黄色い大地 / シュエ パイ
黄色い大地
/チェン・カイコー
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全体の平均評価点: (5点満点)
(21)
解説・ストーリー
地方に伝わる民謡の収集に陝西省を訪れた八路軍の兵士。世話になる農家には唄のうまい少女がいた。いつしか彼女は兵士に幼い恋心を抱くのだが……。'30年代の山村を舞台に、まだ見ぬ世界とその世界の存在を知らせてくれた男に対する少女の憧憬を、中国映画のヌーヴェルヴァーグ陳凱歌が詩情豊かに描く。
地方に伝わる民謡の収集に陝西省を訪れた八路軍の兵士。世話になる農家には唄のうまい少女がいた。いつしか彼女は兵士に幼い恋心を抱くのだが……。'30年代の山村を舞台に、まだ見ぬ世界とその世界の存在を知らせてくれた男に対する少女の憧憬を、中国映画のヌーヴェルヴァーグ陳凱歌が詩情豊かに描く。
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「黄色い大地」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
地方に伝わる民謡の収集に陝西省を訪れた八路軍の兵士。世話になる農家には唄のうまい少女がいた。いつしか彼女は兵士に幼い恋心を抱くのだが……。'30年代の山村を舞台に、まだ見ぬ世界とその世界の存在を知らせてくれた男に対する少女の憧憬を、中国映画のヌーヴェルヴァーグ陳凱歌が詩情豊かに描く。
「黄色い大地」 の作品情報
「黄色い大地」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
黄色い大地の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
94分 |
日本語 |
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
DABP1000 |
2004年09月01日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
5枚
|
0人
|
0人
|
黄色い大地の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
94分 |
日本語 |
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レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
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DABP1000 |
2004年09月01日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
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ユーザーレビュー:21件
静かで乾いた傑作。言葉を失う感動がいつまでも尾を引く
投稿日:2006/04/16
レビュアー:吟遊旅人
黄河流域の荒涼たる黄色い大地が画面いっぱいに映し出される。これを劇場で見ていたら、どれだけ息を呑んだだろう。道なき道を一人の兵士が歩いている。カメラは引きのまま、ずっとこの八路軍兵士を写していく。「アラビアのロレンス」の雄大な映像を彷彿させるような(そしてそれよりもずっと枯れた)大地の絵には、語る言葉が禁じられているかような圧倒感がある。
登場人物たちは寡黙で、とりわけ農民達はほとんど何も語らない。その顔には労苦の跡が張り付き、まだ47才の農民は既に老人の容貌を見せている。娘は自分が金のために結婚させられることを知っていて、それを運命として受け入れるしかないこともまた知っている。だが、南の地からやってきた八路軍兵士は、女にも違う生き方があることを教える。
淡々と描かれる貧農の生活と、農作業のつらさ、人知のすべてをあざ笑うかのような広大で荒れた大地、その中で希望も持てずにただ生きるだけの人々の生活には切なさとか哀れさといった言葉では表現できないものがにじみ出ている。彼らを啓蒙するためにやってきたはずの兵士もまた、いたいけな少女を運命から救うことはできないのだ。
先進地域から新しい思想を身につけてやってきたインテリ兵士は、農民達の歌を集めることがなかなかできない。歌は彼らが心を開かなければ聞くことができないものなのだ。
「遅れた」人々を「上から」啓蒙しようとしても徒労に終わる。社会主義思想を歌で教えようとしても、大地に張り付いて生きる農民達には届かない。革命の困難さとその自覚が毛沢東をして「文化大革命」という政策へと走らせたことを納得させるような展開だ。
やっと農民たちが心を開いて歌を歌ったときは、別れの時だった。兵士と貧農一家の別れは、少女が運命に逆らおうとして悲劇へと落ちていく端緒の、哀しい場面だった。
同じ体制批判映画でも、チャン・イーモウの「活きる」のように激しく観客の感情を揺さぶり号泣させるような手法をチェン・カイコーはとらない。後からジワジワと感動がこみ上げるのは「黄色い大地」のほうだろう。静かで、言葉を失うような感動作だ。大地に響く歌声が美しい。
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消えた歌声
投稿日:2007/04/06
レビュアー:ひきむすび
枯れた大地にしがみつくように暮らす人々。
毎日の重労働に その肌はどれも茶褐色。
感情を表に出すことすら忘れてしまったかのように
どの顔も無表情。
松の幹のように節くれだった指。
つぎ当てだらけの衣服 手製の靴。
今日もどうにか生きている、その程度の暮らし。
ドキュメンタリーのような作風に 響き渡る歌声。
いったいどういうことだろうと 唖然と眺めていてようやく合点。
おばちゃんAさんがおっしゃる通り 歌唱がストーリーを運ぶ作品です。
奇妙だなと思いながらも ぐいぐい惹きつけられていきます。
貧困と歌といえば 南アフリカの「アマンドラ!!希望の歌声」を思い浮か
べるのですが歌のあり方が違う。アマンドラの歌は仲間との団結であったり
体制に向けての意思表示というようなポジティブなものでした。
ところがこの作品の歌は抑圧してきた感情の塊が ふと口をついて出てきた形。
まるで間欠泉のようで 何故かこちらの心にも染み渡ります。
ネタバレ_________
兵士との出会いとは初恋であり 新しい自分への象徴となりました。
ただ それが本当に娘にとって ある意味「毒」でしかありませんでした。
他所の世界を知らなければ全てを ごく当然のこととして受け入れただろうに。
否応なく受け入れるべきことと 時代の移り変わりの狭間で
苦しみ続ける人々の姿が壮絶。その晩は頭の中から少女の歌声が
離れませんでした。
__________________
4月1日昼、失礼ながらお馴染さんの2つのレビューの削除または訂正を
Discasさんに申し入れました。話の内容はよく把握できないものの
不穏な感じが やっぱり我慢できなかったのです。
だから ある程度の段階からDiscasさんは把握していたんですよ。
「検討のうえ適切に対処」何か 対処してくれていたのかなぁ。
即時レビューが消えていたとしたら もうちょっとお互いに気楽な
結末があったのではと 悔やまれます。
ある程度のことを書いても どこかでブレーキをかけられるだろう
そんな期待はできません。そしてここのレビューはいつまでも残り続けます。
自身肝に銘じてレビューしていかなけば と感じました。。
今までどおり全ての映画好きが楽しくレビューしていけたら、、
それが願いです。誰一人欠けることなく 今までのまま。
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7人の会員が気に入ったと投稿しています
政治を描かない政治映画
チェン・カイコー、チャン・イーモゥらがそれらにあたる中国第五世代。
あんまり中国映画って観てなくって、これから徐々に手を伸ばそうかなぁと思い、その第五世代の代表作を手始めに。
貧しい僻地で力強く生きる人々を描く本作ですが、その背景に映し出される黄色い大地、濁った河、広い空が非常に印象に残る作品です。
勿論ただ映像として美しく、パワフルなだけじゃなくって、内容を語るのに非常に効果的なものでもあるのですが、このダイナミックな、そして独特な色彩感覚を持った映像はカメラマン(本作はチャン・イーモゥなんだ!)が変わってもずっとカイコーの色として残るものですね。
オープニングの広大な風景のオーバーラップからして、“カイコーっぽいなぁ”なんて感じる方も多いのでわ?
こういう自国の文化を(映画として)魅力的に描く作品ってのは、世界的には作品の本質に値する以上の評価を受けやすかったり、ただノスタルジックに描かれても結構うっとうしかったりするのですが、本作は、というよりもカイコー作品全般に言えるのかもしれませんが、“アンチナショナリズム”と言ってよい観点から描かれているのが、映画として好感を持てる部分なのかもしれません。
本作も直接的には政治、体制に触れる部分は殆どないのですが、政治映画という印象も受けますね。
“国民から遠い政権”とでも言いましょうか。
星★★★★☆
____________
久しぶりのレビューです。
お休みを頂いてる間にお声をかけて下さった方、どーもありがとうございます。
たまにレビューは読ませてもらっていたので、とても嬉しく思っておりました。
またぼちぼちと書いていこうかなと思います。
あまり目立たない様にぼちぼちと(笑)よろしくです。
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茶枯れた雑草のような人々の歌うソウルミュージック。
投稿日:2007/05/21
レビュアー:花ちゃん
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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黄砂に覆われた山岳砂漠地帯、まるで不毛の大地だ。茶枯れた雑草のように広大なその地に根付く貧しい農民。乾いた大地に実る貧しい粟を泥のような水で炊き生きる。一日の大半を水汲みや労働に費やす。娘の愛情のない結婚の契約ですでに払われた結納は亡き母の葬儀代と弟の結納代と消えていた。
歌えといわれても歌えない。歌って楽しんだり聞かせて喜ぶ歌ではないのだ。苦しみの暮らしの中ソウルミュージックは生まれる。しかし、苦渋の暮らしを謡う詩は悲惨でも、揚々と伸びやかな歌声は何故か絶望だけとは違う力強い響きがあった。
兵士がなかなか採集出来なかった歌が、餞別のように別れ際に無口な人々からこぼれ出るのが印象深い。
八路軍兵士の来たその日まで娘には自分の目に見える範囲の大地だけが世界だった。
革命の風の届かない山北の地から飛び出した娘の行く末を思わせるラストは非情だ。
世界不思議発見やディスカバリー番組で観ると現在でも徒歩で何日もかかる奥地があるし、井戸の無い村はアフリカにはまだいくらでもある。貧しくて兄弟で一人の妻を共有する一妻多夫の風習も見たことがある。
中国の貧しさには一種独特の抑圧感がつきまとっている。浅薄な知識で分らないが永い永い王朝の時代や日本を初め諸列強国の支配、搾取の歴史のせいか。
一時期、中国映画を続けてみたことがある。勝手なイメージなのだが諦めが哀愁として表現されまるで美学のようなものを感じるのは人間の強さがみえるからなのだろうか。
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5人の会員が気に入ったと投稿しています
中国映画が世界映画になった日
( ネタばれあり )
その国の映画史を見る時、それ以前にも長い歴史があったけれども、その一作が世界にその国の映画の存在を知らしめ、続く一群の作品に道を開いた作品がある。
たとえば日本映画では『 羅生門 』、香港映画では『 燃えよ ! ドラゴン 』がそうですが、中国映画の場合は本作がそれに相当すると言えるでしょう。
公開当時、中国の映画ならおそらく当局の意にかなった政治プロパガンダだろうとの予断を裏切り、検閲を通るため一見革命映画の体裁を保ちながら、抑えた表現ながら、本作には中国共産党への批判、革命神話への疑問が感じられ、自由な作家一個人の考えの存在が、私たち日本人を含む世界の観客の目を驚かせたのです。
工作員の願青は善意の好青年であるけれども、貧農の娘、翠巧は救われない。
彼女の心の叫びの歌は悲しく心を打つが、革命の歌は彼女の願いに応えてくれない。
党は革命の宣伝に熱心で、その理想が掲げる人民の解放をしただろうか?
そうした疑問、革命神話への静かな問いかけを感じます。
監督の陳凱歌は1952年北京生まれ 父母ともに戦前からの映画人でした。
講談社現代新書「 私の紅衛兵時代 」に寄れば、革命の理想を信じ、明るい未来に希望を持っていた少年時代を過ごしましたが、13歳の時文化大革命が起こります。
自身も紅衛兵になり、友人同士で争い、教師をつるし上げ、ついには旧友たちに自宅を家宅捜索され、彼らの面前で父親を糾弾し、手をかけてしまうという体験をする。
その後農村に下放され、さらに軍隊生活を経て、26歳で北京電影学院に入学。
32歳本作がデビューですが、本作の主人公工作員の願青は、革命神話のシンボルであると同時に、下放時代の陳凱歌青年自身が投影されていると思われます。
都会から来た知識人の青年と、教育もなく生きるためにひたすら働くだけの農民たちの間には、善意と理想だけではどうしようもない過酷な現実、埋められない溝があります。
1980年代のあの頃、陳凱歌、張芸謀、田壮荘、姜文ら、中国映画のニューウェーブの作品の登場は、新鮮でした。
冷戦時代にあって、ソ連のペレストロイカ、ポーランドの連帯などとともに、社会主義体制下の人々の、自由を求める思い、時代の変化に共感しました。
しかし、その思いは1989年6月4日の天安門事件でつぶされました。
東欧が自由化し、ベルリンの壁が崩れ、ソ連が終焉しても、中国の政治体制は変わらなかったばかりでなく、その下で豊かになり、経済大国となりました。
ぼくの個人的意見を言えば、建前はともかく、中国の革命の神話は完全に終わってしまった。 中国は同時に革命の暴走の傷跡も忘れようとしている。 経済の繁栄を希求し戦争を忘れようとした、忘れた戦後の日本に通じるものがあると感じています。
しかしながら、本作が「改革開放の象徴」としての歴史的役割を果たしても、なお、今日でも胸を打つものがあるのは、政治批判を越えた抒情性、時代と空間を超えるスケール感が感じられるからです。
日本の、水と緑の風土とはまったく違う、中国の、広く荒涼とした黄色い大地。
そこで暮らす農民たちの伝統に則った婚礼。
どちらも映像美として美しく、のちには自身も監督になる張芸謀のキャメラワークはすばらしいですが、美しくもその過酷な自然はまた、中国社会の過酷さの表現でもあるように思います。
裏返せば、変わることのない過酷さを越えてもなお、美しい風土とそこに生きる人々、その痛みと葛藤への共感が、政治批判を越えて、映画に品格と尊厳を与えています。
そこが本作が、中国映画を世界映画にしたと僕は思います。
( ykk1976さんの映画会・第79回のレビュー)
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ユーザーレビュー
静かで乾いた傑作。言葉を失う感動がいつまでも尾を引く
投稿日
2006/04/16
レビュアー
吟遊旅人
黄河流域の荒涼たる黄色い大地が画面いっぱいに映し出される。これを劇場で見ていたら、どれだけ息を呑んだだろう。道なき道を一人の兵士が歩いている。カメラは引きのまま、ずっとこの八路軍兵士を写していく。「アラビアのロレンス」の雄大な映像を彷彿させるような(そしてそれよりもずっと枯れた)大地の絵には、語る言葉が禁じられているかような圧倒感がある。
登場人物たちは寡黙で、とりわけ農民達はほとんど何も語らない。その顔には労苦の跡が張り付き、まだ47才の農民は既に老人の容貌を見せている。娘は自分が金のために結婚させられることを知っていて、それを運命として受け入れるしかないこともまた知っている。だが、南の地からやってきた八路軍兵士は、女にも違う生き方があることを教える。
淡々と描かれる貧農の生活と、農作業のつらさ、人知のすべてをあざ笑うかのような広大で荒れた大地、その中で希望も持てずにただ生きるだけの人々の生活には切なさとか哀れさといった言葉では表現できないものがにじみ出ている。彼らを啓蒙するためにやってきたはずの兵士もまた、いたいけな少女を運命から救うことはできないのだ。
先進地域から新しい思想を身につけてやってきたインテリ兵士は、農民達の歌を集めることがなかなかできない。歌は彼らが心を開かなければ聞くことができないものなのだ。
「遅れた」人々を「上から」啓蒙しようとしても徒労に終わる。社会主義思想を歌で教えようとしても、大地に張り付いて生きる農民達には届かない。革命の困難さとその自覚が毛沢東をして「文化大革命」という政策へと走らせたことを納得させるような展開だ。
やっと農民たちが心を開いて歌を歌ったときは、別れの時だった。兵士と貧農一家の別れは、少女が運命に逆らおうとして悲劇へと落ちていく端緒の、哀しい場面だった。
同じ体制批判映画でも、チャン・イーモウの「活きる」のように激しく観客の感情を揺さぶり号泣させるような手法をチェン・カイコーはとらない。後からジワジワと感動がこみ上げるのは「黄色い大地」のほうだろう。静かで、言葉を失うような感動作だ。大地に響く歌声が美しい。
消えた歌声
投稿日
2007/04/06
レビュアー
ひきむすび
枯れた大地にしがみつくように暮らす人々。
毎日の重労働に その肌はどれも茶褐色。
感情を表に出すことすら忘れてしまったかのように
どの顔も無表情。
松の幹のように節くれだった指。
つぎ当てだらけの衣服 手製の靴。
今日もどうにか生きている、その程度の暮らし。
ドキュメンタリーのような作風に 響き渡る歌声。
いったいどういうことだろうと 唖然と眺めていてようやく合点。
おばちゃんAさんがおっしゃる通り 歌唱がストーリーを運ぶ作品です。
奇妙だなと思いながらも ぐいぐい惹きつけられていきます。
貧困と歌といえば 南アフリカの「アマンドラ!!希望の歌声」を思い浮か
べるのですが歌のあり方が違う。アマンドラの歌は仲間との団結であったり
体制に向けての意思表示というようなポジティブなものでした。
ところがこの作品の歌は抑圧してきた感情の塊が ふと口をついて出てきた形。
まるで間欠泉のようで 何故かこちらの心にも染み渡ります。
ネタバレ_________
兵士との出会いとは初恋であり 新しい自分への象徴となりました。
ただ それが本当に娘にとって ある意味「毒」でしかありませんでした。
他所の世界を知らなければ全てを ごく当然のこととして受け入れただろうに。
否応なく受け入れるべきことと 時代の移り変わりの狭間で
苦しみ続ける人々の姿が壮絶。その晩は頭の中から少女の歌声が
離れませんでした。
__________________
4月1日昼、失礼ながらお馴染さんの2つのレビューの削除または訂正を
Discasさんに申し入れました。話の内容はよく把握できないものの
不穏な感じが やっぱり我慢できなかったのです。
だから ある程度の段階からDiscasさんは把握していたんですよ。
「検討のうえ適切に対処」何か 対処してくれていたのかなぁ。
即時レビューが消えていたとしたら もうちょっとお互いに気楽な
結末があったのではと 悔やまれます。
ある程度のことを書いても どこかでブレーキをかけられるだろう
そんな期待はできません。そしてここのレビューはいつまでも残り続けます。
自身肝に銘じてレビューしていかなけば と感じました。。
今までどおり全ての映画好きが楽しくレビューしていけたら、、
それが願いです。誰一人欠けることなく 今までのまま。
政治を描かない政治映画
投稿日
2007/05/03
レビュアー
雲黒斎
チェン・カイコー、チャン・イーモゥらがそれらにあたる中国第五世代。
あんまり中国映画って観てなくって、これから徐々に手を伸ばそうかなぁと思い、その第五世代の代表作を手始めに。
貧しい僻地で力強く生きる人々を描く本作ですが、その背景に映し出される黄色い大地、濁った河、広い空が非常に印象に残る作品です。
勿論ただ映像として美しく、パワフルなだけじゃなくって、内容を語るのに非常に効果的なものでもあるのですが、このダイナミックな、そして独特な色彩感覚を持った映像はカメラマン(本作はチャン・イーモゥなんだ!)が変わってもずっとカイコーの色として残るものですね。
オープニングの広大な風景のオーバーラップからして、“カイコーっぽいなぁ”なんて感じる方も多いのでわ?
こういう自国の文化を(映画として)魅力的に描く作品ってのは、世界的には作品の本質に値する以上の評価を受けやすかったり、ただノスタルジックに描かれても結構うっとうしかったりするのですが、本作は、というよりもカイコー作品全般に言えるのかもしれませんが、“アンチナショナリズム”と言ってよい観点から描かれているのが、映画として好感を持てる部分なのかもしれません。
本作も直接的には政治、体制に触れる部分は殆どないのですが、政治映画という印象も受けますね。
“国民から遠い政権”とでも言いましょうか。
星★★★★☆
____________
久しぶりのレビューです。
お休みを頂いてる間にお声をかけて下さった方、どーもありがとうございます。
たまにレビューは読ませてもらっていたので、とても嬉しく思っておりました。
またぼちぼちと書いていこうかなと思います。
あまり目立たない様にぼちぼちと(笑)よろしくです。
茶枯れた雑草のような人々の歌うソウルミュージック。
投稿日
2007/05/21
レビュアー
花ちゃん
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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黄砂に覆われた山岳砂漠地帯、まるで不毛の大地だ。茶枯れた雑草のように広大なその地に根付く貧しい農民。乾いた大地に実る貧しい粟を泥のような水で炊き生きる。一日の大半を水汲みや労働に費やす。娘の愛情のない結婚の契約ですでに払われた結納は亡き母の葬儀代と弟の結納代と消えていた。
歌えといわれても歌えない。歌って楽しんだり聞かせて喜ぶ歌ではないのだ。苦しみの暮らしの中ソウルミュージックは生まれる。しかし、苦渋の暮らしを謡う詩は悲惨でも、揚々と伸びやかな歌声は何故か絶望だけとは違う力強い響きがあった。
兵士がなかなか採集出来なかった歌が、餞別のように別れ際に無口な人々からこぼれ出るのが印象深い。
八路軍兵士の来たその日まで娘には自分の目に見える範囲の大地だけが世界だった。
革命の風の届かない山北の地から飛び出した娘の行く末を思わせるラストは非情だ。
世界不思議発見やディスカバリー番組で観ると現在でも徒歩で何日もかかる奥地があるし、井戸の無い村はアフリカにはまだいくらでもある。貧しくて兄弟で一人の妻を共有する一妻多夫の風習も見たことがある。
中国の貧しさには一種独特の抑圧感がつきまとっている。浅薄な知識で分らないが永い永い王朝の時代や日本を初め諸列強国の支配、搾取の歴史のせいか。
一時期、中国映画を続けてみたことがある。勝手なイメージなのだが諦めが哀愁として表現されまるで美学のようなものを感じるのは人間の強さがみえるからなのだろうか。
中国映画が世界映画になった日
投稿日
2017/06/15
レビュアー
ロキュータス
( ネタばれあり )
その国の映画史を見る時、それ以前にも長い歴史があったけれども、その一作が世界にその国の映画の存在を知らしめ、続く一群の作品に道を開いた作品がある。
たとえば日本映画では『 羅生門 』、香港映画では『 燃えよ ! ドラゴン 』がそうですが、中国映画の場合は本作がそれに相当すると言えるでしょう。
公開当時、中国の映画ならおそらく当局の意にかなった政治プロパガンダだろうとの予断を裏切り、検閲を通るため一見革命映画の体裁を保ちながら、抑えた表現ながら、本作には中国共産党への批判、革命神話への疑問が感じられ、自由な作家一個人の考えの存在が、私たち日本人を含む世界の観客の目を驚かせたのです。
工作員の願青は善意の好青年であるけれども、貧農の娘、翠巧は救われない。
彼女の心の叫びの歌は悲しく心を打つが、革命の歌は彼女の願いに応えてくれない。
党は革命の宣伝に熱心で、その理想が掲げる人民の解放をしただろうか?
そうした疑問、革命神話への静かな問いかけを感じます。
監督の陳凱歌は1952年北京生まれ 父母ともに戦前からの映画人でした。
講談社現代新書「 私の紅衛兵時代 」に寄れば、革命の理想を信じ、明るい未来に希望を持っていた少年時代を過ごしましたが、13歳の時文化大革命が起こります。
自身も紅衛兵になり、友人同士で争い、教師をつるし上げ、ついには旧友たちに自宅を家宅捜索され、彼らの面前で父親を糾弾し、手をかけてしまうという体験をする。
その後農村に下放され、さらに軍隊生活を経て、26歳で北京電影学院に入学。
32歳本作がデビューですが、本作の主人公工作員の願青は、革命神話のシンボルであると同時に、下放時代の陳凱歌青年自身が投影されていると思われます。
都会から来た知識人の青年と、教育もなく生きるためにひたすら働くだけの農民たちの間には、善意と理想だけではどうしようもない過酷な現実、埋められない溝があります。
1980年代のあの頃、陳凱歌、張芸謀、田壮荘、姜文ら、中国映画のニューウェーブの作品の登場は、新鮮でした。
冷戦時代にあって、ソ連のペレストロイカ、ポーランドの連帯などとともに、社会主義体制下の人々の、自由を求める思い、時代の変化に共感しました。
しかし、その思いは1989年6月4日の天安門事件でつぶされました。
東欧が自由化し、ベルリンの壁が崩れ、ソ連が終焉しても、中国の政治体制は変わらなかったばかりでなく、その下で豊かになり、経済大国となりました。
ぼくの個人的意見を言えば、建前はともかく、中国の革命の神話は完全に終わってしまった。 中国は同時に革命の暴走の傷跡も忘れようとしている。 経済の繁栄を希求し戦争を忘れようとした、忘れた戦後の日本に通じるものがあると感じています。
しかしながら、本作が「改革開放の象徴」としての歴史的役割を果たしても、なお、今日でも胸を打つものがあるのは、政治批判を越えた抒情性、時代と空間を超えるスケール感が感じられるからです。
日本の、水と緑の風土とはまったく違う、中国の、広く荒涼とした黄色い大地。
そこで暮らす農民たちの伝統に則った婚礼。
どちらも映像美として美しく、のちには自身も監督になる張芸謀のキャメラワークはすばらしいですが、美しくもその過酷な自然はまた、中国社会の過酷さの表現でもあるように思います。
裏返せば、変わることのない過酷さを越えてもなお、美しい風土とそこに生きる人々、その痛みと葛藤への共感が、政治批判を越えて、映画に品格と尊厳を与えています。
そこが本作が、中国映画を世界映画にしたと僕は思います。
( ykk1976さんの映画会・第79回のレビュー)
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黄色い大地