沈黙の艦隊

VOYAGE2とVOYAGE３を収録している。VOYAGE２では東京湾での在日米軍と自衛隊と「やまと」の攻防を中心に描かれている。VOYAGE3では北極でのベイツ兄弟操る「シーウルフ」との死闘を描いている。いずれも沈黙の艦隊では有名なエピソードであり、当然アニメになってもカットするわけにはいかないエピソードだろう。だが、「沈黙の艦隊１」のレビューでも書いたが、アメリカと日本だけの小競り合いとなってしまっており、原作本来の言わんとすることが描かれておらず、薄っぺらいものに成り下がっている。アメリカ政府と日本政府とのやりとりや国連でのやりとり、そして日本国内でのドタバタがほとんどカットされていて、面白味に欠ける。

このVOYAGE３の後、アニメ化されているのかどうか知らないが、この様な中途半端なアニメ化ならばアニメ化する必要はない。しない方がマシだ。

かわぐちかいじ氏の作品を初めて読んだのがこの「沈黙の艦隊」だった。とてもおもしろく夢中になって読みあさったものだ。原子力潜水艦１隻を国とし「世界規模の超国家軍隊の創設」を目指すというテーマに圧倒され、当時の社会情勢を睨みながら読んでいたことを思い出す。とにかくかわぐちかいじ氏の漫画はスケールが大きい。最近アニメ化された「ジパング」もそうだし、日本人が難民になってしまう「太陽の黙示録」など本当にスケールが大きくて「この人の頭の中は一体どうなっているのだろう？」といつも考えてしまう（笑）。

そんなことを考えながらアニメ化された「沈黙の艦隊」を見てみた。この作品を見なければ良かったと後悔した。その理由はハッキリしている。「カットしまくりで原作の良さが全く伝わってこない」のだ。都合良く場面場面をつなぎ、セリフも換えまとめてはいるが、一番大事な原作が何を訴えたいのか？が伝わってこない。それにスケールも小さなものとなってしまっていたのには呆れてものが言えないぐらいだった。この漫画は世界規模で描くべき作品であるにも関わらず、アメリカ、日本の小競り合いにまとめてしまっている。原作に出てくるはずのソ連は出てこないし、アメリカと日本の外交戦略や駆け引きなども全く薄っぺらいものに成り下がってしまっており、見るに耐えなかった。

あまりに原作の良さが消えていたので原作を読み返してしまった。すると今現在のアメリカのブッシュ大統領がこの作品のベネット大統領とだぶって見えてきた。力業で対応するアメリカ、強いアメリカ、巨大軍事力を盾に世界の警察であろうとするアメリカ、なんでも軍事力で解決出来ると信じて疑わないアメリカ・・・・どれをとってもブッシュ政権を見ているようで薄ら寒かった。かわぐちかいじ氏はすでにこの「沈黙の艦隊」を書き上げた時にそう感じていたのだろう。そのいい例が今も続くイラク戦争だ。話し合いよりも武力で解決、世界の警察であると自負するアメリカがよくでた戦争だ。そんなことを考えさせる程、原作は素晴らしいだけに、このアニメの出来の悪さには閉口してしまった。

つまらない話だが、海江田と副長の山中の声が年寄り臭くて違和感がありすぎて好きになれなかった。キャラクターに合っていない。間違いなくミスキャストだ。深町の声は大塚明夫氏だがこれはピッタリとはまっていた（笑）。

核兵器廃絶に世界が動き出したこの年に．．．

原作漫画を読まれた方にとっては、アメリカが核を放棄しようと思うこと自体、予想外のことであったため、核の脅威による平和しかあり得ないという原作後半の展開も少し色あせたか知れませんが、
オバマ大統領がどのようにして、核兵器を廃絶しようとしているかもよく分からない状況のようですので、まだまだ参考になると思うのですが・・・。

しかし、海江田がニューヨークの国連本部に乗り込むまでの展開はアニメ化しても面白くないのか、結局、軍事オタク向けに潜水艦の戦闘シーンだけしか儲けにならないと考えたのか、ヤマト国家による米ソ艦隊との対決しか映像になっていません。

最後までアニメ化してほしかった作品だと思います。

＊ 原作は知らないのですが、『ジパング』が面白かったのでこれも借りました。1、2と一気に見ました。『ジパング』と同じく、とても熱いアニメでした。でも、見方が違いました。『ジパング』では、戦争そのものについて考えさせられたのに対し、こちらのアニメでは、戦闘シーンに盛り上がる私がいました。
　いくら信念持っていても、戦争は許せない事です。でも、海江田の鮮やかな戦闘指揮についつい魅了されてしまいました。鮮やかな作戦やかけひきに爽快感すら覚えました。

　レヴューを見ていると、皆さん原作の方を絶賛しているので、原作も読みたくなりました！！とはいえ、これはこれでDVDでも、続きが見たいです！

８０年代に一世風靡した漫画のオリジナルアニメ。
対潜水艦中心の２ストーリーで構成されてるんだけど、潜水艦の対戦がかっこいい。海江田をはじめとして敵も中々。。
津嘉山さんの海江田の声は映画版のころからクールでどこかいやみったらしいインテリの声でかっこいいと思っていたけど、このアニメの中でさらにかっこいい。
とにかく、潜水艦、キャラクター。全部かっこいい。
大人のアニメだね。