卒業の朝

ケビン・クライン大好きオバサマにしては、ちょっと敬遠していた作品でした。同じくＢＳ録画の山から引き出して鑑賞。さすがに、ケビン・クラインは上手いな〜〜『五線譜のラブレター』のコール・ポーター役は強烈なインパクトが残っています。また、見直そうかな！と思っていますが。
この作品では、ギリシャ・ローマ史の講義をする教師役。
お〜、いつもの熱演タイプからすると、かなり抑えた演技。しかし、歴史の授業が続く中、古代史に興味のある方には、引き込まれていく時間が。反面、興味のない人には、退屈かな？
問題児の生徒ベルとの関係が、２５年後の同窓会に再燃。後半のこのシーンは、かなり見ごたえありでした。ラストシーンは、目頭が熱くなってしまった。人生に対する姿勢を感じた作品でした。

はじめはお決まりの
名門校での青春とか
情熱的な先生との出会いとか
そういうドラマが展開され
素晴らしい先生　という存在のおかげで
生徒が成長していく物語だと思っていた

でも
この映画が教えてくれるのは
その部分での　ドラマ　ではなかった

教師という職業は
情熱を傾けたこと全てに報われるわけではない
教師という職業に就き
経験や信念という根拠を元に信じた道だとしても
時に報われず　時に後悔し　
時に誰かの大切な人生すら奪いかねない
それは優秀な教師であれそうであり
優秀な教師だからこそそうなのかもしれない

けれど
信じなければ始まらない
情熱を傾けなければ
得がたい何かが必ずあって
本来意図していた結果とはたとえ違っていたとしても
信念を持って自分自身に挑戦し続けることで
見える道があり　開ける扉が必ず表れる

その扉を見つけた劇中の教師は
気がつけば長い間
教え子に教えられ続けた優秀な生徒だったのかもしれない

そして
人は経験から人に教えることができるけれども
生涯何かを教わり　何かを学び続けることで
幸せになれるかもしれない

そう思った

ちょっとビターテイストの高級チョコレートを食べた後のように、ほろ苦く後に感動に包まれます。観て損はないと思います。

以前テレビドラマ『いいひと』の一場面。ひとりの女の子が空き缶をポイ捨てします。それを見ていた＜いいひと＞が注意すると、女の子は「誰も見ていないし、いいでしょ」と反論しました。そしたら＜いいひと＞は答えました。「君自身が見てるんだよ」って。
時々思い出す１シーンなんですが、この映画でもふと思い出しました。

よくあるタイプの感動作かと思っていたら、違ってました。

イギリス映画なのかしらと思ったら、アメリカだし、いろんな点で思っていたのと違ってましたが、なかなかに、考えさせられるいい映画でした。

前半はよくある学園の生徒と先生の物語かと思っていたら、後半で思ってもいなかった展開になっていって、深い内容でした。
ジワリと感動します。

ケビン・クラインの教師は風格があるし、丁寧につくられた映画という感じ。セックスもバイオレンスもなく、そういう意味では安心してみられるが、何かが足りない。パンチがたりない。
また、こういう学園ものの楽しみのひとつは、生徒役の中なら次のスターになりそうな若手を探すことだが、そちらの楽しみもはずれてしまった。