女系家族

瓦屋根が印象的な船場の入り組んだ家屋も現在は残ってないでしょうね。葬儀の時親族が着る白喪服にも昔のしきたりが出ていて懐かしいです。でも遺産相続というテーマは永遠であり現実的であるので、４０年前のベストセラーの映画版をＴＶドラマ化したのも頷けます。
昔、この作品は観た記憶があるのですが、今回改めて観て持った感想は演技陣が凄いということです。特に大番頭役の先代中村鴈冶郎と３姉妹の叔母役の浪速千栄子が、欲に顔を引きつらせた滑稽な人間をめりはり効かせ演じ、観る者をうならせかつ笑わせます。又お婆さん役が多い北林谷栄が大番頭の愛人で、中年の素性も不確かな女の怪しさをうまく出していました。
人間欲張りばかりという人間喜劇は不滅ですね。

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じぇにや、なにがなんでもじぇにもらいまっせえ〜。って、あんたら、みんな、ほんまにえげつないわぁ。

おうちさん、いい映画を教えて下さってありがとう。財産相続をめぐるどろどろ絵巻。なんだけど、もう可笑しくて、可笑しくて。大阪人特有のねちゃこい丁々発止を見ながら、これは「世界遺産」に認定。ってのは、大げさかもしんないけど、この文化はのこさんとあかんでしょう、と。

舞台となった船場のすぐそばで生まれ育ったものですから、昨今の南船場＆北堀江の開発ぶりには、正直大阪文化壊滅の危機を感じています。美容院が乱立し、見渡せば気取ったカフェばかり。プチ表参道か？プチ自由が丘か？こんな街、大阪やない。とどめを刺したのがなんば高島屋の前にマルイができたこと。あのスクランブル歩道になんで「○I○I」のイルミネーション？ここはどこやねん？だからとまでは、断言しないけど、東京の真似しいの結果が、ミナミの街を追い詰めている。ついにそごう本店も売却の動き。ミナミの火は消したらアカンよ。大阪人のド根性は、どこへ行ったんや。どあつかましさは、どこへ行ったんや。

と、私の大阪人魂に火をつけてくれましたよ、この作品。やっぱ、鴈治郎さんが最高。「へ？なんだす？」の聞こえないフリに、飲んでたコーヒー吹きました。これだけでも見る価値あります。鴈治郎さんはともかく、他の俳優陣もみんなうまいです。京マチ子、田宮二郎、若尾文子、北林谷栄。豪華な布陣ですわ。そして、計算高いおばちゃん、浪速知恵子。浪速の人間国宝と言っていいでしょう。

えげつない話なんですけど、眉をひそめるような毒々しさじゃないんですね。人間の滑稽さ、浅はかさ、そして逞しさを感じさせてくれます。そして、撮影が宮川一夫ですので、船場の旧家をうまく活かした美しい映像も堪能できます。白くむきだしになった若尾文子のうなじを北林谷栄が手ぬぐいでふいているシーンなんて、思わず拝みたくなるようなありがたいショットでした。

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山崎豊子原作。
浪花の大店の遺産相続をめぐる女たちのバトル。
若尾文子が定番の愛人役で、亡くなった旦那の娘たちから遺言書のことであれこれ難くせをつけられるが、最後はみんなをあっと言わせる隠し玉をくりだしてがっちり遺産を確保し、カッコ良く去っていく。
美女は頭も良いのである。
大店の長女役の京マチ子とその愛人役の田宮二郎、大番頭役の二代目中村鴈治郎など、腹黒キャラが良く似合う役者が出揃って、かなり濃ゆ〜いスリルが楽しめる。

同じドラマがテレビで放映中で比較しながら観てしまいました。米倉涼子が若尾文子、高島礼子が京マチ子、高橋克典が田宮二郎
瀬戸朝香が鳳八千代、3女が高田美和、橋爪功が中村雁治郎、浅田美代子が浪花千栄子、最後のドンデン返しの結末は愉快でした。名作の1つだと思います。

船場老舗の当主の臨終の席から物語は始まる。
葬儀の後、親戚中が集まりいきなり遺産相続のお話。
それぞれ自分の事しか考えていない美しい三姉妹、何やら企んでいそうな叔母、腹黒そうな大番頭、一筋縄ではいきそうにない連中揃い。おまけに当主には愛人がいたとのこと。そこに長女に入れ知恵する狡猾な踊りの師匠なども加わり、色と欲の入り混じった人間のエゴをそのまんま見せてくれる。そこに愛など１ミリも存在しない。
大番頭役の中村鴈治郎さん。「へへへ」と笑う顔のいじましさ。悪事がバレ、脂汗を流し周章狼狽し、果ては呆然とする姿。上手いです。この人でなければこの役はありえません。
ズルイけれどもどこか抜けている人間達の浅ましさと可愛さ。
こんな原作を書いて下さった山崎豊子さんを私は敬愛します。
最近テレビドラマで放映され、名作を若い人たちにも知ってもらえるチャンスにはなったようです。出来はどうだったのでしょう。一度も観る気がしませんでした。なぜなら、言うなればこのエゲツナイお話は、標準語ではダメ。全く違うものになってしまう。テレビがたれ流している汚い大阪弁ではない由緒ある美しい船場言葉でしか語れないと思ったからです。

監督は三隅研次氏。以前「斬る」と言う映画で様式美に感嘆したのですが、この作品もやはり余計な物を排し、エッセンスそのものだけを見せる潔さを感じます。経歴を見ると男優ばかり撮られているようですが、女優を撮るのもお上手なように思えます。
京マチ子さんの咲き誇った牡丹の花のような美しさ、若尾文子さんのしっとりした百合の花のような美しさ。二人の美の競演にはため息が出ます。そして、忘れてはならないのが番頭の愛人役、北林谷栄さんの妙な色っぽさ。本当に妙です。必見です。

ただ、若尾文子の赤ん坊の抱き方には違和感がありました。
撮影所は男の職場なので細かいところに気付かなかったのかも知れませんが、生まれたばかりの我が子をあのような抱き方をする母親はいません。