キルトに綴る愛

　
珍しい「キルティング・ビー」を描いた映画だ。キルティング・ビーとは、家庭の主婦達が寄り集まり一つのキルトを共同で作る作業で、蜂が集まってブンブンと働いている様子になぞらえた言葉だ。（ある事情で、私には見慣れた光景でもある）

元黒人使用人のアンナが、主客逆転してキルト・チームのリーダーになっている事が、２０世紀初頭のアメリカ社会の変化を象徴的に表している。いわゆるパッチワーク・キルトは、様々なモチーフを使って一つのテーマ性を表現するのだが、何よりリーダーの「全体を見渡す力量」が、作品の出来を左右する。そういうリーダーが作業だけに限らず、全体の精神的支柱になってしまうのも、ごく自然な成り行きだ。

メンバーの娘的存在（同時に自分達の若かりし頃を思わせる存在）であるフィンの結婚を祝う、ウェディングキルトを作るために集まった七人の女性達。だがそんな折、ちょっとした行き違いから、フィンと婚約者サムの関係が揺らいできてしまう。マリッジ・ブルーに悩むフィンに、七人の先輩女性達がそれぞれに自分達の経験を語り始める。

パッチワークキルトを題材に持ってくれば、この様なストーリー構成になるのは、自明の理。それだけにドラマ自体に驚きは無いが、「若者は完全な愛を求め、年を経た者は端切れを縫い合わせ、色の重なり合いの中に美を見いだす」のセリフの通り、酸いも甘いも噛み分けた女性たちの言葉がフィンの気持ちを溶かしてゆく様は、安心して観ていられる。それぞれのエピソードはそれほど深刻なものでは無いが、それもキルトの柔らかさ、穏やかさの象徴するところなのだろう。

ウィノナ・ライダーの可憐なことと言ったら、奇跡的と言ってもいい。この路線でいつまでも、というわけにはいかなかったとはいえ…彼女自身の人生はキルトの様に優しくは無かったようだ。

この映画のテーマは、日本語のタイトルどおり、
キルトに綴られているそれぞれの人の愛の物語を
描いています。原題より断然ですね。

キルトに綴られるっていうのが、すごくいいです。
わたしは、まだ綴るほどの人生の重みはありませんが、
もう少ししたら、もしかしたらあと随分経ったら、
なにかの物語を綴ることができるかもしれません。
かっこよく言えば、そのテーマが愛だとなおいいですね。
残念ながら、縫い物系がまったくできませんけど笑

キルトにちくちくと思い出を縫いこむその作業は
とても女性的です。
女性は（わたしもそうだから、みんなそうだと思うけど）、
うれしいことや楽しいことをしているその時よりも、
それを思い出す方がよっぽど喜びを感じます。
若い頃の恋心と似ていますね。
その人と会っているよりも、
会わずに思っている方が深い・・・みたいな。

この映画に綴られているどんな恋もとってもステキです。
幸せな恋は少ないけれど、深い愛を感じます。

ウィノア・ライダーもとても美しいです。

若者は完全な愛を求め、年を経た者は端切れを縫い合わせ、色の重なり合いの中に美を見いだす。

「ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密」などでもそうですが、おばあちゃんたちが元気！　言うことも辛気臭くないどころか、お茶目というか生々しいというか、とてもチャーミングです。

邦題も「アメリカン・キルトの作り方」じゃなくて、「キルトに綴る愛」でぐっと引き締まってます。

期待していただけに残念でした。
婦人たちの回想話がすべて中途半端。
どれも似たような印象で個性的ではないです。

同じアイデアの作品なら
『ジョイ・ラック・クラブ』のほうが
何倍も秀逸。

女性そのもの、ということでしょうか。

恋が果てて男性が去っても、家庭から子供が巣立って後も、女性はのこる、美しいキルトを綴りながら…。
色を模様を組み合わせて仕上げられたキルトは、さらに、作り手が逝ってもなお、物語をのせて子へ孫へとうけつがれる。

素朴でしぶとい豊かな「美」を感じました。

とても美しいです。
肩にはおって感じる暖かさを映画から受けました。