A
全体の平均評価点: (5点満点)
(12)
解説・ストーリー
フリーのテレビディレクター森達也が、家庭用のデジタルカメラを手に、荒木浩広報副部長を中心にオウム真理教の信者達に密着取材したドキュメンタリー。上祐史浩広報部長をはじめオウム幹部が次々と逮捕され、オウム関連裁判、宗教法人法による解散命令、破産宣告、青山本部立ち退き、上九一色村施設の解体、そして、破壊活動防止法適用の是非に関する国民的議論が巻き起こっていた時期に、一連の騒動をオウムの内側から記録した問題作。
フリーのテレビディレクター森達也が、家庭用のデジタルカメラを手に、荒木浩広報副部長を中心にオウム真理教の信者達に密着取材したドキュメンタリー。上祐史浩広報部長をはじめオウム幹部が次々と逮捕され、オウム関連裁判、宗教法人法による解散命令、破産宣告、青山本部立ち退き、上九一色村施設の解体、そして、破壊活動防止法適用の是非に関する国民的議論が巻き起こっていた時期に、一連の騒動をオウムの内側から記録した問題作。
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「A」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
フリーのテレビディレクター森達也が、家庭用のデジタルカメラを手に、荒木浩広報副部長を中心にオウム真理教の信者達に密着取材したドキュメンタリー。上祐史浩広報部長をはじめオウム幹部が次々と逮捕され、オウム関連裁判、宗教法人法による解散命令、破産宣告、青山本部立ち退き、上九一色村施設の解体、そして、破壊活動防止法適用の是非に関する国民的議論が巻き起こっていた時期に、一連の騒動をオウムの内側から記録した問題作。
「A」 の作品情報
「A」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
「A」 のシリーズ作品
Aの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
135分 |
英語 |
1:ドルビーデジタル/ステレオ/日本語
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
MX185R |
2004年08月28日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
0枚
|
1人
|
0人
|
Aの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
135分 |
英語 |
1:ドルビーデジタル/ステレオ/日本語
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レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
MX185R |
2004年08月28日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
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1人
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ユーザーレビュー:12件
ころび公妨、ころびドキュメント
投稿日:2007/08/03
レビュアー:よふかし
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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あとから『しがらみ学園』に出ていたと言われてみると、そういえばこの映画の森達也監督の風貌には記憶があるような気もします。彼には『ドキュメンタリーは嘘をつく』という著作があって、ごめんなさい読んでいないんですが、ノンフィクションや報道やドミュメンタリーに嘘があるというのは今に始まったことではありません。
もちろん取り上げた事実に誤りがあればお話になりませんが、誤りはなくても、事実そのまますべてを紹介することはできないし、無意味なので、作り手が主観によって創造的に選択しなければなりません。ですから僕らがドキュメンタリーが面白いなあと思うのは、そこに映し出されているものと同等かそれ以上に、作り手の主観を面白いなあと感じているとも言えるのではないでしょうか。
この『A』の創造性、作り手の主観というのはどこにあるのかといえば、「反対側から見る」というところにあります。渦中のオウム真理教の荒木広報副部長に密着することで、オウム側から見た世間、つまりマスコミや警察や周辺住民の姿をふだんとは逆側から映し出す。その狙いは面白くないというわけではなくて、殺到する取材陣との交渉、欲望に目をギラギラさせたレポーター、取材者同士の小競り合いなど、ふだん目にすることはない場面が溢れます。
また、本作を有名にした「ころび公妨」のあまりにも唖然とさせられる顛末は、一見の価値あると思います(ころび公妨というのは、小競り合いの中で警察官が勝手に転んで痛がり、公務執行妨害等の現行犯で逮捕するという、かつては公安警察が新左翼相手に多用した手口です)。
こうした場面を使って、森監督は、警察権力、マスコミ権力、周辺住民の無理解・無思考な恐ろしさを言い立てます。オウムだってひとりひとりは悩み苦しむ人間なのに、十把一絡げで排除しようとするこの社会はおかしい!
いえ、僕からすると、この監督の目線がやっぱりおかしいです。当時の異常な状況は、みんな気がついていました(それはオウム自身が招いたことでもあります)。でも、何とかソフトランディングさせる方法はないかと努力していたし、今でもそれは続いています。オウムはサリン事件だけじゃなくて、坂本弁護士一家や信者のリンチ殺人、ジャーナリストや弁護士の襲撃、子どもを劣悪な環境において就学させないなど、本当にめちゃくちゃな、前代未聞の事件を起こしたわけです。犯罪に関わったものがあらかた逮捕された後、その集団と社会はどう折り合っていけばいいのか、その過程において警察にもマスコミにも周辺住民にもそれぞれの役割があるはずです。
ところが森監督は、周囲を「敵」としてしか描こうとしません。映画からは、彼自身が、警察やマスコミを敵と見なしていることが感じられます。その一方、繰り返される恋愛や人生観についての質問。意外と煩悩丸出しで修行者らしからぬオウム信者たちは面白いのですが、彼らの欲望にはあまり踏み込まず、純朴な風貌の荒木副部長をメインにその祖母訪問までをフォロー、かぶさる感傷的な歌声。
大事なのはオウムと社会とのかかわりではなく、個の内面である。そう言いたそうなラストですが、本気なのでしょうか? 教団のソフト戦略の一環として広報担当者につかされた荒木副部長に、どうやら森監督は「自分」を見ているようなのです。けれども僕の目には、森監督も方向は違えど、これで一発当てようという事件当時ウンカのように湧いた「オウム・ウォッチャー」のひとりであるとしか思えません。
事実の選別し具合が下手なので、作為に満ちており、誠実さが感じられないのが致命的な一編。35点。
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森監督は文筆業のほうが向いているかも
投稿日:2012/05/26
レビュアー:港のマリー
レンタルの順番が回ってくる間、森達也著「A」〜マスコミが報道しなかったオウムの素顔(角川文庫)「A3」(集英社)を読みました。
「A」は荒木広報部長という、一見穏和な、凶悪な犯罪を犯した教団の一員とは思えない人物を通して、当時のオウムを取り囲んでいた社会の側の、とくにマスコミの、偏見、敵意、非寛容、卑俗さ、軽薄さなどを、描いたもの。
オウム教団自体については、「わからないことがわかった」と、森監督自身が書いているように、読んでもわからない。
一方「A3」は、麻原彰晃を始め、事件を起こした幹部たちを詳しく追っており、真正面からオウム教団とその引き起こした凶悪事件に向き合った力作でした。丹念に取材した麻原像は、マスコミの作り出すイメージよりもずっと複雑でしたし、幹部たちとの競合作用により、一連の事件に突き進んでいく様の描写には、説得力がありました。
一方、上九一色村や各地の道場で、自分の「修行」だけに明け暮れていた「A」の荒木青年のような一般信徒たちは、一連の凶悪事件を実際知らなかったようです。だからこそ、いまだ信仰を捨てない人々がいるわけで、この落差にこそオウム教団の怖さがあったのかもしれませんが、その辺りへの言及はあまりありません。
「A」と「A3」との間にも断絶があるような気がします。
詐病か、精神障害かと、論議がありましたが、教祖の口からは何も明らかにされないまま、事件は終わったとされつつあるのは、今ひとつ、もやもやしますね。
おっと、本のレビューじゃない、ドキュメンタリーですね。端的に言って、森監督の情緒過多が作品の迫力を著しく削いでしまっています。不当逮捕の場面で「グッドナイト・ベイビー」を流すことはないでしょうに!
こちらが恥ずかしい。あるいは、正視できないようなあまりに醜悪な場面に、耐えきれず付けた音楽かもしれませんが。気持ちはわかる、でも、ここは冷徹を貫いてほしかった。
同様に、ラストの「峠」にもしらけました。優しい森監督は荒木さんを応援したいのですね。病気のおばあちゃんをわざわざ見舞う心優しい荒木君には、ぜひ峠道で正しい道を自分で選んでほしいと。
でも、その気持ちは通じません。もしかしたら、このドキュメンタリーの主題は、その「通じない」ところにあるのかもしれません。
執拗にアップされる荒木さんの表情に、森監督が確信したような「何らかの本質と、同時に激しい矛盾と葛藤を、彼は間違いなく共存させている」ようなものは感じられなかった。森監督は、教団の犯罪に責任は感じないの?というような意地悪な質問を、何度か浴びせるのだけれど、彼が動揺しているようには見えなかった。信仰に生きる人間のしぶとさを、逆に印象付けられました。
当時のオウムを取り巻く社会の逆上ぶりの方は、いやになるほどよくわかりました。
上九のサティアンで、今日にも教祖逮捕かという日のワイドショー、信者の集団自殺やサティアンの爆発炎上のような
「最悪の事態」が「懸念されます」と言いつつ、内心それを待っていることが隠しきれない興奮したレポーターたち、そしてその後ろで同様に待っている膨大な視聴者たち、もちろん私もだ、の浅ましさには、赤面せずにはいられない。
オウムの被告の弁護などするなと、弁護士会館の前で絶叫する人もいたが、激情で裁判の制度の手続きを否定したら、めぐりめぐって困るのは私たちなのだか。
荒木さんを「応援してまーす」という女子大生たちも軽薄だったし、オウムの本部を取材に訪れたNHKの女性記者のビビりぶりも、なんだかな、でした。あれが気取った「Nスペ」のネタになったのだろうか。
森監督のカメラ操作はイマイチで、揺れがすごくて頭痛がしてきました。
途中で、「ゆきゆきて神軍」で助監督をつとめた安岡卓治氏がプロデューサーとして加わり、映画の体裁が整ってきます。
でも「ゆきゆきて神軍」には、及びもつかない作品です。安岡さんが悪いのではなく、奥崎謙三と荒木浩の違いです。
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客観的中立の呪縛
投稿日:2010/03/21
レビュアー:バンジーズ
まだVHSソフトしかなかった時期に観ました。私にとって“痛い”作品でした。もっというとこの「A」を観たことによって森さんの著作をいろいろと読み、今まで信じてきたことが覆されたことが痛かったのです。私はマスコミの末端にいる人間ですが、ドキュメンタリーに限らずスポーツ報道なども中立的な視点に立った客観的事実を伝えることが最上であり、個人的な視点が入ってはならない……などと考えていました。しかし情報を発信しているだけで“個人の視点”であり“表現という行為”なのだということに気づかされたのです(言うまでもないですが、国会中継やスポーツの試合結果に独自の視点は関係ありません)。この「A」でもそうですが、カメラをかまえる位置が違うだけでひとつの事件の見え方が180度違って見えます。今では当たり前だと言えますが、当時はエンタテイメント性のあるスポーツ報道にとっても「発信スタイルは客観的中立」という妄想にとらわれていました。テレビ局や出版社という傘の下にいる人間特有の帰属意識に気づいて恥ずかしく感じました。
オウムの事件は衝撃的で、通俗的なマスコミによって勧善懲悪のストーリーが築かれました。報道関係の収益性(矛盾しているようですが、テレビも新聞、雑誌も商売ですから)が落ちたときはデータや小さな事件を集めて人々を不安にさせると視聴率や利益率が上がるのは業界的セオリーのようですが、一般人のメディアリテラシーの低さを見透かしているようでイヤな感じです。
世の中のムードがオウム=すべて黒というイメージになった時代に森さんは自分の視点でオウム事件を撮ったのです。当時の“空気”的にはテレビや新聞だけでなく多くのメディアがオウム=悪としなければ売れないという雰囲気だったでしょうから、森さんのような制作活動はインディペンデントなものにならざるを得なかったのでしょう。だからやっかみ含みの批判も多かったようです。オウムに寄ったプロパガンダ呼ばわりは、ひどい中傷だし作品の本質を無視していると思います。
私(を含めた多くののマスコミ関係者も)は気づかされました。自分の“視点”の無い表現行為に意味が無いことと、その視点と持続力を持ち続ける難しさに。はぁ……もっと早く気づきたかった。
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決定的映像
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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淡々と撮り続けるためオウムの事件に興味がない人にとっては若干退屈かも知れません。
凄いのは警察による不当逮捕(というよりむしろでっち上げ)をとらえた映像です。
評判は聞いていたものの、やはり映像で見せられると凄い。
なりゆきということではなく、最初から挑発し機会を狙っていたものとしか見えない。
どなたかが指摘していたことですが、その映像の直接的な凄さにもまして驚きを与えるのは、カメラの前で堂々と不当逮捕をやっていること。
つまり、その気になるとでっち上げをやり、大手マスコミに対しては報道できるはずがないという自信があるのか、恐れは抱いていないということがはっきりと判る点です。
民衆の敵NO1のオウムだから国民の支持が得られるという自信かも知れません。
オウムの事件の社会に与えた影響ですが、一点だけ上げると、直接的な原因ではなくとも、この事件が人々の不安をかき立て完璧な安全、異物者の排除を求める動きを加速させたことは間違いないのではないかと思います。
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すごいです
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よくこんな映像撮ったなあ。
今、いろんなことが起こりすぎてちょっと前のことなんか忘れ去られる時代に貴重な記録を残してもらった感じです。
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ユーザーレビュー
ころび公妨、ころびドキュメント
投稿日
2007/08/03
レビュアー
よふかし
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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あとから『しがらみ学園』に出ていたと言われてみると、そういえばこの映画の森達也監督の風貌には記憶があるような気もします。彼には『ドキュメンタリーは嘘をつく』という著作があって、ごめんなさい読んでいないんですが、ノンフィクションや報道やドミュメンタリーに嘘があるというのは今に始まったことではありません。
もちろん取り上げた事実に誤りがあればお話になりませんが、誤りはなくても、事実そのまますべてを紹介することはできないし、無意味なので、作り手が主観によって創造的に選択しなければなりません。ですから僕らがドキュメンタリーが面白いなあと思うのは、そこに映し出されているものと同等かそれ以上に、作り手の主観を面白いなあと感じているとも言えるのではないでしょうか。
この『A』の創造性、作り手の主観というのはどこにあるのかといえば、「反対側から見る」というところにあります。渦中のオウム真理教の荒木広報副部長に密着することで、オウム側から見た世間、つまりマスコミや警察や周辺住民の姿をふだんとは逆側から映し出す。その狙いは面白くないというわけではなくて、殺到する取材陣との交渉、欲望に目をギラギラさせたレポーター、取材者同士の小競り合いなど、ふだん目にすることはない場面が溢れます。
また、本作を有名にした「ころび公妨」のあまりにも唖然とさせられる顛末は、一見の価値あると思います(ころび公妨というのは、小競り合いの中で警察官が勝手に転んで痛がり、公務執行妨害等の現行犯で逮捕するという、かつては公安警察が新左翼相手に多用した手口です)。
こうした場面を使って、森監督は、警察権力、マスコミ権力、周辺住民の無理解・無思考な恐ろしさを言い立てます。オウムだってひとりひとりは悩み苦しむ人間なのに、十把一絡げで排除しようとするこの社会はおかしい!
いえ、僕からすると、この監督の目線がやっぱりおかしいです。当時の異常な状況は、みんな気がついていました(それはオウム自身が招いたことでもあります)。でも、何とかソフトランディングさせる方法はないかと努力していたし、今でもそれは続いています。オウムはサリン事件だけじゃなくて、坂本弁護士一家や信者のリンチ殺人、ジャーナリストや弁護士の襲撃、子どもを劣悪な環境において就学させないなど、本当にめちゃくちゃな、前代未聞の事件を起こしたわけです。犯罪に関わったものがあらかた逮捕された後、その集団と社会はどう折り合っていけばいいのか、その過程において警察にもマスコミにも周辺住民にもそれぞれの役割があるはずです。
ところが森監督は、周囲を「敵」としてしか描こうとしません。映画からは、彼自身が、警察やマスコミを敵と見なしていることが感じられます。その一方、繰り返される恋愛や人生観についての質問。意外と煩悩丸出しで修行者らしからぬオウム信者たちは面白いのですが、彼らの欲望にはあまり踏み込まず、純朴な風貌の荒木副部長をメインにその祖母訪問までをフォロー、かぶさる感傷的な歌声。
大事なのはオウムと社会とのかかわりではなく、個の内面である。そう言いたそうなラストですが、本気なのでしょうか? 教団のソフト戦略の一環として広報担当者につかされた荒木副部長に、どうやら森監督は「自分」を見ているようなのです。けれども僕の目には、森監督も方向は違えど、これで一発当てようという事件当時ウンカのように湧いた「オウム・ウォッチャー」のひとりであるとしか思えません。
事実の選別し具合が下手なので、作為に満ちており、誠実さが感じられないのが致命的な一編。35点。
森監督は文筆業のほうが向いているかも
投稿日
2012/05/26
レビュアー
港のマリー
レンタルの順番が回ってくる間、森達也著「A」〜マスコミが報道しなかったオウムの素顔(角川文庫)「A3」(集英社)を読みました。
「A」は荒木広報部長という、一見穏和な、凶悪な犯罪を犯した教団の一員とは思えない人物を通して、当時のオウムを取り囲んでいた社会の側の、とくにマスコミの、偏見、敵意、非寛容、卑俗さ、軽薄さなどを、描いたもの。
オウム教団自体については、「わからないことがわかった」と、森監督自身が書いているように、読んでもわからない。
一方「A3」は、麻原彰晃を始め、事件を起こした幹部たちを詳しく追っており、真正面からオウム教団とその引き起こした凶悪事件に向き合った力作でした。丹念に取材した麻原像は、マスコミの作り出すイメージよりもずっと複雑でしたし、幹部たちとの競合作用により、一連の事件に突き進んでいく様の描写には、説得力がありました。
一方、上九一色村や各地の道場で、自分の「修行」だけに明け暮れていた「A」の荒木青年のような一般信徒たちは、一連の凶悪事件を実際知らなかったようです。だからこそ、いまだ信仰を捨てない人々がいるわけで、この落差にこそオウム教団の怖さがあったのかもしれませんが、その辺りへの言及はあまりありません。
「A」と「A3」との間にも断絶があるような気がします。
詐病か、精神障害かと、論議がありましたが、教祖の口からは何も明らかにされないまま、事件は終わったとされつつあるのは、今ひとつ、もやもやしますね。
おっと、本のレビューじゃない、ドキュメンタリーですね。端的に言って、森監督の情緒過多が作品の迫力を著しく削いでしまっています。不当逮捕の場面で「グッドナイト・ベイビー」を流すことはないでしょうに!
こちらが恥ずかしい。あるいは、正視できないようなあまりに醜悪な場面に、耐えきれず付けた音楽かもしれませんが。気持ちはわかる、でも、ここは冷徹を貫いてほしかった。
同様に、ラストの「峠」にもしらけました。優しい森監督は荒木さんを応援したいのですね。病気のおばあちゃんをわざわざ見舞う心優しい荒木君には、ぜひ峠道で正しい道を自分で選んでほしいと。
でも、その気持ちは通じません。もしかしたら、このドキュメンタリーの主題は、その「通じない」ところにあるのかもしれません。
執拗にアップされる荒木さんの表情に、森監督が確信したような「何らかの本質と、同時に激しい矛盾と葛藤を、彼は間違いなく共存させている」ようなものは感じられなかった。森監督は、教団の犯罪に責任は感じないの?というような意地悪な質問を、何度か浴びせるのだけれど、彼が動揺しているようには見えなかった。信仰に生きる人間のしぶとさを、逆に印象付けられました。
当時のオウムを取り巻く社会の逆上ぶりの方は、いやになるほどよくわかりました。
上九のサティアンで、今日にも教祖逮捕かという日のワイドショー、信者の集団自殺やサティアンの爆発炎上のような
「最悪の事態」が「懸念されます」と言いつつ、内心それを待っていることが隠しきれない興奮したレポーターたち、そしてその後ろで同様に待っている膨大な視聴者たち、もちろん私もだ、の浅ましさには、赤面せずにはいられない。
オウムの被告の弁護などするなと、弁護士会館の前で絶叫する人もいたが、激情で裁判の制度の手続きを否定したら、めぐりめぐって困るのは私たちなのだか。
荒木さんを「応援してまーす」という女子大生たちも軽薄だったし、オウムの本部を取材に訪れたNHKの女性記者のビビりぶりも、なんだかな、でした。あれが気取った「Nスペ」のネタになったのだろうか。
森監督のカメラ操作はイマイチで、揺れがすごくて頭痛がしてきました。
途中で、「ゆきゆきて神軍」で助監督をつとめた安岡卓治氏がプロデューサーとして加わり、映画の体裁が整ってきます。
でも「ゆきゆきて神軍」には、及びもつかない作品です。安岡さんが悪いのではなく、奥崎謙三と荒木浩の違いです。
客観的中立の呪縛
投稿日
2010/03/21
レビュアー
バンジーズ
まだVHSソフトしかなかった時期に観ました。私にとって“痛い”作品でした。もっというとこの「A」を観たことによって森さんの著作をいろいろと読み、今まで信じてきたことが覆されたことが痛かったのです。私はマスコミの末端にいる人間ですが、ドキュメンタリーに限らずスポーツ報道なども中立的な視点に立った客観的事実を伝えることが最上であり、個人的な視点が入ってはならない……などと考えていました。しかし情報を発信しているだけで“個人の視点”であり“表現という行為”なのだということに気づかされたのです(言うまでもないですが、国会中継やスポーツの試合結果に独自の視点は関係ありません)。この「A」でもそうですが、カメラをかまえる位置が違うだけでひとつの事件の見え方が180度違って見えます。今では当たり前だと言えますが、当時はエンタテイメント性のあるスポーツ報道にとっても「発信スタイルは客観的中立」という妄想にとらわれていました。テレビ局や出版社という傘の下にいる人間特有の帰属意識に気づいて恥ずかしく感じました。
オウムの事件は衝撃的で、通俗的なマスコミによって勧善懲悪のストーリーが築かれました。報道関係の収益性(矛盾しているようですが、テレビも新聞、雑誌も商売ですから)が落ちたときはデータや小さな事件を集めて人々を不安にさせると視聴率や利益率が上がるのは業界的セオリーのようですが、一般人のメディアリテラシーの低さを見透かしているようでイヤな感じです。
世の中のムードがオウム=すべて黒というイメージになった時代に森さんは自分の視点でオウム事件を撮ったのです。当時の“空気”的にはテレビや新聞だけでなく多くのメディアがオウム=悪としなければ売れないという雰囲気だったでしょうから、森さんのような制作活動はインディペンデントなものにならざるを得なかったのでしょう。だからやっかみ含みの批判も多かったようです。オウムに寄ったプロパガンダ呼ばわりは、ひどい中傷だし作品の本質を無視していると思います。
私(を含めた多くののマスコミ関係者も)は気づかされました。自分の“視点”の無い表現行為に意味が無いことと、その視点と持続力を持ち続ける難しさに。はぁ……もっと早く気づきたかった。
決定的映像
投稿日
2006/08/15
レビュアー
いつも眠たい馬
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淡々と撮り続けるためオウムの事件に興味がない人にとっては若干退屈かも知れません。
凄いのは警察による不当逮捕(というよりむしろでっち上げ)をとらえた映像です。
評判は聞いていたものの、やはり映像で見せられると凄い。
なりゆきということではなく、最初から挑発し機会を狙っていたものとしか見えない。
どなたかが指摘していたことですが、その映像の直接的な凄さにもまして驚きを与えるのは、カメラの前で堂々と不当逮捕をやっていること。
つまり、その気になるとでっち上げをやり、大手マスコミに対しては報道できるはずがないという自信があるのか、恐れは抱いていないということがはっきりと判る点です。
民衆の敵NO1のオウムだから国民の支持が得られるという自信かも知れません。
オウムの事件の社会に与えた影響ですが、一点だけ上げると、直接的な原因ではなくとも、この事件が人々の不安をかき立て完璧な安全、異物者の排除を求める動きを加速させたことは間違いないのではないかと思います。
すごいです
投稿日
2005/12/30
レビュアー
peropero
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よくこんな映像撮ったなあ。
今、いろんなことが起こりすぎてちょっと前のことなんか忘れ去られる時代に貴重な記録を残してもらった感じです。
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