白いカラス＜日本公開版＞

まず、主人公のふたりコールマンとフォーニアはそれぞれに暗い過去を抱えているのだが、その二人の心の傷がうまくリンクしていない。ただ、お互いの傷をなめあっているようにしか見えない二人の関係は不愉快。
若くて美しい女に夢中になってしまうコールマンの気持ちはわからないではないが、バイアグラに頼ってまでセックスしないといけないような役を、アンソニー・ホプキンスにはやって欲しくなかったなあ。ベッドシーンがけっこうあるけど、あんまり美しくないし。
さらに、コールマンがひた隠しにしていた過去、それは自分自身が「白いカラス」であったということなんだけど、そりゃ万にひとつくらいこういうこともあるのかもしれませんが、あまりにも設定が特異すぎて、私は信じられなかったし、感情移入もできなかった。ただしこの日本語タイトルは買いますね。
これが「クレーマークレーマー」の監督作品だとは、ちょっと悲しいです。

DISCASでは日本公開版とUS版と２種類入荷されていますが、どこが違うのかどなたか教えてください。私はもう１度みる気力がありませんので。

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予告編つくる人ってうまいよなあ。

予告編を見たときは期待心が満々に盛り上がったんだけど、そのとおりに満足させてもらったことってないな。予告編というものはそういうふうにつくらなきゃ意味ないんだろうけどホントうまいわ。脱帽。

若い日の挫折から、家族を悲しませ、家族と離れてまで出自を隠そうとした男が、後年陥る落とし穴。このあたりはなんとも複雑な気持ちで見た。自業自得ではあるけどそう切り捨てることも（自分の感情としては）できないし、だいいちあの学生自分が不真面目なくせして権利だけは声高に主張しやがってという理不尽さに腹が煮え立つ。でもそれは映画の主人公の視点にシンクロしているだけであって、やはり自分の怒りとして見るには「遠い」んだよなあ。

とまあ考えることはあったけど、映画としてはそれほど楽しめない。結末が好きじゃない。さしものアメリカ映画でも能天気な結末をつくれないほど重い問題なのねとは思ったが。

主人公の男性コールマンの秘密があまりにも現実に受け入れがたいというか・・・観ていてわかりずらく、邦題の白いカラスに引っ掛けてるんだということにきずくまで時間がかかりました。でも深い孤独感を持つと危ないとわかっていても深みにはまっていってしまうことはありだと思います。

すいません僕も検証はしてないんですが、
「US公開バージョン」（日本公開版では観られない、ニコールのセクシー・シーンを収録）
「日本公開バージョン」（監督の意向に沿った、日本で劇場公開されたバージョン）
らしいです。検証はしてませんが…

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　いやー驚きました。ハリウッド？もこういう秀逸な復讐劇作るんですねー。

　そーです。俺は復讐劇として本作を見ました。ゲイリー・シニーズが氷上で、差別に対する復讐を決意する演技にゾクゾクしました。鳥肌立ちました。この映画に出ている俳優さん全員に尊敬のエールを送ります。こんなヒットしそうもない大人の映画を作れるのはアメリカ映画がまだまだ底力ある証拠です。

　思えば日本映画も昔の監督さんは、こーゆー怖い映画作ってて、レベルが高かったはずなんだけどな。いつからひどくなっちゃたんだろう？

　見終わってから秀作に驚いて原作者を見るとフィリプ・ロスじゃありませんか。一時は「ポートノイの不満」とか「乳房になった男」とか。「アワーギャング」でニクソン攻撃を始めたときはびっくらこいたもんです。「乳房」でも人間の孤独をこんな形で描くとはと驚いたもんです。その後は日本でもあまり話題にならなくて、と思っていたら、こんなもん書いてたんですねー。過激な内容は磨きがかかってますねー。こんなテーマを出す人は川端康成や谷崎潤一郎ぐらいかと思ってたんですが、世界は広いですねー。

　だけど、内容的に不満もあります。老教授でバイアグラ使ってるくせに、どーも見たところそこらへんの悩みがどーもはぐらかしてますねー。ここまで過激な内容なら、そこらへんつっこんでもらいたかったですね。あまり関係ないけど、この間「禁じられた遊び」を見て、少女が死を自覚するまでのリアル追求見て感動したもんだから、作家が老教授の人生を書く決心をするまでを軸に構成されてるんで、これでもいいんですかねー。

　こーゆーややこしいテーマをミステリー仕立てで、上手く見せるように書いた脚本家のニコラス・メイヤーちゅう人はすごいです。それを理解して映画化した監督にも拍手です。また、そのテーマを受け入れて演技した俳優さん偉いです。ニコール・キッドマン特に上手い！人生捨ててる演技、ここまでできるのかと驚きました。別れた元旦那は妙なヒットを出そうとおかしくなってきていること考えてもこの女優さんはすごいですねー。儲かった分をこういう良作に参加することで作る人って尊敬します。手塚治虫さんみたいな人が世界にいるってことで感動します。