青空娘 / 若尾文子
全体の平均評価点: (5点満点)
(11)
解説・ストーリー
祖母の死により、親のもとに引き取られることになった有子。そこで待ち受けていたのは彼女を憎む継母の容赦の無い虐待の数々だった!それにも負けず「いつも青空のように明るく」をモットーに、強く明るく生きる有子の姿を描く青春映画。増村保造監督第2作にして、若尾文子と初めて組んだ作品。増村のモダンでスピーディーな演出と、爽やかで瑞々しい若尾の演技が一際光る傑作。
祖母の死により、親のもとに引き取られることになった有子。そこで待ち受けていたのは彼女を憎む継母の容赦の無い虐待の数々だった!それにも負けず「いつも青空のように明るく」をモットーに、強く明るく生きる有子の姿を描く青春映画。増村保造監督第2作にして、若尾文子と初めて組んだ作品。増村のモダンでスピーディーな演出と、爽やかで瑞々しい若尾の演技が一際光る傑作。
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「青空娘」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
祖母の死により、親のもとに引き取られることになった有子。そこで待ち受けていたのは彼女を憎む継母の容赦の無い虐待の数々だった!それにも負けず「いつも青空のように明るく」をモットーに、強く明るく生きる有子の姿を描く青春映画。増村保造監督第2作にして、若尾文子と初めて組んだ作品。増村のモダンでスピーディーな演出と、爽やかで瑞々しい若尾の演技が一際光る傑作。
「青空娘」 の作品情報
「青空娘」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
青空娘の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
88分 |
|
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
D*DABP1135 |
2007年07月21日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
7枚
|
0人
|
0人
|
青空娘の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
88分 |
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レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
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D*DABP1135 |
2007年07月21日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
7枚
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ユーザーレビュー:11件
何事にも動じないシンデレラ
東京に父母やきょうだいがいるはずなのに生まれた時から田舎で祖母と二人暮らし
その祖母の臨終で本当は愛人の子だったことを知らされる「えぇ!やっぱり」
舞台はかわって東京、その父親宅に引き取られた有子は継母や腹違いの姉から苛められる。粗末な部屋を与えられ、娘としてではなく女中扱い。まるでシンデレラ。
ところがそこは青空娘、魔法使いもかぼちゃの馬車も出てきませんが、有子は持ち前の明るさと強さで、自分で道を切り開いて行きます。
観客も陰湿なイジメなんかに同情してなんかいられない。
とにかく話が盛り沢山で物語が目まぐるしく進み、俳優陣のセリフのテンポが速いのです。沢村貞子さんなんて早口言葉を言っているように聞こえます。
若尾文子さんの、くぐもった艶っぽい話し方と身のこなしが、ハツラツとした娘とは少しかけ離れているように思えますが、冒頭のコスプレ風セーラー服に始まり、フレンチスリーブのブラウスに腰をキュッと絞ったフレアースカート(中にはしっかりとしたペチコートを履いているのでしょう)、後ろに垂らした髪がクルッとカールされたポニーテールなどが可愛らしく、衣装の面からの演出は成功していると言えます。
ラストは花柄のワンピース、王子様が大事に預かっていた靴を履き、二人で階段を駆け下りるところなどは、シンデレラになぞらえた演出だったのでしょう。
源氏鶏太原作の一点の曇りも無いお話は大映映画には珍しく、こういう作風は日活のほうがお得意かと思われますが、観終わった後には、文字通りカラッとした青空のような爽快感が残る。そんな映画でした。
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14人の会員が気に入ったと投稿しています
動的な画面設計
投稿日:2007/08/21
レビュアー:ケチケチ
原作は明星に連載されていた小説で、もうこれ以上はないというほど青春ドラマ満開です。なにせ青空に向かって3回も叫んでしまいますからねぇ。
監督2作目で、製作は大映社長の永田雅一。売り出し中のアイドルスター若尾文子を主役に個性豊かな出演人の彩りで、まさに大衆娯楽作品まっしぐらという作品ですが、大映が増村保造にかけた期待の大きさも伺える作品ではないでしょうか。興行的には成功だったのかどうかは知りませんが、これもまた監督として「くちづけ」とは違った面でステップアップするための技量を問われる作品だったんじゃないでしょうかね。ミヤコ蝶々、南都雄二の漫才のテンポが、そのまま作品全体の台詞のテンポに馴染んでしまうほど軽快な台詞運びで、後の「巨人と玩具」にも繋がる片鱗を見せる作品です。
また台詞のテンポばかりではなく、画面の中の人物や物の出し入れも非常に動的で、漫画的にデフォルメされた登場人物たちを演出していく上で必要不可欠なリズムが増村保造らしい手法で表現された作品でもあると思います。カメラワークも動的ではありますが、人物フォローしたPANが別の対象物を捉えFIXとなり、そのFIXで人物の出し入れが行われるなど、画面設計における動的な演出を見るにも面白い作品だと思います。
一言で言ってしまえば、純情可憐で活発なという大衆向けアイドルを主人公としたベタな青春ドラマではあるんだけど、映画の楽しみ方は色々とあるもので、その演出の仕方という面では、今見直しても大いに見る価値有りの作品だと思います。
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7人の会員が気に入ったと投稿しています
清楚な、しかしクールで個の立った娘役の若尾文子に萌えてしまう。
( ネタばれあり )
原作の源氏鶏太は石坂洋次郎、獅子文六らとともに戦後昭和を代表する通俗作家で、それだけに忘れられた感がありますが、トレンディドラマやライトノベル同様、その明るさ、軽さの中に時代の風潮、流行が反映されているように思います。
公開は昭和32年。「ALWAYS 三丁目の夕日」に描かれたように東京タワーは工事中であり、劇中話題に出てくるプロ野球のスターは巨人の川上哲治であり、長嶋茂雄は翌年入団という段階。
戦後まだ12年なのに、始まったばかりの高度経済成長の恩恵をいち早く受けた富裕層には戦争の影はなく、現代に通じる豊かな西洋式の生活スタイルには驚かされる。
富裕層のドラ息子、醒めた夫婦関係、破たんした家族像というのは、この時期よくあった描写かもしれません。日活の川島雄三『風船』は前年の作品ですが、今村昌平が脚本に絡んでいるのもあって、本作と比べ格差の描写にもう少し毒がある。
増村保造は東大卒後、大映入社。イタリアに留学してフェリーニやヴィスコンティに師事。 助監督として溝口健二、市川崑に付く。
溝口は前年死去、都会的な軽さは市川崑に似ているかもしれない。当時33歳。
本作が監督2作目で、おそらく企画には会社の意向が強い段階と思いますが、制約ある中でいろいろと遊んでいるように思います。
たとえば長いアバンタイトル。 みなさんご指摘の早口のセリフの応酬、早い展開は、スクリューボール・コメディや『 シンゴジラ 』などで使われる演出ですが、セリフから情緒を排して、クールでスタイリッシュな話に仕立てます。コミカルさは喜劇より笑劇という感じ。
ミヤコ蝶々は当時37歳。 (若い! ) 当時は関西弁は今よりも認知度は低く、標準語の芝居では垢抜けない地方色の滑稽さになりがちだったなのですが 外見もキャラもモダンで女中というよりお手伝いさんという感じ。セルマ・リッター(『 裏窓』の通いの看護婦役など)を連想しました。
当時夫だった南都雄二も魚屋の御用聞きですが、哲学に凝り首から十字架を掛けていてキャラ付けにモダンさを工夫しています。
主演の若尾文子は当時23歳。ブレイクしたのが当時としてはきわどい『十代の性典』で
性典女優というレッテルを貼られたし、溝口の『祇園囃子』『赤線地帯』ですでに芸者や娼婦役を演じてきている。 たとえば吉永小百合が清純、純情な少女がイメージの原型なのに対して、本作の若尾文子は清楚な、芯の強い前向きな娘という感じ。
ポニーテール、ノースリーブ、タイトスカートにはさわやかな色気があって萌えですね。
のちに黄金コンビと言われる増村保造とは本作で初のタッグ。 増村とは縁の深い脚本の白坂依志夫は当時25歳。 増村保造や川島雄三作品で若尾文子は女の情念を魅せていくわけですが、クールな個性が妖艶さを見せながらも胸やけさせないんでしょうね。
セリフや芝居よりも、スタイル、テンポそのものが表現であるというような、モダンな新感覚派ならではの、一味違った青春ストーリーでした。
( ykk1976さんの映画会 第86回のレビュー)
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6人の会員が気に入ったと投稿しています
眩しいなぁ。
投稿日:2018/01/20
レビュアー:さっちゃん
しかし、「青空」で「娘」ですか。冒頭の主人公たちが海岸の松の下で語り合う場面がド直球の”青春”という感じでドギマギしてしまいました。やっぱり復興が見えてきた時代ゆえでしょうか。衒いがありませんね。
以前の映画会のお題の『祇園囃子』よりは後になりますが、いやぁ、やっぱり若尾文子さんが若いのには感動ですね。無論、他の俳優さんも同様に若い訳で、川崎敬三さんなんかワイドショーの司会者というイメージが強いですが、本作では二枚目のヒロインの相手役だし、と品川隆二さんも若尾文子さんの腹違いの兄で、バンド活動にうつつを抜かしている大学生なんて役だから、私の世代だと『素浪人花山大吉』と続編の『素浪人月影兵庫』の近衛十四郎さんとの掛け合い漫才が傑作だった焼津の半次のイメージが強いですねぇ。
ヒロインの父親役の信欣三さんは名前は知りませんでしたが顔はよく見かけてましたね。ああ、女性陣で言うとミヤコ蝶々さんも沢村貞子さんも若い。お二人とも歳取ってからの印象が強いなんていうと女心が分からないなんて言われそうですが。
何だか若い々々とばかり繰り返しておりますが、映画の中身についても語らねば単なる懐旧譚に終わってしまいます。思いっきり明るそうな題名と裏腹に物語は波乱万丈、高校を卒業するまで祖母の下で暮らしていた有子(若尾文子)。東京の親元に引き取られることになった矢先、祖母が急逝します。今際の際に有子には、これから行く東京の母親とは別の本当の母親がいるということを告げます。
東京の小野家に着いた有子は早速、地のつながらない母に女中(この言葉も私が小学生頃かな「お手伝いさん」に変わりましたね。)としてこき使われ、兄弟たちからも冷たいあしらいを受けることになります。そこに絡んでくるのが小野家に昔からいる女中の八重(ミヤコ蝶々)、高校時代の恩師二見(菅原謙次)、そして姉が開いたパーティの卓球の試合で有子を見初めた広岡(川崎敬三)といった面々です。
私が気に入ったのは、複雑な人間関係にも関わらず、カラッと軽妙に描かれていることです。もともと都会的な軽いドラマとして作られたものだと思われるので当然、演出もその方向へ向いているのでしょうが、台詞回しが直截なことも効いていると思います。登場人物がかなり遠慮ないしゃべり方をしているように感じました。
主人公もうじうじ悩まない性格で、思い立ったら、さっと家を出て自分で生きる手立てを探すようなアクティブな女性ですから、見ている方も頑張れと声をかけたくなるのもいいですね。それに比べると父親の態度はどうも感心しませんね。有子がいじめられるのも自分に原因があるのに、甘いだけで配慮が足りない。だから、ラストの有子の言葉には胸のつかえが取れたような心持になりました。あの台詞がいいのは単に父親を攻めるのではなく、どうすれば皆が幸せになれるかを気づかせるための言葉だからです。あの後、小野家がどうなるのかは分かりませんが、何かしら変わってはいくと思います。
ちょっと気恥ずかしくなるくらい直球でしたが元気になる映画でしたね。自分ではまず借りないでしょうから、今回も貴重な体験ありがとうございました。
(ykk1976さんの映画会 第86回)
このレビューは気に入りましたか?
5人の会員が気に入ったと投稿しています
東京に青空はあるか。
投稿日:2018/01/15
レビュアー:ぴよさん
何しろ目まぐるしい展開だ。それはまさに高度経済成長の勢いを象徴
しているかのよう。人々は希望を抱き、往来を闊歩する。巻き込まれて
田舎の青空娘も速度を上げる。白いウサギが飛び跳ねるように。
ミヤコ蝶々のマシンガントークに応酬すれば、これは画面が早回しに
なってるのかと思うほどだ。
妾の子供をあからさまに蔑む本妻たち。その意地悪さも戯画化されるが
そりゃそういう気持ちにもなるだろう。元凶たる家長も、戦前の強引さ
は持ち得ず、自らの不始末を棚上げした煮え切らない笑顔で、家族を
いらつかせるのみだ。言っても改まらない大人に対してはあえて忍従し
「女中め!」と暴言を吐くガキは腕力でねじふせる青空娘。まあ出来た
娘だこと。
そんな菩薩の様な青空娘が、父親にやんわりと鉄槌を食らわすのは、
意外なことでは無い。ヘプバーンを彷彿させる白いシャツに、タイトな
ウェスト。新時代のヒロインは、男に微笑みかける存在では無くなった。
こんな青春ドラマでさえヒロインは自立を試み、男は戸惑いながら
彼女達を追認する(やがて彼らは、彼女らに駆逐されていく)
目を奪われるのは、この時代の東京の風景だ。木造の東中野駅、銀座
・青山の街並み。公衆電話のカタマリは、まるでSFのシーンのよう。
バラックの様な下町もかろうじて残り、生活臭が映し出される。
東京が、ダイナミックに変わろうとするその狭間の風景だ。
それにしても増村の演出は小気味良い。アクティブに動くカメラを操り
うねるように物語を紡ぐ。いやこれって、展開早すぎじゃないかと思い
ながらも、ダイジェスト感が無いのは、編集の妙ということだろう。
深く描く必要の無いドラマからこそだが、それにしたって尋常じゃない。
物語の都合の良さには目眩がするほどだけど(笑)
「東京に空は無い」 と智恵子は言った。炭坑節は空が煙たいと歌った。
青空娘は東京でも青空は在る、目をつむってもとポジティブシンキング。
彼女のようであれば確かに未来は明るいだろう。この時代だからこそ、
描き得た一作だ。
(ykk1976さんの映画会・第86回)
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ユーザーレビュー
何事にも動じないシンデレラ
投稿日
2007/09/18
レビュアー
おうち大好き
東京に父母やきょうだいがいるはずなのに生まれた時から田舎で祖母と二人暮らし
その祖母の臨終で本当は愛人の子だったことを知らされる「えぇ!やっぱり」
舞台はかわって東京、その父親宅に引き取られた有子は継母や腹違いの姉から苛められる。粗末な部屋を与えられ、娘としてではなく女中扱い。まるでシンデレラ。
ところがそこは青空娘、魔法使いもかぼちゃの馬車も出てきませんが、有子は持ち前の明るさと強さで、自分で道を切り開いて行きます。
観客も陰湿なイジメなんかに同情してなんかいられない。
とにかく話が盛り沢山で物語が目まぐるしく進み、俳優陣のセリフのテンポが速いのです。沢村貞子さんなんて早口言葉を言っているように聞こえます。
若尾文子さんの、くぐもった艶っぽい話し方と身のこなしが、ハツラツとした娘とは少しかけ離れているように思えますが、冒頭のコスプレ風セーラー服に始まり、フレンチスリーブのブラウスに腰をキュッと絞ったフレアースカート(中にはしっかりとしたペチコートを履いているのでしょう)、後ろに垂らした髪がクルッとカールされたポニーテールなどが可愛らしく、衣装の面からの演出は成功していると言えます。
ラストは花柄のワンピース、王子様が大事に預かっていた靴を履き、二人で階段を駆け下りるところなどは、シンデレラになぞらえた演出だったのでしょう。
源氏鶏太原作の一点の曇りも無いお話は大映映画には珍しく、こういう作風は日活のほうがお得意かと思われますが、観終わった後には、文字通りカラッとした青空のような爽快感が残る。そんな映画でした。
動的な画面設計
投稿日
2007/08/21
レビュアー
ケチケチ
原作は明星に連載されていた小説で、もうこれ以上はないというほど青春ドラマ満開です。なにせ青空に向かって3回も叫んでしまいますからねぇ。
監督2作目で、製作は大映社長の永田雅一。売り出し中のアイドルスター若尾文子を主役に個性豊かな出演人の彩りで、まさに大衆娯楽作品まっしぐらという作品ですが、大映が増村保造にかけた期待の大きさも伺える作品ではないでしょうか。興行的には成功だったのかどうかは知りませんが、これもまた監督として「くちづけ」とは違った面でステップアップするための技量を問われる作品だったんじゃないでしょうかね。ミヤコ蝶々、南都雄二の漫才のテンポが、そのまま作品全体の台詞のテンポに馴染んでしまうほど軽快な台詞運びで、後の「巨人と玩具」にも繋がる片鱗を見せる作品です。
また台詞のテンポばかりではなく、画面の中の人物や物の出し入れも非常に動的で、漫画的にデフォルメされた登場人物たちを演出していく上で必要不可欠なリズムが増村保造らしい手法で表現された作品でもあると思います。カメラワークも動的ではありますが、人物フォローしたPANが別の対象物を捉えFIXとなり、そのFIXで人物の出し入れが行われるなど、画面設計における動的な演出を見るにも面白い作品だと思います。
一言で言ってしまえば、純情可憐で活発なという大衆向けアイドルを主人公としたベタな青春ドラマではあるんだけど、映画の楽しみ方は色々とあるもので、その演出の仕方という面では、今見直しても大いに見る価値有りの作品だと思います。
清楚な、しかしクールで個の立った娘役の若尾文子に萌えてしまう。
投稿日
2018/01/15
レビュアー
ロキュータス
( ネタばれあり )
原作の源氏鶏太は石坂洋次郎、獅子文六らとともに戦後昭和を代表する通俗作家で、それだけに忘れられた感がありますが、トレンディドラマやライトノベル同様、その明るさ、軽さの中に時代の風潮、流行が反映されているように思います。
公開は昭和32年。「ALWAYS 三丁目の夕日」に描かれたように東京タワーは工事中であり、劇中話題に出てくるプロ野球のスターは巨人の川上哲治であり、長嶋茂雄は翌年入団という段階。
戦後まだ12年なのに、始まったばかりの高度経済成長の恩恵をいち早く受けた富裕層には戦争の影はなく、現代に通じる豊かな西洋式の生活スタイルには驚かされる。
富裕層のドラ息子、醒めた夫婦関係、破たんした家族像というのは、この時期よくあった描写かもしれません。日活の川島雄三『風船』は前年の作品ですが、今村昌平が脚本に絡んでいるのもあって、本作と比べ格差の描写にもう少し毒がある。
増村保造は東大卒後、大映入社。イタリアに留学してフェリーニやヴィスコンティに師事。 助監督として溝口健二、市川崑に付く。
溝口は前年死去、都会的な軽さは市川崑に似ているかもしれない。当時33歳。
本作が監督2作目で、おそらく企画には会社の意向が強い段階と思いますが、制約ある中でいろいろと遊んでいるように思います。
たとえば長いアバンタイトル。 みなさんご指摘の早口のセリフの応酬、早い展開は、スクリューボール・コメディや『 シンゴジラ 』などで使われる演出ですが、セリフから情緒を排して、クールでスタイリッシュな話に仕立てます。コミカルさは喜劇より笑劇という感じ。
ミヤコ蝶々は当時37歳。 (若い! ) 当時は関西弁は今よりも認知度は低く、標準語の芝居では垢抜けない地方色の滑稽さになりがちだったなのですが 外見もキャラもモダンで女中というよりお手伝いさんという感じ。セルマ・リッター(『 裏窓』の通いの看護婦役など)を連想しました。
当時夫だった南都雄二も魚屋の御用聞きですが、哲学に凝り首から十字架を掛けていてキャラ付けにモダンさを工夫しています。
主演の若尾文子は当時23歳。ブレイクしたのが当時としてはきわどい『十代の性典』で
性典女優というレッテルを貼られたし、溝口の『祇園囃子』『赤線地帯』ですでに芸者や娼婦役を演じてきている。 たとえば吉永小百合が清純、純情な少女がイメージの原型なのに対して、本作の若尾文子は清楚な、芯の強い前向きな娘という感じ。
ポニーテール、ノースリーブ、タイトスカートにはさわやかな色気があって萌えですね。
のちに黄金コンビと言われる増村保造とは本作で初のタッグ。 増村とは縁の深い脚本の白坂依志夫は当時25歳。 増村保造や川島雄三作品で若尾文子は女の情念を魅せていくわけですが、クールな個性が妖艶さを見せながらも胸やけさせないんでしょうね。
セリフや芝居よりも、スタイル、テンポそのものが表現であるというような、モダンな新感覚派ならではの、一味違った青春ストーリーでした。
( ykk1976さんの映画会 第86回のレビュー)
眩しいなぁ。
投稿日
2018/01/20
レビュアー
さっちゃん
しかし、「青空」で「娘」ですか。冒頭の主人公たちが海岸の松の下で語り合う場面がド直球の”青春”という感じでドギマギしてしまいました。やっぱり復興が見えてきた時代ゆえでしょうか。衒いがありませんね。
以前の映画会のお題の『祇園囃子』よりは後になりますが、いやぁ、やっぱり若尾文子さんが若いのには感動ですね。無論、他の俳優さんも同様に若い訳で、川崎敬三さんなんかワイドショーの司会者というイメージが強いですが、本作では二枚目のヒロインの相手役だし、と品川隆二さんも若尾文子さんの腹違いの兄で、バンド活動にうつつを抜かしている大学生なんて役だから、私の世代だと『素浪人花山大吉』と続編の『素浪人月影兵庫』の近衛十四郎さんとの掛け合い漫才が傑作だった焼津の半次のイメージが強いですねぇ。
ヒロインの父親役の信欣三さんは名前は知りませんでしたが顔はよく見かけてましたね。ああ、女性陣で言うとミヤコ蝶々さんも沢村貞子さんも若い。お二人とも歳取ってからの印象が強いなんていうと女心が分からないなんて言われそうですが。
何だか若い々々とばかり繰り返しておりますが、映画の中身についても語らねば単なる懐旧譚に終わってしまいます。思いっきり明るそうな題名と裏腹に物語は波乱万丈、高校を卒業するまで祖母の下で暮らしていた有子(若尾文子)。東京の親元に引き取られることになった矢先、祖母が急逝します。今際の際に有子には、これから行く東京の母親とは別の本当の母親がいるということを告げます。
東京の小野家に着いた有子は早速、地のつながらない母に女中(この言葉も私が小学生頃かな「お手伝いさん」に変わりましたね。)としてこき使われ、兄弟たちからも冷たいあしらいを受けることになります。そこに絡んでくるのが小野家に昔からいる女中の八重(ミヤコ蝶々)、高校時代の恩師二見(菅原謙次)、そして姉が開いたパーティの卓球の試合で有子を見初めた広岡(川崎敬三)といった面々です。
私が気に入ったのは、複雑な人間関係にも関わらず、カラッと軽妙に描かれていることです。もともと都会的な軽いドラマとして作られたものだと思われるので当然、演出もその方向へ向いているのでしょうが、台詞回しが直截なことも効いていると思います。登場人物がかなり遠慮ないしゃべり方をしているように感じました。
主人公もうじうじ悩まない性格で、思い立ったら、さっと家を出て自分で生きる手立てを探すようなアクティブな女性ですから、見ている方も頑張れと声をかけたくなるのもいいですね。それに比べると父親の態度はどうも感心しませんね。有子がいじめられるのも自分に原因があるのに、甘いだけで配慮が足りない。だから、ラストの有子の言葉には胸のつかえが取れたような心持になりました。あの台詞がいいのは単に父親を攻めるのではなく、どうすれば皆が幸せになれるかを気づかせるための言葉だからです。あの後、小野家がどうなるのかは分かりませんが、何かしら変わってはいくと思います。
ちょっと気恥ずかしくなるくらい直球でしたが元気になる映画でしたね。自分ではまず借りないでしょうから、今回も貴重な体験ありがとうございました。
(ykk1976さんの映画会 第86回)
東京に青空はあるか。
投稿日
2018/01/15
レビュアー
ぴよさん
何しろ目まぐるしい展開だ。それはまさに高度経済成長の勢いを象徴
しているかのよう。人々は希望を抱き、往来を闊歩する。巻き込まれて
田舎の青空娘も速度を上げる。白いウサギが飛び跳ねるように。
ミヤコ蝶々のマシンガントークに応酬すれば、これは画面が早回しに
なってるのかと思うほどだ。
妾の子供をあからさまに蔑む本妻たち。その意地悪さも戯画化されるが
そりゃそういう気持ちにもなるだろう。元凶たる家長も、戦前の強引さ
は持ち得ず、自らの不始末を棚上げした煮え切らない笑顔で、家族を
いらつかせるのみだ。言っても改まらない大人に対してはあえて忍従し
「女中め!」と暴言を吐くガキは腕力でねじふせる青空娘。まあ出来た
娘だこと。
そんな菩薩の様な青空娘が、父親にやんわりと鉄槌を食らわすのは、
意外なことでは無い。ヘプバーンを彷彿させる白いシャツに、タイトな
ウェスト。新時代のヒロインは、男に微笑みかける存在では無くなった。
こんな青春ドラマでさえヒロインは自立を試み、男は戸惑いながら
彼女達を追認する(やがて彼らは、彼女らに駆逐されていく)
目を奪われるのは、この時代の東京の風景だ。木造の東中野駅、銀座
・青山の街並み。公衆電話のカタマリは、まるでSFのシーンのよう。
バラックの様な下町もかろうじて残り、生活臭が映し出される。
東京が、ダイナミックに変わろうとするその狭間の風景だ。
それにしても増村の演出は小気味良い。アクティブに動くカメラを操り
うねるように物語を紡ぐ。いやこれって、展開早すぎじゃないかと思い
ながらも、ダイジェスト感が無いのは、編集の妙ということだろう。
深く描く必要の無いドラマからこそだが、それにしたって尋常じゃない。
物語の都合の良さには目眩がするほどだけど(笑)
「東京に空は無い」 と智恵子は言った。炭坑節は空が煙たいと歌った。
青空娘は東京でも青空は在る、目をつむってもとポジティブシンキング。
彼女のようであれば確かに未来は明るいだろう。この時代だからこそ、
描き得た一作だ。
(ykk1976さんの映画会・第86回)
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青空娘