グレン・ミラー物語

一度は聞いたことがある音楽が随所に出てきます。名曲を十分に堪能できるすばらしい映画だ。グレン・ミラーのやさしさが伝わってきました。

ロキュの６９日連続レビュー　その２

初めて観たのはやはり日曜洋画劇場でしょうか。
伝記ものっていっても、実録ではなく創作そのものと感じる美談ですが、ウソっぽいいやな感じはせず、昔観たときそのままに、古風な夫婦愛と周囲のあたたかさに支えられたサクセスストーリーに酔いしれたのは、やはり音楽の力が大きいです。
フォークやロック全盛の思春期に、このスウィング・ジャズ・サウンドはしっかりと記憶に残りましたから。

妻を演じるジューン・アリスンはけっして男がひざまずく様な美人ではないですが、明るく真の強い良きパートナーを演じています。
(夫のここ一番のために地道に貯めたお金を出すところは「山内一豊の妻」に通じるもの。　日本でもヒットした普遍性が窺えます。)
夫婦が絆を深めていくエピソードがうまく伏線になっていて、ヒット・ナンバーと結びついていくストーリー・テリングのうまさが、この作品を音楽家伝記映画のクラシックにしました。

日本でも原信夫とシャープ&フラッツが引退・解散したりとだんだんと減っていっていますが、ビッグ・バンド・ジャズ―――この映画は人間的なあたたかみとゴージャスな気持ちにさせてくれる、そのサウンドを私たちに教えてくれます。
ルイ・アームストロングやジーン・クルーパーらの演奏を観られるのも大きな魅力の一つ。

グレン・ミラー・サウンドは、それこそ「真珠の首飾り」そのままに、華美ではないですが、上品でつつましやかな輝きと美しさに満ちていて、映画もまたそうなのでした。

監督：アンソニー・マン（1954年・米・115分）
※1954年アカデミー賞　録音賞受賞

グレン・ミラー・オーケストラと言えば、私は「ムーンライト・セレナーデ」「茶色の小瓶」が真っ先に思い浮かびます。
タイトルを知らなくても、音楽を聴けば「この曲か」と思い当たる人も多いはず。
そんなビッグ・バンドを作ったグレン・ミラーの「質屋通い」の若き日から、有名人気バンドのリーダーとなる迄の物語です。
グレン（ジェームズ・ステュアート）はトロンボーン奏者でしたが、中々仕事にありつけず、トロンボーンを質草にして、ガソリンスタンドのバイトでお金を作っては受け戻すことを繰り返していました。
彼は、いずれは自分の楽団を持つことを目標にしていて、曲のアレンジ（編曲）の才能で認められていきます。
そして、彼の成功の陰には、いつも明るく貯金上手な妻・ヘレン（ジューン・アリソン）がいたのです。
グレンとヘレンの恋愛は、まったくグレンのゴリ押しに見えましたが、ヘレンがグレンの妻になることを決めたのは、ヘレンの首の後ろが“ピン”となったからでした。
不思議なことにヘレンの首の後ろが髪の毛が逆立つような感じで“ピン”となったら、それは良いことの予兆（ヘレンの勘）だったみたいです。（笑）
最初に流れる「ムーンライト・セレナーデ」誕生の瞬間も劇中で描かれていて、このタイトルはグレンとヘレンの合作のようなもので、ムーディーなスローナンバーです。
「ペンシルベニア6-5000」は、グレンがヘレンに贈った、二人の思い出に繋がる曲です。因みに6-5000の数字は電話番号。
その他にも「イン・ザ・ムード」「セントルイス・ブルース」「アメリカン・パトロール」など挿入曲が沢山で嬉しいです。
ラストは「茶色の小瓶」これはヘレンが学生時代から好きな曲で、それをグレンが新しく編曲し直したものです。でも、それを初めて（ラジオから流れて来るのを）聴く状況が悲し過ぎました。

グレン・ミラーを演じたジェームズ・ステュアートが、トロンボーンを吹くシーンがありました。実際に吹くことが出来たのかどうかは分かりませんが、まるでスウィングするように軽やかな人物を演じていました。
ヘレン役のジューン・アリソンの快活な演技は、とても魅力がありました。
若草物語のジョーを演じた時にも思ったことですが、明るく芯のある女性が似合っています。笑顔も魅力的でした。

１９３０年代から 白人のビッグバンドによる　アンサンブルを中心としたダンスミュージックが　スウィング・ジャズ

その創始者グレン・ミラーを　アメリカの良心 / ジェームズ・スチュワート　そして　良妻賢母 / ジューン・アリソンの　アメリカ映画の最良ベストカップル

かずかずの名曲とともに 優しさに包まれた　心暖まる そして 切なくも夫婦愛を・・・　　

スウィング・ジャズのスタンダード曲がずらり♪♪

♪ ムーンライト・セレナーデ
♪ 真珠の首飾り
♪ ペンシルベニア6-5000
♪ タキシード・ジャンクション
♪ セントルイス・ブルース・マーチ
♪ イン・ザ・ムード
♪ チャタヌーガ・チュー・チュー
♪ アメリカン・パトロール
♪ 茶色の小瓶

曲名をきいただけで　うかんでくるメロディーばかり　いまなお素敵で　新鮮なサウンドで

これはもうたまらない　兵士の行進のさいの 「 セントルイス・ブルース・マーチ」

Ｇ・ミラーの音楽に興味がなくとも　じゅうぶんに楽しめ　この映画をみれば　スウィング・ジャズが　好きになる
音楽は編曲をヘンリー・マンシーニが担当

「五つの銅貨」 も　DISCASで　みたいニャ♪♪

　オスカーショウを見ていてジューン・アリスンが亡くなっていた事を知りました　彼女はジェームス・スチュワートとの３本の共演作などにより理想の奥さん　アメリカ版結婚したい女優NO１でした　この映画における彼女も優しく聡明でグレン・ミラーへの内助の功を発揮するよき妻を演じています

　いまどきの若者は映画「スウィングガール」でビッグバンドジャズの魅力を再認識したかもしれません　トランペッターの事故からアレンジを即決でクラリネットのリードに替えた「ムーンライトセレナーデ」が空前のヒットになりグレンミラーはスターになりました　私たちが知るグレンミラー楽団の演奏は彼の死後リーダーになったレイ・マッキンレイによるものです　

　数々のヒット曲　インザムード　真珠の首飾り　茶色の小瓶　ペンシルバニア６-５０００などが映画でもちりばめられています　「君につづく道」「ドリームガール」「レイ」などミュージシャンの伝記物は今でも盛んですが　やはり私にとってのベストはこの映画です　ジューン・アリスンのご冥福をお祈りします