いつか読書する日

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いつか読書する日 / 田中裕子

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「いつか読書する日」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

大場美奈子は、牛乳配達とスーパーのレジで働く50歳の独身女性。単調だが静かで穏やかな毎日だった。一方、高梨槐多は同じ町の市役所に勤める既婚男性。末期ガンの妻・容子を自宅で看病する日々が続く。美奈子が配達する牛乳はそんな槐多の家にも届けられていた。実は美奈子と槐多は高校時代の初恋のふたり。しかし、あることが原因で疎遠になってしまった。それでも美奈子は槐多への想いを忘れることが出来ずにいた。そして槐多もまた、同じ想いを抱き続けていた。そんなある日、容子は牛乳を飲まない夫が配達を頼んでいる理由を知ってしまう…。

「いつか読書する日」 の作品情報

作品情報

製作年: 2004年
製作国: 日本

「いつか読書する日」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

キャスト・スタッフ

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ドクターX〜外科医・大門未知子〜3

ユーザーレビュー:49件

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1〜 5件 / 全49件

来るべき書物 ネタバレ

投稿日:2006/03/16 レビュアー:裸足のラヴァース

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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当然ファンタジーの氾濫する現代映画に対する アンチとしての古風なメロドラマをぶつけているんだろうけど それだけじゃつまらないものになってしまう この映画はなにかノイズが混じっているのだ 認知症の老人のエピソードなんかは 筒井康隆的なスラップスティックな‘破’があるように思えるし なにか凡庸なモノローグや文字はやはり”文学的”なるものの危うさとゆうか 映画になじまぬものを導入する実験か この一作だけでは監督の意図はよくわからない

テーマで言えば時間なんだけど ゆったり流れる時よりもどこか性急な時間感覚が 牛乳配達の時と空間の描写に対比されているか 仁科は一瞬で二人の想いを見抜いてしまうし 迫る死の時と闘う 橋の場面はまずい音楽だが二人はお互いを認め 一瞬の濡れ場へ観客唖然 そしてプールの挿話が河での死へとつながり 一直線のカタストロフ けして居心地の良いメロドラマでは終わらない この生き急ぎの切迫感は この世代の現在のありようなのだろうか 少し考えてみたい映画だ 

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中高年にだけお奨めの一作

投稿日:2006/03/03 レビュアー:吟遊旅人

 50年の時を同じ小さな町で生きてきた男女が、交わることのない二人の人生の軌跡を交錯させたとき、秘め続けた恋がほとばしる。長い長いときをかけて一人の男を愛し続けた女の、静かな瞳が凛とした後味を残す、地味で切ない物語。

 中年の恋を描いただけではなく、認知症老人問題、児童虐待、といった現代の家族が抱える問題も捉えたところにこの映画の広がりがあった。そしてまた、そういう問題と主人公たちが深く関わりながら生きているその細かな息遣いが伝わってくる丁寧な演出がなされているのだ。
 育児放棄された子どもの手を引いて歩く高梨の姿や、坂を駆け上がる牛乳配達人美奈子の息切れも、この街に暮す人として地に足のついた様が心地よく伝わる。

 病気の妻の手を握りながら眠る姿や、仕事の合間に密かに慟哭する場面など、短いシーンに高梨の優しさを描く演出が心憎い。

 こまかな所作がきちんと描かれているところに緒方監督の人間観察の細かさを見る。それはまるで大場美奈子が愛読しているドストエフスキーの小説のようだ。敏子おばさんがずり下がった靴下を引っ張り上げながら美奈子と酒を呑む場面や、美奈子が古い自転車のスタンド止めを幾度か引っ掛けながら蹴り上げる場面のように、日常瑣末な所作が描けているからこそ、登場人物たちの姿がリアルに観客の前に立ち上がってくる。
 そしてまた、淡々と役所仕事をこなしているかのように見える高梨が心の中に抱える悲しみや憤りがまた、彼の仕事に対するやりきれなさを描いて切ない。生活者としての匂い、働く者の心の機微が伝わる、いい映画だ。

 読書は人を強くする。そして、書くことが人を解放し、安らぎを与える。美しい字を書く人々の登場する、美しい映画。冴えない中年カップルの静かな想いが伝わって、切ない切ないラストシーンに涙する。

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孤独に生きるのも悪くない

投稿日:2007/11/09 レビュアー:港のマリー

 これは中年男女の恋愛を描いたというより、人間の「孤独」というものを見つめた作品であると私には思えた。孤独には2種類あるとナチス政権下のドイツからアメリカへ亡命した女性思想家は書いている。英語のロウンリィネスlonelinessとソリテュードsolitudeを使い分けて思想家はそれを表現している。前者はこの世に自分の居場所はどこにもなくすべてから見捨てられてしまったと感じる絶望的な孤立感、後者は一人でありながらも一人ではない状態、つまり自分自身を友とし自分自身と対話しつつ内面の充実を保っていられるような孤独だ。古来宗教家や哲学者が思索を深めるために求めてきたのはこのソリテュードの方の孤独だろう。

 ヒロイン大場美奈子の暮らしぶりに私は市井の片隅に生きる求道者のsolitudeを想った。初恋の人への思慕を封じたまま牛乳配達とスーパーのレジ係で生計を立て一人暮らしを続ける彼女は、孤独だが惨めではない。田中祐子は一度だって惨めたらしい表情は見せない。自分を厳しく律して生きてきた人間の凜としたたたずまいが夜明けの大気のように美しい。「町の人みんなに牛乳を届けたい」と語る美奈子は孤独だが孤立はしていない。坂と階段の両側にびっしりと家の建ち並ぶ町並に、最初は圧迫感のようなものを感じたが、しだいに美奈子が根を下ろして生きている揺るがない地盤だと思えてきた。都会の漂泊者とは正反対の故郷に根を下ろした生き方、息苦しい時もあろうに彼女は逃げない。

 そして、買い集めた膨大な書物。あれを自分の殻に閉じこもった美奈子の防御壁と見なすのも慧眼だと思うが、私は別の見方をしたい。読書は自己内対話と自己省察を深める重要な手段。本を読み続けることによって美奈子の孤独はより豊饒なものとなり凜とした生き方にいっそう磨きがかかるだろう。恋が終わってしまった時、彼女の語った「本でも読みます」は求道者の孤独を生き続ける覚悟の表明ではないか。前述の思想家はロウンリィネスの危険を説いた。自分の中身がからっぽで孤立感に打ちのめされている人々がファシズムの餌食になると。逆にファシズムは人間を一塊に溶解してしまいソリテュードを成り立たなくさせてしまうとも言っている。豊かな孤独は人間に不可欠なのだ。

 塊多も美奈子を見守る作家もsolitudeを生きる人間だ。しかし塊多の妻容子は、孤独を持ちこたえることができなかった人間に映る。嫉妬からであれ純粋に二人を案じてのゆえであれ、死んでゆく者がこれから生きていく人間を縛るようなことを言ってはいけない。葬儀の後看護士に問われて「ずるいんです、あたし」と自分を語る美奈子の言葉は、案外容子に向けて放たれたのではないか、などと勘ぐってしまった。とにかく美奈子は誰に対しても甘えることをしないのだ。自分の身の始末は自分でつける、見事に気高い女性ではないか。孤独に生きることを決めた人生、ただ不幸だとばかりは思わない。

 

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映画館にも行けず、DVDも借りれず、やっとBS放映で観れました

投稿日:2006/08/15 レビュアー:オタエドン

長崎大附属中学の我が後輩、緒方監督作品を。『独立少年合唱団』で、なかなか良い映画を見せてもらえて、喜んでいました。
今回は、長崎の町で撮影しています。主役は「坂の街」架空の街?とも思える位。でも、子供の頃、あの坂を駆け上って毎日過ごし、あの息遣いをそのまま体感。そして住んでた町が、坂本町でしたよ。と、あまり関係ないとこからスタートしました。

50年もの人生を同じ街に住み続ける感覚は、きっとこんななんだろうな〜中学、高校の同級生とも、すれ違うんだろう。
互いに好意を持った二人が、その親の事故を引き金に、何故か長い間、疎遠になってしまう。でも、牛乳がその二人の関係を保つなんて・・・想像も出来ない事。毎朝、毎朝、飲めないクセに届けられる。彼女は、何十年もしんどい坂を上り続ける。

もしも、あの葉書をラジオ局に投書しなかったら、あの二人の人生は、交わることがなかったのでしょうか?
隠しても、心の奥に秘めても、なお恋焦がれる思い、中年の恋の炎は燻り続くものでしょうか?あきらめつつ、人生の大半を没個性で生きてしまう哀しさ。その炎が、一瞬に点火され燃え上がる衝撃。
そして、何と儚い交わりだったことか・・・残された人生を、あの本が救いになることを祈らずにはいられませんでした。
50歳を過ぎたなら、ぜひぜひこの作品をご覧になって下さい。

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中高年の方に好評だったそうですが、

投稿日:2006/03/01 レビュアー:パープルローズ

私が心底この作品をいいなと思えるには、まだ10年くらい早かったかなあという気がしました。
30年も同じ街に住み続け、毎日同じ日常を繰り返す閉塞感。ささいなことで別れてしまった高校時代の恋人をずっと思い続ける。言葉を交わすこともなく、視線さえも交わらない。偶然どこかですれ違ったときの背中同士にさえも、ふたりの姿にはなにか特別なかかわりが感じられるのだが、日々年をとっていく自分の姿を相手にみせるのは辛くないのだろうか?
そして、ようやく長年の思いを成就させたというのに、あっけなくやってくる幕切れ。主人公はこんな終わりに満足しているのだろうか?
私にとってはふたりの関係よりも、認知症のおじいさんのエピソードや、ネグレクトされてる子供のことのほうが興味深かったな。

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いつか読書する日

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来るべき書物

投稿日

2006/03/16

レビュアー

裸足のラヴァース

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当然ファンタジーの氾濫する現代映画に対する アンチとしての古風なメロドラマをぶつけているんだろうけど それだけじゃつまらないものになってしまう この映画はなにかノイズが混じっているのだ 認知症の老人のエピソードなんかは 筒井康隆的なスラップスティックな‘破’があるように思えるし なにか凡庸なモノローグや文字はやはり”文学的”なるものの危うさとゆうか 映画になじまぬものを導入する実験か この一作だけでは監督の意図はよくわからない

テーマで言えば時間なんだけど ゆったり流れる時よりもどこか性急な時間感覚が 牛乳配達の時と空間の描写に対比されているか 仁科は一瞬で二人の想いを見抜いてしまうし 迫る死の時と闘う 橋の場面はまずい音楽だが二人はお互いを認め 一瞬の濡れ場へ観客唖然 そしてプールの挿話が河での死へとつながり 一直線のカタストロフ けして居心地の良いメロドラマでは終わらない この生き急ぎの切迫感は この世代の現在のありようなのだろうか 少し考えてみたい映画だ 

中高年にだけお奨めの一作

投稿日

2006/03/03

レビュアー

吟遊旅人

 50年の時を同じ小さな町で生きてきた男女が、交わることのない二人の人生の軌跡を交錯させたとき、秘め続けた恋がほとばしる。長い長いときをかけて一人の男を愛し続けた女の、静かな瞳が凛とした後味を残す、地味で切ない物語。

 中年の恋を描いただけではなく、認知症老人問題、児童虐待、といった現代の家族が抱える問題も捉えたところにこの映画の広がりがあった。そしてまた、そういう問題と主人公たちが深く関わりながら生きているその細かな息遣いが伝わってくる丁寧な演出がなされているのだ。
 育児放棄された子どもの手を引いて歩く高梨の姿や、坂を駆け上がる牛乳配達人美奈子の息切れも、この街に暮す人として地に足のついた様が心地よく伝わる。

 病気の妻の手を握りながら眠る姿や、仕事の合間に密かに慟哭する場面など、短いシーンに高梨の優しさを描く演出が心憎い。

 こまかな所作がきちんと描かれているところに緒方監督の人間観察の細かさを見る。それはまるで大場美奈子が愛読しているドストエフスキーの小説のようだ。敏子おばさんがずり下がった靴下を引っ張り上げながら美奈子と酒を呑む場面や、美奈子が古い自転車のスタンド止めを幾度か引っ掛けながら蹴り上げる場面のように、日常瑣末な所作が描けているからこそ、登場人物たちの姿がリアルに観客の前に立ち上がってくる。
 そしてまた、淡々と役所仕事をこなしているかのように見える高梨が心の中に抱える悲しみや憤りがまた、彼の仕事に対するやりきれなさを描いて切ない。生活者としての匂い、働く者の心の機微が伝わる、いい映画だ。

 読書は人を強くする。そして、書くことが人を解放し、安らぎを与える。美しい字を書く人々の登場する、美しい映画。冴えない中年カップルの静かな想いが伝わって、切ない切ないラストシーンに涙する。

孤独に生きるのも悪くない

投稿日

2007/11/09

レビュアー

港のマリー

 これは中年男女の恋愛を描いたというより、人間の「孤独」というものを見つめた作品であると私には思えた。孤独には2種類あるとナチス政権下のドイツからアメリカへ亡命した女性思想家は書いている。英語のロウンリィネスlonelinessとソリテュードsolitudeを使い分けて思想家はそれを表現している。前者はこの世に自分の居場所はどこにもなくすべてから見捨てられてしまったと感じる絶望的な孤立感、後者は一人でありながらも一人ではない状態、つまり自分自身を友とし自分自身と対話しつつ内面の充実を保っていられるような孤独だ。古来宗教家や哲学者が思索を深めるために求めてきたのはこのソリテュードの方の孤独だろう。

 ヒロイン大場美奈子の暮らしぶりに私は市井の片隅に生きる求道者のsolitudeを想った。初恋の人への思慕を封じたまま牛乳配達とスーパーのレジ係で生計を立て一人暮らしを続ける彼女は、孤独だが惨めではない。田中祐子は一度だって惨めたらしい表情は見せない。自分を厳しく律して生きてきた人間の凜としたたたずまいが夜明けの大気のように美しい。「町の人みんなに牛乳を届けたい」と語る美奈子は孤独だが孤立はしていない。坂と階段の両側にびっしりと家の建ち並ぶ町並に、最初は圧迫感のようなものを感じたが、しだいに美奈子が根を下ろして生きている揺るがない地盤だと思えてきた。都会の漂泊者とは正反対の故郷に根を下ろした生き方、息苦しい時もあろうに彼女は逃げない。

 そして、買い集めた膨大な書物。あれを自分の殻に閉じこもった美奈子の防御壁と見なすのも慧眼だと思うが、私は別の見方をしたい。読書は自己内対話と自己省察を深める重要な手段。本を読み続けることによって美奈子の孤独はより豊饒なものとなり凜とした生き方にいっそう磨きがかかるだろう。恋が終わってしまった時、彼女の語った「本でも読みます」は求道者の孤独を生き続ける覚悟の表明ではないか。前述の思想家はロウンリィネスの危険を説いた。自分の中身がからっぽで孤立感に打ちのめされている人々がファシズムの餌食になると。逆にファシズムは人間を一塊に溶解してしまいソリテュードを成り立たなくさせてしまうとも言っている。豊かな孤独は人間に不可欠なのだ。

 塊多も美奈子を見守る作家もsolitudeを生きる人間だ。しかし塊多の妻容子は、孤独を持ちこたえることができなかった人間に映る。嫉妬からであれ純粋に二人を案じてのゆえであれ、死んでゆく者がこれから生きていく人間を縛るようなことを言ってはいけない。葬儀の後看護士に問われて「ずるいんです、あたし」と自分を語る美奈子の言葉は、案外容子に向けて放たれたのではないか、などと勘ぐってしまった。とにかく美奈子は誰に対しても甘えることをしないのだ。自分の身の始末は自分でつける、見事に気高い女性ではないか。孤独に生きることを決めた人生、ただ不幸だとばかりは思わない。

 

映画館にも行けず、DVDも借りれず、やっとBS放映で観れました

投稿日

2006/08/15

レビュアー

オタエドン

長崎大附属中学の我が後輩、緒方監督作品を。『独立少年合唱団』で、なかなか良い映画を見せてもらえて、喜んでいました。
今回は、長崎の町で撮影しています。主役は「坂の街」架空の街?とも思える位。でも、子供の頃、あの坂を駆け上って毎日過ごし、あの息遣いをそのまま体感。そして住んでた町が、坂本町でしたよ。と、あまり関係ないとこからスタートしました。

50年もの人生を同じ街に住み続ける感覚は、きっとこんななんだろうな〜中学、高校の同級生とも、すれ違うんだろう。
互いに好意を持った二人が、その親の事故を引き金に、何故か長い間、疎遠になってしまう。でも、牛乳がその二人の関係を保つなんて・・・想像も出来ない事。毎朝、毎朝、飲めないクセに届けられる。彼女は、何十年もしんどい坂を上り続ける。

もしも、あの葉書をラジオ局に投書しなかったら、あの二人の人生は、交わることがなかったのでしょうか?
隠しても、心の奥に秘めても、なお恋焦がれる思い、中年の恋の炎は燻り続くものでしょうか?あきらめつつ、人生の大半を没個性で生きてしまう哀しさ。その炎が、一瞬に点火され燃え上がる衝撃。
そして、何と儚い交わりだったことか・・・残された人生を、あの本が救いになることを祈らずにはいられませんでした。
50歳を過ぎたなら、ぜひぜひこの作品をご覧になって下さい。

中高年の方に好評だったそうですが、

投稿日

2006/03/01

レビュアー

パープルローズ

私が心底この作品をいいなと思えるには、まだ10年くらい早かったかなあという気がしました。
30年も同じ街に住み続け、毎日同じ日常を繰り返す閉塞感。ささいなことで別れてしまった高校時代の恋人をずっと思い続ける。言葉を交わすこともなく、視線さえも交わらない。偶然どこかですれ違ったときの背中同士にさえも、ふたりの姿にはなにか特別なかかわりが感じられるのだが、日々年をとっていく自分の姿を相手にみせるのは辛くないのだろうか?
そして、ようやく長年の思いを成就させたというのに、あっけなくやってくる幕切れ。主人公はこんな終わりに満足しているのだろうか?
私にとってはふたりの関係よりも、認知症のおじいさんのエピソードや、ネグレクトされてる子供のことのほうが興味深かったな。

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