隣人１３号

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　確かに中村獅童の演技は、鬼気迫る物があって素晴らしいのですが、小栗旬とダブルである必要があるのかとちょっと疑問です。
　小栗旬１人、あるいは中村獅童１人でもよかったのでは・・？
　小栗旬というのは、一見ひょろっとして気弱な青年でありながら、その奥底に闇を抱えているという役は充分こなせると思います。
　同じ人間の中に、狂気が同居しているというところが怖いのです。二重（或いは多重）人格を扱ったストーリーには、副人格が独立した意志を持ち、主人格を封じ込めてしまうと言う図式が用いられますが、本作の場合、その「主」と「副」の関係性と境界が曖昧なんですよね。最初に赤井の部屋に侵入したときは十三のままでしたし、優希を洗面に押しつけるときも十三のままです。
　十三が、別人格の１３号を持て余し困惑し、制御が効かなくなった時の絶望感をもっと描ければ良かったのにと思います。
　「男達のかいた絵」でトヨエツが見事に二重人格を演じていますが、小栗旬でも中村獅童でも、それに匹敵する演技は可能だと思うんですよね。
　その２人に新井浩文を絡めて、このストーリーはちょっともったいないような気がします。

　基本的なストーリーテリングは上手いと思うのですが、細かい脚色が詰め切れていないような・・・。
　十三は赤井に復讐をしようとたくらんでいたのでしょうが、赤井の住むアパートに引っ越してきたのでなく先に住んでいます。そこに赤井が引っ越してくるのは偶然？
　関君はなんであんなことに？
　赤井のかみさん（パフィーの由美。ヤンキーが似合います）が、旦那と映画デートするのに、ほんの数回会っただけの十三に子供を預けてしまうのがどうも納得できません。それ以前に、夫婦の会話で、
「下に住んでる村崎さんって、すごく感じがいいんだよ」
とかで、赤井は小学校の同級生であることは忘れていても、自分の会社にバイトで来た村崎じゃないかと知るんじゃないでしょうかね。

　ストーリーのデティールやキャストは良いし、映像にもセンスを感じるのに、今ひとつピンとこないのはリズムというかテンンポが悪いんでしょうね。なんか間延びしているような感じがします。緩急の使い分けをうまく編集すれば、９０分以内で収められると思うし、そうすればもっと緊迫感が出たと思いますよね。

　しかしながら、十三と１３号の２つの人格の葛藤というかせめぎ合いを表す赤い部屋だとか、ラストの赤井がどうなったのかぼかしたり、小学生にフィードバックして、「もしも、そうならなかったら・・・」と言うような描写も、なかなか良い演出だと思います。余計なセリフが無くて、画面で引っ張っていってくれるのもいかにも映画の醍醐味を感じさせます。
　井上靖雄はＣＭディレクターで映画監督としては初。しかも、ふだん映画はほとんど観ない人らしいのですが、独特なセンスを感じますね。日本のデヴィット・フィンチャーになれるか？

　完成記者会見で中村獅童が、
「好感度が下がってしまいそうなので、あまり観て欲しくない」
と発言したそうですが、大丈夫！端からあんたに好感度はないから・・・（笑）

　三池崇志のうめき声が、かなりファンキーです（笑）

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小学生のころ、クラスのバカが突然「空手の練習をしよう」と言って、蹴ったり殴ったりしてきたことがありました。私は他人を蹴ったり殴ったりしてはいけないと思っていたので、やられるままにされておりましたが、休み時間のたびに繰り返され、だんだんエスカレートして憎悪がたまってきます。まわりからは明らかにいじめに見えたでしょう。学生服が泥だらけになるので、あるとき急に腹が立って、思い切り蹴り返してやりました。そうしたら突然相手はビビリだし、「もういいだろう」とかいって、空手の練習は終わったのでした。しかし、あのとき、蹴り返さなければ、どうなっていたでしょうか。私の中の隣人１３号はどんどん成長し、今頃、暴れていたかも知れません。「もし蹴り返さなければ」と「蹴り返したので」の２つの可能性が映画の中で緊張感を保ちながら同時に描かれるのはなかなか見事です。しかしこの手法はディヴィッド・リンチの「マルホランド・ドライブ」や「ロスト・ハイウエイ」と同じです。そして、リンチ作品ほどフィクションとしての工夫や自由さ、衝撃度はありません。ワルの描写は非常にリアルだと思います。悪い奴ほど早く結婚して子供作って、昔の子分だの友達なんかと鍋食べたりしてますよね。そして、職場でも相変わらず人をいじめたりしております。悪い奴の奥さんはすごく綺麗だったりもします（悪い奴の方が人間として魅力的なのでしょう）。ああ、分かるなあと思いました。でも、あまりにワルばかりリアルに描き、隣人１３号と主人公の方の描写に力が入っていないのがちょっと気になりました。だいいち、隣人１３号は「悪かった」と言われたぐらいで動じませんよ。もっと怨念は深いはずです。ひょっとして、この映画を作った人は、いじめられる方ではなく、いじめる方だったのではないでしょうか。と思ってしまいましたが、違っていたら失礼しました。サラリーマンになってからも、もちろんいじめる人はいるわけで、隣人１３号はどんどん増殖しておりますが、年をとるにつれてもはや相手がだれだか分からなくなってしまい、私の心の中で行き場を失って今も１人踊り続けております。

イジメられっ子、大きくなって逆襲！
早い話、そうなんですが・・。いや、ほんとそれだけなんですよね。
一体どこに見応えがあったのかと言うと、やはり中村獅堂さんの狂気に満ちた演技力において他ならないんじゃないでしょうか？

前半、ゆっくり忍び寄ってくるような恐怖感は良い掴みだったと思います。１３号が相手の子供をさらってしまうあたりまでは、なかなか目の話せない展開でした。はっきり言ってホラーですね。

しかし、イジメっ子が学校に乗り込んでいくあたりから失速します。無駄に長い、監督の自己満足でしかない間。イラつきました。あれだけで１５分ほどはカットできたはず。

トイレでの●●●も、そんなに意味のある描写だと思えません。見てるこちら側に、とてつもない不快感を与えます。

監督も初作品だと言う事で、少し手探りだったところもあったのでしょう。

１番大事なオチを、ああいった形に摩り替えてしまうのなら、もう少し練った方がいいと思います。
意味の分からなかった人も大勢いるはずです。

主人公の隣に住んでいる『金田』は、三池崇司監督です☆
パフィーが妻役を演じていたり、なかなか憎いキャスティングではありました。

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困った。
これって、私の苦手なジャンルだった。
目を覆いたくなるシーンばかりだし、観終わっても何が現実でどれが妄想だったのか？判断がつかない。
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登場人物
村崎十三（むらさきじゅうぞう/小栗旬）
13号（中村獅童）
赤井トール（新井浩文）
赤井のぞみ（トールの妻/吉村由美）
関肇（石井智也）
金田（三池崇史）

小学生の十三とトールと仲間たち。
十三は、トールたちにイジメられている様子。
理科実験室でトールは十三の顔に硫酸を掛ける。
あまりの痛さに苦しみつつ、十三は水道の水で洗い流そうとしている。
青年となった十三。（顔に火傷の痕はない。）
古いアパートの1階に引越すが、丁度その真上の部屋に引越して来たのは、赤井とその家族だった。
十三、建築会社に就職。
そこには赤井も働いており、十三は赤井の下につくことになる。
赤井は十三に気が付かない。
赤井は相変わらずイジメを続けており、その時のターゲットは関という新人だった。
赤井は十三にも嫌がらせをするが、意外にも十三は反撃する。
不思議なことにその時の十三の顔は別人になっていた。
・・・・・・・と、こんな感じで、十三と彼の分身（二重人格？）と思われる13号が入れ替わり立ち代り出現して、赤井に復讐しようとするのだ。
十三は優しくおとなしい性格で、13号は凶暴だ。
元の人格は十三だと言うが、小学生の時、十三は硫酸で顔を焼かれていた筈。
しかし、十三の顔はきれいなままで、13号の顔の左側は焼けただれ、眼もツブレている。
冒頭のシーンがなければ、13号を新たに出現した別人格と納得することが出来るのだが。
でも、13号自身が「俺は十三ではない。」と言っていた。
十三が言うには、自分の中で13号がどんどん大きくなっていて、自分の力では抑えきれない状態になっているらしい。
ある日、十三は赤井の息子を預かって遊園地に連れて行くが、それきり帰宅しない。
赤井と妻が十三の部屋に乗り込んで行くと卒業アルバムがあり、ここでやっと十三が自分がイジメていた男の子だと分かる。
そして、十三が復讐しようとしていることに気づくのだ。
その時のセリフ。「あれから何年経ってるんだよ！」
イジメられた方は何時までも覚えているが、イジメた側は覚えていないってこと？
赤井はショットガンを持って、卒業した小学校に行く。
そして、例の理科室。
いきなり床を滑ってきた大きなバッグを赤井は撃ってしまった。その中身を知らずに！
13号は赤井の銃を奪い取り、銃口を赤井の頭部に向ける。
何故か、二人は小学生に戻り、冒頭のシーンとはまるで違った展開に。
私の頭を混乱させるラスト。
今まで見てきた一連のシーンは、パラレルワールドなのか？
それとも、Aを選んだ場合とBを選んだ場合の二通りを見せられてきたのか？
あるいは、どちらかが現実に起こったことで、もう一方は妄想だったのか？
ただ分かることは、十三と13号がいる真っ赤な部屋は十三の心象風景で、十三の方が勝って13号を心の奥深くに閉じ込めることが出来たのだろう。
とすれば、現実なのは・・・
血飛沫に耐えられる方は、実際に観て確認を。
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中村獅童は怪演。小栗旬はまだ初々しい。
三池崇史は、不様な死体に。PUFFYの由美ちゃんは不良がお似合い。

見どころは中村獅童の怪演だと思います。
というか、それだけのような気がします。

別に暴力シーン観たかったわけじゃないけど、
やたらダラダラ長い割には迫力ないし。

ラストはほんとに意味がわからず、少し戻して観たり
考えたりしましたが、すぐにどうでもよくなってしまいました。

それくらい、入り込むこともできなかったということでしょう。
観た人がそれぞれ「こうだといい」と思う方向に決めつけちゃえば
いいのではないかと思いました。