私は「うつ依存症」の女

　この映画は鬱病に対する知識や経験がどれだけあるかによってずいぶん見方が変わってしまう映画だ。原題になっている「プロザック」は抗鬱剤の一種だが、この映画では薬や精神科医のセラピーが本当に患者を救うのかどうかという強い疑問が提示されていると同時に、その「提示」が中途半端なため、観客によっては混乱をきたすような描き方になっている。全編を通して、主人公リジーの苦しみがそれほど観客に迫ってこないこととも関連して、鬱病はあんなものじゃないという批判も大いにありえると思う。

　鬱病の症状というのはさまざまで、地獄の苦しみを味わって果ては自殺する人から、薬によってある程度抑えが効く軽度の患者まで多様だろう。これはだから「リジーのケース」であることをまず念頭に入れねばならない。と同時に、たとえ彼女の症状に関して違和感を抱いても「実話なんだから」と納得せねばならない。この「実話力」というか、有無を言わせぬ強圧を常に観客にかけ続ける映画ではある。

　見ようによってはリジーは単なるわがままで嫉妬深い女で、お友達になりたくないタイプの嫌な人間に過ぎない。ところが、それが病気のなせるわざだとわかってもらうためには周囲に自分の病気を隠してはならないし、でも鬱病であることをカミングアウトすることが余計な詮索や同情や距離を作ってしまいかねない。これがまた鬱病患者の苦しみの一つなのだろう。

　救いのないような暗い話だけれど、現にリジーは物書きとして仕事をなしているわけで、つまり彼女は病気を克服したという結末が待っているはずだと観客には期待をもたせつつ、映画はそこを描かない。

　リジーを演じたクリスティーナ・リッチが大きな瞳にものをいわせて熱演しているだけに、もう少し説得力のある作品にできたはずだが、感情移入のしにくさとまとまりのなさを感じさせるのは残念。ただし、粒は小さいながら、最後まで惹きこまれる作品でもあり、国民病とまで言われるようになった鬱病への関心が深まることを期待して、お奨め作にしておきます。

（レビュー全文はhttp://www.eonet.ne.jp/~ginyu/040611.htm）

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クリスティーナリッチを初めて観たのは「アダムスファミリー」
次が「スリーピーホロー」で、主演作品を観たいと思い借りたのがこの　私は「うつ依存症」の女

前2作とは違い、エロティックなシーン、ヌード有りで正直驚いた。

が、私の興味は別の方向へ・・・

「タバコ依存症」「アルコール依存症」「買い物依存症」「薬物依存症」は良く知られてると思う病名だけど、「うつ依存症」と言うのは初めて聞いた。
単に「うつ」に依存しているだけの状態を指すのか？

今まで興味のあった事もまるで興味が無くなったり、人と話すのがおっくうになったり、眠れなくなったり、突然悲しくなったり、悪いことが起こると全部自分のせいだと思ったり、微熱、高熱が続いたり、思うように話せなくなったり、etc…

内科で診察を受けると、「自律神経失調症」「メニエル」「更年期障害」等と診断される事が多いが、精神科へ行くと「うつ」と診断される。

「うつ」と「うつ病」は別物である。
ピラミッドで例えると天辺が「うつ病」その下に「うつ」の大きな枠があり、その中にああらゆる「依存症」や、「自律神経」「不眠症」等が含まれる。と聞いた。


「うつ」には波が有り、気分が良く出掛けたり、友人と何か話したくなったりもする。逆に外出したくない、誰とも話したくない気分にもなる。期間は個々により異なるが、こういう気分が繰り返しやってくる。長期に渡り、気分が沈む事もある。

お風呂も入る気分になれない。家族とも口を聞きたくない。一人で居たい。自室から出たくない。着替えすらしない。こうなると重症で、社会生活が不可能になる。

薬物治療って普通でしょう。薬を飲むのは病気なら当たり前。
「こんなのは私じゃない！」なんて叫んでたけど、こんなんってどうよ、違いがわかってるなら利いてる証拠。回復に向かってるのに何を嫌がる必要がある？違いがわかってるのは精神的に安定してるはずなのに、あの乱れ様。どこか納得いかない。

あほな私がここまで詳しく書けるのは、ピラミッドの底辺から天辺まで経験したから。が・・・

作品の中の彼女は「うつ」に間違いはないが、何か起こると「うつ」のせいにする。「私は病気なのよ！」…自慢する事か？「うつ」のせいにするな！と思った。
彼に嫌われるのも、家族や友人を傷つけるのも「うつ」のせい？

彼女は若いから？いや、違うと思う。
「うつ」についての知識が無かったから？

環境や性格の問題も大いに有る。

アメリカでのタイトルは違うはずですよね、日本向けのタイトルの付け方がおかしいのよ。

恋愛・アルコール中毒・薬物中毒・親不孝・嫌われ者・ストーカー・ヒステリック・あばずれ（古いか？）不幸な生い立ち・堕落していく優等生・うつ・薬物療法・カウンセリングとは？
ごちゃまぜで観てて疲れた…

「うつ」をタイトルに付けるなら、もっと違う角度（うつとはなんぞ的な）を深く描いた方がわかりやすかったかも。

別のその他諸々が目立ち過ぎて…

クリスティーナリッチの体を張った演技が勿体無い。

　実話なんですよね。観るのに体力が要りますが、テーマ性の重い作品は好きです。

　うつ病については基礎的な知識しか持ち合わせていませんが、リジーのケースはかなりエキセントリック（攻撃的）な印象を受けます。
　とはいえ、クリスティーナ・リッチの真に迫った演技には引き込まれました。感情や言動をコントロールできずにお酒やドラッグに溺れて悪循環してしまう。感情の針が両極端に揺さぶられる状態や、両親や周りの人への愛憎と自己嫌悪、わかっていてもどうにもならない苦しみ。周りの友人や恋人も振り回され、好意を否定的に突き返されたらやりきれない。どちらの痛みも伝わってきて息苦しいくらいでした。友人のルビー役は『ウーマンラブウーマン』に出ていたミシェル・ウィリアムズです。

　リジーの母親（ジェシカ・ラング）のエキセントリックさも半端じゃない！　リジーの若さを考えればなおさら、精神科医が母親と面会する場面がないのは疑問です。

　病気についての解説は意図的に入れなかったのではと思いました。うつ病と知らなければ（知っていても）自分勝手で怠け者の悲観論者、甘えにすぎないと思われてしまう。しんどさをわかってもらえないということ。それこそがうつ病の抱える問題であり苦しみだと思うので、‘傍から見たときのわからなさ’を描くことには成功していると思います。

　クレジットによると、米国ではこの自伝がベストセラーになりうつ病と抗うつ剤を社会的に認知させる役目を果たしたようです。
　うつ症状には薬が有効であることを示すラストには納得。ただ、それで終わってしまっている感があるので、もう一歩踏み込んで、母親とどう向き合い、病気とどうやってうまく共存していけるようになったかまで描いてほしかったなぁと思います。
　

私はうつ病に関する知識を全くもちあわせていないので、この映画がもしこんなタイトルでなかったら、そして吟遊旅人さんのレビューを読んでいなかったら、主人公のリジーがうつ病だとは気づかなかったかもしれない。
そもそもうつ病という言葉もでてこないし、（英語ではdepression?それとも他に専門用語があるのかな？）プロザックがでてくるのも終わりの方だけ。

病気だと思えば本人の苦しみは少しは理解できるのだが、そのことを知らない回りの人間にすれば、ただの身勝手な女でしかない。ボーイフレンドの実家に無理やり押しかけておきながら、障害をもつ妹を世話するボーイフレンドにやさしい言葉をかけることもないし。

そしてリジーのお母さんにも大変問題あり。この人こそセラピーが必要なんじゃないかしら。ヒステリーでニコチン依存症。ジェシカ・ラング、迫真の演技。

暗い話ではあるけど、勉強にはなりました。
あと、キャストがなかなか豪華で感激しました。
ジェイソン・ビッグスはこんなところに出てたとは、ノーマークでした。
クリスティーナ＆ジェイソン主演のウディ・アレンの映画（Anything Elseだったけ？）、楽しみにしてたのに、まだ観てません。

僕のプリンセス、ミシェル・ウィリアムスをひとこと「ひどい」と断罪しているレビューを見て、くやしい。

ミシェルはこの映画ではまるでMiss Piggyだ。顔は膨らんでいるし、ハーバードの学生なのに英語は地方出身丸出しのモゴモゴである。しかし、この子はそこが素晴らしい魅力なのではないか！特典映像なんか、質問を途中で忘れて関係ない事を喋っている。いいぞ！ミシェル！その若いのに（この時まだ21歳）オバサン風なのが2005年の「ブロークバック・マウンテン」のアカデミー賞始め数々のノミネート、受賞に繋がって行くのである。（そのときまだ24歳だがどうみても30歳だ！）

ミシェルのクリスティーナ・リッチに裏切られた時の表情なんか、観ていて胸が苦しくなった。この映画の真の主役はクリスティーナではなく（彼女はきれいだが）、ミシェル・ウィリアムスなのである。（きれいかどうかを超越しているのである）

ストーリーはよく理解できなかったが、そんな事は重要ではない。
ミシェルファンならあの表情の演技を観るだけでも必見の価値のある作品だと思う。