ミッシング・ガン

「鬼が来た！」で有名な監督チアン・ウェン主演の作品。マー巡査（チアン・ウェン）が拳銃を紛失してしまった事からこの物語は始まる。警官にとって拳銃を無くす、もしくは紛失する事は一番の不名誉である。これは日本も中国も変わらない。彼はそれを犯してしまったのだ。彼は誰にも拳銃紛失を言う事が出来ず一人で捜査するが手がかりさえつかめない様子。そのうちに上司にバレ、しかも彼の拳銃で殺人事件が発生する始末。彼は窮地に追い込まれ命をかけた最後の賭に出るというお話である。

見事なのはチアン・ウェンの微妙な演技である。セリフは主役であるがとても少ない。しかし、彼の演技がその時の心情を物語っているのでわからなくなる事はない。彼の表情を見ているだけでも楽しめる作品だ。派手さもなくただただ淡々と話が進んでいく。しかし、犯人像が全く見えてこない。犯人は最初の方にこっそり登場していた。一度は怪しいと思いつつも途中で忘れてしまい、犯人を見破れなかった（＾＾ゞ。主役マー巡査の巡査としての責任感から来る苦悩がチアンによって見事に演じられている。

何か特別な事があるわけでなく、えげつない殺人描写もない。犯人の罪を犯す事になった背景もラストのセリフ以外描かれず、若干不透明感を感じる所もあるが、最後のマー巡査の笑顔で全て救われる。とてもほのぼのとしていて緊張感や緊迫感が全くないちょっと変わったサスペンス作品になっていたように思う（＾＾ゞ。主役を務めたチアンの演技力、存在感なくしては成功などあり得なかった作品である。希望を書けば、殺されたモンとマー巡査との関係やチョウがどんな悪事をしていたかをもっと深く描くべきではなかったかと思う。そうすればよりチアンの演技も映えていたのではないだろうか。

私は楽しめたので悪くない作品であると思うが、好き嫌いがハッキリ出そうな作品のような気がする（笑）。ほのぼのとしすぎて途中で眠ってしまいそうになったのも事実なのだから・・・（＾＾ゞ。

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　中国の田舎の警官が拳銃を失くして、焦って探し回る話。

　拳銃を失くすという黒澤明監督の【野良犬】やジョニー・トー監督の【PTU】のまんまの設定ですが、舞台が中国の田舎でレンガ造りみたいな家がたくさん建っていて、その家々の間を歩き回ったり深い緑の山々が周囲をぐるりと囲んでいる風景が映画として見栄えがいいものでした。

　序盤は妹の結婚式で酩酊した自分がいて、その時に拳銃を失くしたらしいぞとなり、出席者に1人1人ずつあたっていく展開は捜査ものとして面白く見れました。上司にもバレて停職処分になって、更に自分の拳銃で被害者が出て…という展開まではよかったですが。後半は結構グダグダで結局のところ主人公がダメダメのおかげで真犯人が拳銃を手に入れただけであって、しかも狙われている男がいて、彼の格好をしてあえて狙われる。というのも急な展開だし、しかも真犯人が出てきても「どちら様でしたっけ?」となる犯人でした。張込みとか尾行とかの捜査はしないのかな?　そもそも拳銃が盗まれたら盗まれた人が逮捕されちゃうんだ。オートマチック拳銃になぜ3発しか弾丸を入れていなかったのだろう?　と疑問だらけでストーリーに入り込めなかった映画でした。

『ミッシング・ガン』なんていうタイトルやハードボイルド風(?)のジャケット写真から、香港映画にありがちな派手なアクションが売りの映画だと勝手に思い込んでいたら、ぜーんぜん違った（笑）。大陸ののどかな村の巡査のお話だったのね。
一応コメディだと思うんだけど、おもしろおかしく作って笑わせてやろうというような作品ではなくって、あくまでリアルに淡々と描く中からシミジミとおかしさがこみ上げてくるようなタイプですね。巡査役のチアン・ウェンは見事に役にはまっていて最高の演技を見せてくれます。ちょっとマンガチックなキャラクターがこの役にピッタリ！　大失態をやらかしてしまった焦燥感に大粒の冷や汗をかきながら探しまわる様子がたまらなくおかしいです。
地味だけど面白いですよ。星４つ。

映画って撮り方・編集の仕方でこんなにもスタイリッシュな感じになるのね。ちょっと驚き。
だって中国の田舎のヘボ警察官の話だよ〜！
かっこよさげに撮ってみると、案外おもしろくなるものなのね。
でも２度見ようとは思わないなぁ。

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　拳銃をなくしてしまった警察官が、なくした拳銃を探し回る中で、周りの人間のさまざまの一面がわかってくる。

　観終わった後マーの責任の取り方にうなってしまいました。
男って、家族より責任やプライドが大事な時がある。
でも・・・。