みんなのいえ

　私は誰よりも職人を尊敬しているので　彼らを小ばかにしているこの映画は大嫌いです　皆さん絶賛の「王様のレストラン」もホテルの　F&B（Food & beverage）に属したものとして　おふざけが過ぎています　　職人と言うのは誰より利用者　お客様のために決して手を抜きません　彼らはそのように親方（板前は親父と言う）から教わり　決してその教えに背きません　　少なくとも私の知る職人たちは皆そんな不器用な人たちです　だからこの映画は生理的に厭ですし　かなり真面目に嫌いです

２度目の、そして久々の鑑賞です。
劇場で観た一回目よりは面白かったです。
でも登場人物の考え方や優柔不断さに振り回されて気持ちが浮き沈んでイライラするのは相変わらずですね。
それでも魅力的な棟梁とデザイナー。
同じもん同士だからぶつかり合って、絆を深める。
それがこの二人のコミュニケーション。
「知らない」と「いいもの作りたい」がミックスした感情をぶつけ合う仲良しな二人。
その攻防が見物です。
それとは別にココリコ田中演じる夫がもう「イライラさせる集合体」。
これこそ田中が演じるべき「ザッツ田中」でしたね。
こんな夫はいかがなものか・・・・
三谷さん特有の大勢でドタバタするコメディという感じではなく（そういうとこもありますがかなり抑え目です）家を作る過程を軸とした棟梁とデザイナーの一本勝負です。
唐沢さんも田中邦衛もベストな配役。
適材適所です。
棟梁はやはり田中邦衛以外はあり得ないでしょう。
そしてこんな人たちに家を作られるのは考えものだ・・・と思ったのも事実です。だって言う事聞いてくれないもの（笑）
まあ、娘の家だからってこともあるんでしょうけどね。
それでもジジイたちにはシビレさせられます。

映画を観終わったら、早速明日から・・・とは言わずに今から「田中邦衛」になろう！
なりきろう！
絶対観終わったらマネしたくなります。
これは確実です。
しばらく田中邦衛が増殖します。
マネして言いたくなるセリフ多数。
田中邦衛と田中邦衛でトークってのもアリですよ。
あの言い方をマネして日常会話してみましょう。
きっと今よりちょっとだけでも楽しくなりますから。

ニッチ産業（すきま産業）という言葉があるけど、三谷ワールドもまさにそれと同じで、人があまり目を向けないテーマを取り出してコメディにするのがうまいなぁ。伊丹十三がマルサの女とかお葬式とか一風変わったテーマを扱ったのがはじまりなんだろうけど。

こういうのは、すでにテーマを選んだ段階で勝負が決まっているというか、テーマ勝ちみたいなところがあるね。テーマが面白いからシナリオのアイデアもいろいろ浮かびやすいだろう。あとはこぎみよい役者達を使って組み立てるだけ。仕上げは三谷オイルフィニッシュでいい色合い。

田中邦衛と唐沢くんのからみは面白かった。いいよ〜邦衛は(笑)あの味は邦衛しか出せない。田中邦衛のデフォルメともいうべき役を彼があえて演じてるところがいい。またいろんな人がちょい役でたくさん出てくるのを見つけるのも楽しい。

私昔、建築関連の仕事やってました。
この辺のお話よく分かります。
建築業界には結構この映画のＰＲもありましたが、今まで未見でした。
それは別として、この辺の難しい関係を、楽しいハッピーな映画にしてくれています。
映画の展開的にも、いろいろと工夫をこらしてくれていました。
家を建てるというのは人生で大変な仕事なのに、それに加えて実家の事情まで加わってもう大変。
中学生の娘も楽しんで鑑賞していました。
レンタルして損はありません。
お勧めします。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

三谷幸喜は「シチュエーションコメディでしか、面白いものが作れない」という枠から一度出てみたかったんじゃないだろうか。そうとしか思えない。私はこの作品で三谷幸喜の良さがことごとく削がれているような気がしてならない。内輪ノリの面白さを、今作では敢えて使わないようにした。「家を建てる」という一大ドラマをめぐる人々の悲喜こもごもをペーソスあふれる作品に仕立て上げたかった。しかし、そこに残ったのはありきたりな、そうあまりにもありきたりで、泣けもしない笑えもしない家族愛だ。

三谷幸喜が描く人物に多く共通しているのは「ゆるい感」である。なんかやる気のない人たち。そして、逆に人よりもやる気満々な人、つまり「勘違い野郎」がそこへ混じって騒動を起こす。今作品ではゆるいのが若夫婦八木亜希子と田中直樹だろうか。いや、田中直樹はいいとしても、八木亜希子の役割が何だったのか、今いちはっきりしない。この居心地の悪さは結局最後まで尾を引く。設計を頼んだ唐沢寿明と大工の棟梁である父の田中邦衛との板挟みになる彼女だが、本来はこの点において、あっちの味方だったり、こっちの味方だったりして、右往左往することできっと面白い小ネタがいっぱい出たはずだが、ついに不発。もう、これは敢えて「小ネタ」は封印したんだな、と思うしかない。

それから、私が大いに不満なのは、「デザイナーと大工棟梁のいがみ合い」という構図があまりにも陳腐な点だ。デザイナーも棟梁も一般的に「誤解されているキャラクター」をそのまま踏襲しているのも納得できない。世の中そんなにワガママ通している設計士ばかりではないし、棟梁はいつだって頑固なわけじゃない。この映画を見て「家を建てるってこういうことなんだ」とは、絶対思って欲しくない。夫が住宅の建築士なので、よけいにそう思う。この映画を見終わった夫はがっくり肩を落としていたもの。

というわけで、この作品は三谷幸喜作品だと思わずに見れば、そこそこに楽しめるのかも知れない。ただ、デザイナーと義父である棟梁があまりに仲良くなるのを夫である田中直樹が嫉妬する、というシーンがある。こういうエピソードは実に三谷幸喜的なのだが、これまた実に消化不良な処理のされ方のまま、放ったらかしなのだ。ううん、解せん。とにかくこの映画は解せぬ事づくめなのだ。