恋愛睡眠のすすめ

妄想的なオタク青年の純愛物語とでもいいましょうか？
オタクとアーティストの境界線の難しい中、自分の世界が心地良すぎて、他の人と、なかなか交流できないジレンマが独り言のように綴られています。

あまりにも内気すぎて、恋心を伝えるなんて、夢また夢の話。
隣に引っ越してきた意中の女性との恋を成就してしまう夢の世界へと逃避してしまうステファン「ガエル・ガルシア・ベルナル」。そこまでなら、可愛らしいものの、逃避先の夢の世界と、現実とを混同してしまうのだから、たまりません。
彼女がデートに誘っても、夢だと思い込んで、すっぽかした挙句に、「君は僕を好きじゃない！」なんて・・・

ミシェル・ゴンドリー監督自身が、自分の体験をもとに物語を考え出したそうですが、主人公に監督自身を色濃く反映させているのでしょうか？
唯一自分がヒーロー的な存在になれるのが、夢の中というか妄想の世界。
主人公ステファンの夢だか現実だかよく分からない世界に、身を委ねてしまえば、きっと楽しめるのでしょうが、度々睡魔に襲われる始末で、私にはちょっとダメだったでしょうか？
眠れない時には、ガエル君の声が子守り歌のように聞こえ、それはそれで良いのかもしれませんが・・・

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ガエル・ガルシアファン必見の１本。私はとっくにＤＶＤを購入しました。

主人公が好きな女性に拒否される話だと聞いていたので、「え〜、どうして？私ならガエル・ガルシア様いつでもＯＫ!」と思っていたのですが、主人公のステファン、思い込みが激しくて小心者。ちょっといいムードになってきたと思ったら、つまらない下ネタを言ったり、なんだかさえない男。

母親の住むパリに引っ越してきたステファンは、アパートの隣の部屋に住むステファニーに恋をする。
仕事もうまくいかず、ステファニーとの仲も思うように進展しないステファンだが、夢の中だけはすばらしい出来事でいっぱい。次第に夢と現実、睡眠と覚醒の境界があいまいになっていく。

ステファンの夢の中の世界は、ダンボールとセロファン、コットンや色とりどりの布で飾られた独特な世界。
私は音楽にはあまりくわしくないのですが、「エターナル・サンシャイン」という素敵な映画を撮ったミシェル・ゴンドリー監督、たくさんの素敵なミュージックビデオを手がけているそうです。
たぶん主人公のステファンには、監督自身が色濃く投影されているのだと思います。そして、ステファンの夢は監督の夢そのままなのではないでしょう。素敵な夢の世界に身を委ねてみましょう。

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と、これまたお好みが分かれてしまいそうではありましたが・・・
ガエル君のハチャメチャぶりが、なかなか良かったです。
大ファンの皆さんには大好評かも。自然体に感じられてグー！

マ〜一筋縄では納まんない監督さんらしく、観ている方も、夢と現実の区別がつかなくなる混乱ぶり。ステファン君ももう心も体もボロボロ状態。後半は頭の中がグルグルになって来ましたが、これがまた面白くもありかな。夢の世界のダンボールの手作り小道具もユニークで、車までダンボールかい！しっかし、あのバケモノハンズには笑えちゃいました。細かい仕事は出来わな〜〜あの手じゃ。

シャルロット演じるステファ二ーの、これまた恋に不器用なパリジェンヌぶりも、ちょっとお年を召したかな？と突込みつつ、あの白い船に白いツリーが、なかなか素敵な雰囲気をもたらしてくれました。
私にもお気に入りの１本になりましたよ、パープルさん。
シャルロットさんを、お目目パッチリにして、もう少し可愛い感じにしたら、パープルさんに似ていませんか？知的なとこも。

　観た人がクソミソにけなすか、絶賛するかの両極端に分かれる作品。そういう作品が、私は好きだ。
自分はどっちだろう。一般的感覚に近いのか、それともとんでもなく変なのか、映画を基準に自分の感覚を測ることも出来る。

「作家」を名乗った以上、なんと言われようと、自分が作りたい作品を作るべきだ。だがひとたび、それを商品として売るとなれば、それだけでは駄目だ。「作品」と「商品」。世界中の作家は、その狭間でもがいているのだ。
その点、ミシェル・ゴンドリーは幸せ者だ。本作が「理解できない」という声もあるが、これは作品として間違いなく成立してる。しかも、本人のやりたいことが許され、ちゃんと評価もされているのだから。

観ている間じゅう、何か懐かしみのある脳内物質が出っぱなしになった。これは夢見がちな子供、おかしな事ばかり言う子供の頭の中身だ。「こんな感じの世界」は、案外誰もが持っているのかもしれないが、実際に映像化してしまえるというのは、やはりたいした才能というしかない。

脚本をしっかり練るべき作品で、手を抜いているのを観るとガッカリする。だがこの作品は、ゴンドリーの飛躍し、暴走するイメージを具現化しつつ、よくぞ収束させたと思う。言うなれば、この映画の脚本は、文章的で無いのだ。文章で表現しようとすると、容量オーバーしてしまう、もっと重いビジュアルデータで出来た脚本。だからいつもの様に「文脈」を捜そうとすると、追いきれないということになってしまうのだ。

クラフト感いっぱいの映像。ダンボールや毛糸やセロハン、何かの端切れ、それらのワサッとした風合いの楽しさ。「素材は木とフェルト。ラフなステッチでちょっと出来そこないの感じが温かい」そんなセリフが表す通りの画面だ。夢と現実が、まるで統合失調症患者の意識の様に交錯する。その切り替わりは、巧みだ。

なにしろガエル・ガルシア演じるステファン君は、なんともダメな男だ。なぜなら彼は大人なのに子供だから。夢の世界や子供の世界では、立派な存在だが、「大人の世界」ではダメ人間だ。だからすぐ夢に逃げる。もはや「逃げる」という意識もなく、逃げる。
彼の夢の世界は、年季が入っている。普通の人間が１０代で捨ててしまう世界を、この歳まで維持し、醸成してきたのだから。だが基本はあくまで、一番楽しかった子供の時点に置いているので、チルディッシュな作りの夢となる。ステファンＴＶ！　ああ、俺も作ったぞテレビ局！と言いたくなる。

「彼女が好きなのは、手で物を作るからだ」　ものを作る女性が、私も好きだ。女性の豊かな創造力と繊細な技術力を、愛しく思う。シャルロット・ゲンズブールは思索の人の印象だが、本作では創作する力を感じさせてくれた。歳はとったがミュウ＝ミュウも『読書する女』の朗読者役が印象的で、いい女優だ。

久々にちょいと工作なんぞしてみたくなる気分。みなさんもいかがですか？

中学や高校時代、夢の中に自分の世界をつくっていました。
その中では、恋しい女の子にちゃんと告白ができて、思い通りに進んでいく。
だから眠ることが楽しみだった。
今は、睡眠は疲労回復のためだなんて、味気ないことになっています。
でも、いずれにしても、睡眠にはいろいろと効用がある。

この映画は、大昔の自分を思い出させてくれました。
ナイーヴだったあの頃。
ガエル・ガルシア君は、こういう役にはぴったりで、相手のシャルロット・ゲーンズールも初恋の女性として男があこがれる典型的な女の子じゃあないかな。

ふわふわと、漂っていく映像に、こちらもふわふわと対応すると楽しめます。
最後は、ガルシア君と一緒に、髪をなでられながら眠ってしまう。起きたときには気分爽快。
そんな見方が、一番この映画には似合っていますね。
少し気恥ずかしくなりますが、甘酸っぱい記憶が甦る佳作。