１７歳の処方箋

こりゃ私にゃさっぱりわからん映画だ。
いやあ、なにやらテーマらしきものは見えるけど、テーマだけでは映画はできぬ。ストーリーはどこ？
ドキュメンタリーですら、生の素材をただべろーっと流すわけではなく構成やメリハリに心を砕いてつくるのに、ドラマがこれでいいのか。劇場で見ていたら間違いなく金返せ組である。
芸術ぶってエンターテインメントを低級視している映画なのだとしたら私はお呼びでない、こりゃまたスイマセンだし、これでエンターテインメントのつもりなのだとしたら味付けが上品すぎて私の舌では味わえない。
ただ、できることならこの映画に対する大絶賛を読んで、自分とは違う感覚に寄り添ってみたいものだとは思う。

キーラン・カルキンは顔が可愛いので今後ともがんばってください。
ライアン・フィリップは相変わらずきれーな顔で、相変わらず童顔でさっぱり老けないねー。貴重な存在かも。
アマンダ・ピートはこんな感じじゃなくてすぱっと明るい役がいいなー。「隣のヒットマン」みたいな。

少年が思春期を過ぎ、色んな経験をし最後にはあれだけ反発していた母親の死に接し、大人へと成長してゆく過程を淡々と描いてありました。結局母親への反発心が彼の生きるエネルギーになっていたんでしょうね。
でも雛鳥が大きくなり巣から飛び立つように人もいずれは自分自身の力で大きく羽ばたいていかねばなりません。そんなことをこの映画を観ながら考えていました。

淡々と流れてゆくなかで眠くならなかったのは優等生の兄役のライアン・フィリップのかわいい顔に見とれていたからかしら。最近『クラッシュ』にも出ていましたね。あんまり変わっていなかったけど。

主人公の子供の頃を実際の弟が演じているとか（パープルローズさん情報ありがとうございます）カルキン家は便利ですね。５人も兄弟がいるんですから。その弟くんも何か芸達者な雰囲気が・・・先が楽しみですね。

いろんな意味で現代的な映画だなと思った。
精神を病む父、干渉の多い母、兄は敷かれたレールを外れることなく優等生を演じているが、イグビーにはそれができず、問題を起こしてばかりいる。彼を取り巻く人物がみんな一癖もふた癖もあるが、回りとのかかわり方が淡白なところも、現代的といえるかな。あと、イグビーの言葉使いが何となく現代的で、私には理解できない部分が多々あった。
この映画の魅力はなんといっても豪華なキャスト。それだけで充分観る価値ありです。主役をやっているのは、最近活躍目覚しいキーラン・カルキン。子供の頃を実弟のローリーがやっています。長兄のマッコリー（「ホームアローン」の子役の）は復帰したと思ったらまた麻薬でつかまってしまったけど、弟ふたりはうまく育ってほしいなと思う。

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「父は社会の価値観の中で働き、責任を果たし、４０代で変になった。」

言い尽くせないプレッシャーに押し潰され目の前で崩れ落ちる父を見て涙が流れた。
父を追い詰めたのは母だ。
そして父が病院に入ってから、その矛先は当然自分に向けられた。
母親に従順な兄。彼のようには振舞えない。
何度高校を退学になっても母親になじられても。
・・・変われないんだよ、いまさら。

昔は困ったことになるとぬいぐるみの”イグビー”が身代わりになってくれたな。だからそれから皆僕のことをイグビーと呼ぶようになったんだ。
今は僕の身代わりはいない。
父さんの身代わりが僕だから・・・でも恨んでなんかいないさ。
社会的な責任なんて考えたくもない。
ここを離れてカリフォルニアで暮らすのさ。

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休みが明けても士官学校には戻らず、名付け親ＤＨのパーティーで知り合ったレイチェルを訪ねてニューヨークにやって来たイグビー（キーラン・カルキン）。レイチェルとの初体験、スーキー（クレア・デーンズ）との恋、麻薬の売人、ＤＨへの裏切り、そして兄オリバーと見届けた（・・・というか・・・。）母の死。
１７歳の多感な時期に様々な経験をしたのだ。

原題は『Ｉｇｂｙ　ｇｏｅｓ　ｄｏｗｎ』、邦題は『１７歳の処方箋』。

自分に母への愛情があったと気付いて泣きじゃくる姿は熱演でホロリとさせられたが、残念ながら見所はその場面だけだったように思う。
兄マコーレーのような愛らしさはないので、年上の女性（クレア・デーンズ）との恋も全く感情移入出来なかった。

そして「自分は変わるんだ！」と決心したようでもなく、割とあっさり旅立って行った感じの演出にいささか拍子抜けしたラストだった。

「処方箋」というネーミングが鑑賞するきっかけになったのだが、名前勝ちだった。

キーラン・カルキンは今後も演技力で勝負（マコーレーのことでは苦労も多いだろうし）する俳優として頑張るしかないのだろう。この作品では二人の年上女優との絡みがあったが、ラブシーンで魅せるにはまだまだ経験不足。でも将来が楽しみではある。

スーザン・サランドンは毒気のある母親役、ビル・プルマンは精神を病んだ父親役、ライアン・フィリップは優等生の兄役でそれぞれ良かった。
名付け親ＤＨ役にザ・フライのジェフ・ゴールドブラム。スパイス的な存在が面白かった。同じくスパイス的なレイチェル役にアマンダ・ピートだがいまいち弱かった感じ。

特筆すべきと思ったのはイグビーの１０歳時の役を実弟のローリー・カルキンが演じていること。この弟はきっといい役者になると思う。マコーレーより少し翳があり、美しく、物悲しい表情はハーレイ・ジョエル・オスメントを思い出させた。

勿体ないのはクレア・デーンズだ。
出演作では『ロミオ＆ジュリエット（レオナルド・ディカプリオ）』や『レインメーカー（マット・デイモン）』の彼女が好きで、汚れ役を演じることは役者としての成長に必要なのかもしれないが、この作品のスーキーという役は彼女じゃなくても良かったはず。
多分共演者に魅力を感じて引き受けたのだろう・・・。

ラストの演出が残念だったがキーラン（と、私の中ではさらにその弟ローリーも）・カルキンの存在を植えつけることは出来た。

一度は寝てしまいました。気を取り直してがんばって最後まで見ましたが、おもしろくなかったなー。やはり寝てしまったのは、疲れていただけではなかった！
男の子の思春期ってわけわからん。何でこんなに、自分にとって益のないことばかりするんだろう。
キーラン・カルキン君はいい男なので、好きな人は見るといいかも。