スナイパー

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状況設定の斬新さと女優の演技だけで見せるサスペンスですが、リンダ・フィオレンティーノのファンである私には大変楽しめる作品でした。清純で真っ当なヒロインは全く演らせてもらえないリンダですが、不貞腐れたような微笑みの中に妙に人懐っこい可愛らしさが垣間見えるところが素敵で、「ガッチャ！」の頃から贔屓にしております。
しかし今回久しぶりに再鑑賞してみて、お話のほうのオソマツさにかなり呆れました。主役に「善人しか演れないウェズリー・スナイプス」を起用したせいもあるのでしょうが、物陰から高性能ライフルで狙い撃ちするという卑怯千万な銃オタクのテロリストに何とか正当性を与えようとして「愛娘の仇討」だの「武器商人の非道」だの「麻薬密売に絡む警官」だの「若い役者と不倫する人妻」だの、懸命に並べたてる悪あがきが非常に不快です。呆気なく殺されてしまう若い記者など、いかにも性格悪そうな表情はしているものの「収賄議員の息子」だという簡単な説明だけではとても「天誅を下す」理由にはなり得ず、と言ってウェズリー君ではテロリストの狂気を表現する演技力も無く、つまりは脚本のオソマツさを際立たせるだけの結果になっています。
まぁ私のほうも「下着をつけていない」リンダの背中だけのヌード（？）にドキドキして、最初の鑑賞ではあまり気にならなかったくらいですから、ムキになって酷評するほどのことではないのかもしれませんが。

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オープニングからエンディングまで、主人公がひとつの部屋に閉じこもっているという珍しい設定。

この「静」の主人公に、狙われる者と主人公を追う側の「動」という対比が本作の面白いところ。
全編を通じて緊張感とスピード感には思わず惹き込まれるし、ウェズリー・スナイプスの熱演も光ります。

ただ、その場の状況や彼の目的を理解するのに時間がかかる事と、それを知ってしまえば他に方法が無かったのかと疑問が浮かんでくる。
彼のやり方では矛盾が感じられ、状況設定の面白みが活かしきれていない。
同時期に公開し、似たような設定の「フォーン・ブース」の方が緊迫感が勝っているしランクが上です。

スナイパーが復讐のために撃ったのは正義だと同情を引くような流れを感じる。なら彼の最後はあれしかない。

コンビニで銃弾が買える国が作った映画だと思えば、銃社会に一石を投じた問題作と言えるかも。

なんだか予定調和なんです。学校で娘を銃殺された父親が、その銃の製造会社の副社長を相手取って狙撃脅迫する。それだけで話は進むのですが、当初タイムリミットは８０分だったのですが、ずいぶんと長い８０分（そういう意味では２４は最高）に感じます。て、いうか……何がしたいのかよく分からない映画でした。最近公開された「フォーンブース（私はまだ見ていません）」みたいなシチュエーションですが、話が広がらないので「いいからもう殺して話を終わらせろ」と感じてしまいます。「ボーリング・フォー・コロンバイン」を見ていたので、銃社会の裏側はやや理解していたので、おもしろみもありました。でも、それだけ。主人公はいたずらに狙撃しているし、銃社会への警鐘といいながらも、なにをしたいのか分からないし。作っている人たちも混乱しているのか、無理矢理台詞だけで話をまとめようとするし……同じテーマの作品でも他に良作がありすぎて、なんとも耐え難い作品になっています。

よくもまあ、こんなシナリオが…
監督さん。よっぽど脳がヒマだったのかしらね。

動機も何もがバカすぎて、損した事ばかり考えさせる映画って
一体？
「山猫は眠らない」とか「スターリングラード」みたいな息を詰めらせるシーンを期待するのは間違いです。
何が「スナイパー」だよ。狙い撃ちされたのは俺だよって感じ。

がっかり。見ないほうがいいです。フォーンブースを見ましょう。