トゥルー・クライム

冤罪の死刑囚が死刑直前に救われるまでの24時間を描いたとてもスリリングな作品。クリント・イーストウッド扮する新聞記者がふとしたことからこの死刑囚のことを知り、死刑執行までの十数時間で自分の勘だけを頼りに真犯人を捜し出すのだが、こうしたストーリー故か短いカットバックを多用したアップテンポな作品になっている。この作品の3年後に撮られた「ブラッド・ワーク」が同じ犯罪サスペンスであるのに舐めるような執拗なカメラワークを特徴としていたのと対照的でそう言った意味でも面白い。またこの作品においては「文芸色」が非常に薄くこれまた「ブラッド・ワーク」と対照的だ。ただし、いずれの作品もイーストウッドらしさがとても感じられ、彼の融通無碍さと統一性とを共に感じることができる。個人的には「ブラッド・ワーク」の方が好きだけれど、痛快娯楽サスペンスとして「トゥルー・クライム」も悪くない。

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皆さん書かれてるので、
にわかとはいえ、イーストウッドファンの私が、
追い打ちをかけたくはないのですが、
エレベット役、やっぱり年齢的に違和感がありすぎて、
ファンの愛をもってしてもかばいきれません。
読んでないですが、原作のエレベットは３０歳代とのことですし。
どうしてもイーストウッド自身が演じたかったのなら、
女たらしなのはいいとしても、妻子の年齢も合わせて、
妻と浮気された同僚の年ももうちょっとイーストウッドに近ければ
かなり違和感は減らせていたと思うんですが…
原作者の方もよくＯＫしてくれたものです。

でも、それにさえ目を瞑れば、作品としてはとてもよかったです。

一番感動したのは、死刑執行シーンで
かかってきた電話に出た刑務官（？）が『手遅れです』と答えた瞬間に
他の刑務官が反射的に一丸となって行動をとったことです。
こういう事態に馴れているとは思えないのに、
その『手遅れです』というたった一言で、
事態と自分たちがとるべき行動を判断したことに、
とても感動しました。

ラストは、私が予測していた大筋の域はでていませんでしたが、
果して間にあったのか、間にあわなかったのかがはっきりと描かれていないので
それが余韻となって残りました。

助かったのなら街角で偶然出会った命の恩人に駆けよりもせず
手で合図しただけで行ってしまうのはちょっと不自然な気もしますが、
そういう約束をしていたとすれば、ありえないというほどではないし。

「危なかったけど間にあった。よかった、よかった。めでたし、めでたし。」
で、終わったほうがスッキリ気持ちいいとは思いますけど、
これが、彼の余韻への拘わりのような、そんな気がしました。

女と酒に汚く自堕落だけど、事件には鼻の効く新聞記者。殺人事件の目撃証言にひっかかりを感じ、死刑執行の６時間前からの、奇跡の逆転劇。ラスト３０分は「出来すぎ？？」と思いながらも、ひきつけられます。
事件の舞台となっているのはリッチモンド、ベイエリアに住んでた頃、「あそこだけは近づくな」と言われていたところで、実際に犯罪率も高いようです。真犯人の祖母の「孫が殺されても、誰もきちんと調べてはくれなかった。」という言葉が悲しいです。住んでいる場所によって命の重さが違うとは。
イーストウッド演じる主人公が孫のような娘を連れて行く、Oakland Zooは子供を連れていったことがあるので、すごくなつかしかった！ケージが少なくて、動物を自然に近い状態で飼育してる、いい動物園です。

今回の再見の目的は、死刑囚役のイザイア・ワシントン。「グレイズ・アナトミー」でドクター・バーク役をやっていますが、いろいろ問題を起こしてシーズン３のあと降板させられてしまいました。（詳しくは「グレイズ・アナトミー」のレビューで。）この映画の特典でも、イーストウッドは「彼はまだあまり知られていないけど、非常にいい役者だ。」とほめてくれていたのに・・・。「イーストウッドには救ってもらえたけど、今回は誰も救ってくれなかった。」なんて言われてました。残念。

スリリングな展開。スピード感溢れる演出。
まったくこの人の主演作ってつまらないもの
ないよなあ。

クリント・イーストウッドって，
一体いくつになったんだっけ？と思いながらも，
ダーティーハリーの姿をどうしても連想しながらも，
それでも自然にストーリーに入ってしまうのは彼の不思議な魅力です。
今まで何度となく取りあげられ，
そのたびに重い物が心の中に沈んでいく，
人種差別を扱った作品ですが，
そんなに難しさも与えず，見やすかったと思います。
死刑が確定するほどまでに審理されたはずの問題に，
一人で立ち向かう姿を「そんな簡単に…」と思いますか？
それとも，そんな簡単に調べただけで出てくる証拠の存在などに，
黒人のおかれている現実が頭をよぎりますか？
わたしは，前者から後者に考えが変わりました。
みなさんは，どうご覧になるでしょうか。