サザンコンフォート　ブラボー小隊　恐怖の脱出

　この映画は幻だった。
　ウォルター・ヒルが『ザ・ドライバー』『ウォリアーズ』でアクション映画好きの心をつかんでいたとき、映画雑誌の新作案内で写真が一枚だけの短信が出た。
『サザン・コンフォート』。長じてはウィスキー・リキュールの名前でもあると知ったが、ハードなアクションを期待させる響きがそこにあった。
　公開を待って・・・・２０年が過ぎたころ、
「ブラボー小隊の脱出とかいうタイトルで深夜放送したことがあるらしい」
　と聞いて愕然。知らないよ、そんなの。
　輸入ビデオなどじゃないと観られないのかとあきらめたころ、突如このＤＶＤが発売されたのだ。
　もちろん、発売直後に購入。
　早速２０年ぶりの邂逅を・・・・・・・・・・。

　こりゃ公開されなくてもしかたないね（苦笑）。
　設定はいいんだけどさ、ブアマン『脱出』がはるかにタイトに仕上げていた話、越えられなかったね。
　湿地帯でケイジャンと戦うときに、地形や敵との位置関係がはっきりしないのは、戦闘場面として致命的。そこに、ヒルが愛してやまないペキンパーの模倣たるスローモーションがかぶさるんだが、これが効果的どころかマイナスに働いてしまう。
　どうしてそこでスローモーションを使わなくちゃいけないのか、ヒルには確固たる信念がないような気がする。
　そんなわけで、長年思い続けた相手が実は大して美人でなかったような、なんか情けない話でありまして。ぐすん。４５点。

この作品を観るには、以下２つの存在を知っておいたほうがいいだろう。
ひとつは、アメリカには民間人によるアルバイト兵ともいえる「州兵」のシステムがあること。もうひとつは、ルイジアナ州には一般的なアメリカのものとは異なる文化を持つ、フランス語系のコミュニティ「ケイジャン」がある（いる）こと。

本作の舞台はルイジアナの陰鬱な湿地帯の森。ここで訓練中の州兵たちが、自らの愚かな行為により、ケイジャンからの復讐を受けることになる。

これは、もはやホラーだ。ケイジャンの執拗な攻撃が怖い。つーても、州兵たちがあまりにアホ過ぎて、復讐されるのは自業自得とも思えるので、あまり感情移入もできない。よってハラハラ感ドキドキ感は希薄。
はっきり言えば、それほど良い出来の作品とは思えないのだけど、全編に漂う暗く重い熱気のようなものだけは、ほかではなかなか味わえないかも。
それと舞台となる湿地帯も印象的。あまりに禍々しく、まるで童話に出てくる“悪い魔女の森”のようだ。本当にこんな景色があるんだナと驚かされた。マスターフィルムの問題なのか、画質が非常に悪いのが残念に思う。

おいおい！まだアメリカにも未知の原住民いるの？てゆうより、あんたら兵士やろ？まあ〜州兵だから、民間人ボランティア兵士！多少は訓練して兵士として鍛えているから、そんなにおびえなくても・・・とりあえず、撃って撃って撃ちまくってください！
あまりにも頼りなく弱い！

ミシシッピの沼沢地にはいけなくなりますなぁ。
ケイジャン怖いって（笑

「悪魔のいけにえ」でテキサス行くと
チェーンソー持ったのが追いかけてくると思うのと同様ｗ

しかし、この映画に出てくる兵隊は２人除いて
アホばかりですyo

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　　アメリカのルイジアナ州軍の訓練中、迷い込んだ密林の中で謎の現地住民（ケイジャン）に襲撃され、パニックに陥るルイジアナ州軍分隊を描いた、スリラー・パニック系映画。軍物を扱ったスリラー映画は結構残念なＢ級が多いのだが、本作は微妙な当落線上（笑）。

　本作に登場する謎？の集団ケイジャン(Cajun)とは、18世紀以前にアメリカに移住したフランス系住民のうち、ルイジアナ州に住み着いた人々を指すらしい。実態はどうなのかは良く知らないが、本作では、密林の中で文明から取り残されたような独自の生活文化を育んでいる、ちょっと怪しげな集団だ。フランス語しか話さず、独特の服装がなんとも妙なのだが、ケイジャンと言えば、料理や陽気な音楽でも知られるとおり、決して怪しくはないはずだ。しかし、そうした古風さや陽気さの裏返しなのだろうか、本作中では何やら裏がありそうな不気味さをかえって醸し出している。ただ、現在ではこうしたケイジャンを描くことは人種差別にひっかかりそうな気はする。ビデオ題は「ダーティーアーミー/対決！悪魔のカルト集団」とされており、ケイジャンはカルト集団にされてしまっている（笑）。

　撮影はルイジアナそのもので行われているが、うっそうとした密林と湖沼が背筋をゾクゾクさせる。そうした中に見え隠れするケイジャンの恐怖はなかなかのもの。特に、終盤まで顔や姿を出さないあたりはその恐怖をより一層高めている。密林や湖沼を知り尽くしたケイジャンの殺人トラップや独自の文化による暗示表現もまた、何が起こるかわからない恐怖感を駆り立てる。
　ルイジアナ州兵は二等軍曹に率いられる分隊８名で、職業軍人のほかにパートタイム兵も多く含まれている。そのため規律に乏しく、中には言うことを聞かない破天荒の若者も含まれる。こうした規律のなさがケイジャンに襲われてパニック状態に陥っていくのだ。恐怖に精神が壊れていく兵士や、訓練のために実弾がほとんどないというプレッシャーも見物だ。戦う理由や襲われる理由すらわからないような状況の中、生き残るために兵士達は必死に智恵を絞るのだ。
　戦闘シーンそのものはケイジャン相手だけに大人しい。アクション性も決して高いもののではなく、瞬発的な恐怖感というものは少なめ。だが、姿の見えないケイジャンが迫り来る、ジワジワとした恐怖感を堪能する作りとなっている。

　全体にそこそこのまとまりとなっているが、ややインパクト不足の感は否めない。ラストのスローモーションシーンは何やら意味深。何かを予告しているかのような雰囲気だが、ストーリーとどのように関係しているのか、想像をたくましくするのも面白い。
　また、設定が馴染みの薄いケイジャンということで、ちょっとストーリーに入り込みづらい感じはある。ケイジャンとは何者なのかという暴露があっても面白かったかなあと思った。スリラーと言ってもそんなに怖い部類ではない。