インランド・エンパイア

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インランド・エンパイア / ローラ・ダーン

全体の平均評価点:(5点満点)

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「インランド・エンパイア」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

 奇才デヴィッド・リンチが「マルホランド・ドライブ」以来5年ぶりに手掛けた不条理ミステリー。ひとりのハリウッド女優がいつしか現実と出演映画を混同し、さらに交錯するいくつもの奇想天外な世界を彷徨っていく姿を幻想的に描く。主演は「ワイルド・アット・ハート」のローラ・ダーン。街の実力者である夫と豪邸に暮らす女優ニッキー。彼女は新作映画の主演に抜擢され、再起を狙う。不倫を描いたその作品「暗い明日の空の上で」は、曰く付きのポーランド映画「47」のリメイクだったのだが…。

「インランド・エンパイア」 の作品情報

作品情報

製作年: 2006年
製作国: アメリカ
原題: INLAND EMPIRE

「インランド・エンパイア」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

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世界最速のインディアン

ユーザーレビュー:65件

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1〜 5件 / 全65件

リンチの修辞学 ネタバレ

投稿日:2008/01/25 レビュアー:masamune

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David Lynch監督の5年振りの新作は、リンチ・ワールド全開の狂おしい世界。その演出は紛れも無く確信犯な異次元空間で、物語の答えなど素人の私に判る筈も無いと、始めから白旗を揚げます。
その怒涛のイマジネーションを受け止めるのか、それとも右から左へ受け流すのか(笑)。本作を訳知顔で語る事ほど、滑稽な事は無い。それこそ監督の思う壺(笑)。

監督の作品は、フォーマットを超えた作劇が多くの信者を輩出してる。「ロスト・ハイウェイ」で成功した、多重人格への固執を今回も進化させ、新たに時間と空間の対立軸さえ撹乱させて、安易にフォーカスを結び付ける事を善としない。
しかし悪戯にシャッフルせず、現実と虚構のボーダー・ラインを混沌とさせた演出は素晴らしい。単に魑魅魍魎な物語で無く、伏線を濃密に張り巡らし、リピートする事で全体像は卓見出来ます。そして、実は然程に複雑な噺で無い事にも気付くのです。
監督のファンなら、本作も上手く終わらせたなと安堵してるに違いない。

今回は、Laura Dern扮する女優の、彷徨える魂の物語。
脚本を精査すると、5つのパーティションに区切れます。1つ目はニッキーとデヴォンの不倫で、共演した映画が発露。2つ目は「暗い明日の空の上で」のスーザンとビリーの不倫。これがポーランド映画「47」へリンクして物語もループする。3つ目は「47」の映画上のストーリーそのもの、これは放置プレイされるも、物語を複雑化する要因にも映る。4つ目はKarolina Gruszka。これは結果として登場人物を上から眺める、第3者視点の役割と気付く。見方に拠っては「神の存在」とも言えます。5つ目はウサギ・ピープル、これは鳥瞰する事で物語の内側と外側の区別を鮮明にしてる。そして乖離した物語は、再び第3者視点へと見事にループして完結するのです。
このプリズムの様な第3者視点と、ループのフローチャートが掴めると、物語は前半で彼女の結末を暗示してる事も分る。つまり本作は邂逅輪廻の物語なのです。
と、講釈を垂れるのを監督は微笑んで見てる・・・私も滑稽な1人に過ぎません。つまり作品と監督と観客は、各々が螺旋状に結ばれた関係とも言えます。

映像に意図的にピントを外した所作も感じます。作為的なのは明白で、人物に焦点が中たる事を是としない、脚本とカメラが表裏一体を成す、監督らしいメッセージです。
キャストを語るスペースが無くなったので、裕木奈江について一言。想像以上に溶け込んでますけど、寧ろメリハリが利き過ぎた(笑)。

この作品は劇場で見ないと本来のエクスタシーは味わえません。あの暗闇を!あの重低音を!あの顔のアップを!(笑)劇場で見ないと、カタルシスも半減しますね。
其処でDVDでは、インターミッションを設けず、予めトイレに行って、飲み物とおつまみは事前に用意して、携帯の電源を切って、部屋を真っ暗にして、大き目の音で一気呵成に観て下さい。

監督の原点回帰が生んだ、エッセンス満載の修辞学的映画。説明する事自体がナンセンスなので、御自身の心の目で確かめて下さい。

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デヴィッドの横顔 前 ネタバレ

投稿日:2008/06/29 レビュアー:tomio

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にーげーろー!!
奇才がくるぞーーーー!
不条理がくるぞーーーーー!
 という少年の悲鳴をききつけ
 パジャマのまま庭へ出てみると
 デヴィッド・リンチがサルビアの花をひとつ摘み取り、
 蜜をちゅうちゅう吸っていた。
 あのう…とおずおず話しかけると彼は向き直り近寄り
 人差し指を自分と私の唇にそっとあてがい、
 しーーーーっと囁いた。
 よくお聴きなさい と。続けてこうも言った。
ボクね、新しい映画を撮ったんだ。というかもうDVDになってるんだよね。ユー観た?観てないよねユー。
レンタルしてるから観てね。タイトルは
「インランドエンパイア」意味は知らない。
ここらにツタヤある?ないよね。
じゃあツタヤデスカスというのがあるからね。借りてね。
バイナラ。

 圧倒されつつ遠のく背中に手を振る僕は、思った。
デスカスじゃなくてディスカスだろう。
 そして小さくつぶやいた。
バイナラ。
 先日、届いたそのDVDの鑑賞に臨んだ。
 そういえばあのときリンチは言っていた。
長いよ。

覚悟を決めて観始め、途中で誰かに「何これ?」
と訊ねられ、また途中で「面白いの?面白い?」
と繰り返し訊かれたが、私は無言で、この眼を
「時計じかけのオレンジ」さながらにこじあけて
鑑賞をつづけた。
そうして観終わったころには部屋の灯りはすっかり落とされ
静まり返り、傍らでは猫が痙攣しながら夢を見ていた。
私は布団の中で映画の内容を反芻してはうなされた。
そして夢をみた。

 夢の中でリンチが庭のブランコをこいでいる。
 キィ キィ キィ (飛び降りた!)
観たよリンちゃん。
 妙に親しげに話しかける私を気に掛けるでもなく
 彼は微笑み
よく解らなかったでしょう?あれはボクに溜まった毒素なんだ
ボクもその成分を分析したことはない。
だってそんなのことに意味はないからね。
 そう言うとサルビアをペッと吐き出した。
 それから私とリンチはポーチに腰掛けて語りあった。
印象に残った台詞があったよ。
“今日が明日なら〜”って台詞、とても良かった。
あなたは以前から
現在の自分を知っているもう一人の自分 について想いを巡らせているようだけれど、私もそれに似た恐怖を感じることがあるんだよね。
もしもこの現在が“誰かの過去だったら”…って。
例えば私が明日ピーナッツバターをパンに塗っている最中に
電話が鳴って、出るとその電話は無言なの。
そいでイタズラだと思って切ると、ふいに自分が
誰だか解らなくなる。それを毎日繰り返して、
いつの間にか逆転してて、私は毎朝、
何処かに電話をかけてる。その受話器の向こうからは
聞き慣れた笑い声がしてるんだ。
これからすること、考えることが
もう何度も繰り返された舞台演劇のように思えてくる。
この人生が、まるで私が死んでからも、
何度も再放送されるバラエティ番組の
たった数時間だと思えてくるんだよ。
そういう恐怖が「インランド〜」にはあった。
 いっきに話し通す私の隣でウンウンと
 相槌をうっていたリンチが突然 うわっ!と叫んだ。
 何事かと眼を見張っているとリンチは
このへん蚊がいるよね。 
 と言ってあごについた涎を拭った。
 どうやら暫く寝ていたらしい。まったく読めない人だ。
 ひとつ咳払いをして彼はおもむろに私に語り出した。
 ただし、実に穏やかな声で。
ボクは夢をみないんだ。
多くの人はたいてい無意識に夢をみるだろう?
夢をみては、日常の混沌とした疑問や悩みを体の外へ
排出しているのさ。そうしないと精神に負担が
かかりすぎて、いつか“ダメに”なってしまうからだよ。
“ダメになる”症状は人それぞれだけれどね。
人間が認知しているよりもずっと、
この世界はストレスフルなんだよ。
要するにその夢をみないボクは、映画という媒体によって
ストレスを体外へ排出しているということかな。
ひとはボクの撮る映画世界を不条理だというけれど、

(続) 

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現実の足場を失ってしまったような世界 ネタバレ

投稿日:2008/03/05 レビュアー:ミルクチョコ

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奇才デビット・リンチ監督が5年ぶりにメガホンを取った不条理サスペンス。

幻か?現実か?ニッキーがさまよう4つの世界があるようです。
不倫する妻に扮した新作映画
 暴力的な夫の子を妊娠したスーザン(R・ダーン)。
 実は、彼女にはビリー(J・セロー)という不倫相手がいた。
オリジナル映画「47」の世界
 アパートの一室で夫が妻の浮気を疑い殴り、
 別の部屋では、妻が夫に「娘は渡さない」と主張している
すすり泣く謎の女との遭遇
 TVを見ながらすすり泣く、化粧のはげたポーランド女性。
 彼女の前に突如ニッキーが現れ、消える。
ウサギ人間が談笑する部屋
 3人のウサギ人間の一人が、ニッキーの電話を受け取る。
 時折、観客の笑い声が聞こえる。

どこからが夢で、どこからが現実なのか明確な答えを出すことは、彼の作品においては意味がないのかもしれません。
あたかも他人の夢の中に入り込んでしまったような錯覚に陥ってしまいます。
そして最後には、回り回って帰着するようにまとめられているあたり、これは悪夢じゃなかったんだ・・・と。

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★★★★ 抜け出せぬ迷宮 ネタバレ

投稿日:2008/02/19 レビュアー:ガラリーナ

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リンチと言えば「倒錯」の世界なんだけども、今回は100%「迷宮」。何が何だかさっぱりわからない。
物語は
1.女優ニッキーの世界
2.ニッキーが出演する映画『暗い明日の空の上で』の世界
3.『暗い明日の空の上で』内の映画『47』のポーランドの世界
4.ロスト・ガールの世界
5.謎のウサギ人間の世界
と5つの世界が交錯する。それぞれの世界を繋ぐ「扉」は作品内に「しっかりと」描かれている。これがクセもの。扉を開けると別の世界に行くという直接的なものから、電話のベルが鳴って受話器をあげると別の世界に切り替わる、映像がテレビ画面に吸い込まれて別の世界に切り替わるなど、明らかに5つの世界には「接点」があるという構造になっている。映画館で見終わった時は全く「?」だったが、こうやって書き出して見ると、1と2と3はいわゆる入れ子構造の3世界であり、4と5は明らかに異質だとわかる。そして、大いなるヒントは「ロスト・ガール」という言葉ではないだろうか。(でも、実は本編中「ロスト・ガール」という言葉は一切出てこない。私は公式ホームページで知った。)

ロスト・ガール。迷子の女性、死んだ女性、破滅した女性…。日本語にするとどうなるかは定かではないが、いずれにしても、彼女がテレビ画面をのぞき込んで涙を流していること、そして、『暗い明日の空の上で』(または『47』)内で演じているローラ・ダーンがテレビ画面から飛び出してきて最後にロスト・ガールと抱き合うシーンがあることを考慮すれば、ロスト・ガールのいる世界は、1.2.3の入れ子世界よりも上部、または包括するレベルにあるのだと思う。そうなると、5のウサギの世界は何か?これは、ロストガールと1.2.3の世界を繋ぐ場所、または、1と2や3を繋ぐ場所にあるのではないか。いずれにしても、どこかとどこかの世界の中間に存在しているような気がする。

とまあ、なんだかんだ考えてはみたものの、最終的な整合性を求めることは、あまり意味がないことのように思う。妖しい迷宮の中で迷い子のように右往左往しながら過ごす3時間。それを快楽と捉えられるかどうかが最大のポイント。3時間を返せ!とどなる人がいても全くおかしくはない。

オープニングとエンディングがすごくカッコイイんだよね。オープニングのレコード盤が回る映像に別の映像が重なって、重低音のクールな音楽が流れてきた時にはゾクゾクしちゃった。それから、ローラの母を演じていたグレイス・ザブリスキーが、あいかわらずの怪演ぶり。そして、裕木奈江のあどけない顔から発せられる超下品な長台詞。ふたりとも訛りのきつい下手な英語をしゃべっていて、おそらくそれはリンチの指示なんだろう。居心地の悪さが醸し出すむずがゆい感じがまさにリンチ・ワールドといった感じ。

ローラ・ダーンはよくもまあ、ここまで狂気に満ちたヒロインを演じましたよ。あっぱれ。今回、リンチは全編SONY PD-150と呼ばれる小型のデジタルカメラで撮影したようで、どこまでも女優の顔に近づいていきます。ゆえに女優陣のアップが怖いのなんの。恐れ、おののき、泣く女の顔が次から次へと現れ、観客を不安と混迷の世界に引きずり込んでいく。さながら、いったん嵌ると抜けきれない底なし沼のような作品。

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これわ

投稿日:2008/02/16 レビュアー:エロエロ大魔神

わけわかりません!芸術は爆発だ!

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1〜 5件 / 全65件

インランド・エンパイア

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リンチの修辞学

投稿日

2008/01/25

レビュアー

masamune

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David Lynch監督の5年振りの新作は、リンチ・ワールド全開の狂おしい世界。その演出は紛れも無く確信犯な異次元空間で、物語の答えなど素人の私に判る筈も無いと、始めから白旗を揚げます。
その怒涛のイマジネーションを受け止めるのか、それとも右から左へ受け流すのか(笑)。本作を訳知顔で語る事ほど、滑稽な事は無い。それこそ監督の思う壺(笑)。

監督の作品は、フォーマットを超えた作劇が多くの信者を輩出してる。「ロスト・ハイウェイ」で成功した、多重人格への固執を今回も進化させ、新たに時間と空間の対立軸さえ撹乱させて、安易にフォーカスを結び付ける事を善としない。
しかし悪戯にシャッフルせず、現実と虚構のボーダー・ラインを混沌とさせた演出は素晴らしい。単に魑魅魍魎な物語で無く、伏線を濃密に張り巡らし、リピートする事で全体像は卓見出来ます。そして、実は然程に複雑な噺で無い事にも気付くのです。
監督のファンなら、本作も上手く終わらせたなと安堵してるに違いない。

今回は、Laura Dern扮する女優の、彷徨える魂の物語。
脚本を精査すると、5つのパーティションに区切れます。1つ目はニッキーとデヴォンの不倫で、共演した映画が発露。2つ目は「暗い明日の空の上で」のスーザンとビリーの不倫。これがポーランド映画「47」へリンクして物語もループする。3つ目は「47」の映画上のストーリーそのもの、これは放置プレイされるも、物語を複雑化する要因にも映る。4つ目はKarolina Gruszka。これは結果として登場人物を上から眺める、第3者視点の役割と気付く。見方に拠っては「神の存在」とも言えます。5つ目はウサギ・ピープル、これは鳥瞰する事で物語の内側と外側の区別を鮮明にしてる。そして乖離した物語は、再び第3者視点へと見事にループして完結するのです。
このプリズムの様な第3者視点と、ループのフローチャートが掴めると、物語は前半で彼女の結末を暗示してる事も分る。つまり本作は邂逅輪廻の物語なのです。
と、講釈を垂れるのを監督は微笑んで見てる・・・私も滑稽な1人に過ぎません。つまり作品と監督と観客は、各々が螺旋状に結ばれた関係とも言えます。

映像に意図的にピントを外した所作も感じます。作為的なのは明白で、人物に焦点が中たる事を是としない、脚本とカメラが表裏一体を成す、監督らしいメッセージです。
キャストを語るスペースが無くなったので、裕木奈江について一言。想像以上に溶け込んでますけど、寧ろメリハリが利き過ぎた(笑)。

この作品は劇場で見ないと本来のエクスタシーは味わえません。あの暗闇を!あの重低音を!あの顔のアップを!(笑)劇場で見ないと、カタルシスも半減しますね。
其処でDVDでは、インターミッションを設けず、予めトイレに行って、飲み物とおつまみは事前に用意して、携帯の電源を切って、部屋を真っ暗にして、大き目の音で一気呵成に観て下さい。

監督の原点回帰が生んだ、エッセンス満載の修辞学的映画。説明する事自体がナンセンスなので、御自身の心の目で確かめて下さい。

デヴィッドの横顔 前

投稿日

2008/06/29

レビュアー

tomio

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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にーげーろー!!
奇才がくるぞーーーー!
不条理がくるぞーーーーー!
 という少年の悲鳴をききつけ
 パジャマのまま庭へ出てみると
 デヴィッド・リンチがサルビアの花をひとつ摘み取り、
 蜜をちゅうちゅう吸っていた。
 あのう…とおずおず話しかけると彼は向き直り近寄り
 人差し指を自分と私の唇にそっとあてがい、
 しーーーーっと囁いた。
 よくお聴きなさい と。続けてこうも言った。
ボクね、新しい映画を撮ったんだ。というかもうDVDになってるんだよね。ユー観た?観てないよねユー。
レンタルしてるから観てね。タイトルは
「インランドエンパイア」意味は知らない。
ここらにツタヤある?ないよね。
じゃあツタヤデスカスというのがあるからね。借りてね。
バイナラ。

 圧倒されつつ遠のく背中に手を振る僕は、思った。
デスカスじゃなくてディスカスだろう。
 そして小さくつぶやいた。
バイナラ。
 先日、届いたそのDVDの鑑賞に臨んだ。
 そういえばあのときリンチは言っていた。
長いよ。

覚悟を決めて観始め、途中で誰かに「何これ?」
と訊ねられ、また途中で「面白いの?面白い?」
と繰り返し訊かれたが、私は無言で、この眼を
「時計じかけのオレンジ」さながらにこじあけて
鑑賞をつづけた。
そうして観終わったころには部屋の灯りはすっかり落とされ
静まり返り、傍らでは猫が痙攣しながら夢を見ていた。
私は布団の中で映画の内容を反芻してはうなされた。
そして夢をみた。

 夢の中でリンチが庭のブランコをこいでいる。
 キィ キィ キィ (飛び降りた!)
観たよリンちゃん。
 妙に親しげに話しかける私を気に掛けるでもなく
 彼は微笑み
よく解らなかったでしょう?あれはボクに溜まった毒素なんだ
ボクもその成分を分析したことはない。
だってそんなのことに意味はないからね。
 そう言うとサルビアをペッと吐き出した。
 それから私とリンチはポーチに腰掛けて語りあった。
印象に残った台詞があったよ。
“今日が明日なら〜”って台詞、とても良かった。
あなたは以前から
現在の自分を知っているもう一人の自分 について想いを巡らせているようだけれど、私もそれに似た恐怖を感じることがあるんだよね。
もしもこの現在が“誰かの過去だったら”…って。
例えば私が明日ピーナッツバターをパンに塗っている最中に
電話が鳴って、出るとその電話は無言なの。
そいでイタズラだと思って切ると、ふいに自分が
誰だか解らなくなる。それを毎日繰り返して、
いつの間にか逆転してて、私は毎朝、
何処かに電話をかけてる。その受話器の向こうからは
聞き慣れた笑い声がしてるんだ。
これからすること、考えることが
もう何度も繰り返された舞台演劇のように思えてくる。
この人生が、まるで私が死んでからも、
何度も再放送されるバラエティ番組の
たった数時間だと思えてくるんだよ。
そういう恐怖が「インランド〜」にはあった。
 いっきに話し通す私の隣でウンウンと
 相槌をうっていたリンチが突然 うわっ!と叫んだ。
 何事かと眼を見張っているとリンチは
このへん蚊がいるよね。 
 と言ってあごについた涎を拭った。
 どうやら暫く寝ていたらしい。まったく読めない人だ。
 ひとつ咳払いをして彼はおもむろに私に語り出した。
 ただし、実に穏やかな声で。
ボクは夢をみないんだ。
多くの人はたいてい無意識に夢をみるだろう?
夢をみては、日常の混沌とした疑問や悩みを体の外へ
排出しているのさ。そうしないと精神に負担が
かかりすぎて、いつか“ダメに”なってしまうからだよ。
“ダメになる”症状は人それぞれだけれどね。
人間が認知しているよりもずっと、
この世界はストレスフルなんだよ。
要するにその夢をみないボクは、映画という媒体によって
ストレスを体外へ排出しているということかな。
ひとはボクの撮る映画世界を不条理だというけれど、

(続) 

現実の足場を失ってしまったような世界

投稿日

2008/03/05

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ミルクチョコ

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奇才デビット・リンチ監督が5年ぶりにメガホンを取った不条理サスペンス。

幻か?現実か?ニッキーがさまよう4つの世界があるようです。
不倫する妻に扮した新作映画
 暴力的な夫の子を妊娠したスーザン(R・ダーン)。
 実は、彼女にはビリー(J・セロー)という不倫相手がいた。
オリジナル映画「47」の世界
 アパートの一室で夫が妻の浮気を疑い殴り、
 別の部屋では、妻が夫に「娘は渡さない」と主張している
すすり泣く謎の女との遭遇
 TVを見ながらすすり泣く、化粧のはげたポーランド女性。
 彼女の前に突如ニッキーが現れ、消える。
ウサギ人間が談笑する部屋
 3人のウサギ人間の一人が、ニッキーの電話を受け取る。
 時折、観客の笑い声が聞こえる。

どこからが夢で、どこからが現実なのか明確な答えを出すことは、彼の作品においては意味がないのかもしれません。
あたかも他人の夢の中に入り込んでしまったような錯覚に陥ってしまいます。
そして最後には、回り回って帰着するようにまとめられているあたり、これは悪夢じゃなかったんだ・・・と。

★★★★ 抜け出せぬ迷宮

投稿日

2008/02/19

レビュアー

ガラリーナ

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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リンチと言えば「倒錯」の世界なんだけども、今回は100%「迷宮」。何が何だかさっぱりわからない。
物語は
1.女優ニッキーの世界
2.ニッキーが出演する映画『暗い明日の空の上で』の世界
3.『暗い明日の空の上で』内の映画『47』のポーランドの世界
4.ロスト・ガールの世界
5.謎のウサギ人間の世界
と5つの世界が交錯する。それぞれの世界を繋ぐ「扉」は作品内に「しっかりと」描かれている。これがクセもの。扉を開けると別の世界に行くという直接的なものから、電話のベルが鳴って受話器をあげると別の世界に切り替わる、映像がテレビ画面に吸い込まれて別の世界に切り替わるなど、明らかに5つの世界には「接点」があるという構造になっている。映画館で見終わった時は全く「?」だったが、こうやって書き出して見ると、1と2と3はいわゆる入れ子構造の3世界であり、4と5は明らかに異質だとわかる。そして、大いなるヒントは「ロスト・ガール」という言葉ではないだろうか。(でも、実は本編中「ロスト・ガール」という言葉は一切出てこない。私は公式ホームページで知った。)

ロスト・ガール。迷子の女性、死んだ女性、破滅した女性…。日本語にするとどうなるかは定かではないが、いずれにしても、彼女がテレビ画面をのぞき込んで涙を流していること、そして、『暗い明日の空の上で』(または『47』)内で演じているローラ・ダーンがテレビ画面から飛び出してきて最後にロスト・ガールと抱き合うシーンがあることを考慮すれば、ロスト・ガールのいる世界は、1.2.3の入れ子世界よりも上部、または包括するレベルにあるのだと思う。そうなると、5のウサギの世界は何か?これは、ロストガールと1.2.3の世界を繋ぐ場所、または、1と2や3を繋ぐ場所にあるのではないか。いずれにしても、どこかとどこかの世界の中間に存在しているような気がする。

とまあ、なんだかんだ考えてはみたものの、最終的な整合性を求めることは、あまり意味がないことのように思う。妖しい迷宮の中で迷い子のように右往左往しながら過ごす3時間。それを快楽と捉えられるかどうかが最大のポイント。3時間を返せ!とどなる人がいても全くおかしくはない。

オープニングとエンディングがすごくカッコイイんだよね。オープニングのレコード盤が回る映像に別の映像が重なって、重低音のクールな音楽が流れてきた時にはゾクゾクしちゃった。それから、ローラの母を演じていたグレイス・ザブリスキーが、あいかわらずの怪演ぶり。そして、裕木奈江のあどけない顔から発せられる超下品な長台詞。ふたりとも訛りのきつい下手な英語をしゃべっていて、おそらくそれはリンチの指示なんだろう。居心地の悪さが醸し出すむずがゆい感じがまさにリンチ・ワールドといった感じ。

ローラ・ダーンはよくもまあ、ここまで狂気に満ちたヒロインを演じましたよ。あっぱれ。今回、リンチは全編SONY PD-150と呼ばれる小型のデジタルカメラで撮影したようで、どこまでも女優の顔に近づいていきます。ゆえに女優陣のアップが怖いのなんの。恐れ、おののき、泣く女の顔が次から次へと現れ、観客を不安と混迷の世界に引きずり込んでいく。さながら、いったん嵌ると抜けきれない底なし沼のような作品。

これわ

投稿日

2008/02/16

レビュアー

エロエロ大魔神

わけわかりません!芸術は爆発だ!

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