ラブ・レター　パイランより

　恵まれた境遇にあるひとや無神経なひとにはパイラン（康白蘭。警察での書類には「白爛」となっていますが、意図的に好ましくない意味を持つ漢字を使って、死後まで虐げられている状態を表現しています。）がどんな感情をカンジェ（李江齋）に持ったのか、おそらく永久にわからないのでしょうね。誰も頼るひとがいない、言葉も通じない異国の地にたった一人で置かれたらどんな気持ちになるのか、写真の中のカンジェの笑顔がいつしか拠り所になったとしても、不自然なことではないと思います。
　この作品の内容がつくりもののように感じられるとしたら、それはものすごく幸せな状況に置かれているということです。社会から存在を受け入れられず、底辺でもがきながら生きている人も世の中にはいるし、そんな人間にも心があるということを少しでも理解してもらえたら、と思います。
　「感動」ではなく、社会の仕組みや自分の運の無さに対する「怒り」や「悲しみ」の映画です。今倖せな方にはお薦めしません。

　

原作はいわずと知れた浅田次郎の「ラブ・レター」（『鉄道員（ぽっぽや）』 所収 ）で、韓国での原題は『パイラン』、日本で以前に映画化されたときのタイトルは『ラブレター』らしい。・（中黒）が入るのか入らないのか、サブタイトルはつけるべきか、しかも、中山美穂主演の『Love Letter』という映画もあって、これが韓国でも公開され、けっこうヒットしたというのだから、よけいややこしい。

で、内容なのだが、これがまったく救いのない暗い映画である。ラストもたぶんこうくるだろうなぁ、という通りになるのだが、そのわりに見た後の印象はすっきりしている。セシリア・チャンが清楚で可憐なせいかもしれないし、チェ・ミンシクのチンピラぶりがあまりにも徹底して情けないからかもしれない。どう作っても、見所は主役ふたりの演技力になりそうな話で、その意味ではキャスティングの勝利。しかし、セシリア・チャンって、『少林サッカー』のひげつけたおねえちゃんだよね。見ているときは、まったく気づかなかった。

もし自分が言葉も分からない外国で一人きりになったら？あてにしていた親戚もいなく、お金もなく・・・。
パイランがどうして一度も会ったことのないカンジェを愛するようになったのか。偽装結婚ではあっても、自分と唯一つながりのある人間だったからじゃないのかな。
この話、子供（年齢って意味じゃなく）には分からないだろうなあ・・・。

シュリで北朝鮮兵役を好演したチェ・ミンシクが，うだつの上がらないチンピラ役イ・カンジェとして登場。映画の題名は主人公の名前，康白蘭（カンパイラン）から取ったもの。パイラン役は,香港映画界期待の若手セシリア・チャン。原作は浅田次郎という作品。
中国人孤児のパイランが韓国の親戚を訪ねたものの親戚はすでに韓国には居らず,就労のためにやむを得ずカンジェと偽装結婚。パイランは会ったことのないカンジェに「結婚してくれてありがとう」と手紙を書く。
会えない二人と届かなかった手紙が涙を誘うという設定ですが,私は映画の中の洗濯屋のおばさんと同感で感動の涙より怒りの涙でした。

『クライング・フィスト泣拳』『春が来れば』等
さえない親父役がまっことお似合いのチェ・ミンスク氏。
普通のドラマの父親役はナカナカやらない？！
今まで見た彼の作品中で一番切なかったかな。

【偽装結婚】で結ばれた戸籍だけ夫婦の男女…
そこには【愛】は無かったはず。
紙切れだけの夫カンジェに死期をさとった妻パイランは
手紙をしたためます。
夫になってくれ、ありがとうと。
そして、出来る事なら私はあなたの妻のままで死にたいと。

パイランの遺体を引き取りに行ったカンジェに
気持ちの変化が表れます。

ラストに流れたビデオの中のセシリア・チャンの笑顔が
ものすごくよかった。。。
確か、これ日本版でもあった。中井貴一主演で…
★★★☆☆