必殺！三味線屋　勇次

うん、見た値打ちはあったと思います。
正直言って、「えっ！」と某シーンでは驚いたし、前半、いろいろ「うーん・・・」と首をひねっていた「演出ミスじゃないのか」が、その瞬間から、後半、「そうか、あの演出はミスじゃなくって、ミス・ディレクションだったのかっ！」とムナ落ちしまたもん。
これはですねー、とにかく、「ネタバレ」してしまう前にまず見る、それをおすすめです。、「ファースト仕事人」の「仕事人危うし！　暴くのは誰か？」レベルには行っていたどんでんだったと思います。うまく仕組まれたなあという感じ。
でもって、阿部仕事人の最期の捨てぜりふ、「ざまあみやがれ」はよかった！　この映画の眼目はこのどんでんの部分から阿部仕事人の最期ではないかと思うほど。
文句を１つだけ言うなら、もういい加減「金を取らなきゃ、ただの人殺しだ」というセリフは聞き飽きたよ(^^;。
と。。。思ったら、「はっ」、このセリフ、確かに仕切人１話での勇次のセリフ。。。
そうか、このセリフすらわざとだったのかあ。。。
「金をもらわなけりゃただの人殺しだ」って言い方には、「金をもらってるから、ただの人殺しより上（りっぱ？）だ」みたいにきこえるものがあるんですよね。
やっぱり、「おれたちゃ悪よ、悪で無頼よ」「人様の命もらっておまんま食ってる悪党だ」「殺しは殺しだい、この癖はなかなかやめられねえぞ」の線が好きなんです。
　まっ、勇次が言う分には、なるほど勇次は仕置人でも仕業人でもなくって、仕事人なんだもんナー、仕事人なら「金をもらわなけりゃただの人殺しだ」なんて言いもするよなあ、だって仕事人ってのはそういうモノ。。。というより、勇次の場合は、確かになるほど「新・仕事人」から登場した「純正仕事人」で、１度だって「仕置人」だったり「仕業人」だったりしたことはないんだもんなあ。。。１回仕切人とか名乗ったけど。と。。。思ったのでした。

「叫び」は、いってみれば、からくり人が「金とは手を組まない！涙とだけ組む！」と言い募るのに対して、「いや、この金こそが依頼人の涙なんだ、叫びなんだ」と言い返しているんですかね。

不器用ながら必殺の伝統を受け継ごうとする姿勢が読めた。
藤田まことの主役譲渡は見事。作品をやや客観的に観られるようになったのではないだろうか。出演者、筋、展開において他の必殺シリーズより必殺らしく、優れている。必殺を知らない人に必殺を説明するには丁度よい作品だと言えよう。本作の名言「あースッキリした。」

良かった。

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世は、‘嘆きの祠（ほこら）に願（がん）を掛ければ、仕事人が来てくれる’という背景。

女を抱きたくなる媚薬‘回春丸’で数十人の人が口から泡を吹いて亡くなる。この薬で一儲けを企む富貴屋と火盗改め（かとうあらため）は、罪を着せるべく薬を作ったことを後悔している上総屋を殺す。

そして、上総屋の娘おゆきこと、おとよ（天海祐希さん）と恋仲の仕事人・髪結いの弥助（阿部寛さん）が怨みを晴らそうとして返り討ちに遭う。おとよは弥助の結婚の申し出に『このまま幸せになったら罰が当たります。こうしてたまに逢うだけでいいんです。その代わり、逢った時はうんと可愛がって下さい』というけな気な娘。弥助の供養を済ませ死んでしまう。

そんな不幸な二人に、はりかへ処・勇次の怒りが爆発する。弥助の位牌の下の頼み料で、今は大道芸人・伝兵衛（藤田まことさん）や小唄の師匠・お喜和（名取裕子さん）の手を借り怨みを晴らします。

主水ならぬ藤田さんは見もの。花屋に扮する野村沙知代さん、いい味出してました。
　　　　　　　　　
　　　　　　　《印象的な勇次の台詞（せりふ）》
１．若者に情けを掛ける弥助に勇次が『人がそんな優しい気持ちになるのは寿命が尽きるときか、女に惚れたときだ』。
２．仕事人始動の辺りで、『こりゃ、金じゃねえ。この世に怨みを残して死んだ頼み人の叫びだ。聞いてやらなきゃただの人殺しになっちまう。聞いてやっておくんなさい』
　　
エンディングで中条さんの、主題歌「あの日の嘘のつぐないに」が流れます。渋いですね。中条さん、５２歳の作品です。

必殺シリーズは昔から観ていますが、本当は古いほうが好きです。
なんとなく暗い雰囲気が好きで。
テレビ版の最近の仕事人は明るすぎていまいちかな。
この作品は、かなりいい感じ出ていました。
三味線屋・勇次の殺し業は芸術的ですよね。
藤田まこと出てたけど中村主水じゃないんだな。