サラ、いつわりの祈り

原作にかなり忠実です。逆にいえば、原作の力に頼りすぎているというか、映画自体にはあまり魅力を感じなかった。たとえば、主人公は自分がサラ(母親）の恋人にレイプされるところを、「赤いカラスについばまれる」と表現しているのですが、それをそのまま映像にしているので、なんだか安っぽくなってしまって、もう少し工夫が欲しかった。

これは「母と息子の絆」というような物語ではありません。
そもそも、自分が産んだというだけで、何故サラが息子にこれほど固執するのかよくわからない。母親らしいことはひとつもできず、自分自身がまだ指しゃぶりをするような精神年齢の低い大人なのに。彼女にとって、子どもなんて邪魔なだけな存在だろうのに。
しかし、子どもにとってはどんな親でも、そばにいてくれる大人がすべて。
主人公はこのあと、１２歳くらいで「サラ」という名前の女装の男娼になってしまうのですが、子どもにとっていかに環境が大切かということを痛感した。こんなひどい環境でも、主人公にとってはそれがすべて。なんとかサラに気にいられたい、サラのようになりたいと思う気持ちがとても悲しい。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

大変ショックを受けた映画です。いろんな意味で…。
サラ、という娼婦の母親と、里親から急に引き取られた子供が生きていく。
気持ちが痛くて、でも夢中になって観てしまいました。
この子、大丈夫なの？？大丈夫じゃない！と気が付くまでに時間はかかりません。
ひどい、おかあさん。これは、愛だけど愛じゃない。

子供を虐待する親が、子供を手放したがらないのはよくあることで、ジェレマイアもサラにしがみつかれて、捨てられての繰り返し。
サラも心の傷が多分にある、子供のような母親として描かれています。
とにかく、サラの堕落度合いが、半端じゃない。
セックス、ドラック、アルコール、虐待…。
厳格でゆがんだ宗教の、いつわりの祈りの反動なのか？
「この人が親なんだ」と言い聞かせるような瞳でサラを見つめ続けて、後半は哀しい成長をとげるジェレマイア。
親ってなんて罪なんだろう。さらに、この親子を助けることの出来る人間が、誰もいないなんて。

世界で、二人きりみたいね。

白と黒は表裏。危うい近さが残酷に描かれています。
カメラワークも秀逸。
飽きることなく、インタビューまで観られました。

しかし、Ｊ．Ｔ．リロイの正体には驚いた！
作品が良かっただけに複雑な気持ちです。
でも、フィクションとは思えないような、何ともいえぬリアリティがありました。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

どんな状況であっても子が親を求める思いは変わらないと知らされる作品。
それがどんな酷い、虐待する母親であっても。
もう親子の「絆」というしか表現ができないと思います。
でも原作の小説があっての映画です。
細かい描写が原作に忠実ですがジェレマイアの異常な自虐願望や愛情に飢えている様子、サラに憧れる気持ちなどはやはり原作を読んでないと難しい。(ここからはネタバレ)
少年が厳しいキリスタンの祖父にムチで罰せられる姿を見て、
まだ10歳にも満たない年齢の子供が羨ましいとゆう思いで見ていることを、映画では想像できないでしょう。サラの恋人を誘惑するのも、愛情に飢え過ぎて絶えられない上の行動だと言うことも・・・。
やっぱり映画で興味が出た人は必ず読んで欲しいと思います。
ジェレマイアをレイプする役で素顔で出てるマリリン・マンソンはなぜかすごいハマり役でいい味出してると思いました。

先日J.Tリロイは実在せず30代女性が実話ではないこの小説を広めるために、J.Tリロイ役を用意して実話だと偽っていたということが判明しましたが、それでもこの作品は他にはない深いテーマのものをたくさん含んでいる素晴らしい作品だと思います。

Ｊ．Ｔ．リロイの自伝的小説とのコトですが・・・。
なんか、始めから終わりまで子供が犠牲になってて、うーん。
子役の子がかなり熱演でした。(よくこの役を引き受けたなぁと感心。)
子供の成長には『良い環境が必要』と言うじゃないですか。
『良い環境』というのは難しいですね。
劣悪はもちろん厳格過ぎてもだめだと。

ウィノナ・ライダー狙いで観ましたってそんな呑気な理由で観れる代物ではなかった。

ストーリーは他のレビュアーさんにおまかせ。

食事中に観れるか・・・無理でしょう。

この監督、小説も書いている才媛らしいけどメイキング見ても荒れてるし、公私共に苦手なタイプ。
この映画から得るものって、何も無かったなー。