影の軍隊

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影の軍隊 / リノ・バンチュラ

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映画賞受賞作品

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「影の軍隊」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

1942年ドイツ占領下のフランス。密告からゲシュタポに捕まったジェルビエは、辛くも脱走、レジスタンスと合流して裏切り者の抹殺任務に当たる。やがてジェルビエは、ド・ゴールに会うためロンドンへ向かうが……。戦時下でのレジスタンス闘争を描いた、J=P・メルヴィルの傑作戦争ドラマ。

「影の軍隊」 の作品情報

作品情報

製作年: 1969年
製作国: フランス
原題: L’ ARMEE DES OMBRES/ARMY OF SHADOWS
受賞記録: 2006年 NY批評家協会賞 外国映画賞
2006年 LA批評家協会賞 特別表彰

「影の軍隊」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

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ユーザーレビュー:10件

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1〜 5件 / 全10件

”影の軍隊” でした。 ネタバレ

投稿日:2010/11/10 レビュアー:まみもぉ

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名作…だと思います。
思うのですが、私はこの作品を味わうことができませんでした。
美味しいと分かっていても喉を通らない、だから消化できない。
無理に入り込んでは、食べにいってはいけない、
このジャン=ピエール・メルヴィルの名作は、
直視して味わう逸品と思います。

ヴィシー政権時代のフランス。1940年代前半。
ドイツ占領下にあったフランスの国情は複雑で、ロンドンにもうひとつの政府が存在し、
ドイツもまだ英米と戦火のさなか。その中でのレジスタンス運動です。

始まってまず、映像の色に息を呑みます。
自然色を海水で洗い流したような、肝心な色がないのに美しい…ブルーグリーントーン。
毛穴からじわじわと入り込んでくるような、重厚なストーリーそのものの色合いです。
思想的なものやメッセージのような事はほとんど描かれておらず、劇的なシーンもあるのですが、
盛り上がる寸前で”ひとつの出来事”の中へすっとおさまっていきます。
レジスタンスのドイツへの抵抗が勇敢に勇壮に描かれているわけでもなく、
彼らの心情、葛藤も浮かんできそうなところで、平常へ戻される…
こんな風に作中、何度も入り込めそうなところはあるのですが、その度押し返されてしまいます。
『そこでじっと観ていろ』と、メルヴィル監督の声も時折響いてくるようでした。

ドキュメンタリーのようで、フィクションを描いた映画、でも映画的でない映画と思います。
ケッセルの原作に、あの時代にメルヴィル監督が実際経験した現実が濃厚に練りこまれ、だからなおのこと、レジスタンス運動の生々しさが、ストーリが進むにつれ、のしかかって重なって重く重くなっていく。持ちこたえるので精一杯。味わうどころではありません。
名場面が九十九折のごとく重なっていきます。

(以降、肝心要のネタバレ続きます)






冒頭、凱旋門広場を行進するドイツ軍…圧巻です。
捕らえられジェルビエが、逃亡にいたるまでの緊迫感。
逃げ込んだ床屋の主人が淡々とその彼を助けるようすは、ドキュメンタリーのよう。
色違いのコートをごく普通に渡します。
裏切り者の仲間を殺すシーンは、今まで観たこのない呆気にとられるものでした。
フェリックスの逮捕シーンは実写のよう。その後の彼を語っているようなあるじを失った帽子の名演技。
互いがレジスタンスであることを隠し知らない兄弟。潜水艦のシーン、現れたボスにぞっとしました。
ありえないようなドラマティックなそのシーンも、すっとそのまま切り替わってしまいます。
パラシュートでの脱出。
銃殺、一歩手前での危機迫る中での逃走。
次から次へ凄いんです。でも、決して派手にならない。さらっと淡々…これがメルヴィル監督なのでしょうか。

感情に触れるシーンもありました。
捕らえられた仲間を助けるために、自ら密告者となり、
仲間からは真意を知らされることなく、自分の毒物を瀕死の仲間に渡す…
女傑そのままの女性活動家マチルド。
冷静に仲間を救出しながらも、娘の写真を捨てきれず、結局それが弱みとなり仲間を裏切ることになり、かつて救った仲間に殺されます。
それを待っていたようなあの表情。美しい女闘士の顔。
彼女を殺した後の彼らの行く末が、
文字となって終わります。

マスクは43年11月8日、青酸カリを飲んだ。
ビゾンは43年12月16日、刑務所で斧で首を切られた。
ジャルディは44年1月22日、最後に自らの本名を言って、拷問によって殺された。
ジェルビエは44年2月13日、今度は走らずに銃弾を浴びた。

詩篇のような四行。

やはり、名作です。不朽の。

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静謐にドラマティック ネタバレ

投稿日:2008/05/11 レビュアー:よふかし

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 DISCASには初登場、ジャン=ピエール・メルヴィル。やや感傷的に感じる時もあるけれど、大好きな作家だ。
 メルヴィルは生涯に13本しか映画を撮らなかった。この『影の軍隊』は『サムライ』と『仁義』というアラン・ドロン主演の2本のノワールの間に作られたせいか、やや地味に感じられるけれども、渾身の一作だと思う。

 影の軍隊とは、第二次大戦中、独伊占領下の仏レジスタンス組織のこと。冒頭、実際に再現されたという凱旋門下でのドイツ兵の行進の長いカットがとても衝撃的だ。このカットひとつで、メルヴィルがナチによる占領、その暴力性をあますことなく伝えてしまうことに驚く。
 映画は、レジスタンス組織の闘いを静かに、しかしドラマティックに描き出す。ゲシュタポ本部からの脱走劇、同志の裏切りと粛清、潜水艦でのドーヴァー越え、同志の救出作戦、しのばせた青酸カリ・・・エピソードだけを抜き出せば、一大戦争アクション巨編になりそうだ。
 けれど、本作は観る者を突き放すような冷徹さに貫かれている。随所にひじょうに緊迫してサスペンスフルなシーンがあって、まさに手に汗握らざるを得ないのだが、それをもって観る者を楽しませようとはしていない。
 実のところ、メルヴィル自身も当時レジスタンスの闘士であった。本作はド・ゴールの肝いりで公刊されたレジスタンスのドキュメント本を原作として、登場人物たちにはモデルがいるらしいのだが、メルヴィルは自分のことを描いているのである(メルヴィルにとって占領中の体験が決定的な重みを持っていたことは、デビュー作がヴェルコール原作の『海の沈黙』というドイツ兵に対する静かな抵抗を扱った作品であることからもわかる)。
 とはいえ、前述したように本作は派手なエピソードが続き、ドラマティックではあるので、ドキュメンタリータッチとかリアリズムに徹しているわけではない。けれども、本作に溢れる時代の空気とでもいうものが、実にリアルに感じられるのである。
 たとえば前半の、裏切り者の青年を処刑するシーンには目を瞠る。青年の目の前で、殺し方を銃にするかナイフにするかと議論した末に、三人がかりでタオルで絞め殺す様は、どこか滑稽ですらある。あるいは主人公(リノ・ヴァンチュラ)が逃げ込んだ理髪店で、理由を聞かずコートを取り換えてくれる店主。見晴らしのよい高台での組織の打ち合わせで供される、カフェオレ・ボウル。自らを密告するジャン=ピエール・カッセルの悲痛さと、シモーヌ・シニョレのラストのアップも印象的だ。
 背景説明はあまり親切ではないので、少し歴史的知識があったほうが分かりやすいかもしれない。75点。

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素直に称えればいいものを… ネタバレ

投稿日:2009/11/10 レビュアー:港のマリー

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 ラストのシモーヌ・シニョレの表情、驚愕とも苦悶とも見えたのだが、あのことは、ほんとに彼女が望んでいた結末なのか。その後の車内の4人の男の映像にかぶさるナレーション、わたしは意味は字幕でしかわからないが、あまりにも厳しい、酷い行く末を伝える。これが歴史の真実なら、真実とはなんと冷酷な顔をしているのだろう。胸がえぐられる思い。いける口なら「焼酎」でもあおるところだ。かわりにひどく苦いコーヒーを飲み干す。当分この映画は見たくない。

 これが普通のフィルム・ノワールなら、仲間うちで殺戮が横行しても、マフィアの掟なんだ、リノ・バンチェラが渋いだのクールだのかっこいいだの、娯楽として楽しむことができる。実際ギャング映画として見れば、鈍く光る刃物のように類を見ない凄味があった。
 しかし、題材はフランスレジスタンスの戦いのエピソードなのである。武力で祖国を蹂躙するナチスドイツとその傀儡政権とも言える自国のヴィシー政権に対して「正しい戦い」を挑んだ者たちの、誇り高い記録なのだ。それなのに、密告者に疑心暗鬼になり、裏切り者は弁明の機会も与えず殺してしまうところなどを、ことさらに取り上げる。タオルでの絞殺場面の背筋の凍る恐ろしさ。数学者を首領にし工学博士が指揮をとるインテリの組織が、ここまで野蛮になれる状況に追い込まれていたということを言いたいのか。戦争状態になれば、とんな人間も冷酷な殺人者になれるのか。
 この映画はレジスタンス運動に飛び込んだ者たちの動機や内面、自由の希求とか愛国心などにはあまり触れず、ひたすら敵の目をかいくぐって任務を遂行するスリリングさを存分に見せる。画面を覆う陰鬱なブルーグレーの色調のように、登場人物たちは常に絶望と隣り合わせ、ただ必死に行動するばかりで心の熱さを感じない。感じさせない演出なのだろうか。ミッションを完遂するための「人材」にすぎないというような扱いだ。
 自分で自分を密告して逮捕され、収容所の仲間を助けようとするジャンは優しかったが。
 確かにこれは「影の軍隊」、戦う組織としてのメカニズムに人間を従わせる、ある意味、人間を超えた機構の物語だった。

 だからどこか、敵の侵略軍がやることと似通ってくる。有能な人間は残し、後は消耗品で、裏切り者は即処刑。相互監視を怠らず情報は常にトップに集められる。厳しい状況下で戦いを持続するにはそうする以外なかったのか。
 メルヴィルはレジスタンスを称えるのに、ひどく屈折した方法を選んだようだ。目的のためには敢えて「非人間的」なことも厭わなかった闘士の苦渋に満ちた姿を描き出す。手を汚すことに耐えた勇者、そして手を汚したにもかかわらず戦い半ばで命を落とした勇者に栄光あれ。

 しかし、私は好きになれない。仲間を処刑するにしても「麦の穂を揺らす風」のように、熱い涙を注いでほしい。最後の言葉を聞き届け、待っている人間に伝えるぐらいの礼儀は守ってほしい。

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トラウマの追体験 ネタバレ

投稿日:2008/06/27 レビュアー:コリンスキー

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パリに入城した独軍、凱旋門前の行進が冒頭、再現されます。
フランス国民にとって耐え難い屈辱のIndex(見出し)。

仏独、積年に渡る報復の応酬を想起させ、歩兵のフィールド・グレイの軍服は再びパリ陥落という心理的ショックを一瞬に蘇らせてしまいます。
白黒ニュースフィルムで何度も観た光景ですが軍服の灰緑色は占領を象徴するように、そのまま本編の色調に重なっていきます。
レジスタンスに従事する男女の悲劇を綴っているものの英雄行為や正義感は殆ど語られません。
裏切りと制裁というレジスタンスの負の側面をストレートに描き出していきます。それは、感傷を一切排除したプロ(軍隊)のルールに従う姿です。

数学者でありグループの首領リュックを演じるポール・ムーリッスは役に相応しい貫禄の持ち主です。
リーダー格、フィリップ(主役)を演じるL・ヴァンチュラの能面のような表情も見事です。女闘士・マチルド(シモーヌ・シニョレ)とは任務と離れた所で通じ合うものがありますが彼女が起因し事態が急変した際の即応力に凄味を感じました。本人は非情な指令を下している意識はないのかも知れません。そこに作り手の意図を感じました。

リュックの弟ジャン・フランソワ(J=P・カッセル)は自分自身を売りゲシュタポに潜入、先に捕らわれた旧友・フェリックスの救出作戦に内部から参画しますが、このくだりは胸にグッときます。
フィリップが逃げ込んだ床屋の店主(セルジュ・レジアニ)の勇気ある行為が、さり気なく描かれます。淡泊でも印象的なシーンを作る一方で精緻に描写しスリルを増幅させるシーンと絶妙な抑揚を生んでいます。このメリハリの良さが何度も観させてしまうのだと思います。

突き刺さる様な痛み、占領下の自国を内側から見た厳しい目。徹底して抑制された感情も自らの戦時体験で余りに多くを見てきた事によるものだと思います。メルヴィル監督はダンケルクから海上離脱に成功した英仏軍の一人ではないでしょうか?(どなたか詳しい方、教えて頂けるとありがたいです)

挿入部の「悪しき思い出も また懐かしきなり」
地獄や恥辱に耐え闘った真の達観者達にのみ語れる言葉だと思いました。

(ジャン・フランソワの女友達としてナタリー・ドロンがチラッと登場しますが非常に美しい瞬間でした)

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レジスタンスの墓標

投稿日:2014/01/25 レビュアー:ちゅく

名作です。

この映画の評価については、レビュアー「趣味は洋画」さんの「すべて淡々と進行していく渋い映画」の内容に書き尽くされています。
全く同感。感動しました。

ジャン・ピエール・メルヴィル監督の作品のファンである自分にとって、DISCASで、「恐るべき子供たち」「モラン神父」「賭博師ボブ」「リスボン特急」がレンタルできるのは、幸福な状況です。

二次大戦で、フランスは早々にドイツに敗れ、パリを占領され、傀儡のビシー政権を作られてしまった。
そこから始まった、フランスの本当の闘いは、レジスタンスであり、それを描く名作は、多くないですが、粒ぞろいです。
どの作品も、ドキュメンタリーのような雰囲気を感じます。リアル。能天気な娯楽映画にはなり得ない。
(○は、DISCASでレンタルあり。)

●ロベール・ブレッソン「抵抗」
○ジャック・ベッケル「穴」
●ジャン・ピエール・メルヴィル「海の沈黙」
●ルネ・クレマン「鉄路の闘い」

○「影の軍隊」は、代表作と思います。

役者がすべて良い。みな、渋い名演。

○フィリップ・ジェルビエ(L・バンチュラ)
闘争を体現する男。背中だけでなく、全身で見せる名優。

○マチルド(S・シニョレ)
女闘士。最後が悲しい。覚悟。眼で演技する名優。

○リュック・ジャルディ(P・ムーリッス)
知性・策略。指揮者。淡々と大事を実行する人を演じさせれば、この人に敵う人はいない。

ピエール・ロムの撮影、エリック・ド・マルサンの音楽は、寒々とした、この青い、悲劇をつくっています。

エンド・クレジットで、映画の中では死ななかった人物の、「その後」が語らえますが、そこが重く効いています。

「鉄路の闘い」(ジュネス企画)も、そろそろレンタルになってもよいと思うのですが、TSUTAYAさん、よろしくお願いします。

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1〜 5件 / 全10件

影の軍隊

ユーザーレビュー

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”影の軍隊” でした。

投稿日

2010/11/10

レビュアー

まみもぉ

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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名作…だと思います。
思うのですが、私はこの作品を味わうことができませんでした。
美味しいと分かっていても喉を通らない、だから消化できない。
無理に入り込んでは、食べにいってはいけない、
このジャン=ピエール・メルヴィルの名作は、
直視して味わう逸品と思います。

ヴィシー政権時代のフランス。1940年代前半。
ドイツ占領下にあったフランスの国情は複雑で、ロンドンにもうひとつの政府が存在し、
ドイツもまだ英米と戦火のさなか。その中でのレジスタンス運動です。

始まってまず、映像の色に息を呑みます。
自然色を海水で洗い流したような、肝心な色がないのに美しい…ブルーグリーントーン。
毛穴からじわじわと入り込んでくるような、重厚なストーリーそのものの色合いです。
思想的なものやメッセージのような事はほとんど描かれておらず、劇的なシーンもあるのですが、
盛り上がる寸前で”ひとつの出来事”の中へすっとおさまっていきます。
レジスタンスのドイツへの抵抗が勇敢に勇壮に描かれているわけでもなく、
彼らの心情、葛藤も浮かんできそうなところで、平常へ戻される…
こんな風に作中、何度も入り込めそうなところはあるのですが、その度押し返されてしまいます。
『そこでじっと観ていろ』と、メルヴィル監督の声も時折響いてくるようでした。

ドキュメンタリーのようで、フィクションを描いた映画、でも映画的でない映画と思います。
ケッセルの原作に、あの時代にメルヴィル監督が実際経験した現実が濃厚に練りこまれ、だからなおのこと、レジスタンス運動の生々しさが、ストーリが進むにつれ、のしかかって重なって重く重くなっていく。持ちこたえるので精一杯。味わうどころではありません。
名場面が九十九折のごとく重なっていきます。

(以降、肝心要のネタバレ続きます)






冒頭、凱旋門広場を行進するドイツ軍…圧巻です。
捕らえられジェルビエが、逃亡にいたるまでの緊迫感。
逃げ込んだ床屋の主人が淡々とその彼を助けるようすは、ドキュメンタリーのよう。
色違いのコートをごく普通に渡します。
裏切り者の仲間を殺すシーンは、今まで観たこのない呆気にとられるものでした。
フェリックスの逮捕シーンは実写のよう。その後の彼を語っているようなあるじを失った帽子の名演技。
互いがレジスタンスであることを隠し知らない兄弟。潜水艦のシーン、現れたボスにぞっとしました。
ありえないようなドラマティックなそのシーンも、すっとそのまま切り替わってしまいます。
パラシュートでの脱出。
銃殺、一歩手前での危機迫る中での逃走。
次から次へ凄いんです。でも、決して派手にならない。さらっと淡々…これがメルヴィル監督なのでしょうか。

感情に触れるシーンもありました。
捕らえられた仲間を助けるために、自ら密告者となり、
仲間からは真意を知らされることなく、自分の毒物を瀕死の仲間に渡す…
女傑そのままの女性活動家マチルド。
冷静に仲間を救出しながらも、娘の写真を捨てきれず、結局それが弱みとなり仲間を裏切ることになり、かつて救った仲間に殺されます。
それを待っていたようなあの表情。美しい女闘士の顔。
彼女を殺した後の彼らの行く末が、
文字となって終わります。

マスクは43年11月8日、青酸カリを飲んだ。
ビゾンは43年12月16日、刑務所で斧で首を切られた。
ジャルディは44年1月22日、最後に自らの本名を言って、拷問によって殺された。
ジェルビエは44年2月13日、今度は走らずに銃弾を浴びた。

詩篇のような四行。

やはり、名作です。不朽の。

静謐にドラマティック

投稿日

2008/05/11

レビュアー

よふかし

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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 DISCASには初登場、ジャン=ピエール・メルヴィル。やや感傷的に感じる時もあるけれど、大好きな作家だ。
 メルヴィルは生涯に13本しか映画を撮らなかった。この『影の軍隊』は『サムライ』と『仁義』というアラン・ドロン主演の2本のノワールの間に作られたせいか、やや地味に感じられるけれども、渾身の一作だと思う。

 影の軍隊とは、第二次大戦中、独伊占領下の仏レジスタンス組織のこと。冒頭、実際に再現されたという凱旋門下でのドイツ兵の行進の長いカットがとても衝撃的だ。このカットひとつで、メルヴィルがナチによる占領、その暴力性をあますことなく伝えてしまうことに驚く。
 映画は、レジスタンス組織の闘いを静かに、しかしドラマティックに描き出す。ゲシュタポ本部からの脱走劇、同志の裏切りと粛清、潜水艦でのドーヴァー越え、同志の救出作戦、しのばせた青酸カリ・・・エピソードだけを抜き出せば、一大戦争アクション巨編になりそうだ。
 けれど、本作は観る者を突き放すような冷徹さに貫かれている。随所にひじょうに緊迫してサスペンスフルなシーンがあって、まさに手に汗握らざるを得ないのだが、それをもって観る者を楽しませようとはしていない。
 実のところ、メルヴィル自身も当時レジスタンスの闘士であった。本作はド・ゴールの肝いりで公刊されたレジスタンスのドキュメント本を原作として、登場人物たちにはモデルがいるらしいのだが、メルヴィルは自分のことを描いているのである(メルヴィルにとって占領中の体験が決定的な重みを持っていたことは、デビュー作がヴェルコール原作の『海の沈黙』というドイツ兵に対する静かな抵抗を扱った作品であることからもわかる)。
 とはいえ、前述したように本作は派手なエピソードが続き、ドラマティックではあるので、ドキュメンタリータッチとかリアリズムに徹しているわけではない。けれども、本作に溢れる時代の空気とでもいうものが、実にリアルに感じられるのである。
 たとえば前半の、裏切り者の青年を処刑するシーンには目を瞠る。青年の目の前で、殺し方を銃にするかナイフにするかと議論した末に、三人がかりでタオルで絞め殺す様は、どこか滑稽ですらある。あるいは主人公(リノ・ヴァンチュラ)が逃げ込んだ理髪店で、理由を聞かずコートを取り換えてくれる店主。見晴らしのよい高台での組織の打ち合わせで供される、カフェオレ・ボウル。自らを密告するジャン=ピエール・カッセルの悲痛さと、シモーヌ・シニョレのラストのアップも印象的だ。
 背景説明はあまり親切ではないので、少し歴史的知識があったほうが分かりやすいかもしれない。75点。

素直に称えればいいものを…

投稿日

2009/11/10

レビュアー

港のマリー

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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 ラストのシモーヌ・シニョレの表情、驚愕とも苦悶とも見えたのだが、あのことは、ほんとに彼女が望んでいた結末なのか。その後の車内の4人の男の映像にかぶさるナレーション、わたしは意味は字幕でしかわからないが、あまりにも厳しい、酷い行く末を伝える。これが歴史の真実なら、真実とはなんと冷酷な顔をしているのだろう。胸がえぐられる思い。いける口なら「焼酎」でもあおるところだ。かわりにひどく苦いコーヒーを飲み干す。当分この映画は見たくない。

 これが普通のフィルム・ノワールなら、仲間うちで殺戮が横行しても、マフィアの掟なんだ、リノ・バンチェラが渋いだのクールだのかっこいいだの、娯楽として楽しむことができる。実際ギャング映画として見れば、鈍く光る刃物のように類を見ない凄味があった。
 しかし、題材はフランスレジスタンスの戦いのエピソードなのである。武力で祖国を蹂躙するナチスドイツとその傀儡政権とも言える自国のヴィシー政権に対して「正しい戦い」を挑んだ者たちの、誇り高い記録なのだ。それなのに、密告者に疑心暗鬼になり、裏切り者は弁明の機会も与えず殺してしまうところなどを、ことさらに取り上げる。タオルでの絞殺場面の背筋の凍る恐ろしさ。数学者を首領にし工学博士が指揮をとるインテリの組織が、ここまで野蛮になれる状況に追い込まれていたということを言いたいのか。戦争状態になれば、とんな人間も冷酷な殺人者になれるのか。
 この映画はレジスタンス運動に飛び込んだ者たちの動機や内面、自由の希求とか愛国心などにはあまり触れず、ひたすら敵の目をかいくぐって任務を遂行するスリリングさを存分に見せる。画面を覆う陰鬱なブルーグレーの色調のように、登場人物たちは常に絶望と隣り合わせ、ただ必死に行動するばかりで心の熱さを感じない。感じさせない演出なのだろうか。ミッションを完遂するための「人材」にすぎないというような扱いだ。
 自分で自分を密告して逮捕され、収容所の仲間を助けようとするジャンは優しかったが。
 確かにこれは「影の軍隊」、戦う組織としてのメカニズムに人間を従わせる、ある意味、人間を超えた機構の物語だった。

 だからどこか、敵の侵略軍がやることと似通ってくる。有能な人間は残し、後は消耗品で、裏切り者は即処刑。相互監視を怠らず情報は常にトップに集められる。厳しい状況下で戦いを持続するにはそうする以外なかったのか。
 メルヴィルはレジスタンスを称えるのに、ひどく屈折した方法を選んだようだ。目的のためには敢えて「非人間的」なことも厭わなかった闘士の苦渋に満ちた姿を描き出す。手を汚すことに耐えた勇者、そして手を汚したにもかかわらず戦い半ばで命を落とした勇者に栄光あれ。

 しかし、私は好きになれない。仲間を処刑するにしても「麦の穂を揺らす風」のように、熱い涙を注いでほしい。最後の言葉を聞き届け、待っている人間に伝えるぐらいの礼儀は守ってほしい。

トラウマの追体験

投稿日

2008/06/27

レビュアー

コリンスキー

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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パリに入城した独軍、凱旋門前の行進が冒頭、再現されます。
フランス国民にとって耐え難い屈辱のIndex(見出し)。

仏独、積年に渡る報復の応酬を想起させ、歩兵のフィールド・グレイの軍服は再びパリ陥落という心理的ショックを一瞬に蘇らせてしまいます。
白黒ニュースフィルムで何度も観た光景ですが軍服の灰緑色は占領を象徴するように、そのまま本編の色調に重なっていきます。
レジスタンスに従事する男女の悲劇を綴っているものの英雄行為や正義感は殆ど語られません。
裏切りと制裁というレジスタンスの負の側面をストレートに描き出していきます。それは、感傷を一切排除したプロ(軍隊)のルールに従う姿です。

数学者でありグループの首領リュックを演じるポール・ムーリッスは役に相応しい貫禄の持ち主です。
リーダー格、フィリップ(主役)を演じるL・ヴァンチュラの能面のような表情も見事です。女闘士・マチルド(シモーヌ・シニョレ)とは任務と離れた所で通じ合うものがありますが彼女が起因し事態が急変した際の即応力に凄味を感じました。本人は非情な指令を下している意識はないのかも知れません。そこに作り手の意図を感じました。

リュックの弟ジャン・フランソワ(J=P・カッセル)は自分自身を売りゲシュタポに潜入、先に捕らわれた旧友・フェリックスの救出作戦に内部から参画しますが、このくだりは胸にグッときます。
フィリップが逃げ込んだ床屋の店主(セルジュ・レジアニ)の勇気ある行為が、さり気なく描かれます。淡泊でも印象的なシーンを作る一方で精緻に描写しスリルを増幅させるシーンと絶妙な抑揚を生んでいます。このメリハリの良さが何度も観させてしまうのだと思います。

突き刺さる様な痛み、占領下の自国を内側から見た厳しい目。徹底して抑制された感情も自らの戦時体験で余りに多くを見てきた事によるものだと思います。メルヴィル監督はダンケルクから海上離脱に成功した英仏軍の一人ではないでしょうか?(どなたか詳しい方、教えて頂けるとありがたいです)

挿入部の「悪しき思い出も また懐かしきなり」
地獄や恥辱に耐え闘った真の達観者達にのみ語れる言葉だと思いました。

(ジャン・フランソワの女友達としてナタリー・ドロンがチラッと登場しますが非常に美しい瞬間でした)

レジスタンスの墓標

投稿日

2014/01/25

レビュアー

ちゅく

名作です。

この映画の評価については、レビュアー「趣味は洋画」さんの「すべて淡々と進行していく渋い映画」の内容に書き尽くされています。
全く同感。感動しました。

ジャン・ピエール・メルヴィル監督の作品のファンである自分にとって、DISCASで、「恐るべき子供たち」「モラン神父」「賭博師ボブ」「リスボン特急」がレンタルできるのは、幸福な状況です。

二次大戦で、フランスは早々にドイツに敗れ、パリを占領され、傀儡のビシー政権を作られてしまった。
そこから始まった、フランスの本当の闘いは、レジスタンスであり、それを描く名作は、多くないですが、粒ぞろいです。
どの作品も、ドキュメンタリーのような雰囲気を感じます。リアル。能天気な娯楽映画にはなり得ない。
(○は、DISCASでレンタルあり。)

●ロベール・ブレッソン「抵抗」
○ジャック・ベッケル「穴」
●ジャン・ピエール・メルヴィル「海の沈黙」
●ルネ・クレマン「鉄路の闘い」

○「影の軍隊」は、代表作と思います。

役者がすべて良い。みな、渋い名演。

○フィリップ・ジェルビエ(L・バンチュラ)
闘争を体現する男。背中だけでなく、全身で見せる名優。

○マチルド(S・シニョレ)
女闘士。最後が悲しい。覚悟。眼で演技する名優。

○リュック・ジャルディ(P・ムーリッス)
知性・策略。指揮者。淡々と大事を実行する人を演じさせれば、この人に敵う人はいない。

ピエール・ロムの撮影、エリック・ド・マルサンの音楽は、寒々とした、この青い、悲劇をつくっています。

エンド・クレジットで、映画の中では死ななかった人物の、「その後」が語らえますが、そこが重く効いています。

「鉄路の闘い」(ジュネス企画)も、そろそろレンタルになってもよいと思うのですが、TSUTAYAさん、よろしくお願いします。

1〜 5件 / 全10件