グリフターズ

この映画はアネット・ベニングを初めて観たのでよく覚えている。東京とニューヨーク証券取引所の間のデータ送信を七秒遅らせるという詐欺の手口は当時はリアリティがあった。ドアの後ろにその為のメインフレームコンピュータが置いてある、と。メインフレームの時代だったんだねー。今じゃそんなこと五万円のパソコンでできます。下手したらケータイで？　それくらい時代の隔絶を感じる。

その詐欺師がストレスで眠れずベッドで興奮して精神病院に入ったというエピソードはどうしてそこまで金が欲しいかね、と思ったものだった。

ということで脚本はよくできていて面白いと思います。何故か分からないがキューザックが「エビ」のせいで腹が痛い、と警官に言うシーンが頭に残っていて、エビを食べるたびにこの映画を思い出します。

宝石屋をたぶらかすシーンは記憶ではアネット・ベニングがヌードになったと思っていましたが違いました。絶対ヌードになったと思うんだけど…。

キューザックが素敵、とか言って観る映画ではありませんのでご注意下さい。

はじめはスタイリッシュな詐欺師のサスペンスドラマかと思って観てたけど、後半にいくにつれ、ダラダラな感じになっちゃってすごく残念！
アンジェリカ・ヒューストンは初め、男かと思っちゃったくらいに体型が、、、、
しかもジョン・キューザックと親子の役なんてなぁ。。。
しかし、１度は助けた息子の命なのにあんなかたちで終わらせるなんてどうなんだ？？

ずいぶん前に一度見ただけなのですが、よい記憶として残像が懐かしく思い帰されます。
小さいヤケドの傷でも残っているかのように。

ラストが好きで。
ジョン君の不可思議な鼻と鼻の下と口の線にもなぜか心魅かれ、
最後にママに見せる、「あれっ、ママ？」という表情が、今思い出しても胸をこう、ぎゅっと。

ママはもう、すすけ方がかなしくて。どうしようもなく。
汚れてしまっているけれど、でも汚くはないのです。
ママだから。

起承は良かった。転結が最悪。中途半端な最後に私としては見て時間を損した気分でした。

アンジェリカ・ヒューストン　固ゆで卵（ハードボイルド）。アカデミー主演女優賞候補に。
アネット・ベニング　半熟卵。アカデミー助演女優賞候補に。
ジョン・キューザック　温泉卵は、かすりもせず。

導入部の三分割画面でも何故か浮いている。
自分ひとりが生き延びる為に手段を選ばないアバズレの間に挟まって
ジョン君は、それはもう、ウズラの卵くらいの存在だ。
何が邪魔をするのかジョン君の場合はチンピラとか根無し草人生が似合わない。
こんな狡い詐欺師役だって当然、板に付いていない。
（例外としてハーバート・ロス監督「トゥルー・カラーズ」のハングリーで腹黒い青年役は◎）

本国では大ヒットしたらしい本作、上記以外にもアカデミー監督賞にＳ・フリアーズ、
脚色賞（ドナルド・Ｅ・ウェストレイク）がそれぞれノミネートされた。
原作はジム・トンプソン（らしさは出てるけど良さは？。個人的には）
コンゲーム（信用詐欺）がいつしか自分らの命をはった椅子取りゲームになる顛末は悲喜劇のよう。

ジョン・キューザック映画なら普段はありがたがって観る私も
流石に有難味が薄かった。
が、ここまでいくと完璧なニヒリズムなんですかね。
とりあえずラストはビックリ出来ます。