愛と復讐の挽歌

　前作「野望編」からだと１０年ほど後の物語になるのでしょうか。
　前作よりさらに憎たらしくなったユン（アレックス・マン）は黒社会で勢力を伸ばし、チャイ（チョウ・ユンファ）の命を狙おうとします。
　子供も生まれ、組織を維持しながらも平穏に生きたいチャイですが、ユンがそれを許しません。
　次々に愛する者を奪われたチャイが怒りに燃えるクライマックスは、まさしく“愛と復讐の挽歌！”
　激しい銃撃戦とバイオレンスを堪能したい方は是非。
　足を洗ったアコ（アンディ・ラウ）も、チャイのために戦います。
　それにしても、ダニー・リー。２作をかけて最後においしい役を持っていくなんて。困ったもんです。

　※ＶＨＳでは、２作における名前の表記が違っていて、一瞬迷います。ＤＶＤはどうなのでしょうか。

本作品は、《野望編》とともに香港ノワールの最高峰だと私は思っている。“静”と“動”が巧みにストーリーに織り込まれ、観る者を飽きさせない。富と貧困、情愛と暴力、尽くす女と命をも奪う男、築き上げた組織と凋落する親分、――なんと見事なプロットだろう。本作が初監督だったテイラー・ウォンの高揚が伝わって来そうだ。

チョウ・ユンファは格好良いし、アンディ・ラウの誠実さも捨て難い。しかし、作品そのものを支えたのは、嫉妬深い兄“ユン”を演じたアレックス・マンだろう。あれだけの憎まれ役を徹底して演じてみせた度量には脱帽である。
「少しは人間味のあるとこを演じたい」と思ったとしても当然である。それが人情だ。しかし、彼はそうした部分を排し、老いた自分の父親さえも、意に添わないとなれば、子分の暴力にさらしてしまう人非人を演じてみせた。
監督も徹底している。この場面では、子分が一瞬躊躇うショットが挿入される。「ええ?! せっかく助けたのにボコボコにしちゃっていいのかよ？」って顔をする。それがより一層、ユン（アレックス・マン）の非情さを際立たせることになり、狂気を感じた。監督の演出意図を、役者が十分に理解した結果だ。滅多にない名シーンだと思う。

正直なところ、香港映画は、あまり好きじゃない。女性を殴るシーンが、普通にあるからだ。民族性の違いだろうか。殴る蹴るは当たり前、《野望編》ではナイフまで突き立てる。ジャッキー・チェンの映画だって、平気で女性が殴られて吹っ飛んだりする。この辺のトコが好きになれない理由だ。
だから、本作品も最初は抵抗感があった。いまも、だいぶ免疫が出来たとはいえ、イヤな気分は残る。それでも本作品が好きなのは、何の衒いもなく、男たちの熱い思いがぶつかり合っているからだろう。それがクライマクスに向かって収斂されて行く様子は、快感ですらある。燃え盛る屋敷を背景に２人の男が対決するシーンは、これからも語り継がれて行くことだろう。

公開から20数年。男たちの思いは、いま観ても熱い。（拳銃の撃ち方に時代を感じるが……） 映画もドラマもアニメも軟弱な作品が増えた昨今、骨太の本作品を是非是非観ていただきたい。オススメ！

このシリーズは大好きで見逃せません。

アフレコがどうも違和感がある。七三はどうかと思うけど、時代的文化的に仕方ないか。この時代に観ると良かったのでしょう！

インファイナル・アフェアの流れで借りて見ました。この作品には、今人気のアンディ・ラウ出てるんですよね。やっぱり香港とかアジア系のヤクザは残酷だ。話の流れから、そりゃ復讐したくなるよなって感じでした。ストーリーもきちんとしてて、結構見ごたえあると思います。