ママが泣いた日

ある日突然夫に捨てられてしまう中年女。行き場のない怒りはアルコールに向かうが、４人の思春期の娘たちは次々と問題を起こす。隣人の元野球選手とも、うまくいきそうでいかない。あまりにも怒りが大きすぎると、人はかわってしまうのだ。しかしどんなに大きな怒りを抱えていても、何とか折り合いをつけて進んでいかなければいけない。大きな怒りを抱え、時に爆発してしまう中年女をジョーン・アレンが熱演しています。

この映画、あるお葬式で始まるのですが、これが誰のお葬式なのかがキーです。始めは深く考えずにみていましたが、こういうオチが用意されているとは意外でした。
時に人生はとんでもない運命のいたずらに翻弄されてしまうものですね。コメディというより、人生の皮肉さを感じた映画でした。
末娘のエヴァン・レイチェル・ウッドのナレーションもよかったです。

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冒頭が、誰かのお葬式のシーンから始まり、それから３年前に戻っているのですが、登場人物の誰が、どの様にして亡くなるのか、気になって仕方がなかったのですが、このラストのオチには驚いてしまいました。

怒るママ役の、ジョアン・アレンは、あまりにも嵌まっています。
彼女の筋を立てて怒っているシーンや、アル中で、痛い言葉を連発するシーンは、観るに耐えなくなってしまう程です。
静と動の切り替えも上手いし、感情表現が実に上手いなぁと思います。

気難しい顔をしていて、嫌な女なのですが、哀しみが漂っていて、良く見たら、ただ嫌な女とも思えないのです。
元ベースボールプレイヤーの、Ｋ・コスナーも良い味を出しています。
コメディなシーンはちょっと笑えるし、滑稽な惨さもあり、根底にあるのは、４人の娘との親子愛。
ラストの、Ｋ・コスナーが母姉妹の間に割って入るのが、とても良かったです。女ばかりで、ためらってしまいますよね。
ラストの穏やかなシーンを見ていると、この３年間無駄ではなかったと・・・

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冒頭の葬式のシーンから始まり、いきなりの３年前のフラッシュバック。そこから
淡々と物語りは進んでいく。夫の突然の失踪からやり場のない怒りを抱え続ける
母親。彼女には４人の娘がいるのだがいろんなエピソードに母親の基本精神は
やはり怒り。時折入るナレーションでも怒りが云々と語られてる。そこで予想もし
なかったエンディング。これにはかなりびっくりしてしまった。怒りの原因となるも
の自体が存在しなかったのだから。それどころか。。。。。。

私は邦題というものは基本的に嫌い。理由はもちろん商業的につけられるからだ。
映画ファンのことを考えているとは到底思えない。それでも最近は気の効いたもの
ちらほら出てきてはいるが。さて、本作の邦題は「ママが泣いた日」である。しかし
冒頭の葬式は誰のものかわからず話は進みテーマは「怒り」。また単なる商業的
タイトルかと思いながら観ていた。全然違うじゃん！！！
が！あのエンディングだ。原題は「THE UPSIDE OF ANGER」、怒りを超えるとか
怒りの向こうって感じだろうか。そう、怒りを乗り越えた時、ママは泣いていたのだ
怒りから開放されて。この邦題はタイトルに込められたテーマの答えというわけだ。
これはなかなか深い。気か効いてるレベルの話ではなく、原題サブタイトルにして
もおかしくないフレーズだ。しかも単に悲しくてないているのではない。ここら辺り
の微妙な感じは是非観てほしいものだ。エンディングの母娘の優しい表情には何
かを感じずにはいられなくなるかもしれません。。

ジョアン・チェン演じる母が、まあ、よく怒っています。
夫の失踪（おそらくかけおちらしいという設定）を皮切りに、まあ
びっくりするくらいの理不尽さで娘始めにまわり中に
当り散らします。
娘たちの父親である夫の人格否定にとどまらず、
娘たち本人に、
それを言っちゃおしまいよ、アンタ・・・という言葉を、
的確に、いちばん言ってはならないタイミングで、
一番言われると傷つくであろう言葉を、どストライクな場面に
ほおりこんでしまいます。

わたしは、まるで私？？というくらい本当にこういう性格なので、
ママの酒量は、死にたいほどの自己嫌悪を隠すためとわかっているけど、やっぱり他人がやっていると、近親憎悪を感じてしまいますね。人としてどうなんだ！！と言いたくなります。

この映画、怒りすぎのママはいるにしても、
娘と母の確執をうまく描いています。
母娘は、親子ではあるけれど、ライバルだし、親友だし、
カワイさあまって憎さ１００倍の関係です。
それが、よく描かれています。

元メジャーリーガー役で、出演しているケビン・コスナー。
やさぐれぶりが、いい感じです。
元スターぶりは貫禄十分です。

　「再会の街で」（０７）がなかなか良かったので、同じ監督さんの作品を観てみたくなって借りました。

　ううむ、個人的な感想としては、この監督さんって演出があんまり上手くないんじゃなかろうかと思ってしまった。作品に対して明確なコンセプトを持たずに作ってるような気がしてならない。「再会の街で」はアダム・サンドラーとドン・チードルの名演のおかげで感動したのだけど、それでもレビューにも書いた通り作品のトーンが統一されてない、とっ散らかった印象は残った。んで、こっちの作品の方はさらに「一体ヒロインをどういう風に描きたいんだ〜」っと終始イラつく演出。

　突然、夫に捨てられてしまったママ（ジョアン・アレン）の不機嫌な毎日が延々と綴られ、４人の娘たちはそんなママの八当たりに付き合わされて傷つけられながらも、それなりに仲良く暮らしていくというお話。どうですか、これ。一応、元メジャーリーガーの中年男（ケビン・コスナー！）が絡んできて大人の恋愛も描かれますよ、でも、どうですか、それで幸せになるでもなくママは相変わらず不機嫌オーラを放ちまくってて、なんだろか、２人の恋愛がただ寝る関係にしか見えなくて、なんら人生を彩るものになり得ていないと思った。

　これがシリアスなドラマで、ママの深い悲しみを“痛々しく”見せている明確な「演出」であれば、まだ納得できる。でも、そうではなく、多分これはヒューマン・コメディなのだ。人生の辛酸を「可笑しみ」に昇華させてカラッと描いてみせる、アーヴィング調のシニカル＆ホロリ路線を狙ってるように思えるんだなぁ・・・。たぶん。でも、成功していない。

　かなり辛口になってしまいましたが、どうもそんな印象で、それなりに感動的なエピソードも随所にありながら自分はドン引きのまま観続けることになっちまいました。ＭｏｎＰｅｔｉｔさんが、きちんとこの作品の魅力を語って下さっているので、是非そちらをお読みください。
・・・自分がけっこう不機嫌なおばちゃんなので、自分自身を見るようでヤなんだな、きっと。