ブラック・ナイト

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「中世の世界」と現代アメリカほどそぐわないものはないだろう。中世と呼ばれる時代のアメリカ大陸には、いわゆる中世的文化を持つ民族はいなかったのだから。
そのもっとも似つかわしくないもの同士をつき合わせたらどうなるかという設定コメディ。
「タイムライン」では、タイムスリップをするのは考古学者たち。現代人の中でもっとも中世について詳細な知識を持つ者たちである。ひるがえって本作では、「ムーア人」と言われてもなんのことかわからない現代アメリカのヒップでホップでクールなブラザーが時を越える。もちろん「タイムライン」に見られるような、「なぜ時空を超えるのか」なんて説明はどこにもない。そんなものだれも求めていない。ただミスマッチングな設定を楽しむのみである。それだけでもうおかしい。

イントロダクションを読んで最初面白そうと思ったものの、実際中世に飛ばされたときは、いったいどこの国のいつの場面にするんだと心配になった。しかし、すぐにその心配が無用なことに気づく。時代考証なんてまったく意味がない。かろうじて英語が通じるという設定でイングランドということになったようだが、実際にジャマールが話しているような言葉はほとんど通じなかっただろう。でもいいのだ。楽団が突然ノリノリでも気にしない気にしない。

気にしないといいつつ。
トイレは、実際の中世のものよりよほどきれいだよあれは。というより中世時代、一般的にトイレというものはなかった。国王などのやんごとない人々は専用便器を持っているがあれはトイレというよりおまるだし、庶民や城で働く兵士・召使などは“そこらへん”でするのだ。
しかしもちろんそんなことは重要でもなんでもなく、ジャマールが「ガソリンスタンドどこ？」と訊くためのネタであり、なんともいえないおかしみを出している。吹替え版の台詞「ウンウンがあんなに」にも爆笑した。

実はこれ、「あなたへのオススメ」でチェックした作品。
「あなたへのオススメ」はできる限りチェックするようにしている。（半分以上が「２４」と「フレンズ」と「セックス・アンド・ザ・シティ」なのがアレだが。）
今のところ「勧めてもらわなかったら見なかった。勧めてもらってよかった〜」という作品数が上回っている。DISCASさんありがとう。

マーシャ・トマソン全作踏破中。

マーシャ・トマソンを知らない？
「ロスト」観てますか。あれに出てくるネオミですよ。褐色の肌してて英国英語喋る美女。ヘルメット脱がしたらウェーブのかかったロングヘアが出てきたと言うあの子。ロストで一番きれいなのはこの子。

ということでこれが３本目。主役でお姫様。ただし七番目の妾で実は王様反対派のスパイ。

設定はなかなか面白いが、マーティン・ローレンスのセンスが私には受け付けられない。この人のどこが面白いんだろうか？この人の英語がそもそも耳障りでイヤだ。生理的なものは理屈では解決できんのである。

映画としてはマーシャをヒロインとして前面に押し出しているし、特典メニューも彼女のアップだし、スター扱いである事は明白だ。しかし、彼女の使い方が上手いかと言うと、前２作同様、ただのきれいな黒人女性でしかない。とほほ。

その点、「ロスト」は上手い。そもそもあの番組は「人の顔」の使い方が異常なくらい、つまり尋常でなく、上手い番組である。出てくるエピソードごとに「よくもこんなにぴったりの顔をした役者を見つけてきたなー」と感心、時には感動さえもよおす配役をしてくる。拷問を受けたアラブ人の女性。主人公をゆする朝鮮人のおばさん。ケイトのママ。ケイトのママなんか、あの顔（普通のおばさん）で「You can’t help who you love,Katherine. 愛は人を選べないのよ、ケイト」なーんて言っちゃうのである。超感動モノだ。

で、マーシャ・トマソンの使い方であるが「ロスト」では戦闘服にヘルメット姿で気絶した状態で登場し、ヘルメットを脱がすと褐色の肌にウエーブのかかった黒髪の美女、咄嗟に誰もが思うのは「この女はなに人だ？」である。上手い。「ロスト」にはいろんな国籍の男女が登場する上に、国が分からない舞台になに人だか分からない人々が入り乱れる番組なのである。そこに、どちら側の人間か、見た目でまったく想像もつかない褐色の肌のエキゾチックな顔立ちの女性としてマーシャ・トマソンが出てくる。私もこの人がなに人なのか分からなかった。黒人ではないし、スペイン系かと思った。しかし、なぜスペイン人がここに登場するんだ？という謎を呼んだ。この番組は「人の顔」の使い方が本当に上手い。

実はマーシャ・トマソンは父親が英国人、母親がジャマイカ人だそうだ。

こういうエキゾチックな美人を「ただ奇麗な黒人」として演出するのは誠に間違っている。私だったらこの人にはクレオパトラをやってもらう。クレオパトラはエリザベス・テーラーがやってからもう美女の度合いで彼女を越えられる女性はいないだろうからリメスクは有り得ない、と誰もが思っている事と思うが、クレオパトラは褐色の肌でエジプトの混血人だったはずなので、新しいクレオパトラ像をやれるのはマーシャ・トマソン以外にいないのである。

この映画でマーシャ・トマソンを気に入ったら（ここでは彼女はただ奇麗なだけの映画だが）「ロスト」のネオミも観てもらいたい。

※2009年（33歳）のマーシャ・トマソンの写真
http://www.imdb.com/media/rm2320402688/nm0859720

マーティン・ローレンスのコメディらしく普通に楽しめました。
今のところこの人の作品ではずれは無いですね。

特に良かったのは城でのダンスシーンとブラックナイトでの登場シーン。
でもこの作品、もうちょっと台詞を感動的なものに出来たらすごく良い作品になったかも。
おしい…。

マーティンローレンスの作品は軽く見れるのでほんとに楽しいですね。

現代文明と中世との融合が意外な滑稽さを醸し出していて、とても面白い。
マーティン・ローレンスお得意のおとぼけぶりが、堂に入っていて小気味良い。
黒人エンターティナーの器用さと言うか、引き出しの多さにはいつもながら感心させられた。

個人的に好きなシーンは、戦いのシーンでアメフトのフォーメーションを使って戦うところです。