ガーディアン　−ハンニバル戦記−

格好つけて最後のトドメを刺さないから
やがて自分が殺される間抜けな英雄

まあ、少人数であのローマを痛めつけたから
すんげえやあ〜

真田幸村もビックリ

評価７０点（１００点満点）
紀元前２１８年、あの大ローマを震撼させたカルタゴの将軍ハンニバルの１６年余にわたるローマ遠征を描いた作品。まずほとんどストーリー性はなく淡々と史実を忠実になぞっている展開でかなり硬い感じの仕上がり、娯楽性はあまりないので、面白いかと聞かれると、ちよっと返事に困ってしまう。ただ古代ローマに「悪夢を与えた男ハンニバル」の戦記として見ればなかなか巧くつくりあげられている。全編が戦場の描写で女性が全くと言っていいほど登場しない。まず５万の兵を率いたハンニパルがローマ軍の意表をつく進軍ルートに大きな犠牲を払ってもアルプス越えを選ぶあたりが彼の戦略家としての非凡なところだったのだろう。トータルでなんと２４００キロを７ケ月かけて進軍し、そしてトレビア、トラシメネス湖畔、カンエナの戦いでローマ軍を完膚なきまでに粉砕しながらローマを攻めずに待機していたあたり「その時歴史が動いた」じゃないけれどもう一つ理解に苦しむ。その間力を蓄えたローマ軍はスキピオに率いられ、孤立したハンニバル軍を尻目にスペインに侵攻する。スキピオはことごとくハンニバルの使った戦略を用い、最後にハンニバル軍を壊滅させるという皮肉さ。史実に基づいているというのだから事実だったのだろう。この当時の戦いはともかく肉弾戦が中心なのだから、兵の動かし方一つで勝敗が左右されたのだろう。日本の戦国時代「天下分け目の関が原」でもあんなに死者はでなかったろう。それだけに５万から７万の死者が出る戦いというのは正に想像を絶するものだったのだろう。「象」も戦象という兵器の一つとしてあの様に使われたのだなぁと感心。

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　「トロイ」のような大作映画を期待して観ると期待外れかも。
　しかしモンタネッリ著「ローマの歴史」で初めてハンニバルを知った時にはときめいた。あのハンニバルの物語を目にできるとは、なんとも嬉しい。
　ハンニバルとは、現在のスペインの辺りから大軍を率いてローマ帝国に進軍し、意表を衝くためアルプス越えを敢行。逃亡等で半数の兵力を失うものの(そりゃそうだろ)、その後ローマに対し連戦戦勝。一時はローマを崖っぷちに追い込んだカルタゴの実在の人物。六七年の生涯はほとんどをローマに対する抵抗の歴史だった。
　事実関係は書物の方がわかりやすいが、映像で再現されると、登場人物の息吹を感じることができる。
　史実の再現に重点が置かれているためか、盛り上がりには欠けるが、どこまでが史実で、どこからが付け足しかわからないよりよい。
　英国に縁もゆかりも無いハンニバルの物語を映像化したＢＢＣに感謝。同じＢＢＣ製作の「チンギス・ハーン」も同様によかった。

希代の用兵家ハンニバルの生涯を描いた歴史再現ドラマです。史実を元に再現しているので若干盛り上がりには欠けますが、世界史好きなら1回くらいは見ても損はないと思います。ただ、人間ハンニバルを描いているのか、用兵家ハンニバルを描いているのかどっちつかずのため、ドラマとしては中途半端な印象はぬぐえません。

それから、本作品ではザマの戦いの後、いきなり寂しく終局を迎えてしまいますが、実際にはその後ハンニバルはカルタゴの執政官(政治家)としても非凡な才能を示したという史実があるので、もう一幕描いて欲しかった、とも思いました。

本作は、スペクタクルアクションとしているが、普通の映画ではなく、史実に色づけをして見せてくれるもの。NHKの、「その時歴史は動いた」に似ていると思えばいい。妙な恋愛事件など入れないですっきりしてよかったが、若い方にはどうかな。