。
現代という設定だけど、貴族の邸宅（あれが別荘？）が舞台なので
ひと時代古い印象。
私にとってはイギリスもフランスも貴族階級ひとくくりで同じだな。(^_^;

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推理小説の王道のような作品。誰かのレビューに書いてありましたが確かに２
時間ドラマのような映画です。というか、２時間ドラマがこの手の推理小説のよう
につくられているということでしょうね。登場人物、各シーンの構成比、トリック、
ネタ明かし。全てが２時間ドラマと同じ。

２時間ドラマは作品として秀作かどうかではなく、ついつい見てしまう面白さが
真の狙い。チャンネルを順番におくっていて２時間ドラマで手がとまろうものなら
最後まで見てしまう。。。みたいな。この作品もまさにそれ。
原作は読んでいませんが、きっと面白いのでしょうね。しかも出版された時代を
考えればこれはもう多くの人が病みつきになったのも頷ける。

最後に明かされたトリックもすっきりしているのだが、オードの後姿とその音楽
、しかも月明かりはなかったという事実。これって？考えすぎているのは私だけ
ですかね？後味よく終わったはずなのにレビューを書いていると疑問がでてき
てしまった。。。皆さんの解釈は？？？？？