プリティ・ブライド

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　見る前はドタキャン花嫁という設定が「？」だった。式場から逃げ出す、それも３度もなんて、そんな無責任なことが、たーだそれがジュリア・ロバーツだからって許されるのか？そんな、物語をおもしろおかしく転がすためだけに造られたヒロインが魅力的なもんかいっ、と思っていたのだが、蓋を開けてみたらこのマギーという女性、どーしてどーしてちゃんと“生きている”ではないか。

　バーで小耳に挟んだ脱走花嫁の話を、自分のコラムにしたためたアイク（リチャード・ギア）。当人から事実誤認の抗議がきて、真相を確かめるためにやってきた彼が見た、実際の彼女の姿は…。確かに八方美人で、親友の眼前で彼女の夫とじゃれあったりする女なのだ。元々恋人同士だった二人を見つめる親友の気持ちなど考えてない。このヒロインの無神経さをきちんと捉えているのに私はちょっと感心した。そして、大学を中退して家業を継いだ彼女が、ずっとアル中気味の父親のお守りをしてきたらしいことも描かれる。この辺り、彼女が家庭の中で親の役割を担わされてきたアダルト・チルドレンであることが伺える。わがままで放縦な性格のようでいて、実は周囲に合わせて自分を偽って生きてきたということを、卵料理で表現しているのもおもしろい。自分らしく生きることを制限されてきた彼女は、その状態に長く慣らされ、本当の自分を取り戻すことに臆病になっている。だから、本当は二人だけの結婚式を挙げたいのに、その自由が怖くてできないのだ。神経症の一種に、バカげていると分かっていながら恐怖感に苛まれてどうにもならない「恐怖症」というものがあるが、マギーの場合は結婚式がそれらしい。一種の空間恐怖である。自分でもこんなのはおかしい、今度こそ大丈夫、と思うから同じ失敗を繰り返す。そう言えば彼女、過換気発作もよく起こしていました。（やっぱり神経症か）もう少し深読みをすれば、結婚＝父親を捨てる、という潜在的な罪悪感が恐怖心を呼び起こしているのかもしれない。

　ドラマチックなプロポーズに酔って自分の本心に気づかずに婚約、ドタキャンを繰り返してきたマギーに、アイクはもっと地道で誠実な言葉で愛を語った。そして、彼女は本当の自分を取り戻す努力（と言っても卵料理との格闘なのだが…）をし、最後は当然ハッピーエンド。

　結局、二大スターのラブラブぶりを堪能するコメディではある。が、病める現代人を描き込んだヒロインの人物像は嬉しい誤算だった。

プリティーウーマンでやめときゃよかったんだよ〜！と雄たけびを上げたくなった。
いかにもやっつけ仕事で、取り急ぎ作ったって感じの内容。
主役二人が大物だけに、ストーリーの陳腐さに、がっかりだよ〜！！！！！

タイトルからどうしても前作と比べてしまうケド、今回は別物として観ました。結婚がテーマなので、結婚に対する女性心理が上手く出ていたとは思います。私としては、まぁ○です。

　この作品はおそらくアンサー版だろう。
　アンサーであって、“続”や“�U”でないのは、制作側は、「プリティウーマンの“ファン”」に対して、同じ快感を再現することで二匹目のドジョウを狙った、というわけではないからだ。むしろ創造面で、一歩進めて新しいモチーフを開花させようと、工夫を凝らした痕跡を見て取ることが出来る。
　これから観る人は、「プリティ ウーマン」とはまったく別の作品として、対面した方がいいと思う。
　（「プリティ ブライド」という邦題は、絶妙にハマりすぎて、かえって損してる感じです）

　私にとって、理解しにくいのは、アメリカ人の“結婚に対するこだわり”の中身だ。
　少し古い話だけれど、「ビバリーヒルズ青春白書」のケリーとブランドンも、当初からお互い惹かれあい、同棲までして、いよいよ結婚しようというところでゴタゴタする。離婚率世界トップのアメリカにあってみれば、「ダメなら別れればいいんだから（これ不謹慎？）、そんなに迷わずに式挙げちゃえばいいのに」と、こちらは思いたくなるが、意外にも、相当もどかしいほど、アメリカの女性は結婚に対してナーバスである。そう見える。

　この作品は、そうした、「結婚を夢見ながらも、最後の一歩が踏み出せずにいる女性」に対する応援歌なのかも知れない。
　娼婦でも財閥令嬢でもない、本来の“わたし”。着飾った私でも落ちぶれた私でもない、“普通の女”の素朴な本心。結婚にまつわるとまどい。そのモチーフが、町の人々の人間味溢れる日常 −老いた酒浸りの父親も、ウェディングケーキを焼き直すベーカリーのおばさんも、ふられて神職に就いている男も、幼なじみで昔の恋人を亭主にしている友達の女性も、それぞれが生きている− そんな背景をカンバスに、オシャレに洒脱に描かれる。
　ハートフルながら決して野暮でない、ゲイリー=マーシャル監督の手腕がここでも冴えている。

　タイトルバックでブーケの落ちてきた先が気になります。

なぜにマギーは結婚式の場から逃げ出すのか？
本当の自分をさらけ出すことって難しい。
本当の相手をわかってあげることは、それよりもっと難しい。
だれもが解っているそんなことを、年輪を重ねたジュリアとリチャードにいまさら演じさせたのはやっぱり前作品のおいしさが忘れられなかったのか…。
主人公二人のファンが月９ドラマと同じ感覚で楽しむ分には、平和な田舎町の田園風景が心を暖かくしてくれることもあって許せる・・・ってところでしょうか。
評価：50点。