釣りバカ日誌　３

シリーズ第３作品目。ヴァイオリニストの中西俊博さんが音楽を手掛けているので、全体的に柔らかいトーンの作品に仕上がっている。(笑)

ミチ子さんと愛情いっぱいの生活を送っているハマちゃんだったが、なかなか子供が出来ないのが悩みのタネ。勿論、スーさんに悩みを打ち明けたところで解決するものでもない。
或る日、ハマちゃんはスーさんを誘ってヒラメ釣りに出掛ける。伊豆は星ヶ浦。美しい景勝地だ。星ヶ浦は、スーさんにとっても思い出の場所だった。
２人は、釣り船の船長に１人の女性を紹介される。彼女を船に同乗させて欲しいと言う。ハマちゃんは即座にＯＫ。何しろ妙齢の美人だ。
ところが、スーさんは動揺を隠せない。何しろ、彼女は、スーさんが若い頃に星ヶ浦で知り合った女性にソックリだったからだ。
……というお話し。
星ヶ浦で知り合う女性、雪子を演じるのは、五月みどりさん。艶っぽいところを見せている。これはこれで善いが、どうも彼女の色気は美しくない、と個人的には思っている。(汗)
彼女は、雪子を演じると同時に母親の姿も思わせる役回りになっている。難しい脚本だ。スーさんを演じる三國連太郎さんの名演技もあって、ほのかに存在を感じさせる仕上がりになっている。

ハマちゃん役は、西田敏行さん、スーさん役には三國連太郎さん、ミチコさん役を石田えりさん。レギュラ陣の配役に変更はない。
また、谷啓さんや戸川純さんらの準レギュラ陣にも変更はなかった。“ちびまる子ちゃん”の声をあてているTARAKOさんが、女子事務員役で登場して、お馴染みの声と演技を披露している。

ここ数日、本ディスクをプレイヤに入れっぱなしにしてリピート再生させている。日常の雑事をしながら、耳だけは『釣りバカ日誌３』の音声だけ聴いているワケだ。
これが実に調子がいい。上手く言えないが、まるでラジオドラマを聴いているような感じ。それだけダイアログが優れているってことだろう。
それに、前述した通り音楽が柔らかく耳に心地よい。これが、ゾンビ映画だと、そうはいかない。悲鳴やうめき声ばかりでは落ち着かない。(笑)

リゾート開発反対の集会に笑顔で参加してしまったハマちゃんは、３度目の懲罰を審議されることになる。提示された異動先に、いちいち喜ぶ姿が可笑しい。(笑)
・稚内の港湾工事→オヒョウ
・奄美大島の発電所→月夜のモロコ釣り
・北志賀のオリンピック工事→千曲川の鮎釣り
・アラスカ→ユーコン河のキングサーモン、シルバーサーモン、レッドサーモン
・オーストラリアのシドニー→グレートバリアリーフのトローリング
・バグダッド→チグリスユーフラテス河のチョウザメ
・サウジアラビア→紅海のボラ　
考えてみれば、世界中で釣りをしているんだもんね。それぞれ環境に応じて違うスタイルを確立している。釣り人口がどれだけあるのかは知らないが、或る意味、釣りこそが世界共通の言語と言えるだろう。ハマちゃんのような人間には、世界は狭いかも知れない。

本作品では、ハマちゃんの良識が少し欠落しつつある。分別がなくなり、だだっこのような一面を見せる。でも、まだ許容範囲内かなぁ。(笑)　一応、大人の鑑賞にたえる作品に仕上がっている。

ちなみに本作品は、第43作『男はつらいよ／寅次郎の休日』と同時上映だった。

オススメ！