ホワイト・オランダー

この作品には驚いた。私はレニー・ゼルウィガー見たさにこの作品をレンタルしたのだが、まさかここまで重いテーマの作品だとは思わなかった。この作品は一貫してイングリッド（ミシェル・ファイファー）の娘アストリッド（アリソン・ローマン）の視点で描かれていく。

母イングリッドが彼氏を殺してから娘アストリッドの運命は大きく歪み変わってしまう。それまで母イングリッドしか知らなかったアストリッドは里親に預けられ、母以外の人々と触れ合い、母の考え方に疑問を持ち始めていく。孤児を育てることで過去の罪滅ぼしをしているつもりの元ストリッパー（ロビン・ライト・ペン）、美しく愛情深いが、夫にかまってもらえない寂しさの埋め合わせのために里親になった売れない女優（レニー・ゼルウィガー）、孤児を従業員のように扱い働かせるロシア系移民の女という個性的な３人の里親の所を転々とし心に深い傷や彼女が知らなかった愛情を受けながらも彼女は彼女なりの生き方を模索し始め、母と対立しながら自立しようとするが最後に母の愛を思い知る。

この作品は、ミシェル・ファイファーとアリソン・ローガンの演技を見るだけでも価値がある。ラスト近くでの母娘対決は目が離せなかった。最近虐待のニュースを良く聞くが、母のセリフを聞いていると虐待に走る親の声を聞いているかのようだった。イングリッドの母としての愛とは一体何だったのだろう。娘を自分の思うがままの娘にでも仕立て上げるつもりだったのであろうか。里親の影響を受ける娘に嫉妬にも似た感情を持ち、時には里親さえも自殺に追い込んでしまう母の愛とは一体何ぞや？本当に愛なのか？独占欲なのか？彼女だけでなく、アストリッドに対する嫉妬に狂い彼女を銃で撃ってしまう元ストリッパーもよくわからなかった。こんな女が何で里親なんかになれるのだと思ったものだ。

里親に引き取られ、２度もその家庭が崩壊し施設へ逆戻りになってしまうアストリッド。彼女のような大人になりきれていない子供がそんな仕打ちにあってしまうと「自分が預けられる里親の家庭が崩壊するのは自分の責任」というトラウマを絶対に残してしまう。人間であれば大人でも子供でもそう思うものである。里親制度は立派なものだと思うが、里親がどんな人かによって預けられる子供が受ける影響は計り知れない程大きい。それだけに本当の親の責任は重い、そう諭されたよう作品だった。

子供にとって母親は絶対的な存在です。たとえどんな影響を与えようとも・・・
イングリッドは芸術家で相当自我が強いんでしょうが、娘はその母親について行くのが精一杯。男と寝ているあいだ娘を車で待たせ、帰ってきて娘にグチるという場面には驚きました。
里親に預けられている時も、刑務所の中から影響を及ぼし続けるなんてまるでモンスターのようでした。
ずっと息詰まる思いで観ていましたが、ラストにようやく母娘ともに救われ観ているほうも肩から力が抜けてゆくのを感じました。

しかしアメリカの里親制度というのはこれでいいんでしょうか？
何か、保健所の捨て犬をひきとるのを連想させるんですが・・・
その中でレニー・ゼルウィガー、出番は短かったですが存在感ありでした。まるで笑顔が女神様のようで。よかったです。
「ＥＲ」のカーターも出てましたね。

私もこの作品好きです。

アリソン・ローマンが素晴らしくて、透明感があるってこういうことを言うんだなーと思いました。
脇を固める女優陣も豪華でとてもいい感じです。

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イングリッドにアストリッド、思いっきりスウェーデン系の名前ですね。「ヴァイキングの誇り」について言及する為だけに、スウェーデン系にこだわったんでしょうか。ジャケットに端的に表れていますが、出てくる女性はブロンド美人ばかり。「ヴァージン・スーサイズ」みたいですね。ロビン・ライト・ペンは「フォレスト・ガンプ」を見た時に、とても好きでした。その頃から水野美紀に似てると思っていましたが、この作品ではもう水野美紀にしか見えなくなりました（笑）

レニーは良い役でしたね。アストリッドの束の間の幸せはその終わり方があまりにも悲しかったために、作品中で最も印象に残りました。二人で楽しそうにジョギングしているシーンなど・・・。

母親が起こした事件をきっかけに人生が変わる少女。
同性だからこそ母親の影がどこまでも追いかけてくる感じに耐えられず、里親がどんどん変わったりと・・・。
オープニングのトランクケースは意味深ですね。
愛情の束縛から解放された彼女の想い出なのかな？