皆月

　まずは何よりこの『皆月』がレンタル解禁になったことは素直にうれしいけど、それよりこの度２枚組みのセル版が出たことがもっと嬉しい。だから、レンタルはせずに買うことにしました。

　本作、ストーリーもけっこう好き（一般受けはしないかもしれませんが）だなと思うのですが、それより何より二人の俳優がとてもいいんです。
　まず北村一輝。「みんな月でした・・・」という書置きを残して突然姿を消した主人公憲雄（奥田瑛二）の妻、沙夜子（荻野目慶子）の弟アキラで、ヤクザというのが彼の役どころ。何ともいえない独特の雰囲気を醸し出しています。北村一輝の出演作をすべて観ているわけではないのですが、それでも本作が彼のベストアクトと思えるくらいの好演です。
　そして、もう何といっても吉本多香美さま。憲雄がアキラに連れられていったソープランドで彼についたソープ嬢で、それをきっかけに憲雄と愛し合うようになるという役どころ。とにかくエロ、いや素晴らしいです。まさに体当たりともいえる熱演。出し惜しみはいっさいありません。釘付けです。ラストシーンの彼女は、ただただ感動的です。まさに女優開眼！の瞬間だったのではないでしょうか。
　他の方がどう思われるかはわかりませんが、オレはマジで本作の吉本多香美さまと北村一輝は素晴らしかったと思ってます。

　あ、ついてに荻野目慶子さん、やけに白い顔が微妙に怖いのですが、映画の冒頭、ちゃんと絡みの場面がありますのでご安心を。なんのこっちゃ。

　さ、これから「セブン＆ワイ」でＤＶＤ注文しよっと。最寄のセブンイレブンに商品が届いて現金引換えで受け取れるから、家人に余計な詮索されたくない時には便利なのだ。

ココロがカラダを裏切ったとき、
あるいはカラダがココロを裏切ったとき、
ヒトは、
明日も来る今日と同じ日を裏切るのでしょうか。

“オッサン”と“ソープ嬢”の関係は、
エロティックに描かれているようでいて、純愛にしか見えませんでした。
そもそも純愛だってエロティックじゃないか？と問い返されたようです。

それに対して姉と弟の抱擁は、姉弟にしてはエロティック過ぎる気がして、
嫌悪感を覚えました。
これは荻野目慶子がミスキャストと言わざるをえません。
駆け落ちなんて、天地がひっくりかえってもしそうにない女優さんを配してほしかったです。

エロ描写が、原作に忠実なのかどうかはわかりませんが、
ほとんど前半に集中していて、ストーリーが進むにつれて減っていくのは、
それを観せたいわけじゃないからだと感じました。
そして、それが前半に集中しているのは、鑑賞者を引き込むためではなく、
後半主題へと収束していく上でどうしても必要だったからだと思うのです。

この作品に関わったすべての人が魂を注ぎ込んだのだと、思いました。
太陽の強い輝きに憧れても、それは一時の情念であり、
それに疲れたとき、どこへ還りたくなるのか、を描くために。

　「みんな月でした。」これはきっと忘れられないなあ。鑑賞後、いろいろ考えてしまい夜、眠れなくなってしまった。そして翌日、監督＆奥田瑛二の音声解説で観て、やっと咀嚼できたというかいろいろ疑問が解けてよかったです。中でも、警察署での憲雄のアキラに対するジェスチャーは一体なんなんだと思って、気になっていたので。
　吉本多香美はすごかった。すごく好きになりました。北村一輝も同様。二人をもっと観たくて他の作品をチェックしたけれど、他には観たいのがありませんでした。吉本多香美はもっといろいろな作品に出てほしいな。
　憲雄と由美は『レオン』のレオンとマチルダのようでした。純粋で孤独で（だからかわいく見えるのか）胸に迫りました。
　養鶏場でのシーンを見て、安い卵は絶対買わない（今も買ってないけれど）と思ったのを、奥田瑛二も同じように言っていて笑いました。でもそんな風にそれぞれのシーンがリアルなので匂いや感触が伝わってきてしまいきつかったです。それとアキラの赤いダッフル、北村一輝に同じくあれは合わない気がした（他はみんなかっこよかった！）。
　私には縁のない世界だけれど、原作も読んでみようかと思ってます。ぶわっさんのレビューがなければ観ませんでした。ぶわっさん、ありがとう（セル版には吉本多香美のインタビューが入っているみたいでうらやましいです）。

だけど、なんか放っておけない感じ。母性本能がくすぐられたのかもしれません。

何故この作品がリストに入っていたのか忘れてしまいましたが、なかなか面白い映画でした。

かなりまったりするのでお忙しい方や、刺激を求める方にはおすすめ出来ませんが。


どう表現したらいいのかな。
『皆【猫】』？！
キラキラした登場人物たちじゃなくて、その辺にいる人たち、という感じ。

妻に逃げられた夫。
ソープ嬢。
チンピラ。
満たされず逃げ出した妻。

良く言えば【再生】のお話、になるのかな。


濡れ場に興味のある人がどこまで満足するかはわかりませんが、吉本多香美は確かにインパクトありました。北村一輝も存在感ありましたし。
出演者が鑑賞のきっかけであれば、見てみても「損したーっ。」にはならないと思います。（※荻野目慶子以外は？）

もう一度観たい。
でも、全然借りられません。
全般的に本数が少なすぎやしませんか。
なんか無理やり話題作みたいにしているよくわからん映画は妙に本数多いのに。。。もっと増やしてください。会員多いんでしょ？