女は二度生れる / 若尾文子
女は二度生れる
/若尾文子
平均評価点:
予告編を検索
全体の平均評価点: (5点満点)
(11)
解説・ストーリー
日本映画界の鬼才・川島雄三監督が若尾文子を主演に描いた代表作をDVD化。本能のままに行動するお人好しの芸者・小えんは、彼女を買う男たちとの交流によって少しずつ変わっていく。ある日、小えんは道中ですれ違った大学生にほのかな恋心を寄せるが…。
日本映画界の鬼才・川島雄三監督が若尾文子を主演に描いた代表作をDVD化。本能のままに行動するお人好しの芸者・小えんは、彼女を買う男たちとの交流によって少しずつ変わっていく。ある日、小えんは道中ですれ違った大学生にほのかな恋心を寄せるが…。
もっと見る▼
新規登録で
「定額レンタル4」月額1,026円(税込)を
14日間無料お試し!※
- ※本キャンペーンの無料お試しの対象者は、次の@ABのいずれかに該当する方に限ります。
- @「TSUTAYA DISCAS」の定額プラン(定額プランの種類は問いません。以下同じ)の利用開始時に「無料お試し」を利用したことがない方
- A2022年10月2日以前に「TSUTAYA DISCAS」の定額プランの利用を終了された方であって、2022年10月3日以降、「TSUTAYA DISCAS」の定額プランを利用していない方
- B上記@Aのほか、当社が不定期で実施する期間限定キャンペーンにおいて、キャンペーン開始時に、当社が定める参加条件を満たした方
- 無料お試し期間中(14日間)、新作はレンタル対象外です。(但し、上記Bの対象者に限り、新作もレンタル対象となる場合があります)
- 無料お試し期間終了後、登録プラン料金で自動更新となります。
「女は二度生れる」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
日本映画界の鬼才・川島雄三監督が若尾文子を主演に描いた代表作をDVD化。本能のままに行動するお人好しの芸者・小えんは、彼女を買う男たちとの交流によって少しずつ変わっていく。ある日、小えんは道中ですれ違った大学生にほのかな恋心を寄せるが…。
「女は二度生れる」 の作品情報
「女は二度生れる」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
女は二度生まれるの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
99分 |
|
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
D*DABP1142 |
2007年07月21日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
8枚
|
0人
|
1人
|
女は二度生まれるの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
99分 |
|
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
D*DABP1142 |
2007年07月21日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
8枚
|
0人
|
1人
|
TSUTAYAだから可能な圧倒的作品数!!
洋画・邦画
約35,500
タイトル以上
国内ドラマも一部含まれております
※2022年2月 現在のタイトル数
新規登録で
「定額レンタル4」月額1,026円(税込)を
14日間無料お試し!※
- ※本キャンペーンの無料お試しの対象者は、次の@ABのいずれかに該当する方に限ります。
- @「TSUTAYA DISCAS」の定額プラン(定額プランの種類は問いません。以下同じ)の利用開始時に「無料お試し」を利用したことがない方
- A2022年10月2日以前に「TSUTAYA DISCAS」の定額プランの利用を終了された方であって、2022年10月3日以降、「TSUTAYA DISCAS」の定額プランを利用していない方
- B上記@Aのほか、当社が不定期で実施する期間限定キャンペーンにおいて、キャンペーン開始時に、当社が定める参加条件を満たした方
- 無料お試し期間中(14日間)、新作はレンタル対象外です。(但し、上記Bの対象者に限り、新作もレンタル対象となる場合があります)
- 無料お試し期間終了後、登録プラン料金で自動更新となります。
ユーザーレビュー:11件
こんなに可愛い女がいた
若尾文子さんの可愛さ、綺麗さを、存分に味わって戴きたい。役は不見転芸者だけど、誰にも汚すことの出来ない清純な魂の持ち主。同時代の「可愛い悪魔」のブリジット・バルドーよりもっといい。
真面目な山村聡さんにとって、なれない役でご苦労様だがこれも好演。
なによりも快演は本妻役の山岡久乃さん。ありったけの恨みつらみを言うなかで冷え冷えとした夫婦のさまを浮かび上がらせる。
お笑い専門のフランキー堺がこんな風にかたい男を演じている。上手い役者だったのだ。
地べたを這って生きているような男の役が出きる山茶花究のような俳優さんはもういない。
そして上田吉二郎さん、時代劇における進藤英太朗とならんで、色と欲の保守党政治家役はこの人をおいてない。
あと、桜田工務店役の俳優さん〜名前判らないのが残念、こずるくこえんに迫って退けられると「わっしゃあ、無法松でいましょう」。とんでもない無法松だ。それが上手い。
映画としては今ひとつはずみがつかない憾みがあるが、筋から離れて、歌舞伎座の三階席から眺めているつもりで、これらの名優さんたちの芸を拝見していると日本映画って奥が深かったなあ、と感嘆。
そしてあらためて、若尾文子は可愛い、と思う。
このレビューは気に入りましたか?
8人の会員が気に入ったと投稿しています
若尾文子さん、きれい___その2
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
雨が降る庭から庭からのショット。
帯を解く小えん(若尾文子)の首から腰の辺りまでを斜め上からとらえたショット。
布団で待つ山村聡と交わす会話。
うつ伏せで布団に横たわりタバコを吸う小えんを足下からとらえたショット。
靖国神社の太鼓の音に驚く山村聡。
枕元の明かりを消す山村聡、そしてタイトル。
冒頭からこの映画の世界に引きずり込まれました。
最後までシーンの切り替えが小気味よく、心地よいリズムを生んでいるように感じました。
お話の方は、売春防止法が施行された頃の不見転芸者を描いた風俗小説的なものと言えるでしょうが、細部に独特の面白さを感じます。また、台詞による心境説明が少ないところがいいですね。
この小えん、芸無しの不見転芸者であり主体性に欠けるが、悪びれることなく(若干おつむが緩いのかもしれないが)生きている。体を武器にといっても、戦略があるわけではなく、成り行き任せで流されているだけといった印象。
山茶花究と温泉に出かけるが、旧知の女と出会った山茶花究に置いてきぼりにされる、気は良いがその程度の女でもある。
若い工員に体を与えるところは衝動的で愚かしく思えるが、結局彼女にとっては男との関係を築くということはそういうことでしかないのかもしれない。そういう方法しか知らない女なのだろう。
ラスト、すこし前に山茶花究を拒み、枕の依頼を断った小えんの自覚、決意を表すものと思いたい。
でも、小えんが「しとやかな獣」の彼女になるとしたらちょっと嫌かな。
このレビューは気に入りましたか?
6人の会員が気に入ったと投稿しています
冥土の旅
投稿日:2009/02/10
レビュアー:横浜のタマ
売春防止法が施行されて間もない頃の作品で色街の死活問題として売防法が取り上げられていました。本作の中からも男たちの舌打ちが聞こえてきておもわず苦笑いしてしまいました。
売防法の成立への旗振り役としてマスコミに登場していた菅原通斎が本作にゲスト出演していました。
菅原通斎は実業家で通人として有名で骨董屋でもあったかしら和服に前掛姿でわたしの子供時代、テレビ、映画によくでていました。小津作品にも顔を出していましたが、父は菅原通斎のことを「昔は好き勝手やって遊んだ男が老人になって文化人面して売防法などに加担しておる」とこき下ろしていました。
雨が降る冒頭のシーンから持っていかれました。男と女の閨に靖国神社の鐘の音がカ〜ンと響くのには何事が起こるのかと驚きましたし、寿司屋やクラブの群集の切り取り方のなんと活き活きしたことか、隅々まで眼を這わして飽きることがない、お酉さまの日本的彩りのきらびやかさが溢れる夜の市を行く若尾文子の色っぽいこと、軽快なテンポも申し分ない快作です。
売防法に引っ掛かるやもしれない小えんが芸のからきしない娼妓から本物の芸者にならんとするマジメな作品でもありました。
色気と情だけではやっていけないことを悟り始めた小えんが孤児になった12歳の原点に戻ってみようと田舎への汽車を待つ駅舎、小えんが佇む荒涼とした駅舎は冥土の旅の一里塚のようでした。
靖国神社、旦那が埋葬されている不気味な墓場が脳天にこびり付く、早逝した川島の影をこちらが勝手に手繰り寄せてしまったわけでもないでしょうが、ラストは死のイメージが濃厚に感じられました。
このレビューは気に入りましたか?
5人の会員が気に入ったと投稿しています
「サヨナラだけが人生だ」を本作にこそ使いたい。
投稿日:2011/06/08
レビュアー:港のマリー
ネタバレしています。
「覗き見視線」の切り返しというべき独特のリズムに、本作はとくにはまってしまいました。
雨の夜。竹を植え込んだ小庭の正面から障子を閉めようとしている若尾文子の半身を見る。帯を解き着物を脱ぐ場面は上から。天井から覗いているみたい。閨で待つ山村聰の隣りに寝転がる足から撮った場面もある。長襦袢の襟元さえ乱さないのに、この艶っぽさはなに?と絶句。懐紙(ティッシュじゃなくて)をさりげなく布団の下にはさんでおくなんて小技もにくい。
ピンクの霧をムンムン立ちこめさせ山村聰の欲望が臨界点に達した時に、靖国神社の太鼓がドン、という演出に、川島監督のどこまでも醒めているというか、シニカルな視線を感じました。1961年の靖国神社は静かなもので、売防法に困った芸者置屋の女将さんが戦死した亡夫に「あんた神さまなんだから助けてよ」と、祈るような場所でした。
小えん(若尾文子)に「あたしの両親は空襲で死んだから靖国にはいないの」とか言わせていますが、だからどうしたという感じで、反戦思想がどうのと肩ひじ張らず、日々流されて生きていく庶民の心と一部思想家や政治家の喧伝するやたら力んだ靖国思想との乖離を伝えていました。
もちろん靖国は添え物で、本作のテーマは、「椿姫」のアリア「花から花へ」のごとく五人の男たちの間を飛び回りつつ、あまりものも考えず、おのれの身ひとつを武器に、当時の風俗にどっぷり浸かって行き当たりばったりの生き方をする半分娼婦でもある芸者小えんの、その生き様(川島監督はけっこうそれを愛でていますね)であり、そこからの脱皮と再生の示唆でもあります。「二度生まれる」と。でも本当に二度目の生はあるのだろうか。
椿姫に違って小えんは命を賭ける真実の愛などにはめぐり会いません。いかにも純潔な青年藤巻潤もあのていたらく、山茶花究もフランキー境も器量の小さい情けない男、二号にしてくれた山村聰だってほんとうは無理してたんだと。映画館で拾った少年工は自ら捨てます。ひたすらサヨナラの連続です。
男たちがくり返し現れては去っていくリズムの巧みさ、障子や窓を閉めることによって情交シーンを連想させるリズムがとてもいいですね、にすっかり酔ってしまった後、唐突に出現する信州の山間の小さな駅舎。場違いな着物姿で待合室に一人座る若尾文子を、遠くから撮る。手前には石ころだらけで土埃の舞う荒涼とした地面が映っています。これはたしかに「賽の河原」の象徴かもしれません。
これまでのリズムが突然途切れ、一人ぼっちでうつむく小えんの姿を何とも言えない寂しさ、心細さ、虚無感がとりまく。
「若尾を女にしてみせる」と風俗映画でぐいぐい押してきた川島監督の、ほんとうの心のありかはここなのかと、胸にぐさりと来るラストでした。
路地とか料亭の廊下、室内、寿司屋やバーの店内、置屋の内部など空間のしつらえの面白さも格別です。
1961年に大岡昇平原作の「花影」を、池内淳子、佐野周二、池部良で監督しているんですね。ぜひ見てみたいものです。
このレビューは気に入りましたか?
2人の会員が気に入ったと投稿しています
かわいい女と野暮な男
投稿日:2010/11/19
レビュアー:zeta2
この不思議な映像はどう言えばいいのだろう。わざと引いているカメラ、対象をおっ放したような絵作り。スクリーンの向こうとの適度な距離感。それにもかかわらず、流れるように動き回るカメラの妙。暑苦しい音楽もなく、くさい心理描写もない。スマートというのはこういう映画だ。
映画が描くのは「かわいい女」である。男が放っておかない女。保護したくなる女。男から男へ移り気なのも純情だから。男の夢が造形するこの「かわいい女」が、いかにして大人の女に脱皮していくか(二度生まれるか)。したがって、現実の小えん(若尾文子)は幾人もの男と寝るのだが、男と寝ることが大人になる道ではない。ここが重要だ。川島雄三は絡みを映さないことによって、寝ることなんてたいしたことじゃないと言っているのである。一度寝ただけで俺の女だなどと思い込む男の野暮ったさとは無縁だ。この描き方もスマートだ。
生まれそうになっては消えていく淡い恋心の描写もスマートである。恋とはさもありなん。川島雄三は男心も女心もわかってます。何度も出てくる靖国神社も粋にいなしている。小えんの女将が靖国神社にお参りして「おとうさん、あんた神様になってんだから、あたしを助ける力あるんだろ」と手を合わせるシーンが即コメディになっている。靖国ったって、関わり方はみんなそれぞれなんだ。
ただひとつ残念なのが、若尾文子の歳(27歳)である。このときすでに風格を漂わせている彼女が小えんを演じるのは多少無理がある。学はないが、無邪気で純情で蓮っ葉でなおかつ若い色気がある。おそらく想定は、行っても22、3歳だろう。53年の「祇園囃子」に主演したとき(19歳)であればピッタリの役柄なのだが、いかんせんもう大人の色気が溢れすぎている。若尾文子がそのまま演れば一流芸妓になってしまって、話がよくつかめない。若尾文子ファンには申し訳ないが、この映画に限っては若尾文子を見るのではなく、小えんのキャラクターに意識を集中しながら観ないといけません。
このレビューは気に入りましたか?
2人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
こんなに可愛い女がいた
投稿日
2008/01/21
レビュアー
蛇骨婆
若尾文子さんの可愛さ、綺麗さを、存分に味わって戴きたい。役は不見転芸者だけど、誰にも汚すことの出来ない清純な魂の持ち主。同時代の「可愛い悪魔」のブリジット・バルドーよりもっといい。
真面目な山村聡さんにとって、なれない役でご苦労様だがこれも好演。
なによりも快演は本妻役の山岡久乃さん。ありったけの恨みつらみを言うなかで冷え冷えとした夫婦のさまを浮かび上がらせる。
お笑い専門のフランキー堺がこんな風にかたい男を演じている。上手い役者だったのだ。
地べたを這って生きているような男の役が出きる山茶花究のような俳優さんはもういない。
そして上田吉二郎さん、時代劇における進藤英太朗とならんで、色と欲の保守党政治家役はこの人をおいてない。
あと、桜田工務店役の俳優さん〜名前判らないのが残念、こずるくこえんに迫って退けられると「わっしゃあ、無法松でいましょう」。とんでもない無法松だ。それが上手い。
映画としては今ひとつはずみがつかない憾みがあるが、筋から離れて、歌舞伎座の三階席から眺めているつもりで、これらの名優さんたちの芸を拝見していると日本映画って奥が深かったなあ、と感嘆。
そしてあらためて、若尾文子は可愛い、と思う。
若尾文子さん、きれい___その2
投稿日
2007/07/28
レビュアー
いつも眠たい馬
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
雨が降る庭から庭からのショット。
帯を解く小えん(若尾文子)の首から腰の辺りまでを斜め上からとらえたショット。
布団で待つ山村聡と交わす会話。
うつ伏せで布団に横たわりタバコを吸う小えんを足下からとらえたショット。
靖国神社の太鼓の音に驚く山村聡。
枕元の明かりを消す山村聡、そしてタイトル。
冒頭からこの映画の世界に引きずり込まれました。
最後までシーンの切り替えが小気味よく、心地よいリズムを生んでいるように感じました。
お話の方は、売春防止法が施行された頃の不見転芸者を描いた風俗小説的なものと言えるでしょうが、細部に独特の面白さを感じます。また、台詞による心境説明が少ないところがいいですね。
この小えん、芸無しの不見転芸者であり主体性に欠けるが、悪びれることなく(若干おつむが緩いのかもしれないが)生きている。体を武器にといっても、戦略があるわけではなく、成り行き任せで流されているだけといった印象。
山茶花究と温泉に出かけるが、旧知の女と出会った山茶花究に置いてきぼりにされる、気は良いがその程度の女でもある。
若い工員に体を与えるところは衝動的で愚かしく思えるが、結局彼女にとっては男との関係を築くということはそういうことでしかないのかもしれない。そういう方法しか知らない女なのだろう。
ラスト、すこし前に山茶花究を拒み、枕の依頼を断った小えんの自覚、決意を表すものと思いたい。
でも、小えんが「しとやかな獣」の彼女になるとしたらちょっと嫌かな。
冥土の旅
投稿日
2009/02/10
レビュアー
横浜のタマ
売春防止法が施行されて間もない頃の作品で色街の死活問題として売防法が取り上げられていました。本作の中からも男たちの舌打ちが聞こえてきておもわず苦笑いしてしまいました。
売防法の成立への旗振り役としてマスコミに登場していた菅原通斎が本作にゲスト出演していました。
菅原通斎は実業家で通人として有名で骨董屋でもあったかしら和服に前掛姿でわたしの子供時代、テレビ、映画によくでていました。小津作品にも顔を出していましたが、父は菅原通斎のことを「昔は好き勝手やって遊んだ男が老人になって文化人面して売防法などに加担しておる」とこき下ろしていました。
雨が降る冒頭のシーンから持っていかれました。男と女の閨に靖国神社の鐘の音がカ〜ンと響くのには何事が起こるのかと驚きましたし、寿司屋やクラブの群集の切り取り方のなんと活き活きしたことか、隅々まで眼を這わして飽きることがない、お酉さまの日本的彩りのきらびやかさが溢れる夜の市を行く若尾文子の色っぽいこと、軽快なテンポも申し分ない快作です。
売防法に引っ掛かるやもしれない小えんが芸のからきしない娼妓から本物の芸者にならんとするマジメな作品でもありました。
色気と情だけではやっていけないことを悟り始めた小えんが孤児になった12歳の原点に戻ってみようと田舎への汽車を待つ駅舎、小えんが佇む荒涼とした駅舎は冥土の旅の一里塚のようでした。
靖国神社、旦那が埋葬されている不気味な墓場が脳天にこびり付く、早逝した川島の影をこちらが勝手に手繰り寄せてしまったわけでもないでしょうが、ラストは死のイメージが濃厚に感じられました。
「サヨナラだけが人生だ」を本作にこそ使いたい。
投稿日
2011/06/08
レビュアー
港のマリー
ネタバレしています。
「覗き見視線」の切り返しというべき独特のリズムに、本作はとくにはまってしまいました。
雨の夜。竹を植え込んだ小庭の正面から障子を閉めようとしている若尾文子の半身を見る。帯を解き着物を脱ぐ場面は上から。天井から覗いているみたい。閨で待つ山村聰の隣りに寝転がる足から撮った場面もある。長襦袢の襟元さえ乱さないのに、この艶っぽさはなに?と絶句。懐紙(ティッシュじゃなくて)をさりげなく布団の下にはさんでおくなんて小技もにくい。
ピンクの霧をムンムン立ちこめさせ山村聰の欲望が臨界点に達した時に、靖国神社の太鼓がドン、という演出に、川島監督のどこまでも醒めているというか、シニカルな視線を感じました。1961年の靖国神社は静かなもので、売防法に困った芸者置屋の女将さんが戦死した亡夫に「あんた神さまなんだから助けてよ」と、祈るような場所でした。
小えん(若尾文子)に「あたしの両親は空襲で死んだから靖国にはいないの」とか言わせていますが、だからどうしたという感じで、反戦思想がどうのと肩ひじ張らず、日々流されて生きていく庶民の心と一部思想家や政治家の喧伝するやたら力んだ靖国思想との乖離を伝えていました。
もちろん靖国は添え物で、本作のテーマは、「椿姫」のアリア「花から花へ」のごとく五人の男たちの間を飛び回りつつ、あまりものも考えず、おのれの身ひとつを武器に、当時の風俗にどっぷり浸かって行き当たりばったりの生き方をする半分娼婦でもある芸者小えんの、その生き様(川島監督はけっこうそれを愛でていますね)であり、そこからの脱皮と再生の示唆でもあります。「二度生まれる」と。でも本当に二度目の生はあるのだろうか。
椿姫に違って小えんは命を賭ける真実の愛などにはめぐり会いません。いかにも純潔な青年藤巻潤もあのていたらく、山茶花究もフランキー境も器量の小さい情けない男、二号にしてくれた山村聰だってほんとうは無理してたんだと。映画館で拾った少年工は自ら捨てます。ひたすらサヨナラの連続です。
男たちがくり返し現れては去っていくリズムの巧みさ、障子や窓を閉めることによって情交シーンを連想させるリズムがとてもいいですね、にすっかり酔ってしまった後、唐突に出現する信州の山間の小さな駅舎。場違いな着物姿で待合室に一人座る若尾文子を、遠くから撮る。手前には石ころだらけで土埃の舞う荒涼とした地面が映っています。これはたしかに「賽の河原」の象徴かもしれません。
これまでのリズムが突然途切れ、一人ぼっちでうつむく小えんの姿を何とも言えない寂しさ、心細さ、虚無感がとりまく。
「若尾を女にしてみせる」と風俗映画でぐいぐい押してきた川島監督の、ほんとうの心のありかはここなのかと、胸にぐさりと来るラストでした。
路地とか料亭の廊下、室内、寿司屋やバーの店内、置屋の内部など空間のしつらえの面白さも格別です。
1961年に大岡昇平原作の「花影」を、池内淳子、佐野周二、池部良で監督しているんですね。ぜひ見てみたいものです。
かわいい女と野暮な男
投稿日
2010/11/19
レビュアー
zeta2
この不思議な映像はどう言えばいいのだろう。わざと引いているカメラ、対象をおっ放したような絵作り。スクリーンの向こうとの適度な距離感。それにもかかわらず、流れるように動き回るカメラの妙。暑苦しい音楽もなく、くさい心理描写もない。スマートというのはこういう映画だ。
映画が描くのは「かわいい女」である。男が放っておかない女。保護したくなる女。男から男へ移り気なのも純情だから。男の夢が造形するこの「かわいい女」が、いかにして大人の女に脱皮していくか(二度生まれるか)。したがって、現実の小えん(若尾文子)は幾人もの男と寝るのだが、男と寝ることが大人になる道ではない。ここが重要だ。川島雄三は絡みを映さないことによって、寝ることなんてたいしたことじゃないと言っているのである。一度寝ただけで俺の女だなどと思い込む男の野暮ったさとは無縁だ。この描き方もスマートだ。
生まれそうになっては消えていく淡い恋心の描写もスマートである。恋とはさもありなん。川島雄三は男心も女心もわかってます。何度も出てくる靖国神社も粋にいなしている。小えんの女将が靖国神社にお参りして「おとうさん、あんた神様になってんだから、あたしを助ける力あるんだろ」と手を合わせるシーンが即コメディになっている。靖国ったって、関わり方はみんなそれぞれなんだ。
ただひとつ残念なのが、若尾文子の歳(27歳)である。このときすでに風格を漂わせている彼女が小えんを演じるのは多少無理がある。学はないが、無邪気で純情で蓮っ葉でなおかつ若い色気がある。おそらく想定は、行っても22、3歳だろう。53年の「祇園囃子」に主演したとき(19歳)であればピッタリの役柄なのだが、いかんせんもう大人の色気が溢れすぎている。若尾文子がそのまま演れば一流芸妓になってしまって、話がよくつかめない。若尾文子ファンには申し訳ないが、この映画に限っては若尾文子を見るのではなく、小えんのキャラクターに意識を集中しながら観ないといけません。
新規登録で
「定額レンタル4」月額1,026円(税込)を
14日間無料お試し!※
- ※本キャンペーンの無料お試しの対象者は、次の@ABのいずれかに該当する方に限ります。
- @「TSUTAYA DISCAS」の定額プラン(定額プランの種類は問いません。以下同じ)の利用開始時に「無料お試し」を利用したことがない方
- A2022年10月2日以前に「TSUTAYA DISCAS」の定額プランの利用を終了された方であって、2022年10月3日以降、「TSUTAYA DISCAS」の定額プランを利用していない方
- B上記@Aのほか、当社が不定期で実施する期間限定キャンペーンにおいて、キャンペーン開始時に、当社が定める参加条件を満たした方
- 無料お試し期間中(14日間)、新作はレンタル対象外です。(但し、上記Bの対象者に限り、新作もレンタル対象となる場合があります)
- 無料お試し期間終了後、登録プラン料金で自動更新となります。
ご利用の流れ
@ 会員登録
申し込みフォームへ記入したら登録完了!
A 作品をレンタル
借りたい作品をリストアップするだけ!
発送可能な商品を自宅にお届けします。
B ポストに返却
商品をポストに投函すればOK!
各プランはこちら
-
- 宅配レンタル 定額8プラン

-
- 「新作・準新作」が定額で月8枚レンタルできる!※1借り放題付き※2
- 新規登録する
-
- 宅配レンタル 定額4プラン

-
- 新規登録する
-
- 都度課金 プラン

-
- 新規登録する
※1 無料お試し期間中の「新作」レンタルは対象外です。
※2 借り放題はDVD「旧作」、CD「新作・準新作・旧作」が対象です。
女は二度生れる