２９９９年異性への旅

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冒頭、暗い宇宙空間に白抜きの文字に、重厚そうな音楽をともなって一応スターウォーズっぽく始まってみる。するといきなりアホな場面が大真面目に展開しており、笑える。
科学的ＳＦ的考証をしてはいけない。ってかする人もいないか。
バイブレーターのような振動音が周囲に響く人造ペニスを装着する程度の科学力で、地球の文明進度に文句垂れるなどナンセンス丸出しで、あまりのアホさに思わず笑うこと請け合いである。しかし、アホアホ映画なのかと思っていると、愛について真面目に取り組んだ感動作なのである。私は感動したぞ。
妊娠期間が３ヶ月で済むのは正直かなり羨ましかった。それと、みんな「つけて」もらってよかったね。（笑）
しかし、邦題の2999年がどこからきたのかは謎。
特典はメイキング・ドキュメンタリー、予告編、タレントファイルなど。
日本語吹替え音声はなし。

　発想からしてコメディのはずなんだけど、大して笑えない。で、真面目に男女の恋愛やコミュニケーション・ギャップや、異星人との共存やらを考える多文化共生ものかというと、それも怪しい。
　
　冒頭のシーンはかなりおもしろい。脚本も兼ねるギャリー・シャンドリング演じる異星人が地球にやってきて次々女性をナンパするあたりもおもしろい。このまま行くかと思ったのだが、アネット・ベニングと結婚したあたりからおもしろさがどんどん下がっていって、見事にトーンダウン、もうB級コメディの香りがぷんぷん。あー、こりゃあダメだなぁと思っていると、なんかホロリとさせてみたり。こりゃあ、ひょっとしてけっこう真面目な線を狙ってるよね、と思い始める。でもはずしまくってるで。

　だいたい、本気で地球征服を狙ってるんなら、もうちょっと男前を送って来なさい、と言いたい。あれではあかんで。

　地球征服を狙う星の指導者がベン・キングズレー！　なんという豪華キャスト。キングズレーがかっこいいんだわぁ〜。この映画に登場するすべての男優の中で彼が一番かっこいい。凛として知的でハンサム。素敵です。主役を食ってます。

　まあ、マイク・ニコルズ監督もこういう脱力系映画を作ることがあるのね。監督に口説かれてアネットもキングズレーも出演したのかなぁ。

　公開された年に、アメリカで見た。こんな映画を映画館で、しかもわざわざアメリカで見てしまったなんてと思う。(笑)　人気がなかったらしく、映画館は私と友人２人だけの貸し切り状態。テレビの前にいるみたいに、コーラ片手に、おしゃべりしながら見た。すぐに上映されなくなったマイナーな映画だったのに、ここで借りることができるとは……うれしい。
　ばかばかしくて笑えて、ほんのり暖かくて、それなりに好きになれる大人の映画だった。荒唐無稽なセックス・コメディだけれど、「conflict（矛盾）」ということばに込められた「理性で計りきれない混沌として気持ち」に共感できた。Ｂ級映画にしては、いいんじゃない？と思う。

ブログに、あらすじを書いているので、良かったら覗いてみてください。<http://chinton.tea-nifty.com/blog/2005/01/2999_wh
at_plane.html>

この映画が楽しいのは、ＳＦ的な（非日常的な）物語がすべて
「実際の我々の生活に対する内容」になっているから。
結局は現実の生活を描写している。

「女性とうまくコンタクトできない男性とは、
　いったいどういう生き物なのか？」
「子供を作りたいという気持ちって？」
「父性愛とは？」
「妻子を捨てて逃げるというのはどういうことか」

上記のような問いかけが含まれている。
惜しいのはそういう問いかけはできているのに、
まともな回答が行われていないところ。
なんら納得させるものがない。

そのためにただのコメディになってしまっている。
この辺がテレビ出身の製作者らしい限界なのか。

本当に見たいのはこの物語がもたらす結論なのだ。
自分にはそのおもしろい映画が見える。
ラース・フォントリアーなら、この設定で最高の（最低の？）映画が作れるだろうに。

とにかく笑いたいという人にお勧めです。特に前半はこれでもか、これでもか、って感じで笑わせてくれます。ストーリーも簡単だし、気楽に見れました。