海猫

伊東美咲が映画初出演でかなりの濡れ場を演じた事で話題になった作品。正直おもしろい作品ではなかった。とても重く暗く深い作品。途中の義弟の横恋慕や実の弟の薫に対するシスコンぶりに嫌悪感さえ覚えた。この作品は純愛映画だと聞いていた。しかし、「純愛」という言葉から受けるイメージとはかけ離れた作品内容だった。「純愛」を「純粋な清い愛情」ではなく「モラルのない、モラルを無視した自由な愛情」と定義した上での作品と考えればこういう作品もありかもしれない。

物語は薫（伊東美咲）の娘である美輝（ミムラ）が婚約を一方的に解消されショックのあまりに失声症になってしまうシーンから始まる。そして終わりも美輝と父親である邦一（佐藤浩一）の再会という形で終わる。その間で美輝の母が亡くなった真相が描かれる。この最後の美輝と邦一の再会のシーンがなければ重苦しいまま終わったかもしれない。このラストシーンがあったお陰で僕は救われた。兄夫婦（薫と邦一）の関係の悪化と兄嫁（薫）と弟広次（仲村トオル）の禁断の愛により癒されていく薫の様子、薫の弟孝志（深水元基）の姉（薫）へのシスコンに似た愛情、そして追い詰められていく薫が描かれていく。そして待っていたのは予想通り悲劇だった。

キャスティングは全てハマっていたように思う。伊東美咲の演技の未熟さを除けばほぼ完璧に近いような気がした。経験を重ねれば伊東美咲も演技力が上がるだろう。あの大胆な濡れ場を演じられるのだから将来性はあると感じた。話題になったラブシーンだがそれほど凄いシーンとは思わなかった。何でこれぐらいの映像でＲ指定なのか正直理解出来ない。主役である伊東美咲の未熟な演技を周りの役者が完璧にカバーしていたように思う。仲村・佐藤はさすがといったところか。だが僕にはどうしても義理の姉に対する恋心は理解出来ない。禁断の愛と一言でかたづけられないのだ。男と女の恋愛感情は時に人生を狂わせるというがまさしく薫と広次は人生を狂わせた。これは不倫よりたちが悪いし後味が悪すぎる。好きになった人がたまたま兄の嫁だったと言えるのかもしれないが、世の中にはこういう愛の形も考えているより身近にあるのかもしれないと考えさせられる作品だった。しかし、おもしろい作品か否かという事を考えた場合、僕にはそれほどおもしろい作品には見えなかった。イマイチ感情移入出来ず残念だった。

海猿！海猫？そのうち海虎？海シリーズは無限です！
ちなみに俺は海豚がすきです！

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人が生きていく中で、原因と結果は必ず生じてくる。本作がいびつに見えてくるのは、その原因がしっかり描かれておらず、結果ばかり目立ってしまうからだろう。

たとえば、薫（伊東美咲）が三角関係に悩むという結果は分るが、夫（佐藤浩市）との生活にどこが不満であり、どうして義弟（仲村トオル）に惹かれていくのか。都市生活者が漁業生活に慣れず、自分の居場所が見出せないという理屈は分るのだが、それが感情として伝わってこないのだ。

もっと本質的な心情を掘り下げて欲しい。でないと彼女の行動が身勝手なものとしか取れないのである。

期待してただけにかなりがっかりの作品です。

主人公の薫が強制的ではなく自ら選んだ結婚だったのにもかかわらず、その生活から背を向けるようなことをしたのか。
その心理描写が全く足りません。

付録のメイキングを観てはじめて、それがロシア人の血を半分もつ故の疎外感からということが判ったけど、作品からは全く伝わってこない。
脚本が悪いのか、または伊藤美咲の演技力が足りないのか。

薫の弟の恋愛や、薫の娘の婚約破綻などを盛り込む時間があったらもっと本編を丁寧に丁寧に描くべきでは？
回想スタイルにした点も安易でやぼったい印象。

とにかく荒削りでこれだけのキャストを揃えておきながら最低の作品になってしまった。
もったいないです。

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伊東美咲が画面から消えてから、俄然、映画が締まってきた。
佐藤浩市はもともと巧いし、ミムラもいい、三田良子もいい。

いったい伊東美咲の存在意義は？