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"グレゴリー・ペックが主演を務めたドラマ。スペイン内戦から20年後、国境を越えてフランスへと逃れたマヌエルと、そんな彼に逮捕心を燃やす男との奮闘劇が展開する。
製作年: |
1964年 |
---|---|
製作国: |
アメリカ |
原題: |
BEHOLD A PALE HORSE |
監督: |
フレッド・ジンネマン |
---|---|
製作: |
フレッド・ジンネマン |
出演: |
グレゴリー・ペック 、 アンソニー・クイン 、 オマー・シャリフ 、 パオロ・ストッパ 、 レイモン・ベルグラン 、 ミルドレッド・ダンノック 、 ペレット・プラディエ 、 クリスチャン・マルカン 、 ミシェル・ロンズデール |
脚本: |
J・P・ミラー |
原作: |
エメリック・プレスバーガー 、 エメリック・プレスバーガー |
撮影: |
ジャン・バダル 、 ジャン・バダル |
音楽: |
モーリス・ジャール |
"グレゴリー・ペックが主演を務めたドラマ。スペイン内戦から20年後、国境を越えてフランスへと逃れたマヌエルと、そんな彼に逮捕心を燃やす男との奮闘劇が展開する。
製作年: |
1964年 |
---|---|
製作国: |
アメリカ |
原題: |
BEHOLD A PALE HORSE |
監督: |
フレッド・ジンネマン |
---|---|
製作: |
フレッド・ジンネマン |
出演: |
グレゴリー・ペック 、 アンソニー・クイン 、 オマー・シャリフ 、 パオロ・ストッパ 、 レイモン・ベルグラン 、 ミルドレッド・ダンノック 、 ペレット・プラディエ 、 クリスチャン・マルカン 、 ミシェル・ロンズデール |
脚本: |
J・P・ミラー |
---|---|
原作: |
エメリック・プレスバーガー 、 エメリック・プレスバーガー |
撮影: |
ジャン・バダル 、 ジャン・バダル |
音楽: |
モーリス・ジャール |
収録時間: | 字幕: | 音声: |
---|---|---|
118分 | 1:ドルビーデジタル/モノラル/英語 |
|
レイティング: | 記番: | レンタル開始日: |
RDD17481 | 2004年07月30日 | |
在庫枚数 | 1位登録者: | 2位登録者: |
3枚 | 0人 | 0人 |
収録時間:
118分
字幕:
音声:
1:ドルビーデジタル/モノラル/英語
レイティング:
記番:
RDD17481
レンタル開始日:
2004年07月30日
在庫枚数
3枚
1位登録者:
0人
2位登録者:
0人
DVD
収録時間: | 字幕: | 音声: |
---|---|---|
118分 | 1:ドルビーデジタル/モノラル/英語 |
|
レイティング: | 記番: | レンタル開始日: |
RDD17481 | 2004年07月30日 | |
在庫枚数 | 1位登録者: | 2位登録者: |
3枚 | 0人 | 0人 |
収録時間:
118分
字幕:
音声:
1:ドルビーデジタル/モノラル/英語
レイティング:
記番:
RDD17481
レンタル開始日:
2004年07月30日
在庫枚数
3枚
1位登録者:
0人
2位登録者:
0人
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実に面白い作品でした。
スペイン市民戦争は、大国の代理戦争、左右陣営の激突、国際旅団、フランコ独裁時代、バスク問題など、興味深いテーマがたくさんあるのですが、こういうアプローチもあるのですね。
内戦はいつの時代ももっとも陰惨な戦争になりますが、教会の力の強いスペインでは、神と暴力という主題がより深められるような気がします。
この映画も、序盤からの息苦しいクロース・アップの連続が、登場人物たちの苦悩を確かに描き出します。オマー・シャリフが演じる神父は、他者の挑発にもその信仰に揺らぎを見せることは微塵もないのですが、暴力に対する静かな怒りを滲ませて、見事です。
終盤、グレゴリー・ペックはハンニバルも通ったかもしれぬ山道を越えて死地と分かっている故郷に帰ります。そのあたりから映画は感動的になっていきます。ラスト、暴力に彩られた人生にカタをつけたうえでの母親との再会は、実にエモーショナルでした。
あえて難点を挙げるなら、過去に観た出演作の記憶から、グレゴリー・ペックがどうしても善人に見えてしまうのはこちらのせいかもしれませんけれど、そのため本作の主題がやや曖昧になった印象は持ちます。
音楽もよいです。85点。
スペイン市民戦争にはとても大きなドラマがありますので、ヘミングウェイやキャパはもちろん、僕とは西部劇の趣味の合わない逢坂剛のスペイン現代史ものなど手に取られてみてはいかがでしょうか。
裸足のラヴァースさんにはいつもお世話になっていて、むしろ当方がお礼を言わねばなりません。ありがとうございます。本サイトでもっとも魅力的な文章をいつも楽しんでいます。
このレビューは気に入りましたか? 14人の会員が気に入ったと投稿しています
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
同じ2時間を、ただただ無駄に浪費するだけの映画と、これ程に複雑な感情を写し出してしまう映画と、何が違うものなのか。名匠フレッド・ジンネマンの挑戦的なフィルムだ。直観的に分かることと、知識として理解すること。こういう映画は、左右の脳に汗をかかずにいられない。
スペイン内戦は、非常に複雑な様相の内戦だ。すごくおおまかに言ってしまえば、これも左派対右派。左派人民戦線政府と、フランコ将軍率いる右派反乱軍の戦い。だが、相互の勢力内部での離合集散や、ファシズム・反ファシズムの勢力圏争いを巡る関係各国の思惑が絡み合って、戦いの図式は複雑になった。
グレゴリー・ペック演じるマヌエル・アルティゲスは、共和国派人民戦線軍の闘士。内戦終結後、国外に逃れたマヌエルを、反乱軍側ビニョラス署長(アンソニー・クイン)は執拗に追い続けている。しかし今やマヌエルは雌伏したまま、ただ逡巡を続けるばかり。その姿は長き内戦への、徒労感を強く感じさせるものだ。内戦終結後、敗走した共和国軍側兵士は、散発的にゲリラ攻撃を仕掛ける程度の反攻しか出来ていない。10年という時間は、闘士の戦意を萎えさせるのに十分な時間だったのだ。
内戦の複雑さを写しとるかの様に、誰が善で誰が悪かの様な、二元論的描き方はされない。もっとも観客の期待は一線を退いた革命の闘士が、いつ再び闘いを挑む為に立ちあがるのか、という単純な一点にあるのだが。
オマー・シャリフ演じるフランシスコ神父が、図らずもマヌエルの心に化学反応を起こさせる。それは、マヌエルの「ポリシーの揺らぎ」という反応だ。それは緩やかに、いつの間にか進んでいる。神父に対し「俺を憐れむのか」とつぶやくマヌエル。おそらくは革命の闘士が初めて、人に弱みを見せた瞬間だろう。その姿が、まるで闇に溶け込むかのように描写される。確かに、哀れだ。
一見、ベクトルが逆だと思う要素が積み重なり、男は行動を起こすことになる。しかしペックが表情にあまり表さない(表せない?)為に、感情の機微が非常に分かりづらい。ジンネマンはスペイン通りを転がってゆくサッカーボールに、その思いを象徴させてはいるようだが。
その後のマヌエルの行動には、疑問もある。帰国への途上、彼が若い娘の脚に視線をやるカットの意味は?この瞬間、彼は…を予感した、という描写なのか。 また、彼を突き動かしている思いは、結局、何だったのか。なぜターゲットを…したのか。一切の説明はされない。全てが観客にゆだねられたまま、幕は閉じる。そこに爽快感はカケラも無い。
唐突な活劇から、ストーンと無常観漂うラストへと落とされる観客。わざわざ変更されたタイトルには、「日曜日に鼠を殺したネコが、月曜日には人間に殺されてしまう」という意味があるのだという。その解釈で言うならば、無常を感じとったことは、ある意味間違ってはいなかったのだと言えるのだろうか。
このレビューは気に入りましたか? 10人の会員が気に入ったと投稿しています
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いよいよ大詰めへという場面、今はすっかりやさぐれた元スペイン人民戦線闘士、マヌエルことグレゴリー・ペックは、純真なパコ少年に買ってやった真っ白なサッカーボールを部屋の片隅から拾い上げ、わずかに表情をゆがめつつポイと窓から放り投げる。ボールは大きく弾んで無人の坂道を転がり落ちていく。白いボールがはねつつ消えていくどこか幻想的な大俯瞰映像。
わたしの「映画脳」にまばゆい白熱の火花を散らしながら快感の電流が駆けめぐった。
これを撮りたいがためにマヌエルの寓居を最上階にしたのではないかと勘繰ったほど、主人公の決意と勝算のない戦いの末路を象徴するすさまじく鮮烈な映像だった。象徴的と言えば、ルルドの広場の群衆の白黒陰影を極端に強調した絵など、「去年マリエンバードで」のスチール写真を思い出したほどで、これ、硬骨漢ジンネマンの新しい映画アートも狙った実験的野心作ではなかろうかとさえ妄想した。
とはいえ、お話の面白さも抜群だ。スペイン内戦の歴史知識にとくに詳しくなくても、負けて落ちぶれた男が最後の意地を貫く物語としても、高倉健が池部良の助けなしにたった一人、絶対多勢の敵に死を覚悟の殴り込みをかけるが如きのアクション映画としても楽しめる。酒場の娘の太ももに目をやるのは、合戦の前のはやる心と不安を女の体で鎮めようとする、古来より続く戦士のならいに従ったのでしょう。紳士のグレゴリー・ペックは見る以上のことはしないが。
もちろん「どちらの法に従うの?神の法?署長の法?」なんて台詞があるから、人間の良心のあり方を問うきまじめヒューマンドラマとしても堪能できる。正直なところ、ちょっとお高い「わが命つきるとも」より、まわりくどい「地上より永遠に」より本作が断然好き。アカデミー無冠でもね。
人民戦線側が敗北してフランコ将軍の天下になってからは、マヌエルたちはレジスタンスになるわけだが、こういう左翼少数派は敵の大将を討ち取ることより、仲間うちの裏切り者を処刑することに情熱を燃やすのはどこも同じらしい。「影の軍隊」も「連合赤軍への道程」も。せっかく署長ヴィニョラス(アンソニー・クイン)に合わせた照準をすっとカルロスに移動させた時は、心底がっかりした。パコ少年の願いを叶えてやれたばかりではなく、独裁政権に少なからぬ打撃を与えることができたろうに。いや、いけない、私はどんな相手であろうとも人殺しには絶対反対のはずだった。
面白い映画は危険だ。
そんな感化されやすい観客のために、いかにも良識派のジンネマンはフラシスコ神父(オマー・シャリフ)を配して、フランコ側にも人民戦線側にもひとの命を奪う権利はないと言わせ、マヌエルに「暴力的な半生を悔いていますか」と諭している。結局物別れにはなるのだが。スペインカトリック教会がフランコを支持したのは知っていたが、人民戦線の闘士たちがあれほど激しく教会や神父を批判し無神論者であることには少々驚いた。本作をして「幻の傑作」たらしめているのはそのあたりにあるのかもしれない。
グレゴリー・ペックのやさぐれぶりは最高。ピレネー山中や古風な田舎の街や村の素晴らしく美しいロングショットと登場人物の心理を微細にあぶり出す表情のアップ、その絶妙なリズム感、緊張と弛緩の巧みな配分。絶命する寸前のマヌエルの脳裏にあの白いサッカーボールを再び登場させる周到さ。これぞ映画!
蛇足ですが私はフランシス神父の意見に賛成です。
このレビューは気に入りましたか? 8人の会員が気に入ったと投稿しています
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
この作品は小学生のときにテレビで見たっきりで、今回見直すまでは随分記憶が混乱していました。
まず、配役ですが、ずっとグレゴリー・ペックとアンソニー・クインの役を反対に記憶していました。(ゲリラと警察署長)次に、もっとアクション・シーンが多かったように記憶していました。
まあ、そういった間違いも再度、見直すことで気が付いた訳ですが、改めて見直して、フレッド・ジンネマンの演出の巧みさに唸りました。
冒頭の戦いに敗れてフランスへ亡命する人民戦線の兵士たちの祖国を振り返る顔に始まり、字幕で一気に20年後に時間が跳び、スペインから国境を越えて伝説の人民戦線の勇士マヌエル(グレゴリー・ペック)を尋ねてくる少年を通して、時間が容赦なく人を変えてしまう残酷さをもう帰郷しないと告げる主人公の姿で表現します。
また、余命いくばくも無いマヌエルの母親を利用してマヌエルを捕らえようと罠を張る警察署長(アンソニー・クイン)、母親の最期を看取って、その言葉をマヌエルに伝えようとする若い神父(オマー・シャリフ)、主人公の友人の振りをして署長の罠にマヌエルを誘い込もうとする密告者といった様々な人物を配して、マヌエルが故郷の町に戻る決心をするまでを緊張感をもって描きます。
マヌエルと神父の間も当初はギクシャクしています。これはスペイン内戦で教会がフランコ側についた所為です。しかし、神父自身は内戦中にどちらか判らない兵士に父親を殺されており、そうした内戦ゆえの複雑な事情も描かれます。
映画はそうした背景を持つ一人の人間がぎりぎりの決断をするまでの時間を描いたものだと言えます。したがって、この作品にアクションを期待すると肩透かしを食います。
ところでどなたか邦題の原典を教えていただけないでしょうか。ちょっと気になります。
このレビューは気に入りましたか? 5人の会員が気に入ったと投稿しています
入力内容に誤りがあります。
内容をご確認のうえ、修正いただきますようお願いいたします。
ユーザーレビュー:15件
投稿日
2006/08/23
レビュアー
よふかし※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
実に面白い作品でした。
スペイン市民戦争は、大国の代理戦争、左右陣営の激突、国際旅団、フランコ独裁時代、バスク問題など、興味深いテーマがたくさんあるのですが、こういうアプローチもあるのですね。
内戦はいつの時代ももっとも陰惨な戦争になりますが、教会の力の強いスペインでは、神と暴力という主題がより深められるような気がします。
この映画も、序盤からの息苦しいクロース・アップの連続が、登場人物たちの苦悩を確かに描き出します。オマー・シャリフが演じる神父は、他者の挑発にもその信仰に揺らぎを見せることは微塵もないのですが、暴力に対する静かな怒りを滲ませて、見事です。
終盤、グレゴリー・ペックはハンニバルも通ったかもしれぬ山道を越えて死地と分かっている故郷に帰ります。そのあたりから映画は感動的になっていきます。ラスト、暴力に彩られた人生にカタをつけたうえでの母親との再会は、実にエモーショナルでした。
あえて難点を挙げるなら、過去に観た出演作の記憶から、グレゴリー・ペックがどうしても善人に見えてしまうのはこちらのせいかもしれませんけれど、そのため本作の主題がやや曖昧になった印象は持ちます。
音楽もよいです。85点。
スペイン市民戦争にはとても大きなドラマがありますので、ヘミングウェイやキャパはもちろん、僕とは西部劇の趣味の合わない逢坂剛のスペイン現代史ものなど手に取られてみてはいかがでしょうか。
裸足のラヴァースさんにはいつもお世話になっていて、むしろ当方がお礼を言わねばなりません。ありがとうございます。本サイトでもっとも魅力的な文章をいつも楽しんでいます。
投稿日
2009/03/17
レビュアー
ぴよさん※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
同じ2時間を、ただただ無駄に浪費するだけの映画と、これ程に複雑な感情を写し出してしまう映画と、何が違うものなのか。名匠フレッド・ジンネマンの挑戦的なフィルムだ。直観的に分かることと、知識として理解すること。こういう映画は、左右の脳に汗をかかずにいられない。
スペイン内戦は、非常に複雑な様相の内戦だ。すごくおおまかに言ってしまえば、これも左派対右派。左派人民戦線政府と、フランコ将軍率いる右派反乱軍の戦い。だが、相互の勢力内部での離合集散や、ファシズム・反ファシズムの勢力圏争いを巡る関係各国の思惑が絡み合って、戦いの図式は複雑になった。
グレゴリー・ペック演じるマヌエル・アルティゲスは、共和国派人民戦線軍の闘士。内戦終結後、国外に逃れたマヌエルを、反乱軍側ビニョラス署長(アンソニー・クイン)は執拗に追い続けている。しかし今やマヌエルは雌伏したまま、ただ逡巡を続けるばかり。その姿は長き内戦への、徒労感を強く感じさせるものだ。内戦終結後、敗走した共和国軍側兵士は、散発的にゲリラ攻撃を仕掛ける程度の反攻しか出来ていない。10年という時間は、闘士の戦意を萎えさせるのに十分な時間だったのだ。
内戦の複雑さを写しとるかの様に、誰が善で誰が悪かの様な、二元論的描き方はされない。もっとも観客の期待は一線を退いた革命の闘士が、いつ再び闘いを挑む為に立ちあがるのか、という単純な一点にあるのだが。
オマー・シャリフ演じるフランシスコ神父が、図らずもマヌエルの心に化学反応を起こさせる。それは、マヌエルの「ポリシーの揺らぎ」という反応だ。それは緩やかに、いつの間にか進んでいる。神父に対し「俺を憐れむのか」とつぶやくマヌエル。おそらくは革命の闘士が初めて、人に弱みを見せた瞬間だろう。その姿が、まるで闇に溶け込むかのように描写される。確かに、哀れだ。
一見、ベクトルが逆だと思う要素が積み重なり、男は行動を起こすことになる。しかしペックが表情にあまり表さない(表せない?)為に、感情の機微が非常に分かりづらい。ジンネマンはスペイン通りを転がってゆくサッカーボールに、その思いを象徴させてはいるようだが。
その後のマヌエルの行動には、疑問もある。帰国への途上、彼が若い娘の脚に視線をやるカットの意味は?この瞬間、彼は…を予感した、という描写なのか。 また、彼を突き動かしている思いは、結局、何だったのか。なぜターゲットを…したのか。一切の説明はされない。全てが観客にゆだねられたまま、幕は閉じる。そこに爽快感はカケラも無い。
唐突な活劇から、ストーンと無常観漂うラストへと落とされる観客。わざわざ変更されたタイトルには、「日曜日に鼠を殺したネコが、月曜日には人間に殺されてしまう」という意味があるのだという。その解釈で言うならば、無常を感じとったことは、ある意味間違ってはいなかったのだと言えるのだろうか。
投稿日
2009/11/18
レビュアー
港のマリー※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
いよいよ大詰めへという場面、今はすっかりやさぐれた元スペイン人民戦線闘士、マヌエルことグレゴリー・ペックは、純真なパコ少年に買ってやった真っ白なサッカーボールを部屋の片隅から拾い上げ、わずかに表情をゆがめつつポイと窓から放り投げる。ボールは大きく弾んで無人の坂道を転がり落ちていく。白いボールがはねつつ消えていくどこか幻想的な大俯瞰映像。
わたしの「映画脳」にまばゆい白熱の火花を散らしながら快感の電流が駆けめぐった。
これを撮りたいがためにマヌエルの寓居を最上階にしたのではないかと勘繰ったほど、主人公の決意と勝算のない戦いの末路を象徴するすさまじく鮮烈な映像だった。象徴的と言えば、ルルドの広場の群衆の白黒陰影を極端に強調した絵など、「去年マリエンバードで」のスチール写真を思い出したほどで、これ、硬骨漢ジンネマンの新しい映画アートも狙った実験的野心作ではなかろうかとさえ妄想した。
とはいえ、お話の面白さも抜群だ。スペイン内戦の歴史知識にとくに詳しくなくても、負けて落ちぶれた男が最後の意地を貫く物語としても、高倉健が池部良の助けなしにたった一人、絶対多勢の敵に死を覚悟の殴り込みをかけるが如きのアクション映画としても楽しめる。酒場の娘の太ももに目をやるのは、合戦の前のはやる心と不安を女の体で鎮めようとする、古来より続く戦士のならいに従ったのでしょう。紳士のグレゴリー・ペックは見る以上のことはしないが。
もちろん「どちらの法に従うの?神の法?署長の法?」なんて台詞があるから、人間の良心のあり方を問うきまじめヒューマンドラマとしても堪能できる。正直なところ、ちょっとお高い「わが命つきるとも」より、まわりくどい「地上より永遠に」より本作が断然好き。アカデミー無冠でもね。
人民戦線側が敗北してフランコ将軍の天下になってからは、マヌエルたちはレジスタンスになるわけだが、こういう左翼少数派は敵の大将を討ち取ることより、仲間うちの裏切り者を処刑することに情熱を燃やすのはどこも同じらしい。「影の軍隊」も「連合赤軍への道程」も。せっかく署長ヴィニョラス(アンソニー・クイン)に合わせた照準をすっとカルロスに移動させた時は、心底がっかりした。パコ少年の願いを叶えてやれたばかりではなく、独裁政権に少なからぬ打撃を与えることができたろうに。いや、いけない、私はどんな相手であろうとも人殺しには絶対反対のはずだった。
面白い映画は危険だ。
そんな感化されやすい観客のために、いかにも良識派のジンネマンはフラシスコ神父(オマー・シャリフ)を配して、フランコ側にも人民戦線側にもひとの命を奪う権利はないと言わせ、マヌエルに「暴力的な半生を悔いていますか」と諭している。結局物別れにはなるのだが。スペインカトリック教会がフランコを支持したのは知っていたが、人民戦線の闘士たちがあれほど激しく教会や神父を批判し無神論者であることには少々驚いた。本作をして「幻の傑作」たらしめているのはそのあたりにあるのかもしれない。
グレゴリー・ペックのやさぐれぶりは最高。ピレネー山中や古風な田舎の街や村の素晴らしく美しいロングショットと登場人物の心理を微細にあぶり出す表情のアップ、その絶妙なリズム感、緊張と弛緩の巧みな配分。絶命する寸前のマヌエルの脳裏にあの白いサッカーボールを再び登場させる周到さ。これぞ映画!
蛇足ですが私はフランシス神父の意見に賛成です。
投稿日
2008/09/09
レビュアー
さっちゃん※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
この作品は小学生のときにテレビで見たっきりで、今回見直すまでは随分記憶が混乱していました。
まず、配役ですが、ずっとグレゴリー・ペックとアンソニー・クインの役を反対に記憶していました。(ゲリラと警察署長)次に、もっとアクション・シーンが多かったように記憶していました。
まあ、そういった間違いも再度、見直すことで気が付いた訳ですが、改めて見直して、フレッド・ジンネマンの演出の巧みさに唸りました。
冒頭の戦いに敗れてフランスへ亡命する人民戦線の兵士たちの祖国を振り返る顔に始まり、字幕で一気に20年後に時間が跳び、スペインから国境を越えて伝説の人民戦線の勇士マヌエル(グレゴリー・ペック)を尋ねてくる少年を通して、時間が容赦なく人を変えてしまう残酷さをもう帰郷しないと告げる主人公の姿で表現します。
また、余命いくばくも無いマヌエルの母親を利用してマヌエルを捕らえようと罠を張る警察署長(アンソニー・クイン)、母親の最期を看取って、その言葉をマヌエルに伝えようとする若い神父(オマー・シャリフ)、主人公の友人の振りをして署長の罠にマヌエルを誘い込もうとする密告者といった様々な人物を配して、マヌエルが故郷の町に戻る決心をするまでを緊張感をもって描きます。
マヌエルと神父の間も当初はギクシャクしています。これはスペイン内戦で教会がフランコ側についた所為です。しかし、神父自身は内戦中にどちらか判らない兵士に父親を殺されており、そうした内戦ゆえの複雑な事情も描かれます。
映画はそうした背景を持つ一人の人間がぎりぎりの決断をするまでの時間を描いたものだと言えます。したがって、この作品にアクションを期待すると肩透かしを食います。
ところでどなたか邦題の原典を教えていただけないでしょうか。ちょっと気になります。
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日曜日には鼠を殺せ