風と雲と虹と　完全版

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「大河ドラマの中で最も古い時代を舞台にした作品」ということで見てみようと思った。４か月ほどかけてのんびり見たが結構面白かった。
画質の悪さ等は，３４年前ということを考えれば，やむを得ないだろう。私自身はだんだん気にならなくなった。

ストーリーは割と単純明快といってよいと思う。
平将門（加藤剛）という不器用で実直な青年の生涯を中心に，同時期に乱を起こした藤原純友（緒方拳），要領のいいプレイボーイとして描かれている従兄弟の平貞盛（山口崇），将門に昔の自分を見ながらも追討に与する田原藤太（露口茂）らとの関わりを描いたもので，そこに女優陣（多岐川裕美，吉永小百合，真野響子）との恋物語が絡んでくる。

同じく乱の首謀者と目されながらも，純友が能動的に「公」打倒を目指すのに対して，将門はその性格ゆえに争いに巻き込まれて行くところは，対照的かもしれない。

貞盛との対立もストーリーの主軸となっているが，家臣から「ダメあるじ」と見られながらも最後は将門を討ち，その子孫が清盛となるのだから，結局は「勝ち組」ということになるのだろう。
あまりにもあっけなく最期を迎える将門は，貞盛が言うように早く生まれ過ぎたということなのかもしれない。一瞬の風向きの変化は，「今はここまで」という見えざる手の采配を表すものと見るべきなのか。

貞盛と共に将門を倒した藤太（＝藤原秀郷）は，ナレーションでは触れられていなかったが，その子孫が奥州藤原氏となるのだそうだ。
そして，追討軍の中で臆病者として描かれている源経基の子孫が頼朝であって，結局，平氏も奥州藤原氏も滅ぼされてしまうのだから，皮肉な感じがしないではない。。。

という訳で，次は，彼らの子孫の行く末を見るべく，（多分）二番目に古い時代を舞台にした『炎立つ』に挑戦してみようかと思う。

悪いと聞いていましたが。。。予想通りでしたね。
しかしこのドラマが完全版で見れるというのは奇跡でしょうね。
この調子で「花神」も頼むで！！！

本作の平将門は反政府、反権力の筋金入りの無政府主義者です。将門と共に主人公であるとされている藤原純友は現在の政権が腐敗しているので、それを打倒そうとしているだけで、政府の存在その物を否定するような考えは持っていません。一方、将門の理想の世とは公（政府）が無く、税金を納める必要も無く、人々が自分達の事は自分達で何でも決められる世です。しかし、史実の将門は新皇を僭称し、独自に除目を行い、関東に独立政権を打ち立てようとした人物です。そうした行動と無政府主義という信条の整合性をどのように取るのでしょうか。本作では将門の無政府主義者としての立場に矛盾する事実は全て、興世王と民衆にその責任が帰せられています。将門は嫌だったのですが、民衆が勝手に将門を新皇と持て囃し、興世王が勝手に将門を新皇として、除目を執り行おうとしたという風に描かれます。何とも苦しい擁護と言わざるを得ません。
私は平将門ではなく、藤原純友の方を無政府主義者と描くべきだったと思います。史実では将門はある種の政体を樹立しようとしていたと思わざるを得ない行動を取っています。一方、藤原純友は只管、海賊に勤しんでいたのですから、どちらが無政府主義者として描くのが適当か、火を見るよりも明らかです。
難しい話を抜きにして、人間ドラマとして、本作を見た場合、非常によく出来ていました。特に将門と貞盛は非常に魅力的な人物として演じられていたと思います。将門の野盗相手の立ち回りや鎧兜を身に着けて、戦場で戦う様はとても勇ましく、見ている此方も血沸き肉躍りました。
総合的に見て、とても楽しめた作品でした。

　役者が圧倒的。ストーリーの必然ぶりもよい。画質がどうのこうのって、無いものねだり言ってないで、とにかく見てね。

自分の中ではこれぞ大河ドラマなんだよなあ。合戦シーンを最新の技術で作り変えればいいのに。
樅の木とか天と地ととか、今のホーム大河ドラマより面白いと思うんだけどなあ。