スキャナー・ダークリー

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スキャナー・ダークリー / キアヌ・リーブス

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「スキャナー・ダークリー」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

 SF作家フィリップ・K・ディックの『暗闇のスキャナー』をリチャード・リンクレイター監督が「ウェイキング・ライフ」で試みたデジタル・ペインティング手法を用いて映画化した近未来サスペンス。主演は「マトリックス」シリーズのキアヌ・リーヴス。近未来のアメリカ。そこでは“物質D”と呼ばれる強力なドラッグが蔓延していた。覆面麻薬捜査官のボブ・アークターは、物質Dの供給源を探るため自らジャンキーとなりドラッグの世界へと深く潜入していく。ある時、ジャンキーとしてのボブが何者かに密告されたため、彼は自らを監視するハメに陥るのだったが…。

「スキャナー・ダークリー」 の作品情報

作品情報

製作年: 2006年
製作国: アメリカ
原題: A SCANNER DARKLY

「スキャナー・ダークリー」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

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お客を選ぶ異色作 ネタバレ

投稿日:2007/04/24 レビュアー:masamune

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Philip Kindred Dickと言えば私の生涯ベスト「ブレードランナー」を初め、「トータル・リコール」「スクリーマーズ」「クローン」「マイノリティ・リポート」「ペイチェック」と大作・話題作が多く、今でも幾つかの企画がハリウッドで進行中の売れっ子SF作家。しかし、生前は恵まれず離婚と結婚を繰り返し、自殺未遂も一度では無いなど精神的に不安定なまま1982年3月に急死、その3ヶ月後に「ブレードランナー」が公開され、一躍世界中で注目される。翌年に彼の名を表したフィリップ・K・ディック記念賞が創設されたが、これは全米文学界でも4本の指に入る文化賞として注目されてる。
私も「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(ブレードランナーの原作)を契機に一気に読み漁ったミーハーですが、原作「暗闇のスキャナー」は彼の後期の傑作の一つで、私的にはベスト3に入る秀作だと思う。特に彼のドラッグ経験が如実に語られるテーマだけに、他の作品には無いリアリティを感じる事が出来る。故に劇中でも麻薬に対する描写は容赦の無いシークエンスも多く、それをSFの世界で語るのだから面白くない訳が無い。
しかし、本作は・・・実はアニメ作品なのだ。これは監督がRichard Linklaterならでは、とも言えるが彼の「ウェイキング・ライフ」をご存知の方は、アノ感じが本作では更に進化してるのだ。これはロトスコープなるデジタル・ペインティングを駆使して制作された異色作で、プレスによると1分間の映像を完成するのに30人がフルタイムで毎日作業しても500時間を費やす、と有る。つまり膨大な経費が掛かってる。(因みにGeorge ClooneyやSteven Soderberghも制作に参画)。実写を撮り終えて、ホスト・プロダクションに一年半も掛けられる映画なんて、そう多くは無い。
原作が元々エンターテイメント性の低いテーマ、つまり麻薬の恐ろしさを主眼に置いてる為、ストーリーとしても全体に暗いムードは仕方ないとして、この特殊なアニメーションに「目」を奪われて、下手をすると何をどう見てよいか分からないまま終わってしまう危険性がある・・・と云えるほどに映像のインパクト度は高い。よって本作は映画の見方としては反則かもしれないが、原作を未見の方は事前に読むなり、何らかのリサーチをしてからで無いと楽しめない、かもしれない。
ここまでデジタル・ペインティングに固執したのかは、ファンの方ならお分かりだろうが、徹底して麻薬の幻覚を原作に忠実にそしてリアルに表現したかったからに他ならない。麻薬によって自分の精神が乖離していく様を映像で見事に表現出来てるし、その行く末として「自分は誰なのか?」と言ったDick作品のテーマ性もハッキリ描かれてる点も秀逸だ。その意味では原作を知り尽くしてる者の満足度は他のDick映画と較べても高いと思う。
しかし、未見の方は例えば「物質Dとは何か」とか「スクランブル・スーツの役割」とか、そもそも主人公が潜入捜査官などの予備知識は有った方が、楽しめると思う。強いて難点を挙げれば映画としての娯楽性を加味したかったのか、原作に無いコメディ要素が散見されたが、私は不要だと思う。所詮彼の作品にはハッピーエンドは似合わないのだから・・・。
SF好きな方は迷わず原作を読むべし!映画化を機に早川書房から新訳版が発売中。前の創元SF文庫版と較べると、表現が今風で柔らかく読み易いと思います。そして映画も観るべし!。

Dick作品の共通のテーマ「リアルとフェイクのクロスオーバー」は本作でも健在。しかし、熱狂的なファンじゃない方から「全部実写で撮れば良かったのに」と言われるのは必定の様な・・(笑)。

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『ウィキング・ライフ』より進化したロトスコープ

投稿日:2007/07/13 レビュアー:JUCE

 『ウィキング・ライフ』で懲りていなかったようですね。『ウィキング・ライフ』に引き続きロトスコーピング(実写映像をペインティング)作品です。しかし本作は格段に映像のクオリティはアップしています。アップした分実写映像に近づきすぎていまひとつ面白みにかけると言うか、斬新さが薄くなって中途半端になってしまったようにも感じられます。しかしロトスコーピングの技術だけを見るとこれだけのクオリティーを100分という長編で実現している作品としては世界初ではないでしょうか。
 『ウィキング・ライフ』では実験映像的な色彩がかなり強く内容も哲学的で最後まで見るのがかなり辛い映画でしたが、それに比べると本作は描画もさることながらストーリーも分かりやすくちょっと毛色の変わった一般映画という感じで鑑賞が出来ます。おそらく本作はこれから数年はアニメーションや映像の教育機関でロトスコーピングの解説には必ず引き合いに出される映画となるのでしょう。リチャード・リンクレイター監督はこうした実験的な映像が好みなのでしょうか。経歴の中に1985年に非営利教育機関オースティン映画協会を設立したとあるので、やはり実験映像などにもとても興味があるのでしょう。
 
 当初はひたすら写実的な表現を求めてきたCG映像ですが、90年代から写実的な表現から脱皮し、実写では得られない芸術的な描画を追及する動きも出てきました。例えば3DCGのトゥーンシェーディング(2Dアニメのような質感の3Dレンダリング)やこのロトスコーピングがその流れです。そのロトスコーピングの現段階での集大成のような映画なのですが、それがこの映画に必要かどうかと言うととても微妙です。なくても作品としては十分に面白いものを作れたと思いますし。逆に実写+CGの方が相応しい場面もあったでしょう。何よりも膨大なポストプロダクション費用を撮影や美術にまわせた事を考えると実写版の作品を見てみたいという欲も出てきます。まあ麻薬常習者の薬に侵された感覚を表現するためと捉えられなくとも無いが、他に選択肢はいくつもあったと思います。効果的だと思えたのは“スクランブルスーツ”の描画でしょうか。これはSFのガジェットとしても面白く、この作品でもこれが無いと話が成り立たない重要なアイテムなのですが、このスーツの特殊なイメージ描写はこの作品のアニメーションの中では特筆すべき部分でしょう。

 原作の内容としては管理体制、ドラッグ、人権問題と哲学的な要素を様々に含んだ内容だが、かなり原作に忠実だと言われている本作ですが、映画の内容としてはそれほど難解な部分は無く、サクッと仕上がっていると思います。個人的には映像や内容を含めかなり好きな映画なのですが、人に勧められる映画化というととても微妙です。映像技術や映像そのものに興味のある方には必見だと思いますが、そうでない方には単に画面がわずらわしい映画に思えるかも知れません。

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もう君の神じゃない花 ネタバレ

投稿日:2007/07/09 レビュアー:裸足のラヴァース

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「デス・ゲーム」が実写とアニメのちゃんぽんだとすると こちらは なんとかペインティングのオール・アニメの世界 いやアニメとも言わないのかな すごくお金はかかってるんでしょうかね それでこの地味な内容ですから リンクレーターも思い切ったことをやりますね あまり観られてないのかなと思ったら かなりの数のレヴューが出ていて この映画の背景になる ディックの私生活との絡みも 解説してくれてる人がマサやんをはじめ いますので あまり書くこともないですね でも面白い作品ですよ

何故 こんな凝った面倒なことをしたのかと言えば 原作のテーマでもある 現実とフェークの混合を シネマにおいて再現する上で実写をアニメ化することによる操作でいかにも映画独自の表現としての効果をたくらんだのでしょう であるのでキアヌのような有名俳優が必要なわけです シンセとゆう楽器が出始めの頃 普通の楽器で出来ることをわざわざシンセで音を作る 音楽家がいましたが なんかそんなのを思い出しますね
結局 シンセは普通に音楽製作の世界に溶け込んでしまって いまや透明な媒体になってしまっています この映画に拒否反応があるとすると それと同じ途上に起こる反応ではないでしょうか それもまたフェークな事態で 狙いの内に入ると思うのです この流れは ほとんどハイパー・リアリズムな背景の中で 俳優が孤軍奮闘するような 映画作りに発展するかもしれないですね あの実写とアニメが一緒になった ウサギの何とか言うシネマの考え方が またぞろ復活してるのでしょうか 技術革新の波は止まらないので われらの感性は必ず 後追いでそれにフィットされてしまうのでしょう

普通のSFアクションなどではないので 退屈される向きもあるでしょうが これがとてもいいと思います 例えば 車のブレーキの故障からのどたばたから 家を売るなんて話になってくる エピソードなんかは そのシークェンス全体 ナンセンス・ファルスのようなノリで 物語に直接関係しないながら 大変面白いシーンになっていて この日常性描写の優れぶりは これだけの曲者役者が揃ってるからこそ できることでしょう リンクレーターしてやったりではないでしょうか

デイック特有の 現実とフェークな世界の境界のわからぬ 妄想が展開する物語には 日常の描写がリアリティを作るのですが この映画の主題である ドラッグの幻想と監視社会の陰謀が交錯してかもし出す独特の世界観は いまでこそリアルであって そのペシミズムは ドラッグで自己崩壊してしまって ついに己を見失った男の悲哀を キアヌがよく演じるとき それは絶望的な事態なのですが そこに自己犠牲の精神を見出したとき ほんのささやかな希望を見出してこのシネマは幕を閉じるのです

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映像が辛い・・ ネタバレ

投稿日:2007/04/25 レビュアー:エファ

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麻薬を扱ったお話に、あまりハッピーエンドは聞きませんね。この映画の原作はフィリップ・K・ディックの『暗闇のスキャナー』で、彼自身の体験談を基に書き上げたそうです。彼の他の作品は、よく映画化されています。
『ブレードランナー』『トータル・リコール』など、SFタッチが多いですね。この映画も近未来が設定で、出てくるアイテムと言いSF入ってます。

この映画、何が売りかと言うと、実写とアニメを合体させた手法を取ってるんですね。まず普通に映画を撮って、それにデジタルペイントしてるんです。時間も手間もお金もかかってます。
「へぇ〜。」と思いましたが、だんだん煩わしくなってきて、最後までアニメっぽい描写は正直辛かったです(;^ω^)

アイテムとして登場するスクランブルスーツ。個人を特定できないように、まるでカメレオンのように登録された老若男女150万人の姿が、秒単位で変化する。とても面白いアイテムでした。

監督はリチャード・リンクレイター。彼の作品に出演した事のあるウィノナ・ライダーも、ヒロインとして出ています。今回は地毛のブロンドでした。彼女も万引きではありますが、一種の中毒かもしれませんね。

更に洒落になってないのが、キアヌが同居しているジャンキー仲間にロバート・ダウニー・Jrが出ています。
結構光ってましたが、彼は実際麻薬中毒リハビリ中ではなかったでしょうか・・・。収監された経歴もお持ちのはず。

そんなにテンポの激しい映画ではないです。アメリカ人ならではのジョークも入り混じってますが、生粋の関西人である私には笑いどころが分かりませんでした★

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この疲労感は、脳が「頑張った」証拠。

投稿日:2008/02/10 レビュアー:ぴよさん

1分の映像を作るのに、350時間以上を要したという、デジタル・ロトスコープアニメーション。メイキングを見ると、デジタルな割に地味な難作業。要は、実写映像の輪郭をなぞって動画を作っていくわけか。以前からあった技術だが、これに「Rotoshop」というソフトウェアを使用することで、飛躍的に作業効率は上がったという。
 
いみじくも、そのソフトの開発者ボブ・サビストンは言っている。「この種の映像は、あまり見過ぎるとうんざりしてしまうと思う」 …確かに多くの観客が、疲労感を口にしたことだろう。バッドトリップや、スクランブルスーツの表現にはうってつけの手法なのだが。
 色彩センスが好みだったおかげで、私はたいして苦にせず観ることが出来たけれど。

たとえば『トロン』(82)を最初に観た時にも、類似の疲労感があったように思う。『ヴィドック』(01)や『300/スリーハンドレッド』(07)を観た時もそう。実際には存在してない映像を、始めて認識しようとする作業は、思ったよりに目や脳に負担がかかるのだろう。

ウィノナ・ライダー、ロバート・ダウニーJr.、ウディ・ハレルソン、ロリー・コクレインといったキャスティングには、悪戯心(ちょっと悪意)を感じる。本人達もイキイキやってるから、いいか。

ディックが原作に込めた血を吐くような思いは、皮肉にもこの「良く出来た映像」のせいで、薄められてしまった。こんなにお洒落に観ることが出来てしまっては、ほんとは駄目なんだろう。

想像するしかないが、その地獄は、汚物の底無し沼で足掻くが如きか。そこから生還できた者は、幸いなのだ。


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スキャナー・ダークリー

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お客を選ぶ異色作

投稿日

2007/04/24

レビュアー

masamune

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Philip Kindred Dickと言えば私の生涯ベスト「ブレードランナー」を初め、「トータル・リコール」「スクリーマーズ」「クローン」「マイノリティ・リポート」「ペイチェック」と大作・話題作が多く、今でも幾つかの企画がハリウッドで進行中の売れっ子SF作家。しかし、生前は恵まれず離婚と結婚を繰り返し、自殺未遂も一度では無いなど精神的に不安定なまま1982年3月に急死、その3ヶ月後に「ブレードランナー」が公開され、一躍世界中で注目される。翌年に彼の名を表したフィリップ・K・ディック記念賞が創設されたが、これは全米文学界でも4本の指に入る文化賞として注目されてる。
私も「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(ブレードランナーの原作)を契機に一気に読み漁ったミーハーですが、原作「暗闇のスキャナー」は彼の後期の傑作の一つで、私的にはベスト3に入る秀作だと思う。特に彼のドラッグ経験が如実に語られるテーマだけに、他の作品には無いリアリティを感じる事が出来る。故に劇中でも麻薬に対する描写は容赦の無いシークエンスも多く、それをSFの世界で語るのだから面白くない訳が無い。
しかし、本作は・・・実はアニメ作品なのだ。これは監督がRichard Linklaterならでは、とも言えるが彼の「ウェイキング・ライフ」をご存知の方は、アノ感じが本作では更に進化してるのだ。これはロトスコープなるデジタル・ペインティングを駆使して制作された異色作で、プレスによると1分間の映像を完成するのに30人がフルタイムで毎日作業しても500時間を費やす、と有る。つまり膨大な経費が掛かってる。(因みにGeorge ClooneyやSteven Soderberghも制作に参画)。実写を撮り終えて、ホスト・プロダクションに一年半も掛けられる映画なんて、そう多くは無い。
原作が元々エンターテイメント性の低いテーマ、つまり麻薬の恐ろしさを主眼に置いてる為、ストーリーとしても全体に暗いムードは仕方ないとして、この特殊なアニメーションに「目」を奪われて、下手をすると何をどう見てよいか分からないまま終わってしまう危険性がある・・・と云えるほどに映像のインパクト度は高い。よって本作は映画の見方としては反則かもしれないが、原作を未見の方は事前に読むなり、何らかのリサーチをしてからで無いと楽しめない、かもしれない。
ここまでデジタル・ペインティングに固執したのかは、ファンの方ならお分かりだろうが、徹底して麻薬の幻覚を原作に忠実にそしてリアルに表現したかったからに他ならない。麻薬によって自分の精神が乖離していく様を映像で見事に表現出来てるし、その行く末として「自分は誰なのか?」と言ったDick作品のテーマ性もハッキリ描かれてる点も秀逸だ。その意味では原作を知り尽くしてる者の満足度は他のDick映画と較べても高いと思う。
しかし、未見の方は例えば「物質Dとは何か」とか「スクランブル・スーツの役割」とか、そもそも主人公が潜入捜査官などの予備知識は有った方が、楽しめると思う。強いて難点を挙げれば映画としての娯楽性を加味したかったのか、原作に無いコメディ要素が散見されたが、私は不要だと思う。所詮彼の作品にはハッピーエンドは似合わないのだから・・・。
SF好きな方は迷わず原作を読むべし!映画化を機に早川書房から新訳版が発売中。前の創元SF文庫版と較べると、表現が今風で柔らかく読み易いと思います。そして映画も観るべし!。

Dick作品の共通のテーマ「リアルとフェイクのクロスオーバー」は本作でも健在。しかし、熱狂的なファンじゃない方から「全部実写で撮れば良かったのに」と言われるのは必定の様な・・(笑)。

『ウィキング・ライフ』より進化したロトスコープ

投稿日

2007/07/13

レビュアー

JUCE

 『ウィキング・ライフ』で懲りていなかったようですね。『ウィキング・ライフ』に引き続きロトスコーピング(実写映像をペインティング)作品です。しかし本作は格段に映像のクオリティはアップしています。アップした分実写映像に近づきすぎていまひとつ面白みにかけると言うか、斬新さが薄くなって中途半端になってしまったようにも感じられます。しかしロトスコーピングの技術だけを見るとこれだけのクオリティーを100分という長編で実現している作品としては世界初ではないでしょうか。
 『ウィキング・ライフ』では実験映像的な色彩がかなり強く内容も哲学的で最後まで見るのがかなり辛い映画でしたが、それに比べると本作は描画もさることながらストーリーも分かりやすくちょっと毛色の変わった一般映画という感じで鑑賞が出来ます。おそらく本作はこれから数年はアニメーションや映像の教育機関でロトスコーピングの解説には必ず引き合いに出される映画となるのでしょう。リチャード・リンクレイター監督はこうした実験的な映像が好みなのでしょうか。経歴の中に1985年に非営利教育機関オースティン映画協会を設立したとあるので、やはり実験映像などにもとても興味があるのでしょう。
 
 当初はひたすら写実的な表現を求めてきたCG映像ですが、90年代から写実的な表現から脱皮し、実写では得られない芸術的な描画を追及する動きも出てきました。例えば3DCGのトゥーンシェーディング(2Dアニメのような質感の3Dレンダリング)やこのロトスコーピングがその流れです。そのロトスコーピングの現段階での集大成のような映画なのですが、それがこの映画に必要かどうかと言うととても微妙です。なくても作品としては十分に面白いものを作れたと思いますし。逆に実写+CGの方が相応しい場面もあったでしょう。何よりも膨大なポストプロダクション費用を撮影や美術にまわせた事を考えると実写版の作品を見てみたいという欲も出てきます。まあ麻薬常習者の薬に侵された感覚を表現するためと捉えられなくとも無いが、他に選択肢はいくつもあったと思います。効果的だと思えたのは“スクランブルスーツ”の描画でしょうか。これはSFのガジェットとしても面白く、この作品でもこれが無いと話が成り立たない重要なアイテムなのですが、このスーツの特殊なイメージ描写はこの作品のアニメーションの中では特筆すべき部分でしょう。

 原作の内容としては管理体制、ドラッグ、人権問題と哲学的な要素を様々に含んだ内容だが、かなり原作に忠実だと言われている本作ですが、映画の内容としてはそれほど難解な部分は無く、サクッと仕上がっていると思います。個人的には映像や内容を含めかなり好きな映画なのですが、人に勧められる映画化というととても微妙です。映像技術や映像そのものに興味のある方には必見だと思いますが、そうでない方には単に画面がわずらわしい映画に思えるかも知れません。

もう君の神じゃない花

投稿日

2007/07/09

レビュアー

裸足のラヴァース

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「デス・ゲーム」が実写とアニメのちゃんぽんだとすると こちらは なんとかペインティングのオール・アニメの世界 いやアニメとも言わないのかな すごくお金はかかってるんでしょうかね それでこの地味な内容ですから リンクレーターも思い切ったことをやりますね あまり観られてないのかなと思ったら かなりの数のレヴューが出ていて この映画の背景になる ディックの私生活との絡みも 解説してくれてる人がマサやんをはじめ いますので あまり書くこともないですね でも面白い作品ですよ

何故 こんな凝った面倒なことをしたのかと言えば 原作のテーマでもある 現実とフェークの混合を シネマにおいて再現する上で実写をアニメ化することによる操作でいかにも映画独自の表現としての効果をたくらんだのでしょう であるのでキアヌのような有名俳優が必要なわけです シンセとゆう楽器が出始めの頃 普通の楽器で出来ることをわざわざシンセで音を作る 音楽家がいましたが なんかそんなのを思い出しますね
結局 シンセは普通に音楽製作の世界に溶け込んでしまって いまや透明な媒体になってしまっています この映画に拒否反応があるとすると それと同じ途上に起こる反応ではないでしょうか それもまたフェークな事態で 狙いの内に入ると思うのです この流れは ほとんどハイパー・リアリズムな背景の中で 俳優が孤軍奮闘するような 映画作りに発展するかもしれないですね あの実写とアニメが一緒になった ウサギの何とか言うシネマの考え方が またぞろ復活してるのでしょうか 技術革新の波は止まらないので われらの感性は必ず 後追いでそれにフィットされてしまうのでしょう

普通のSFアクションなどではないので 退屈される向きもあるでしょうが これがとてもいいと思います 例えば 車のブレーキの故障からのどたばたから 家を売るなんて話になってくる エピソードなんかは そのシークェンス全体 ナンセンス・ファルスのようなノリで 物語に直接関係しないながら 大変面白いシーンになっていて この日常性描写の優れぶりは これだけの曲者役者が揃ってるからこそ できることでしょう リンクレーターしてやったりではないでしょうか

デイック特有の 現実とフェークな世界の境界のわからぬ 妄想が展開する物語には 日常の描写がリアリティを作るのですが この映画の主題である ドラッグの幻想と監視社会の陰謀が交錯してかもし出す独特の世界観は いまでこそリアルであって そのペシミズムは ドラッグで自己崩壊してしまって ついに己を見失った男の悲哀を キアヌがよく演じるとき それは絶望的な事態なのですが そこに自己犠牲の精神を見出したとき ほんのささやかな希望を見出してこのシネマは幕を閉じるのです

映像が辛い・・

投稿日

2007/04/25

レビュアー

エファ

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麻薬を扱ったお話に、あまりハッピーエンドは聞きませんね。この映画の原作はフィリップ・K・ディックの『暗闇のスキャナー』で、彼自身の体験談を基に書き上げたそうです。彼の他の作品は、よく映画化されています。
『ブレードランナー』『トータル・リコール』など、SFタッチが多いですね。この映画も近未来が設定で、出てくるアイテムと言いSF入ってます。

この映画、何が売りかと言うと、実写とアニメを合体させた手法を取ってるんですね。まず普通に映画を撮って、それにデジタルペイントしてるんです。時間も手間もお金もかかってます。
「へぇ〜。」と思いましたが、だんだん煩わしくなってきて、最後までアニメっぽい描写は正直辛かったです(;^ω^)

アイテムとして登場するスクランブルスーツ。個人を特定できないように、まるでカメレオンのように登録された老若男女150万人の姿が、秒単位で変化する。とても面白いアイテムでした。

監督はリチャード・リンクレイター。彼の作品に出演した事のあるウィノナ・ライダーも、ヒロインとして出ています。今回は地毛のブロンドでした。彼女も万引きではありますが、一種の中毒かもしれませんね。

更に洒落になってないのが、キアヌが同居しているジャンキー仲間にロバート・ダウニー・Jrが出ています。
結構光ってましたが、彼は実際麻薬中毒リハビリ中ではなかったでしょうか・・・。収監された経歴もお持ちのはず。

そんなにテンポの激しい映画ではないです。アメリカ人ならではのジョークも入り混じってますが、生粋の関西人である私には笑いどころが分かりませんでした★

この疲労感は、脳が「頑張った」証拠。

投稿日

2008/02/10

レビュアー

ぴよさん

1分の映像を作るのに、350時間以上を要したという、デジタル・ロトスコープアニメーション。メイキングを見ると、デジタルな割に地味な難作業。要は、実写映像の輪郭をなぞって動画を作っていくわけか。以前からあった技術だが、これに「Rotoshop」というソフトウェアを使用することで、飛躍的に作業効率は上がったという。
 
いみじくも、そのソフトの開発者ボブ・サビストンは言っている。「この種の映像は、あまり見過ぎるとうんざりしてしまうと思う」 …確かに多くの観客が、疲労感を口にしたことだろう。バッドトリップや、スクランブルスーツの表現にはうってつけの手法なのだが。
 色彩センスが好みだったおかげで、私はたいして苦にせず観ることが出来たけれど。

たとえば『トロン』(82)を最初に観た時にも、類似の疲労感があったように思う。『ヴィドック』(01)や『300/スリーハンドレッド』(07)を観た時もそう。実際には存在してない映像を、始めて認識しようとする作業は、思ったよりに目や脳に負担がかかるのだろう。

ウィノナ・ライダー、ロバート・ダウニーJr.、ウディ・ハレルソン、ロリー・コクレインといったキャスティングには、悪戯心(ちょっと悪意)を感じる。本人達もイキイキやってるから、いいか。

ディックが原作に込めた血を吐くような思いは、皮肉にもこの「良く出来た映像」のせいで、薄められてしまった。こんなにお洒落に観ることが出来てしまっては、ほんとは駄目なんだろう。

想像するしかないが、その地獄は、汚物の底無し沼で足掻くが如きか。そこから生還できた者は、幸いなのだ。


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