ラヴソング

二人の10年に及ぶ恋の物語で、話が単純とも思えるようなすれ違いなのですが、
背景に香港返還や、株暴落、テレサテン死去などの社会事情を盛り込み、重みを持たせています。
チャキチャキのマギー・チャン演じるレイキウは、本当は不安なのに、寂しさに耐え、強がっている様子。
大陸出身者と知られても、頑張っているところ・・・
屈託のない笑顔。
どれもこれも、意地らしい。
そして、やっぱり素晴らしいのは、故郷を離れて、新天地を求める中国人の想いが詰まっている。

レオン・ライの素朴で、気の利かぬ青年も、
ハグ親分の見た目にそぐわない粋な男っぷりも良かったけれど、
大都会のニアミスというメロドラマにありがちな
そんなのあり？という設定が気にならないのも
彼女の魅力でしょうか？
以前、ＮＨＫ教育で、この作品を見ましたが、
皆さんのおっしゃるとおり、やはり二度目は感動するのでしょうかね？

「インファナルアフェア３」でヨンをやっていたのがこの映画の主役のレオン・ライですが、あまりにもタイプの違う役で同一人物と気づくのに時間がかかってしまった。こちらはほんとに純朴で一途な青年。
またインファナルのサム親分も出演しているが、こっちもパウ親分という名のやくざ。あの風貌ですからね。
今までにみた香港映画の中ではいちばん好きな作品。香港からニューヨークへ、１０年に渡るすれ違いの物語。何度みても泣いてしまいます。
以前家族でニューヨークのチャイナタウンに行ったとき、レイキウとシウクワンがすれ違ったのととてもよく似た交差点を見つけたのですが、そのとたん気分はすっかりレイキウになってしまって、夫も子どもも忘れてしまいました・・・。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

公開時映画館で観て、今日久し振りに。切ない恋物語です。
確か本当は『タイタニック』を観る予定だったんだけど混んでいて、一緒に行った人が「これでもいいかぁ・・・。」とか言って。その一緒に行った相手に対して恋愛感情がなくて良かったなあって思ったことと、ラブシーンが忙しかったような印象が残っていました。

個人的にテレサ・テンの歌が好きだったので、この切ない恋物語に色を添える彼女の曲に好印象を抱いています。
”大陸出身”ということがどういうことなのか。夢を抱いて香港に出て来た若い二人の出会い。
現実的でガッチリしていて、身をこんにしてお金を稼ぐレイキウと、初めてのことが新鮮で楽しそう、おっとりとしたシウクワン。マギー・チャンがシャキシャキしたレイキウのイメージや彼女の寂しさ、切なさをしっかりと伝えて来ます。流石アジアを代表する女優です。レオン・ライも初めてのマクドナルドやキャッシュカード、ポケベルに感激している姿など実に初々しく、終始レイキウにリードされつつも人の好さや優しさを魅せてくれます。
テレサ・テンの歌を口ずさみながら自転車の二人乗りで九龍の街を行くシーンが好き。夢を抱いてはいるけれど生活はつましく、友達もいない大都会で気付かないうちに自然にお互いをよりどころにしていたんですね。男女の関係になってしまいますが、シウクワンには大陸に恋人がいたため、あくまでも「友達」であろうとする二人。
そしてやがて、株の暴落など二人を取り巻く環境によって二人の関係が変わって行くのです。

その別れの辛さに改めて気付くのが”再会した時”だったのがとても印象的です。公開当時ＣＭにも使われていた、テレサ・テンの『グッバイ・マイ・ラブ』をＢＧＭに車の中からシウクワンを見つめるレイキウの表情・・・。車から遠ざかるシウクワンの後姿にレイキウの切なさが募り、ハンドルに頭を打ち付けて誤ってクラクションを鳴らしてしまうシーン。この場面は大好きで泣きます。
お互いが自分にとってかけがえのない存在であったことに気付き、二人でいることを選びますが、運命はまだそれを許しません。再度離れ離れになってしまうのです。

大陸から香港へ、そしてレイキウは台湾へ。シウクワンはかつての上司をつてにＮＹへ。
レイキウの連れの男がお尋ね者だったばかりに台湾から転々と居所を変え、彼との子供をもうけて地に足をつけた生活をもとめるようになった矢先、その男が亡くなります。ＮＹで・・・。彼を失くしたレイキウはどうなってしまうのでしょう。街中でシウクワンの姿を見かけたレイキウはそれから２年もの間ＮＹで働きました。沢山の人が行きかう街。あの時シウクワンを見たのは幻だったのでしょうか・・・。もう大陸へ帰ろうと決心したレイキウの耳に流れて来たのはテレサ・テンの訃報でした。彼女の歌には切なく美しい思い出があります。しばし街頭でテレビに映るテレサを前に呆然とするレイキウ。そこへ同じくテレビに見入る男が・・・、そうシウクワンです。
二度の別れを経て遠いＮＹという街での再会。二人が出会ってから１０年という歳月が経ってしまっていました。

懐かしい笑顔。
あの頃不安を胸に知らない人たちの中で必死に夢を追い求めていた時代にお互いを支えた、あの笑顔。
２時間がとても長く感じる二人のドラマではありますが、懐かしく切なく見ることが出来ました。

中国の　昼を仕切るのは　�ｹ小平　夜は�ｹ麗君（テレサテン）
と言われた時代　香港の中国返還を挟んで　偶然　マクドナルド（香港人はマッケイという）で出会う二人　マギーチャンは　香港少姐らしく　女人街でテレサテンのカセットを売ったり・・・売れなかったけど　レオンライの英語レッスンの授業料からコミッションをかすめたり・・・
ワイアーアクションを駆使したアクション映画も面白いのですがフルーツチャン監督の香港3部作（メイドイン香港）（リトルチュン）（花火降る夏）レスリーチャン主演でチャップリンの（キッド）のリメイク（流星）など香港映画はまだまだ知られていない名作がたくさんあります　　お奨めします　

多くの中国の人たちが様々な事情を背負って国を離れ、各々の地に根付いて生活しています。これは一見バイタリティー溢れる彼らの心の葛藤にスポットを当てたドラマです。同じように海外に出て成功を収めたテレサ・テンの死亡のニュースを、無言で見つめる主人公の表情に全てが凝縮されている気がします。だらしない英会話教師とタイ人少女の関係や伯母さんの空想話など、どうでもいいような枝葉のエピソードにも「そうだったのか」と思わせる結末が用意されていて、心にいい感じの余韻を残してくれます。ただ、このタイトルから韓流型のラヴストーリーを期待すると失敗しますのでご注意を。

余談ですがエリック・ツァンって昔はドジばかり踏んで頭を小突かれるおバカな役ばっかりだったのに、いつのまにかヤクザの親分役が板についてしまいましてねえ。でも結構演技力があることを今回初めて認識しました。