しあわせな孤独

　一件の交通事故が出逢うはずのない男と女を結びつけた。出会うはずのない二つの家族が出会い、壊れるはずのなかった家庭が壊れていく。ありがちな不倫ドラマなのに登場人物の心理がリアルに迫ってくる。いつの間にかドラマに引きずり込まれて一気に見終わってしまった。

　ちょっと変なんじゃないの？　と最初のうちは物語に違和感を感じるのだけれど、この映画で交される会話の一つ一つにものすごいリアリティがあるので、ぐいぐい引き込まれていく。

　手持ちカメラのアップを多用した画面もドキュメンタリーのようなリアリティを生み、さらにそこに登場人物たちの幻影/想像がビデオカメラで写したような荒い画質で挿入されると、いっそう感情移入がたやすくなる。演出がうまい。

　若く美しく寄る辺ない女に惹かれていく中年男、「出て行かないで」と泣く妻、「彼女を愛している」と家を出る夫。実にありきたりで陳腐な不倫話なのに、この物語の背景に＜突然の事故＞という運命のいたずらがあるために、宿命に翻弄される人々の悲劇が浮き彫りになる。誰よりも悲惨なのは寝たきりになったヨアヒムだ。彼が荒れて看護師に悪態をつく場面などは、心が痛む。この部分も脚本がうまい。総じてこの脚本はとても丁寧に人物の心理を追い、的確に彼らの状況を説明するすぐれたものだ。

　ほんの出来心のようにセシリを抱いたのに、いつしか本気になってしまうニルスが、妻の追及をかわして言い逃れをする姿に手に汗握ってしまった。この中年夫婦の演技もいい。

　　デンマークで大ヒットした映画らしいが、日本では受けないだろう。地味だし、倫理的な問題でも反発をくらいそう。交通事故の加害者が罪に問われないというあたりが釈然としないし。

　それにしても「しあわせな孤独」ってどんな孤独だろう？　この映画の人物はみな孤独でありながらそこに埋没せずなんとか独りで生きていこうとする。それが「幸せ」なんだろうか？　とてもそうは思えないけど…

かなり、シビアな内容でした。ここでも、２３歳の女性のお話。
婚約相手が、事故で半身不随になってしまったら・・・・
先の人生への不安と孤独で、ぼろぼろ状態になるでしょうね〜
寂しさを、紛らわせた相手が、妻帯者で、本気になってしまったら、これはもう、泥沼状態。昼メロの世界。不倫物語。　それを、うまくお話をもって行った所が、デンマークの新鋭女性監督。　　ラストは、まずまず見せてくれました。
しかし、１回で充分かな？ほんとに見たい方だけ、どうぞ。

ぐったりしてきました。

中断するとくたびれたままなので、スサンネ・ビア監督が、ラストに何かしらの希望をくれるはずと辛抱強く観ました。

それにしてもこれもひどい邦題…。

女性側に無駄な会話、言葉がないのがよかったです。
表情のアップで伝えてくれる。
うろたえて、説得しようと知的に振舞う男性…の方が、
感情的な生き物だと常日頃思っていたので、それを納得させてくれて気持ちよかった。

何であれ、それが他人事で、
どうするんだろう…と遠巻きに見ていた事は、
どうにかなるもの。なっていました。
だから、
自分もそうなんだろうと、どうしようもない時は第三者目線頼みで辛抱したりします。
それぞれのその後の顛末は描かれていませんが、
原題の通り、
『ＥＬＳＫＥＲ　ＤＩＧ　ＦＯＲ　ＥＶＩＧＴ』　（永遠に君を愛す）
それぞれがそれぞれの”君”を愛したまましあわせになっていく予感あふれるエンドクレジットでした。

うーん・・・よーわからん（´д｀lll）

まぁ、最後まで観れるんやけど、全然自分には響かへんのやけど・・・。

デンマークではムッチャヒットして、賞もいっぱい取ってるみたいやけど、こんなん日本の昼ドラで毎日やってるやん・・・。

この監督はこのあとエエ作品を撮りまくってるみたいやから、次にDVD化される作品に期待してみます！

個人的満足度　48点

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冒頭の“Dogme95”の文字に呆然としてしまいました。
あの「純潔の誓い」のドグマ95・・・。
(オール・ロケ、手持ちカメラなどのお約束ごとはウィキペディアなどを参考にしていただくとして)
前に見たイデオッツ(ラース・フォン・トリアー)の奇抜さが脳裏に浮かび　
ちょっと懐疑的に鑑賞をはじめました。
イデオッツはBGM使用でドグマを語っていけなかったはずなのに　
この作品はどうなんだろう。赤外線カメラは問題なかったのかしら。
そんなことを思っていたのも　すぐに忘れていました。

不髄になってしまった婚約者に拒まれて
行き場を見失う女と　妻子持ちの男。かき乱される家族。
ストーリーは案外陳腐なもの。
ところが　見ずらいと思うブレの多いハンディ撮影が臨場感を生み
脚本が荒っぽい画の束をしっかりと結わえてくれる。
そして　純潔ドグマに相応しからぬ女性の歌声
でもそれが　荒削りな作風をしっとりと馴染ませてくれている気がします。
全体を通す　透明感が素敵です。

そんな理由はあとづけ。
全てをゼロに戻して歩き出す。それぞれが　それぞれに。
そここそに　惹かれてしまったのかもしれません。