グラディーヴァ　マラケシュの裸婦

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ミスター・ブーが小説家なら　ブーはブーでも　こちらは正真正銘のヌーヴォ・ロマンの立役者　アラン・ロブ〜グリエです　つい最近お死んでしまって　これが遺作となりました　合掌ですが大往生　この作品ボクの周りのレンタル店３店全部に　置いてありまして　つまり日本中のレンタル店アダルト・コーナーに置きまくられているのは慶賀にたえません　やるじゃん大繁盛

ロブーグリエといえば　「去年マリエンバートで」の脚本で有名ですが　自ら監督もしていて　「不滅の女」などは大昔に観てますが　なんじゃこりゃーってシネマでもうわすれています　文学のほうは「消しゴム」なんて笑えるタイトルのがありますね　これも読んだけど忘れ　このシネマの原作はヴィルヘルム・イェンゼン　かのフロイトがネクロフィリア＝死体愛好症の文学における　例として　分析していますね　ホラーファンとして読んでますが　これも忘れてしまいましたあ　難しい話は無理ですねえ

この物語は　ドラクロア研究のアメリカ人が滞在する　マラケシュの小さな町の路地で　金髪の美女に出会い　ＳＭサークルのような場で　だんだん幻想的な体験をする　ってな内容です　エキゾシズム　ＳＭ　分身などのテーマが　ロブ＝グリエらしく　紋切り型で　反復する　イマージュの戯れによって　書割のような舞台で　空虚に演じられ展開されます　ヌーヴォロマンの解説なんか出来ませんから　簡単に言いますとそれは　文学的イマージュの解体であり　徹底してテキスト自体に戻って　言語体験の再構築をするとでも言うんでしょうか　難解ですね

それが映画表現に移行した場合は　映画の視覚性にかんがみるに　より鮮明にイメージの脱構築の冒険が出来るのであり　たとえば映画の中で　金髪のグラディ−ヴァは夢の脚本家であり　たちまち話者人称が彼女に移ってしまい　主人公は夢の住人になってしまい　まさに主人公はボクだった　となってしまいます　映画とゆうテキストの中で　人物も物語りもみな記号的平板さに還元されてしまうのです　表面的でぺらぺらの映画の出来上がり　しかしこれによって　イマージュはさまざまな姿をとって　現れることが出来るのでしょう

現在　ストローブ＝ユイレや　ペドロ・コスタのシネマに接してる者にとっては　それらのシネマのマチエール（質感）の素晴らしさからすると　アランのそれは概念的過ぎて　いささかわかりやすくなってるかもしれません　しかしその通俗性をも巧みに　イマージュのかく乱に使うのでやっかいなじいさんです　このほどほどの通俗性が実はいい感じで　初めは「ジュネスパ＝知りません」と繰り返すだけの召使の少女が　だんだんと主人に愛をしめし　記号のような存在から　現実感を帯び始めるのですが　確かにこの現実の少女の死に対し　不滅の女＝グラディーヴァの勝利のようにして終りながら　しかしここに流れる暖かなエロスは　グラディーヴァのネクロな愛とは違うものなのであって　ロブ＝グリエの老境を見せてはいないでしょうか　とてもいい感じに終っていると思うのですが　

評価１０点　脚本★☆☆☆　カメラ★★☆☆　演技★☆☆☆
　　　　　　興趣★★★☆　推奨度★★★☆

男の頭の中はこんな風なのか、と早見表のようにわかります。
「男がわからない」としばしば口にする女性にぜひ観てほしい映画。その意味で、推奨度★★★☆

この映画は、フランスの画家ドラクロワと性的興奮を共有したいと願う研究者の妄想のお話である。
ドラクロワが実際にモロッコを訪問したときに、そのような色っぽいことがあったのかどうか、作家でもあるアラン・ロブ＝グリエが、ドラクロワの膨大な日記をどのように検証したのか、私にはわからない。
１０本以上撮ったといわれるロブ＝グリエの映画も他に観たことはないし、脚本を担当した「去年マリエンバートで」も何十年前の話でほとんど忘れた。
私の興味は、ロブ＝グリエの頭の中のエッチだけである。

映画はまず、楽しくなければならない。
そのためには、話がわからなければならない。
話とは、ストーリーテラーである監督の頭の中で明滅するイメージの連鎖の謂いである。
したがって、イメージを追いかけることができれば、映画はＯＫだ。
私たちがこの映画で出会うのは、ロブ＝グリエの（考える）性的嗜好である。
ロブ＝グリエはパンツを脱がない。
ロブ＝グリエは性的対象としてのみ女を「見る」。
ロブ＝グリエは２種類の女を愛している。下僕としての女と、聖女としての女である。
ロブ＝グリエは女の乳房を愛している。
ロブ＝グリエは女の乳房を傷つける。

おそらくここには、有史以来ずっと男のものであり続けた女の「乳房」への欲望の平均値がある。
７３才のロブ・グリエにして（って知らないが）これである。
思わず笑ってしまうことに、下僕と聖女の差は乳房の違いにまで表れており、召使いの彼女の乳房はいかにも現代的な「大きく張りがあり、型崩れしていない」ものであり、夢の中の美女は乳房をあらわにはせず、思うにルネッサンス期に好まれた「完璧な球形の高い位置にある小さな乳房」をしていたことだろう。

男は自分の欲望がわからない。
乳房を所有しようとしても、できない。
その不可能性が彼をして夢の中で繰り返し乳房を傷つけさせ、鞭打たせる。夢から醒めると歯痛が待っている。
ほんとに知識人って大変なんですね。
ぼく、エッチが好きなんですとは単純に言えないんである。

そういうわけで、この映画は別段倒錯映画ではない。
男の頭の中の一典型であるにすぎない。
女性諸君、男っていうのは大体こういう種族であるのでありまして、有名な作家であるとか、知識人と言われているとか、まず全然関係ないのです。
アラン・ロブ＝グリエ？　あの有名な？とか言わずに、この映画のドラクロワって、民衆の先頭に立って、おっぱい出して戦ってる自由の女神、描いた人でしょ？　おっぱいフェチだったの〜？　うそ〜、それヘン！と言ってよいのである。