キヤンディ

この映画の趣旨なのか、何かにつけて「他人のために無償の行い」を強調する。若く無垢なキャンディは、無力な自分の出来ることといったら「自分を与えること」。それを間違った方向に（自分のいいように）とらえて、結果、こんなＨな映画が出来ました。それは限りなく純粋で、男の（たぶん製作者達の）夢であり・・・。

ラストに近づくにつれて、キャンディは悟りを開くような行動にでます。６０年代のヒッピーブームとラストシーンを考えると、インドへの憧れが根底にあるのか？

キュートでグラマーなキャンディは、
いろいろなことに巻き込まれて、
次々と男の人にせまられます。
世の中の男性はエッチなことしか考えてないのかしら？
と思う程次々とエッチな男性が現れます。
キャンディは、とても純粋でさそっているわけではないのに、
次から次なのは、もうギャグ。
ポルノ映画ではないし、１９６８年の映画なので、
どぎついシーンはないのですが、
非常に色っぽいシーンがたくさんあります。
キャンディは、とてもかわいく、大きな瞳があどけないです。
この時代のファッションもキャッチーで
見所があります。
リンゴスターも庭師の役で出演しているヘンテコな映画です。

キャンディ役のエヴァ・オーリンかわいいです。
1968年の映画なんですが、そんなに古臭い感じもしません。
特に60年代が好きというわけじゃなくても、ほどほど楽しめます。
「自分が人に与えられるものは、自分自身」と思い込んでいるキャンディ。
とってもスタイルがよく、今の時代でも通用するんじゃない？
今ならもう少しＨシーンが具体的に写されてるはず。　残念だなぁ（笑）
マーロン・ブランドやリンゴ・スターがあんな役で出てるなんて・・・・ちょっとビックリ！

キャンディ、スタイル抜群でとてもかわいいんですが、やっぱりおバカ過ぎです。
おしゃれＨというか、Ｈだけ。
ほんと品はないですね・・・。でも、60年代好きで、おバカ映画好きな人はとっても楽しめますよ、きっと。
楽しい雰囲気は味わえます。

( ネタばれあり)
無垢な幼さと豊満な肉体を併せ持つ女の子キャンディに、男どもが次々と発情してハレンチな本性を露わにしていくというエロティック・コメディで、まったくの駄作だけど、「　ハレンチ　」が６０年代後半から７０年代半ばの反体制のうねりを象徴する表現だったと感じさせます。

発情していくハレンチ男たちの豪華な顔ぶれ
リチャード・バートン( 当時はエリザベス・テイラーと１回目の結婚　)
リンゴ・スター( ビートルズ最盛期で「　サージェント・ペパー」の後「ホワイト・アルバム」の直前)
ウォルター・マッソー( ２年前にアカデミー助演男優賞。　同じ年に『　おかしな二人　』公開)
ジェームス・コバーン( 『　電撃フリント』シリーズの後の頃)
ジョン・ヒューストン( 巨匠は前年に『007カジノ・ロワイヤル』監督・出演)
シャルル・アズナブール( 言うまでもなく、シャンソンの名歌手ですね。)
そしてマーロン・ブランド( 前の年にチャップリンの『　伯爵夫人　』、当時はタブーだった同性愛がテーマのジョン・ヒューストン作『　禁じられた情事の森　』。　『　ゴッド・ファーザー　』での再ブレイク前の低迷期　)

他にキース・リチャーズのパートナーのアニタ・パレンパークらが出ています。

ハリウッドには、グレタ・ガルボ、イングリット・バーグマン、からスカーレット・ヨハンセンにいたるまでスウェーデン美女スターの系譜があり、ブロンドの北欧系セックス・シンボルと言えばマリリン・モンロー(　ノルウェー系　)で、本作主演のエヴァ・オーリンもスウェーデン出身。　
そういうステレオ・タイプな記号的キャスティングにも取れます。

原作は、毒のある風刺でカウンター・カルチャーの代表的な作家のテリー・サザーンが１９５８年に発表した小説。　日本で言うところのアングラ小説家ですね。
脚本家として、本作と似た作品では『　バーバレラ　』『　ザ・マジック・クリスチャン　』があり、他に『　博士の異常な愛情　』『　シンシナティ・キッド　』、本作の後『　イージー・ライダー　』を書く。

本作の脚本は『　卒業　』『　天国から来たチャンピオン　』などのバック・ヘンリー
監督のクリスチャン・マルカンはフランスの俳優で、友人のマーロン・ブランドがタヒチ島の環礁地を取得した際フランス大統領に仲介した縁もあって、マーロン・ブランドは本作の出演に同意。
発禁になったことのあるこのアングラ小説の映画化が実現したようです。

当時のヒッピー文化のドロップ・アウト、フリー・セックス、ドラッグ、サイケデリックなファッション、そしてナンセンスな笑いは、禁欲的なビューリタニズムを基にした・まじめくさった保守的な体制文化へのカウンター・カルチャーでした。

かわいい無垢な女の子( ロリータ　+　ナイスバディ　)を見るとむしゃぶりつきハレンチになる、あっけらかんとあからさまなスケベさは当時の男子にとっては解放的だったわけですが、今日フェミニズムから見れば、冷ややかな視線を浴びるかな。
かわいい無垢な女の子の役割は拒否して、女の側がセックスのイニシアティブをとろうとする、あばずれな悪女のフェミニズムが出てくるのは、このあとのことでした。