双生児−ＧＥＭＩＮＩ−

塚本晋也さんの作品は、なんと『鉄男』ぶりでした！かの頃ワタシの瑞々しい感性は、モノクロのガシャガシャの荒削りな『鉄男』になぶり者にされ傷をおったような気がします。そして二度と観る事はない作品のひとつになりました。

で、この『双生児』ですが、○○年でこんなにも洗練されたのか！？と嬉しい驚きを隠せませんでした。過ぎるとイヤミに、外すと野暮になりがちなこの手の表現手段を、絶妙のバランスで完成させている所がなんとも言えず気持ちが良いのです。うっとりです。トランス状態です。幽体離脱です。

眉毛の無い事で、インパクトと削り込んだ演技とが際立ちます。そして、宮本亜門さんの舞台と見まごうほどの貧民窟。衣装も、アクションも表現も、どこか前衛舞台を見ているようで圧巻でした。（浅野忠信さんもちっと見れたし♪）

で、大評判の本木さんの演技・・・観ましょう。出来たらシブガキ隊をご存知の方こそが観ましょう。井戸の上で悪態を付く捨蔵こそが痛々しい血の叫びを吐いています。

　塚本晋也つながり？で、以前からず〜っと観ようと思いつつ、ついつい後回しになってしまっていた『双生児』をやっと観ました。
　個人的には、この独特な世界に見事にハマってしまいました。一般的に好き嫌いは二分しそうですが。

　何より、登場人物全員、眉毛がないのが素敵です。人の顔って眉毛がないとこれほどまでに異質に映るのか。これだけで、なにか浮世離れした空気が流れてきます。この時点で、ハマるハマらないが半分以上決まるのでは？
　大病院の跡取りとして何一つ不自由なく育ち、美しい妻を娶った雪雄と、生まれ落ちてすぐに親に捨てられ、雪雄が忌み嫌う貧民窟で育った捨蔵。この双子の二人を演じた本木雅弘がやはり素晴らしかった。弾けまくりのモックン観ているだけで、けっこう満足感が高い。さらに、雪雄の妻、りんを演じたりょうもすごくいいです。何といっても妖艶な背中に見入ってしまいます。あの変なキノコのような髪型もインパクト大。雪雄と捨蔵の間で揺れ動くりんですが、彼女もある意味二人います。そのへんも面白いなあと思います。
　雪雄と捨蔵に生じるちょっとした逆転現象も面白いですね。最後の彼は、やはり・・・なんでしょうね。

　ともかく、これから繰り返し観てしまう一作となりそうです。

　この映画の存在自体を全く知らなかったが、天才女優の蒼井優が当時好きな映画2本は「双生児」と「顔」だと答えていたことを雑誌の切り抜きで知った。
　優ちゃんがどんな役でも関わりたかったと云う映画はどんなものだろうという好奇心で選んだこの作品、導入部からおどろおどろしくて乱歩の雰囲気が見事に再現されておりぞくぞくするほど楽しめた。それにしても当時13か14歳の少女がこの作品に惚れ込むとは！　それについてもちょっと驚いた(笑)　でも考えてみれば自分も乱歩作品を好んで読んでいたのは小学校高学年から中学時代だろうから、この時期の文学少年少女は一概には侮れない(笑)

もっくんは日本のジョニー・デップだ。
と、勝手に思っているんですが。どうですか皆さん(何が？)
りょうさんも素敵でした。さすがスタイルが良い！顔小さい！色白い！怪しい色気がムンムンです。
話の内容というよりこの映画の雰囲気が好きです。統一感があって散らばっていない。一見くどそうなのに、見終わってみれば案外スッキリ。さっぱりとしたとんこつラーメンみたいな映画でした(例え下手)
いわゆる塚本さんの映画とはかなり違っていますが、こういうのも撮れるんだ〜とますますファンになっちゃいましたね
江戸川乱歩といってもこれはかなり見やすいですよ。おススメです。

塚本監督の独特の世界観と乱歩の世界が相まって全篇すごくテンションが高い傑作です。モックンの鬼気迫る演技も特筆ものです。ただ、私の好みでは貧民窟の描写はもう少し泥臭いほうが良かったかなと思います。でも、最近見た映画の中では一押しです。見て損は無いと思います。