太平洋の翼

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大和の上空を通過するパイロットが、出身地と名前を言うシーンがありますね。その一人の出身地が、松山監督の故郷の近くという設定なんです。松山監督はそういう演出をけっこうするんですよね。「連合艦隊」の中鉢二飛曹の名前なんかもそうでしょう。おそらくは鎮魂の意味を込められているのではないかなあと思います。
そう気づいてから改めて見ると、この映画には、実際に戦争を経験した監督やスタッフや俳優の、想いや痛みや切なさが随所にちりばめられていることに気づきます。
前半の見所は、主人公の一人が、フィリピンから日本に帰るエピソードですね。戦友の一人が特攻隊として残らねばならない。あれはほとんど実話なんですが、そこや、機上戦死した部下の遺体のシーンなどは、悲しいとか憤るとかじゃなくて、やるせないというか、言葉にできない切なさなんですよ。
本物の戦争の、真のむごさを経験した人だけが描ける物語だと思います。
最近の大和や特攻隊の映画に欠けているものはまさにそれですね。
「愛する人のために死ぬ」とか、「若者が未来という可能性を捨てて戦わなければいけない悲劇」とか、子供でもわかるような陳腐なお決まり悲劇ばかりでしょう。そして主人公が必ず「被害者」がわにいる。可哀想だけど、でもそれだけ。
だけどこの映画は違いますね。主人公３人がそれぞれに、あの時代の若者の姿を三者三様に見せてくれる。そこがいい。
ついでのようで悪いけど、まだ若い西村晃（二代目水戸黄門）や渥美清（説明不要）の、歴戦パイロットぶりは見ものですよ。

紫電改は戦後兵装を外しハイオク燃料で飛行したら150Km/h以上の高速になったという。そして源田実氏はかっての飛行隊のあった松山の病院で逝去している。

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　特攻を批判し生きて戦うことを命じる三船敏郎さん演じる司令が、各地に散らばった飛行士たちを集めるところから始まり。硫黄島、ラバウル、フィリッピンの地にいる飛行士たちが内地に帰るためのアクションシーンの連続のシークエンスですが。ラバウルチームがコメディパートな一方、フィリッピンチームは次々に戦死していき重たい輸送機を軽くするために仲間の死体まで捨てていくという悲壮感いっぱいなためコメディとのバランスが悪いような印象を受けました。

　とはいえ、紫電改を使って本土防衛のために次々にやってくる米軍機を撃墜していきますが。更に防衛範囲を広げて散らばってしまうために、しだいに押され始めて。次々に仲間が減っていき、戦艦大和の水上特攻に命令に違反して大和とともに運命を共にする4人の姿は涙なくしてはみれないです。ただ、そこの特撮シーンはまるまるカットされてしまっているので残念でした。

　100分ほどの内容ですが、東宝のオールスターキャストで重みもたっぷりでエンタテメイントであり戦争の悲惨さを十分描いている作品だったと思います。

太平洋戦争末期、「マリアナの七面鳥撃ち」と言われたマリアナ沖海戦で壊滅した大日本帝国海軍は、特攻を主とする本土決戦を迎えるべく防衛隊の準備を画策していた。

特攻に反対する源田海軍大佐は、グアムサイパンから来襲する爆撃機に対する本土防空の要として、最新鋭戦闘機「紫電改」と選りすぐりのベテラン搭乗員を戦地各地から招集し、愛媛県松山基地において３４３航空隊通称「剣部隊」を編成し、彼らは期待どおりの華々しい戦果をあげたのであった。しかし戦局は悪化の一歩をたどり、ひとりまたひとり空に散っては帰らぬ人となっていくのだった。

ちばてつやの「紫電改のタカ」のモデルとなった部隊である。

源田（劇中は千田）司令には世界の三船、円谷英二の特撮による空中戦もすばらしい。

松山には海底から引き上げられた３４３部隊の実機まで現存する紫電改は、高高度能力には劣るものの、その性能速度と空戦フラップなどの技術力から、戦後には内外から最優秀戦闘機と高く評されている。

戦記モノがお好きな方におすすめです。
★３つ