萌の朱雀

萌の朱雀の画像・ジャケット写真
萌の朱雀 / 國村隼
全体の平均評価点:
(5点満点)

27

  • DVD
  • 映画賞受賞作品
ジャンル:

「萌の朱雀」 の解説・あらすじ・ストーリー

河瀬直美監督が97年度のカンヌ国際映画祭で新人監督賞にあたるカメラ・ドールを日本人で初めて受賞した作品。小さな過疎の村を舞台に、とある一家の人間模様を瑞々しいタッチで描いたドラマ。奈良県南部の山間にある小さな村。この村に鉄道を通す計画が持ち上がって15年になるが、トンネル工事に携わっていた田村孝三は、計画の中止を知らされすっかり気力を失っていた。そしてある日、孝三は失踪してしまった。残された家族は戸惑いながらもそれぞれの選択をしていく……。

「萌の朱雀」 の作品情報

製作年: 1997年
製作国: 日本
受賞記録: 1997年 カンヌ国際映画祭 カメラ・ドール

「萌の朱雀」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

萌の朱雀の詳細

  • 旧作
収録時間: 字幕: 音声:
95分 1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
レイティング: 記番: レンタル開始日:
BCDR2066 2007年09月22日
在庫枚数 1位登録者: 2位登録者:
44枚 2人 1人

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ユーザーレビュー:27件

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1〜 5件 / 全27件

河瀬直美は河瀬直美。

投稿日:2007/09/26 レビュアー:JUCE

 河瀬直美を映画監督として捉えると技術なんかに関しては素人なみでプロの監督としては最低ランクの技量でしょう。(一応専門学校で映像を教えていますが。)しかし彼女の作品はまさに河瀬直美という雰囲気がある。これは河瀬直美が普通のプロフェッショナルな映画監督とは違うスタイルに起因しているのでしょう。彼女を「映画監督」と呼ぶよりは「映像作家」と呼ぶ方がしっくりくるように思います。彼女の作る映像はとても私的なものだからです。
 彼女が映画をつくるのは話を構築していくスタイルではありません、そこに今あるものを切り取って紡いでいく。その作業は例えば「スナップ写真を撮ってそれをアルバムに並べていく」、あるいは「今見ていることを言葉に置き換えて書き写していく」、こうした行為に近いものがあるのです。
 現に彼女の現場での仕切りはほとんどリハが無く、また撮影もリテイクしないそうです。彼女にとっては映像や音などのクオリティを上げることはあまり重要ではないのでしょう。そこで今起きている事象を自分が今どう感じているかを綴りたいという事だと思います。この『萌の朱雀』でも音声の収録は酷くてセリフが聞き取れないなどアマチュアレベルの箇所が見られます。しかし河瀬直美は人に見せるということよりも自分がつくるということの方が重要なので全く気にしていないのです。
 まるでこの映画は監督の独りよがりの映画のように聞こえるかもしれませんが、実はその通りです。実際の監督の性格も自己中です(笑)。しかしこの映画にはあざとさはありません。それは彼女の独りよがりには他人に対する思惑が無いからです。このとても純粋な独善さが不思議な透明感として他の人の目には映るのです。
 この映画がカンヌ、カメラドールとしての評価に値するのか?。それは私が審査員では無いのでなんとも言えません。脚本(そもそもきちんとした脚本があったのかも疑わしい)が平板で、映像のつなぎも無頓着、音声もお粗末。だからこの映画を観る人は通常の劇映画を見るという感覚を忘れてください。これは映像作家、河瀬直美の作品なのです。映像から河瀬直美を存分に感じてください。
 この自己中の映画作りは首尾一貫して他の映画でも行われているから、テーマが変わろうが被写体が換わろうが全てが河瀬直美。これは全くブレていない。そういった意味では日本で一番アイデンティティのある映像作家と言えなくも無いです。

 私が好きな黒沢清監督がその圧倒的な映画知識と映画への探究心で自分の殻を破ることに貪欲でその視線の先に観客を見ているのは対照的に河瀬直美監督はピュアなまでの映画への無知さを武器に己の内面に沈降(肉薄)していく作風なのです。

 この世に映像の女神というものが存在するのならば、河瀬直美はその女神に愛されていると言えるのかもしれません。不遇とも言える幼少からの環境をバネに本作でカンヌのカメラ・ドールを、そして『殯の森』ではグランプリを獲得とまさに実力だけでは難しい偉業を達成しています。映像の女神に愛でられながら次に彼女はどんな作品を私達に見せてくれるのでしょうか。

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さりげなさがいいんだけど、さりげなさ過ぎ(笑)ネタバレ

投稿日:2008/01/20 レビュアー:こんちゃん

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 あ〜、疲れた・・・・。
 この作品を観終わって、レビューを投稿しようと、皆様のレビューを読んでおりました。河瀬直美の作品と言うことも知らずに(汗)いや、河瀬直美の名前は知ってましたよ。「もがりの森」(だっけ?)で、カンヌでなんか賞をもらったと聞いてましたから。
 でも、この作品が彼女の作品で、カンヌで新人賞(カメラドール)を獲ったとは知らんかったです。
 JUCEさんのレビューを読んで、
「ああ、なるほど」
と納得したのです。
 ずいぶん前に入手して、観ないでおいてあったものを、車での移動中に観たのですが、運転しながらだとやはり集中できませんね。何度も
「あれ?今のはどういうこと?」
と戻しては、やっとこさ観終わったのですが、一言で言うと「ブツ切り」という印象でした。
 これといったストーリーも無いし、カットのつなぎにほとんど(いや、まったく?)フェードは使用しないので、ブツッ、ブツッという感覚が残るのですね。

 映像はきれいです。河瀬直美が心が綺麗かどうかは知りませんけど、目に映る物に対して、斜に構えると言うようなことは無いのでしょう。あるものをあるがままに写し提示しているなと言う印象です。あえて、自分自身のメッセージを乗せているという印象もありません。そう、この人は「ほら、おもしろいでしょう」とか「私は、この作品を通じて、こういうことを伝えたい」というような構えたところがないのです。そういう意味では北野武に通ずるところがあるのかも知れません。ただ、北野武はそういう描写を意図的に、というか確信犯的にやってるけど、この河瀬直美という人は意図してはいないのでしょう。
 そういう部分が、JUCEさんのレビューを読んで納得できたのです(かつてのお仲間だそうですね)

 ただ、「もがりの森」ではどうなっているのか知りませんが、この作品について言えば、映画としてはこれはダメでしょ。説明しすぎる映画は論外ですけど、この作品ではあまりにも説明が無さ過ぎます。ストーリーの骨子というか、物語の背景もわからんので、想像するしかありません。
 たぶん、若い女監督に対して、カメラさんや音響さんは好き勝手やって、それを知ってか知らずか、なんとかかんとかまとめたんでしょうね。
 音楽が主張しすぎているところもあるし、(冒頭シーンなんかね・・。BGMを極力使わずに、自然音を配した作り方は、けっこう好きです)映画として楽しめるものではありませんね。カンヌのカメラドールを受賞したことを見ても、専門家筋の評価は高いのでしょうが、ただの映画好きの素人から見ると、わかりづらすぎます。
 似たような展開の物語なら、「となりのトトロ」(アニメですけど)のほうが数百倍面白いです。
 まあ、日本に対する認識が薄い外国人には、新鮮に思えたのかも知れませんね。

 役者さんは、素人の人が多いように思えますが、ストーリーがはっきりしているわけではないので、そういうところではかえって違和感が無くて、自然に見えますよね。きっと、現場での雰囲気作りがうまくいったのでしょう。

 「もがりの森」で、どれくらい商業映画の監督としてこなれて来たのか楽しみではあります。

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わからない・・・ネタバレ

投稿日:2007/10/18 レビュアー:kazupon

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私という人間は、つくづく詰まらない人間なのではないだろうか?
見えるものを見て、聴こえるものを聞く。
ただ、それだけ。
だから、映像に映っていないものを理解したり、聴こえてこないものから、何かを分かるなんて無理なのだ。
この作品は、まさしく私の理解の外にあった。
山奥の過疎の村の、ただ一軒の家の日常を淡々と、ただ淡々と見続ける。
台詞は極端に少なく、この一家を知らない者にとっては、その短いひと言、ふた言からでは、事情を察するのは難しい。
お互いを呼び合う声もあまりなく、この家族関係を掴むまで時間が要った。
鉄道をひく計画が頓挫したようで、未完成のトンネルが遠くに口を開けている。
そして、突然、時は流れ、鉄道の計画が中止になった時のまま、入り口を塞がれた未完成のトンネルに、この一家の主は入って行き、二度と戻ってくる事はなかった。
残された家族は、整理のつかぬ思いをそれぞれに、生きていかなくてはいけないのだが、ついに一家離散を余儀なくされる。
女の子が小さい頃から一緒に暮らしていた従兄に恋心を抱きながらも、母とともに村を離れる決心をする。
村の人々の顔がいくつも映し出され、木の葉や、それにとまる虫たちの姿、村人達を囲むようにそびえる山が萌えている。
姑は、縁側に座り「かくれんぼ」のわらべ歌を歌いながら、いつしか静かに眠っていた。その眠りは、ただの午睡なのか、永遠に目覚めぬ眠りなのか・・・
人々はこれからも変わらず、ここで静かに生きていくのだろう。

この作品が、カンヌでカメラドール、新人監督賞をとったと知らなければ、私は途中で投げ出していたに違いない。
(正直に言います。私には難解な作品でした。)




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『殯の森』の先触れとして観るのもいいかもネタバレ

投稿日:2007/09/25 レビュアー:parole

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両親の離婚により「山」に独りで住む祖母(実際は実の祖母の妹)に育てられた経験を持つ河瀬直美自身の体験談、心の歴史とでも形容しうる作品だ。親と離別して祖母に育てられるのが男(少年)だったり、その少年の母親の兄弟夫婦と娘とが同居しているというように、河瀬自身の経験そのままではないだろうが、過疎の問題や恋愛や性に関する思いと戸惑いさらにはロケ地の人達をそのまま撮した8ミリによるインサートショットなど河瀬自身の思いと経験とによって紡がれた極めて個人色の高いものとなっている。

河瀬の他の作品からも、あるいは各種のインタビューなどからも強く感じるのだが、多分河瀬直美は自分にしか関心が無く、自分にまつわることを愚直に辿ることに依ってしか作品を作れない作家なのだろう。しかし、個に徹することによってそれが普遍へと転化することがしばしばあるように、『萌の朱雀』もこの徹底した内省(的なもの)により個の思いや記憶に留まることのない、重層的で普遍性を持ちうる作品になっている。さらには、それを説明という手段から遠く離れた、いや説明的なことを(恐らく)意識的に退ける物の列記とでも言うべき表現手法で表しているため、この映画の持つ切実さが河瀬直美の個人の切実さとしてではなく、それこそ普遍的な切実さとして感じうるようなものになっているのだ。ちなみにこの即物的な物の重用と活用は8mm作品である彼女のデビュー作『かたつもり』や『につつまれて』においても色濃く伺えることであり、こんなところからも彼女のスタイルの一貫性と独自性が感じられる。

次作に当たる『沙羅双樹』では手持ち、長廻しに徹していたカメラワークだったが、本作品では固定ショットが中心となっており手持ちやパンなどのカメラの移動は少ない。しかし、だからと言って『沙羅双樹』と『萌の朱雀』が違う味わいを持っているというわけではなく、確かに雰囲気というか全体のトーンのようなものは異なっているのだけれど、その神髄には明らかな共通点がある。本作で映画デビューを果たした尾野真千子が主演を務めている近作『殯の森』においては更に一転してデビュー当初と同じようなドキュメンタリータッチの作風になっているが、それは撮影技法等の手法がこの作家にとっては本質的なものではないと言うことを証明していることに他ならない(なお、河瀬は純然たるドキュメンタリー作品も手掛けているが、『杣人物語』と名付けられたこの作品は、彼女が生まれ育った奈良の森に生きる年老いた人々を題材としたものだ)。

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不思議な透明感

投稿日:2008/05/03 レビュアー:パープルローズ

川瀬直美の映画はこれが初めてです。
私は「山ひとつ越えたらそこは奈良」という大阪に住んでいるのですが、奈良を舞台にしたこの映画、自分の住んでいるところのほんの近くなのに全く景色が違います。卓袱台でご飯を食べているときの目線が、山の稜線と同じだなんて。

風が吹き渡る木々とか、雄大な山々とか、風景は大変きれいなんだけど、これは決してわかりやすい映画ではないし、何度もみたくなるような映画でもありません。
録音技術がよくなくてせりふが聞き取りにくいのか、それとも意図的に聞き取りにくくしているのか。というか、せりふで状況を説明しようと気がないんですよね。雲が流れる映像が数秒続いた後、いきなり10年くらい時間が経過しているというような部分にも面くらいました。他人に見せるためにではなく、自分のためだけに撮っているような映画なんですが、不思議とそれが不快ではないのです。それどころか、どこか説明しがたい透明感を感じました。

過疎の進んだ村で、回りの人々がひとり、またひとりといなくなってゆき、自分だけが取り残されてゆく孤独感。
両親の離婚によって親戚に育てられたという監督自身の体験が色濃く反映されているのでしょう。
JUCEさんのレビューによると、それは「他人に対する思惑のないひとりよがりさ」だということで、「その独善さが透明感として他人の目には映る」という説明には納得です。これほど内省的な、自分中心の作品を作って、その上高い評価を受けるというのはある意味とても得なことですね。

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