龍が如く　劇場版

　ちょっと訳があってアクション映画を重点的に観ています。アクションシーンに注目して映画を観ていくとアクションでも様々な表現法や撮影、編集が行われていてちょっと新たな驚きです。特に監督によってかなりアクションの撮影・編集方法に特徴があるようです。三池監督の場合には殴る、蹴るのアクションがヒットする際にカメラはヒットされる側を後ろから捉えて、ＳＥと跳ばされるタイミングで躍動感を出すようにしている箇所が多く観られます。ちなみに塚本晋也監督だと殴られる方を映さず、殴られる側の主観によってアクションを成立させる手法が多いようです。
　アクション映画の場合、アクション監督がつくことも多いので一概に全てが監督の意向ではないのでしょうがこうした違いは面白いですね。

　この映画は短いながらも様々なエピソードが詰め込まれています。それぞれの背景や人物について詳細に語られることは無く、それぞれの登場人物は雰囲気でこんな人物だというニュアンスで描かれています。ちなみに私は元のゲームを知りません。ＲＰＧなのかアクションゲームなのか種類さえ知らない状態ですが、映画だけで主な登場人物のキャラクターの性格についてはなんとなく分かったので説明的な描写は無くてもかまわないようには思います。そもそもこの映画は神室町という独特の雰囲気を持った不夜城が主人公であり、その神室町の一夜を追った映画だからです。きっとこの神室町では登場人物が変わっても同じような光景が繰り返されているのでしょう。

　雰囲気でサクサクッと楽しめる映画です。暴力が描かれていますが、良くも悪くも後になにも残りません。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

　なかなか楽しめる、金のかかったＶシネマです。
　ラヴァ様がおっしゃるように、様式美を追求（ってほど、徹底している訳ではないのですが）したような映像は、それなりに楽しめます。
　実際の喧嘩や乱闘ではありえないのですが、井筒監督の「リアルな」喧嘩シーンより、はるかにリアリティを感じます。
　構成としては、群像劇なのでしょうが、銀行強盗コンビや拳銃強盗カップルは、何の必要があったのか、よくわかりません。端からハチャメチャ活劇なので、何故？は禁句なのでしょうが、そういう意味で言えば「ラブデス」くらい突き抜けていれば、もっと良かったのにと思いますね。原作ゲーム（私は知りませんが）が、下手にヒット商品なので、縛りが効いてしまったのかもしれません。

　岸谷五郎は、さすがというか、これが本来の姿でしょう。「西遊記　The Movie」で、何の見せ所もないつまらない銀閣を演じさせられてましたけど、本気になればこれくらいは（笑）
　極悪非道で、微妙にモラリストなキャラクターは、桐生よりも魅力的ですよね。
　「桐生ちゃ〜ん」
と言う声が、夢に出てきそうです。スピンオフで「蛇の如く　真島五郎伝」でも作ったら面白いんじゃないでしょうか。「交渉人　真下正義」なんかよりは観られるものができるでしょう。

　北村一輝は、三池監督に見いだされたような人なので、三池作品にはよくマッチしているとは思うのですが、もっと圧倒的なバイオレンス感を感じさせて欲しいですね。真木蔵人との決闘シーンでは、よく鍛えてあるなと感心する体を見せてくれるのですから、もっと躍動する筋肉というような描写が欲しかったです。

　遥を演じた夏緒っていう子は、最近の子役の中では良い線行ってるんじゃないでしょうか。
「桐生のおじさんを殺したら、私があなたを殺す」
なんて、笑いながらちょっとほろりとさせてくれました。

　任侠ヤクザ映画などと期待せずに観れば、とても楽しいバイオレンスコメディーでしょう。

天空乱るる時 龍あらわれり！

復活の狼煙が上がりついに動き出した血塗られた宿命対決！！

俺を待つのは戦いだけなのか！！！

　タランティーノ、イーライ・ロス、三池崇史。この３人の共通点は、いつもレイティングと闘っているということですね。
　「殺し屋１」や「ぼっけぇきょうてぇ」で描写が問題になって上映を制限された三池は、「龍が如く」を撮る前に「どんな描写ならレイティングに引っかからないのか」を映倫に相談したそうです。そしたら、「暴力的でも笑えればいい」とか、そんなメチャメチャな答が返ってきたそうです（雑誌のインタビューで読みました）。
　三池自身は「暴力を笑うのはかえって怖いことではないだろうか」といいながら、この映画では一種の映倫批判として、笑える暴力を描いています。岸谷五朗演じるヤクザはものすごく悪いヤツで凄まじい暴力を繰り広げるのですが、「子供は殺したらあかんでぇ」と映倫を代弁もします。
　自分が率先して町をメチャメチャに破壊したくせに、部下が道路にツバを吐くと「あかんやろ！」と殴り殺す、みたいなキャラで、「映倫の言う『いい』『悪い』ってそんなもんだろ？」と三池は岸谷五朗のキャラを通じて語っています。
　その結果、暴力と笑いが一体化した見事な映画が出来ました。暴力のカタルシスもあり、ゲラゲラ笑え、しかも映倫のレイティングにも引っかからない！素晴らしいです。
　また、映画の撮影では徹夜もしばしばあります。特に作品数が多く多忙な三池組はそうでしょう。一時的にせよスタッフの力をチャージしてくれる栄養ドリンクは、映画の現場では大変重宝されるのですが、そんな栄養ドリンクの偉大さも描かれております。ファイト一発です。
　そういった裏話を知らなくても、岸谷五朗と北村一輝と、２匹の怪獣が延々と闘い、笑いと暴力がヒートアップしていく大変に面白い作品です。岸谷五朗はアイパッチつけてるんですけど、廊下の向こうから半分だけ顔だして覗いている場面があって、アイパッチの方で覗いている。見えてないじゃん、とか、小技も楽しくてもう抱腹絶倒です。傑作ではないでしょうか。

ゲームは知らないので映画として実際の登場人物もキャラもビジュアルも全く知り
ません。北村一輝はなんだかピッタリの感じがするけど実際はどうなんでしょう？
岸谷五朗はまぁ、好き勝手にやって、らしさが炸裂、不死身だし（笑）桐生も真島
もなかなか男気があっていいねー

下手なアクションものよりずっといい。ハリウッドでもゲームの実写化で成功例が
いくつもあるけど、ゲームってキャラ設定がしっかりしているからでしょうか。割と
しっかりとした作品が多いと思うな。見ているといろんなエピソードが見え隠れ
するけど説明は結構ないんだよね。私はゲームファンではないのでそんなに気
にならないけどゲームファンは微妙なのではないでしょうか？

この作品の前も知りたいし後も知りたい。スターウォーズみたいに全６部作ぐらい
で作ってみるってのもいいいのでは？